Featured Articles
2026年自動車業界展望 5つの予測
Henner Lehne(S&P Global Mobility ビークル&パワートレイン担当バイスプレジデント)
不均一な回復と消費者心理の変化が続いた1年に続く2026年の自動車業界の展望は、世界の自動車販売の安定化、電動化の軌道修正、そして中国自動車メーカーによる競争激化が中心的なテーマとなりそうだ。
変化する規制環境や新たな価格戦略が複雑性を一段と高めており、従来のアプローチの見直しを業界リーダーに迫っている。
2026年の自動車業界展望を形成する5つの中心的要因
1. 2026年ライトビークル販売展望:地域動向にばらつき、成長は横ばい
2025年の世界の新車販売は前年比3.4%増の約9,170万台となったが、世界経済成長の減速に伴い、その勢いは鈍化している。S&P Global Economicsの予測では、2026年の世界GDP成長率は2.7%と見込まれており、2025年からわずかに低下する見通しだ。
2026年の世界のライトビークル販売は約9,180万台で推移すると見込まれ、安定局面に入る。このほぼ横ばいの自動車業界展望しは、関税の継続的な影響、半導体チップ不足、サプライチェーンの不確実性、高金利、そしてEVの普及が進む一方で地域差が残る状況など、複雑に絡み合う市場要因とリスクを反映している。
特に2026年後半には、コストおよび価格上昇圧力の高まりが上振れ余地を抑制する可能性もある。

地域別動向
中国本土:2026年販売は約26万7,000台減少すると予測されている。これは、2025年のインセンティブ施策による需要の前倒しや、経済成長の鈍化を反映したものである。
北米:販売は約59万台減の1,930万台と見込まれている。米国では、実施が予想される価格引き上げ前の駆け込み購入が進んだことが、需要の重荷となっている。メキシコも厳しい1年となり、販売は8.7%超の減少、約13万7,000台減の見通しだ。
西欧・中欧:2026年の自動車販売は緩やかな成長が見込まれており、26万台増の1,540万台となる見通しだ。この増加は、実質所得の改善、インフレ率の低下、そして底堅い労働市場に支えられている。
南アジア:2026年の販売成長はインドが牽引し、40万台の増加が見込まれる。地域全体では5.3%増の1,040万台に達する見通しである。
これらの地域動向を総合すると、2026年の自動車業界展望の複雑さが浮き彫りになる。自動車メーカーは地域ごとに対照的な課題に直面する状況である。
2. 2026年の車両電動化展望:ハイブリッド車の存在感拡大で成長は減速
世界の車両電動化は引き続き進展しているが、その成長ペースは緩やかになりつつある。2025年のバッテリー式電気自動車(BEV)販売は前年比29%増の約1,460万台に達し、世界のライトビークル販売に占める割合は16.1%となった。
2026年のBEV販売はさらに19%増加して約1,740万台、世界の車両販売市場の約19%を占めると予測されている。
一方、政府による規制やインセンティブの見直しに伴い、多くの地域で車両電動化の進展が減速すると見られる。関税の影響、自動車メーカーの目標修正、そして消費者受容の見通しの変化を受け、自動車メーカーはモデル投入計画や投資計画の再評価を進めている。2026年までに、BEV、レンジエクステンダーEV、プラグインハイブリッド車を含む電動車の世界販売比率は30%に達すると見込まれている。
電動化への道筋は、より多面的な様相を帯びている。ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車がBEVに並ぶ重要な存在と認識されており、業界が変化する規制・経済環境に適応する中で、インフラ整備や消費者の受容度に関するギャップを埋める役割を果たしている。

3. 2026年世界自動車生産展望は弱含み
DRAMチップ不足やその他の半導体チップ不足のリスクは依然として注視すべき要因だが、自動車メーカーはコスト上昇を吸収することで、潜在的なサプライチェーンの混乱を緩和すると見込まれる。
2025年の世界自動車生産は予想をやや上回る9,290万台で着地した。対2024年比で3.7%増であり、ピークである2017年の9,500万台に近づく水準だ。
2026年の世界ライトビークル需要は横ばいが見込まれていることから、世界自動車生産は9,260万台へとわずかに減少、前年比0.4%減と予測されている。これは、市場の成熟化と地域動向の変化を反映したものである。
生産減少の見通しは、自動車業界展望全体にみられる広範な傾向を示している。成熟市場の進展と地域構造の変化が生産戦略を方向づけている状況に変わりはない。

地域別動向
北米:2025年のライトビークル生産は前年比1%減の1,530万台、2026年は約33万台減の1,500万台に落ち込む見通しだ。輸入関税があるにもかかわらず一部の自動車メーカーは国内生産を犠牲にして特定車種の輸入を増やす計画であり、低調な需要も全体の減少に拍車をかけている。
中国本土:2025年生産は前年比10%増の3,290万台と見込まれている。2026年は、新エネルギー車(NEV)に対する減税措置の縮小や、一部プラグインハイブリッド車の対象除外により、1.4%減の3,250万台となる見通しである。
力強い輸出成長が国内の逆風を相殺する状況が続いているが、これは中国自動車メーカーおよび中国車ブランドの世界生産における影響力の高まりを示す自動車市場のトレンドである。
西欧・中欧:国内需要の低迷や車両電動化の普及が想定を下回ったにもかかわらず、2025年生産は1,410万台(25万台減)と比較的安定して推移した。自動車業界予測では、2026年生産はさらに0.9%減の1,400万台になると見込まれている。
日本:2025年生産は前年比1.3%増の約800万台と推測されており、2026年は約793万台で横ばいの見通しだ。円安や主力モデルの調達先変更が引き続きハイブリッド車輸出を押し上げており、特に顕著なのがトヨタである。
韓国:2025年生産は、業界紛争の解決や欧州向け輸出の好調を受け、400万台で安定した。2026年は、国内需要の軟化やプログラムタイミングの変更を反映し、391万台へ減少する見込みである。
4. 中国自動車メーカー:グローバル統合と現地生産の深化
2026年に入っても、中国自動車メーカーが世界の自動車販売における競争構図を塗り替える状況が続いており、特にEVやハイブリッドパワートレイン分野でその存在感が高まっている。国内市場では中国車ブランドが外国合弁ブランドを急速に駆逐している。
2025年には中国系ブランド(Volvoのような中国資本傘下の海外ブランドを除く)が世界自動車生産の約26.5%、台数ベースで2,480万台を占め、前年比18%増となった。成長は2026年も続く見込みだが、2023年から2025年にかけての急拡大と比べると伸び率は鈍化する見通しである。
2026年の中国系ブランドの世界生産シェアは約27.4%へ上昇、前年比約2%成長に相当すると予測されている。国内需要が冷え込む中、販売台数の拡大を維持するうえで海外市場の重要性は一段と高まっている。
中国本土以外での生産は2025年に約110万台となり、2026年には約160万台へ増加すると見込まれている。中国ブランドがグローバル統合を深化させる中、その戦略は国内市場にとどまらず、自動車業界展望全体を方向づける影響力を強めている。

5. 2026年世界自動車価格動向:規制変化、競争圧力、そしてテクノロジー主導の価値を巡る競争
欧州:規制の影響と製品競争の激化が交錯
欧州ではBEV価格が想定を上回るスピードで下落している。BEVの価格圧力を一部相殺するため、OEMはICE車の価格引き上げを進めており、手頃な価格帯の限界に近づいているとの懸念が高まっている。
同時に、EVおよびハイブリッドセグメントでは中国自動車メーカーとの競争が激化している。中国メーカーは2万ユーロ未満の低価格帯で競争するのではなく、より高価格帯セグメントを狙い、攻めのバリュープロポジションを打ち出している。
中国OEMは実務的な観点からハイブリッド車の選択肢も模索しており、長期的なハイブリッド普及を後押しする規制環境の追い風もあって、製品競争は今年からさらに拡大すると見込まれる。
米国:関税と値頃感の限界
関税導入前の時点では、インフレを背景に、2026年のメーカー希望小売価格は販売台数加重平均で4%超の追加引き上げが見込まれていた。OEMは関税コストを緩和する戦略を迅速に講じたものの、販売の軸足を高収益のICEモデルへと戻しつつあることから、2026年の価格は段階的に上昇すると予想されている。すでに手頃な価格の壁に直面している米国の顧客に対し、不均衡な値上げを行うことにはOEMも慎重である。
EVについては、規制変更や需要の軟化を受け、計画されていた価格引き下げは実現の可能性が低下している。より緩やかなコンプライアンス環境の下で、OEMは収益最大化を図ると見込まれる。
中国:価格安定化の兆しとテックプレミアム価格戦略の台頭
中国自動車メーカーは価格戦略の多様化を進めている。市場シェア獲得のための値下げを行う一方で、先進技術を搭載した高価格モデルの投入にも成功している。国内での激しい価格競争に対抗するため、メーカー各社は先進技術やエネルギー効率の向上を活用し、ハードウェアコストが頭打ちとなる中でもメーカー希望小売価格の水準を維持する「テックプレミアム」価格戦略を強化している。
こうした動きは、価格競争の抑制を目的とした新たな規制や補助金制度の見直しなど、政府による監督強化の流れとも一致している。
特に量販市場では価格安定化の初期的な兆候がみられるが、競争は依然として激しい。統合型テクノロジーエコシステムに対する消費者の受容が高まる中、とりわけNEVではメーカー側の交渉力が強まりつつある。
結論
今後、自動車メーカーが業界の変化する環境下で持続的に成長するためには、地域別の生産戦略を機動的に構築し、各市場の実情に即した電動化戦略を策定するとともに、テクノロジー主導の新たな消費者嗜好を的確に捉えることが重要である。
意思決定を強化する比類なき業界インテリジェンス
2026年の自動車業界展望を形成するトレンドを先取りするために、S&P Global Mobilityのデータへの限定アクセスをご活用ください。リクエストいただければ、四半期ごとに2回改訂された10年分の過去データ分析に基づく世界ライトビークル販売7ヵ年予測のサンプルを無料でご提供します。145超の国および地域を対象に、セグメント成長、技術採用動向、OEMパフォーマンスの追跡が可能です。
市場動向をさらに深く理解するために、毎月更新の生産予測もご参照ください。将来の車両サイクル計画、想定生産台数、50超の国および地域・900超の生産拠点における工場稼働率を網羅しています。業界展望を支えるデータとインサイトに基づいて戦略的意思決定を強化することができます。
OEM戦略の再構築、目指すは効率性・柔軟性・地域優位性
Thomas Meininger
2000年から2016年にかけて、世界ライトビークル年間販売台数は68%増加し、OEMにとっては「成長が容易な」時代だった。だが、その時代は終わった。業界は現在、「痛みを伴う飽和」の局面で動いており、販売台数の増加は限定的である。OEMにとっての成功の道筋は、規模の拡大そのものよりも、オペレーション効率と規律ある収益管理に左右される傾向がはるかに強くなっている。成長余地が縮小し競争が拡大し技術サイクルが加速するなか、メーカーが対峙する環境はより複雑化しており、変動性も高くなっている。

この変化は複数の要因の組み合わせによって引き起こされており、それらが現在、S&P Global Mobilityの予測フレームワークを規定している。
- 世界的な成長鈍化。従来の高機会(「ブルーオーシャン」)市場が成熟または停滞しつつある。競合の増加。既存のグローバルプレイヤーに加え、急速に台頭する新興勢力も含まれる。
- 技術的複雑性の増大。電動化、ADAS、ソフトウェア定義アーキテクチャなどが進展し、投資に求められる水準が引き上げられている。
- 地域ごとに分断された規制。グローバルな商品戦略を複雑化させる。
- 地政学的な不確実性。サプライチェーン、投資判断、市場アクセスに影響を与える。
これらの条件が重なることで、OEMはプレイブックの見直しを迫られている。すなわち、何が何でも販売数量を追うのではなく、効率的かつ柔軟で、地域特性に合わせたオペレーションとポートフォリオを設計する必要がある。
OEMが次にすべきこと
このより厳しい環境の中での成功について、当社は4つの戦略的必須事項を整理した。
- 1. オペレーションの効率化によるコスト競争力の確立
- 2. 製品競争力(「製品の実質」)の強化
- 3. 各地域の規制および顧客期待を反映した、提供内容の地域最適化
- 4. 利益が見込める領域に限定した販売数量の最大化と、必要に応じた統合
コスト効率:6つのP
現在の環境下でコストリーダーシップを実現するには、体系的なアプローチが求められる。効率化の課題は6つの中核レバーを軸として整理される。すなわち、Plant(工場)、Platform(プラットフォーム)、Product(製品)、Parts(部品)、Propulsion System Design(PSD、動力源システム設計)、People(人材)だ。いずれも、OEMがコスト構造を大幅に改善し得る重要領域である。
1. Plant:市場実態に合わせた生産能力の調整
業界全体で販売台数の伸びが鈍化し競争が激化するなか、工場稼働率は低下している。欧州では、西側OEM大手の平均ストレートタイム稼働率が、2000年~2019年の79%から、2020年~2025年には68%へと低下している。一方、大中華圏は同期間に77%から46%へと、さらに急激な落ち込みを示している。

データ集計:2026年1月 注:従来型の西側製造グループのみが対象(BMW、Ford、GM、Honda、Hyundai、Mazda、Mercedes-Benz、Nissan、Renault、Stellantis、Toyota、Volkswagen)。欧州はカザフスタン、ロシア、ウズベキスタンを除く。
出所:S&P Global Mobility Light Vehicle Production Capacity Forecast(2025年12月)
これらの数値は、過剰生産能力が依然としてコスト競争力を蝕んでいることを示している。この問題への対処として、以下が求められる。
- 生産能力の調整、特に欧州
- 稼働率向上を目的としたパートナーシップの検討。ただし、中国OEMとの協業は競争圧力を高める可能性がある点も認識しておかなければならない
- 米国での拡張と、欧州、メキシコ、日本/韓国でのさらなる低稼働リスクとのバランス確保
- 関税環境が厳格化する中での輸出戦略の管理
グローバル生産拠点配置の最適化は、OEMがコスト構造を再調整するうえで、最も影響力の大きい手段の一つである。
2. Platform:地域適応を伴う標準化
プラットフォーム戦略が基本的な効率化レバーであることに変わりはないが、グローバルなプラットフォーム統合を持続することはますます難しくなっている。規制の違い、パワートレインの多様化、ソフトウェアアーキテクチャ面の要請により、ユニバーサルなプラットフォームではなく、地域別に最適化されたプラットフォームが必要になるケースが増えている。
ICE、ハイブリッド、BEVのパワートレインを同時に支える「マルチエネルギープラットフォーム」への移行は、この現実を反映している。投資は当初、BEV専用アーキテクチャに集中していたが、現在ではICEおよびハイブリッドのプラットフォームにも広がりつつあり、ソフトウェア定義の能力がポートフォリオ全体に行き渡るようにする動きが進んでいる。
排出ガス要件や市場固有の安全基準など、地域ごとの規制差も、ハードウェアとソフトウェアの両面において、より「ローカル・フォー・ローカル」なアプローチの必要性を一段と強めている。
3. Product:競争力を維持しつつ複雑性を削減
電動化によって製品ポートフォリオは簡素化されるとの期待もあったが、OEMは今後10年以上にわたり、ICE、ハイブリッド、BEVの並行展開に対応していく必要がある。これが社内の複雑性を長期化させ、コスト圧力を一段と高める要因となる。従来型OEMがコスト削減を進めるには、各モデル内での製品複雑性をスリム化していかなければならない。
主な重点領域は以下の通りである。
- ICEおよびBEVベースのモデル間でのコンポーネントやシステムの共有
- 低販売台数の従来型プラットフォーム製品の終了と、中国向けポートフォリオの最適化
- 実質的な販売数量に貢献せずコストを押し上げるパワートレインやトリムのバリエーション削減
4. Parts:サプライヤーバランスの見直し
半導体およびソフトウェアサプライヤーは現在、複数の産業にまたがる高い需要を背景に、これまで以上の影響力を持つようになっている。一方で、ICEサプライヤーの再編や、部品分野における一部企業の破綻リスクが、潜在的なボトルネックを生み出している。
コスト改善の重要領域の一つは、BEVがICE車に比べて機械部品点数が大幅に少ない点にあり、これがサプライヤーの経済性を変化させ、OEMに調達戦略の再考を迫る要因となっている。 追加的な検討事項としては、以下が挙げられる。
- 海外展開を進める中国OEMに対するローカライゼーション要件。コスト上昇要因となり得る
- 中国を含む新たなサプライヤーベースとの協業による、西側OEMの多様化機会
OEMは、コスト、供給の安定性、そして新興技術へのアクセスのバランスを取るため、より柔軟でレジリエントな調達モデルを構築しなければならないだろう。
5. Propulsion System Design(PSD):地域ニーズに合わせた技術の最適化
電動化の採用は現在も進行中だが、その進み方は地域によって異なる。
S&P Global Mobilityの地域別パワートレイン予測によれば、2026年時点でも、いくつかの主要市場ではICEおよびハイブリッドシステムが依然として過半のシェアを占める一方、BEVの普及が最も強いのは中国および欧州の一部である。
こうした差異が、PSDの進路にも違いを生み出している。
- 米国の一部では、大排気量ICEが依然として重要な存在である。これは、消費者嗜好に加え、厳格な規制やインフラの不足が需要に影響しているためである。
- 中国では、REEV(レンジエクステンダーEV)技術が存在感を強めている。
- ハイブリッドシステムは引き続き高いマージンを生み出しており、短期から中期においてOEMを支える要素となっている。
このように地域ごとのばらつきが大きい状況では、本来スケールを確保しにくい動力源技術領域において、OEM間のより緊密な協業が促される可能性がある。
6. People:より生産性が高く、適応力のある組織づくり
人材の有効性向上も、コスト効率を構成する中核要素の一つである。
コスト競争力は、単に人員を削減することによってではなく、適正な人員規模を最適化し各従業員が生み出す価値を最大化すること、すなわち組織全体の実効性を高めることによって実現される。

データ集計:2026年1月(FY2024データに基づく)
出所:S&P Global Mobility powertrain production forecast(2026年1月);S&P Global CIQ Pro ― 2024年OEM年次報告データ;Morningstar
本図は、従来型OEM間で従業員一人当たりが生み出すEBIT(Earnings Before Interest and Taxes、利払前・税引前利益)に大きなばらつきがあることを示しており、コスト競争力の中核要素としての人材有効性の重要性を浮き彫りにしている。
コストパフォーマンスの強化には、以下が求められる。
- 現実的な生産予測に合わせた人員規模の調整
- ロボティクス、自動化、AIを活用した従業員のサポートによる生産性向上
- 意思決定の迅速化と、間接費削減のためのマネジメント階層の簡素化
目標は、長期的な競争力を支えるために必要なツールと組織構造を備えた、より実効性の高い組織を構築することである。
収益効率:販売数量と価格の最適調整
収益面も同じく重要である。欧州では、価格-販売数量分析により、BEVラインナップが新たな価格帯へと拡大していることが明らかになっており、これが競争環境を再構築している。場合によっては、より大型の車種が小型車と同一のメーカー希望小売価格帯で重なるケースも見られ、消費者の選択行動に影響を与えている。

収益最適化を成功させるには、以下が求められる。
- 地域および推進方式別に、需要がどの価格帯に集中しているかを把握すること
- 競合の価格ポジショニングを監視し、どの領域でセグメントをまたいだ代替が起こりそうかを見極めること
- 実際の市場の価格弾力性を踏まえ、トリムおよびパワートレインのレベルで価格を調整すること
マージンへの圧力が強まり、消費者がますます価値を重視するにようにになっている状況では、価格設定とポートフォリオ構成の精度がきわめて重要になる。
不安定化する市場での競争
成長はもはや前提条件ではない。OEMは現在、需要拡大の鈍化、複雑性の増大、そしてあらゆるレベルでの競争強度の高まりによって規定される市場環境に直面している。
高いパフォーマンスが示せるかどうかは、以下に依存する。
- 規律あるポートフォリオおよびプラットフォームの意思決定
- 効率的かつ適応力のあるオペレーティングモデル
- 地域特性に応じた動力源戦略
- 徹底したコストおよび収益の最適化
- データに裏付けられた迅速な意思決定
オペレーション効率と、情報に基づく俊敏な戦略実行を両立できるメーカーこそが、より厳しさを増す自動車産業の成熟局面において、適切に舵取りを行い、主導的立場を確立できるだろう。
仮説を検証し次の戦略を形にする、スマートな手法が必要
ここがまさに、そのための場所です。前提条件をストレステストし変化により迅速に対応したいOEMのチームの皆様のために、S&P Global MobilityのFAST(Forecast Adjustment and Simulation Tool)が、需要、販売数量、電動化の結果にわたるリアルタイムのシナリオプランニングを実現します。スプレッドシートや静的モデルの制約に縛られることはありません。
俊敏なシナリオプランニングによって、OEMの皆様の意思決定は自信に裏付けられたものになります。ぜひご確認ください。
ソフトウェア定義車のスケール化:開発から組織的対応力まで
Vivek Beriwal
車両がハードウェアではなくソフトウェアによって定義される度合いが高まるにしたがい、自動車向けソフトウェアを拡張させるための組織的対応力が競争上の重要な差別化要因となっている。この競争優位性が最も顕著に表れているのが中国本土であり、同地域では自動車メーカーがソフトウェア定義車(SDV)プラットフォームの開発を前例のないスピードで進めている。
開発サイクルが短縮され、競争が激化する中で、業界には実際のSDV能力を測定・比較・ベンチマークするための、より明確な指標が求められている。S&P Global Mobilityが定義する「SDV対応力(SDV readiness)」は、実質的に組織のソフトウェア・スケーラビリティを測定する概念である。
SDV対応力は、車両のライフサイクル全体にわたり、ソフトウェア中心の車両プラットフォームを安全かつ大規模に設計、展開、運用、収益化する組織の能力を反映する。この能力を実現するには、テクノロジー、オペレーティングモデル、プロセス、カルチャーにまたがる協調的な変革が必要であり、個々のツールを導入するだけでは不十分である。
重要なのは、SDV対応力がコントロールにも関わる点である。自社でソフトウェアプラットフォームを所有し、サイバーセキュリティガバナンスやクラウドコンプライアンスを設計段階から組み込み、ソフトウェア中心の意思決定で事業を運営するOEMこそが、SDV時代を主導する最良のポジションに立つ。一方で、これを実現できないOEMは、外部に制御されたインテリジェンスに依存するハードウェアインテグレーターへと転落するリスクを抱えることになる。
SDV対応力の基盤:ソフトウェア・スケーラビリティの定義
- ソフトウェア:ソフトウェアは、車両の機能をハードウェアから切り離し、販売後も継続的な進化を可能にし、車両をプログラム可能で更新可能なプラットフォームへと変える点において、ソフトウェア・スケーラビリティを実現する中核的な要素である。SDV対応車両の特徴としては、ハードウェア抽象化レイヤー(HAL)、ミドルウェア、サービス指向アーキテクチャ、ならびに集中型またはゾーン型コンピュート上で動作するソフトウェア機能が挙げられる。
- E/Eアーキテクチャ:ゾーン型E/Eアーキテクチャは、抽象化されたハードウェアレイヤー、標準化された通信インターフェース、サービス指向アーキテクチャ(SOA)を可能にし、複数モデル間でのコード再利用、市場投入までの期間短縮、そしてデータ管理および統合に伴う負担(SDVにおける最大のボトルネックの一つ)の軽減を実現する。ゾーン型E/Eアーキテクチャがなければ、自動車メーカーは重大な課題に直面することになる。その課題とは、統合された車両OSの展開、車両全体を対象としたセキュアな無線アップデート(OTA)の実現、コンピュートの集約とソフトウェアの簡素化、大規模な機能の収益化、AI統合やADASモデルといった高度なシステム設定を集中演算プラットフォーム上で実行すること、さらにはサイバーセキュアかつ更新可能な車両を維持することである。
- オーバー・ジ・エア(OTA)アップデート:セキュアなOTAアップデートは、車両を静的な製品から継続的に進化するソフトウェアプラットフォームへと変える点で、SDV対応力の基盤となる。OTAにより、生産後のソフトウェア更新、販売店を介さない機能の展開、複数世代の車両にまたがるハードウェアの再利用が可能になる。これにより、SDV車両のイノベーションサイクルは加速し、車両寿命が延び、プラットフォームの断片化も抑制される。自動車メーカーがあらゆるソフトウェアレイヤーをセキュアかつ高頻度で、フリート規模で更新できるのであれば、その組織はソフトウェアのスケール展開に対して、組織的にも技術的にも準備が整っていると言える。
中国本土OEMによるソフトウェア定義車開発とスケーラビリティの急速な進展
中国本土の自動車メーカーは、ソフトウェア定義車の開発およびソフトウェア・スケーラビリティの面で、多くのグローバルOEMを上回るスピードと一貫性で前進している。これは、ソフトウェア主導の迅速なイノベーションに適した、文化的、構造的、技術的、市場的な要因が独自の形で組み合わさっているためである。
- ソフトウェア・ファーストのマインド:中国本土の自動車メーカーは比較的新興のOEMであるため、克服すべきレガシーシステムが少ない。多くは内燃機関の時代ではなく、スマートフォン/コンシューマーエレクトロニクスの時代に設立されており、SDVを前提とした企業文化を生まれながらに備えている。集中型コンピュート、セキュアなOTAアップデート、統合OSスタック、高度な統合技術、迅速な機能展開といった要素を本質的に重視している。
- フラットな組織構造:中国本土の自動車メーカー、特に新エネルギー車(NEV)のスタートアップでは、CEOやCTOが製品とソフトウェアを直接主導する統合的なリーダーシップ体制を採るケースが多い。その結果、意思決定階層が少なく、エンジニアリングの裁量が大きいフラットな組織構造が形成され、予算配分の迅速な見直しも可能となっている。
- より深い垂直統合と迅速なSDVサイクル:中国本土のOEMおよびテクノロジー企業は、チップやバッテリーといったハードウェアから、OS、ミドルウェア、アプリケーション、SDV向けクラウドデータコンプライアンスに至るまで、エンド・トゥ・エンドのインテリジェントプラットフォームを急速に構築している。内製能力を活用することで、構想から量産までの平均開発期間を最短18〜24ヵ月にまで短縮しており、これは業界平均の5〜7年と比べて大幅に短い。
- 充実したローカル供給エコシステム:中国本土には、システムオンチップ(SoC)、LiDAR、レーダー、高解像度カメラ、バッテリー管理システム、ギガキャスティング、ドメイン/ゾーンコントローラ、OTAおよびクラウドインフラサービスに至るまで、成熟した現地のサプライヤーおよびパートナーのエコシステムが存在する。これにより、グローバルサプライヤーへの過度な依存が抑えられ、リードタイム、エンジニアリング上の摩擦、部品表(BOM)コストが低減されると同時に、迅速な試作および展開サイクルが支えられている。
- 政府の強力な後押し:中国本土では、中央政府、省政府、市政府が連携し、国家レベルのインテリジェント車両標準、V2Xインフラ向け補助金、迅速な型式認証プロセス、レベル3/レベル4の実証実験向けパイロットゾーン、ならびに国内クラウドコンプライアンス規則の枠内でのデータ収集を容易にする制度を通じて、SDVの成長を後押ししている。
SDV開発における内製ソフトウェア・スケーラビリティとパートナーシップのバランス
世界のOEMは、電気自動車(EV)市場の減速を背景に、ソフトウェア・スケーラビリティ戦略の見直しを進めており、内製か外注かの判断をこれまで以上に選別的に行うようになっている。その結果、スピードとコスト管理を重視し、パートナーへの依存度を高めている。こうした動きは地域ごとに異なる協業モデルとして表れている。中国本土が内製による垂直統合を推し進める一方、北米ではハイブリッド型の技術パートナーシップが主流となり、欧州では内製志向から、より現実的なアウトソーシングへと軸足が移りつつある。不確実な市場環境に適応するための勝ち筋は、独自技術のコントロール、共有プラットフォーム、そして強固な地域パートナーシップを組み合わせた、バランスの取れた戦略にある。

中国の先進的コネクティビティ対応力
S&P Global Mobilityが作成したSDV Readiness Level benchmark(SDV対応力レベル指標)は、車両のソフトウェア対応力を評価するための包括的なフレームワークであり、レベル0(Not Connected:非接続)からレベル5(Fully Ready:完全対応)までの段階に分類する。この手法は、SAEの自動運転レベルに近い考え方である。S&P Global Mobilityによると、中国本土の企業を含む世界のEVスタートアップは、SDV対応力の高度化を急速に進めており、2030年にSDV対応力レベル 4および5の台数の4分の1超を占めると見込まれるTeslaに対して、強い競争圧力をかけている。2030年までに、中国本土の自動車ブランドのうち最大11社が、SDV対応力レベル4および5の上位15メーカーに名を連ねると予測されており、同地域における先進的なコネクティビティ対応力の高さが浮き彫りとなっている。
中国におけるソフトウェア・スケーラビリティとSDV展開の課題
急速な進展を遂げているとはいえ、中国本土の自動車メーカーはSDV車両の展開において、依然として構造的、技術的、規制的、さらにはグローバル展開に関わる複数の課題に直面している。これらの課題は、ソフトウェア・スケーラビリティ、国際競争力、そしてSDV戦略の長期的な持続性に影響を及ぼす。中国本土のSDVスタックは、国内クラウドプロバイダーへの依存や、現地のサイバーセキュリティガバナンスおよびV2X標準への準拠を前提としているため、欧米市場で車両を販売するには、高コストな再設計が必要となる。
中国本土で製造される車両は、ローカルのAI/チップエコシステムへの依存度が高い。これらのチップはNVIDIAやQualcommのチップと比べ、国際的な認証(ISO 26262 ASIL-D、AEC-Q100 グレード0)や成熟度が不足しており、中国国外でのサポートも限定的である。さらに、中国のOEMは、独自ミドルウェアを用いた内製スタックを急速に構築する傾向があり、他のプラットフォームとの互換性を欠くケースが多い。その結果、これらの車両の統合、スケール展開、維持管理は、より複雑かつ高コストなものとなっている。
また、中国本土におけるSDV展開は、ソフトウェア品質の問題や技術的負債、すなわち迅速なソフトウェア開発上の判断に起因するコストや非効率性が増大しているとの見方もある。SDVの急速な開発サイクルは、頻発するバグ、OTAアップデート性能のばらつき、更新後の機能後退を招きやすい。これに、コンシューマーエレクトロニクス分野に由来する「まず出荷し、後から修正する」文化や、ドイツや日本のOEMと比べて不十分な検証フレームワークが重なることで、短中期的に大きなコストが発生する可能性が高い。
ソフトウェアのスケール化の将来:SDVにおけるクラウドデータコンプライアンスとサイバーセキュリティガバナンス
Teslaは、ソフトウェア・スケーラビリティおよびSDV対応力における参照アーキテクチャとしての地位を維持しているが、次世代のSDV車両では、スピードやコントロールだけでなく、クラウドデータコンプライアンスの成熟度、サイバーセキュリティガバナンス、そしてエコシステムとしてのスケーラビリティが評価の軸となる。S&P Global Mobilityによると、現時点ではNioおよびXpengの両社が、SDV対応力と自律性の面でTeslaを上回っているものの、世界全体でのコネクティッド車両台数は依然として限定的である。
SDV対応力に向けたスケーラブルな戦略構築
ソフトウェア定義車のスケール化が進む中で、競争優位性は、ロードマップや主張そのものではなく、車両レベルのソフトウェア能力に関する客観的かつ比較可能なインサイトに、ますます左右されるようになっている。
S&P Global MobilityのSDV Readiness Benchmarkは、車両がそのライフタイムを通じて、継続的でセキュアかつマルチドメインなソフトウェアアップデートにどの程度対応しているかを評価するための、体系的なフレームワークを提供する。
OTA機能、E/Eアーキテクチャ、ソフトウェア基盤を、明確に定義された対応レベルごとに評価することで、このベンチマークは、OEM、サプライヤー、投資家がSDVの成熟度を比較し、能力ギャップを特定し、競合に対する進捗を把握することを可能にする。SDV Readinessのデータサンプルを参照することで、主要メーカーがスケーラブルで将来対応型のソフトウェアプラットフォームに向けて、どのように車両を位置付けているのかを確認することができる。
2026年自動車市場動向:変動性、革新、機会への対応
Matthew Beecham
激動の2025年を経て、OEM各社は貿易ショック、サプライチェーンのボトルネック、消費者の期待の変化に直面している。その一方、新技術や電動化が、成否を分ける重大な機会をもたらしている。
S&P Global Mobilityの「2026 Automotive Analyst Outlook」は、自動車市場動向におけるこれらの重要な課題に対し、データに基づいた自動車市場展望と専門家による分析を提供する。
自動車市場動向の変化を受け、世界の生産体制が再編へ
世界のライトビークル生産は、米国の自動車関税や通商政策を巡る不確実性、自動車産業における中国の存在感拡大、欧州でのバッテリー電気自動車(BEV)需要のばらつきによって縮小し、2026年は微減の見通しである。
北米では、高価格化やインフレ抑制法のインセンティブ縮小を受けて消費者の購買意欲が冷え込み、生産が減少している。2025年には関税発動前の駆け込み需要によって購入が前倒しされたが、その反動で市場は弱含んでいる。こうした動きは、自動車市場全体の車両生産や地域競争力動向にも影響を及ぼしている。
中国は、景気刺激策に支えられた急拡大の局面を経て、インセンティブの縮小や税制引き締めを背景に、現在は縮小局面に向かっている。欧州では需要が低迷する一方、中国からの輸入圧力が強まり、域内生産の重荷となっている。日本および韓国の自動車メーカーは、関税と激化するグローバル競争の板挟みに直面している。こうした状況の中で、南米および南アジアは、現地政策の後押しと米国の通商措置による限定的な影響を背景に、相対的に明るい市場として浮上しており、緩やかな成長が見込まれている。
バッテリー材料サプライチェーンの課題を受け、電動化は減速
電動化は進展しているものの、価格面の制約、政策の不確実性、インフラ不足を背景に、勢いは鈍っている。欧州では、サプライヤーが深刻な財務的圧力にさらされており、自動車生産ネットワーク全体で再編・統合が加速している。バッテリー分野の主導権は引き続き中国が握っており、CATLがその中心にあるが、現在は供給過剰に直面するとともに、次世代バッテリー技術への転換を迫られている。
LFPバッテリー技術の漸進的な進展により、ナトリウムイオン電池は2031年以降まで量産市場での本格展開が先送りされる見通しである。一方、全固体電池は、継続する技術的課題やバッテリー材料サプライチェーンを巡る問題を背景に、商業化までにはなお数年を要するとみられる。充電インフラは、ワイヤレス充電技術の導入やNorth American Charging Standard(北米充電規格)の普及を追い風に改善が続いているが、中国によるレアアース支配は、バッテリー材料サプライチェーンにおける重大なリスクとして浮上している。
同時に、特に中国を中心に、ハイブリッド車やレンジエクステンダーEVへの関心が再び高まっており、自動車メーカーやサプライヤーが電動化パワートレインの最適構成を見直す、より現実的な方向への転換を示している。これらの動きは、電動化分野における自動車市場動向を理解する上で中核的な要素となっている。
自動車のデジタルトランスフォーメーションが収益エンジンに
自動車分野のデジタルトランスフォーメーションは加速しており、統合型ダッシュボード、マルチスクリーン構成、パノラミックヘッドアップディスプレイといった高度なヒューマン・マシン・インターフェースが急速に標準装備となりつつある。生成AIはコックピット領域にも進出しており、OEMは高度化する音声アシスタントやインフォテインメントシステムを展開することで、パーソナライゼーションの深化を図っている。2031年までに、生成AIを活用したチャットボットを搭載する車両が約2,800万台に達すると見込まれている。
ソフトウェア定義車もまた、自動車メーカーの収益構造を変えようとしており、コネクティッド車サービス、ADAS機能、サブスクリプションや有償アップデートとして提供されるOTAアップグレードを通じて、高収益な収入源を創出している。
もっとも、収益化は決して保証されたものではない。成功のカギを握るのは、明確なコネクティッド車サービス戦略、消費者の利用を促進する効果的なトライアルモデル、そして、社内開発であれテック企業との戦略的パートナーシップによるものであれ、迅速なイノベーションを持続できる能力を備えた企業である。これらの動きが、コネクティッド車サービス分野における自動車市場動向を再定義している。
シャシーと材料:静かな変革と激しい競争
シャシー技術は、目立たないものの重要な転換期を迎えている。ステア・バイ・ワイヤやブレーキ・バイ・ワイヤといった電子制御によるバイワイヤシステムが、Tesla CybertruckやMercedes-Benz EQSなどのプレミアム車両を中心に採用を拡大しているからだ。電動機械式ブレーキは、2026年に北米と中国で投入される予定で、2028年には普及がさらに進むと見込まれている。依然として既存サプライヤーが市場を主導しているものの、中国勢が急速に差を縮めており、特に欧州で存在感を高めている。
同時に、材料分野のイノベーションは車両設計そのものを変えつつあり、業界をより軽量で安全性が高く、持続可能なプラットフォームへと押し進めている。ホットスタンプ鋼や超高張力鋼の採用により、部品の一体化が進むとともに、実質的な軽量化が実現している。
中国企業は、製造の柔軟性を高めるマグネシウム・チクソモールディング分野で主導的な存在として台頭している。炭素繊維複合材料も、性能と持続可能性の双方を向上させるバイオ由来材料や樹脂の進展を追い風に、採用が拡大している。
自動車向け半導体不足でサプライチェーンの課題が深刻化
AIデータセンター向け需要が供給を上回ることで、2026年にはDRAM(dynamic random-access memory)の不足が顕在化する見通しだ。これにより、半導体メーカーは自動車メーカーよりも高い利益率が見込める顧客を優先するようになり、自動車サプライチェーンに新たな課題をもたらしている。この自動車向け半導体不足により、自動車グレードのDRAM価格は70~100%上昇する可能性があり、業界全体でパニック的な買い付けや生産混乱を引き起こしかねない。
旧型メモリーチップは2028年までに段階的に廃止される見込みで、自動車メーカーにとっては、システムの再設計と供給確保を進めるための時間的余地が急速に狭まっている。その結果、俊敏な調達戦略やサプライヤーとの緊密なパートナーシップは、もはや選択肢ではなく、不可欠な要件となっている。
内装と照明が引き上げる水準
車両内装は高級化が進んでおり、自動車メーカーは快適性、技術、プレミアム素材への注力を一段と強めている。ソフトタッチ素材や次世代インフォテインメント操作系は標準装備となりつつあり、電動シートやシートヒーターといった装備も、特に中国での高い需要を背景に、引き続き採用が拡大している。
デザイン面での差別化も激しさを増している。サンルーフやスマートガラスの採用が広がる一方、マイクロLEDヘッドランプや発光グリルは、車両照明とブランドアイデンティティの在り方を再定義しつつある。同時に、新規参入や統合の加速により照明サプライチェーンは再編が進んでおり、OEMとサプライヤーの双方にとって、競争圧力と実行リスクが高まっている。
トヨタが示す機動力と分散戦略の強さ
トヨタは、ハイブリッド車および次世代バッテリーへの注力により、競合を上回る業界トップクラスのEBIT(earnings before interest and taxes:利払前・税引前利益)マージンを実現している。BEVのみに注力するのではなく、ハイブリッド車、BEV、ソフトウェア定義車にバランスよく投資することで、トヨタは機動力と分散戦略の有効性を明確に示している。こうした取り組みは、変動性の高い自動車市場動向を乗り切る上で、的を絞った戦略的イノベーションが不可欠であることに代わりはない状況を証明している。
自動車市場動向:柔軟性が新たな競争力に
2026年の自動車業界の見通しでは、機動力と戦略的先見性が評価される。OEMおよびサプライヤーは、通商環境の変化に対応しつつ、デジタル分野および材料分野へのイノベーション投資を進めるとともに、自動車サプライチェーンの課題、とりわけ半導体不足やレアアース調達に伴うリスクを軽減する必要がある。
トヨタが示しているように、電動化への意欲と柔軟かつ的を絞った戦略を組み合わせた企業こそが、変動性を増す市場環境の中で優位に立つことができる。これらの主要な自動車業界トレンドは、今後1年におけるOEMおよびサプライヤーの戦略的優先事項を規定するものとなる。
ハイブリッドバスおよびトラック、欧州の脱炭素化における長期的役割は限定的
Jie Sun
欧州連合の大型商用車(HDV)を対象としたCO₂削減目標が、欧州の商用車市場で従来型内燃機関からの転換を促進している。HDVメーカーに課されている目標には、2040年のCO₂排出量を対2019年比で90%削減すること、都市バスについては化石燃料車販売の段階的廃止を2035年までに完了することが含まれている。
バッテリー電気自動車(BEV)は脱炭素化の主要な柱に位置付けられているが、ハイブリッド技術もまた、複雑かつ進化していく役割を担っている。メーカーがハイブリッドバスから距離を置きつつあるように見える一方で、実際の使用環境に即した需要があるため、貨物輸送分野ではハイブリッドへの関心が今なお根強い。
ハイブリッドバスは依然、有力技術-今のところ
6トン超のバス市場では、ハイブリッドがここ10年間、移行期における有力技術として位置付けられてきた。しかし、市場がBEVを選好する傾向を強める中で、西欧および中欧におけるハイブリッドバスの市場シェアは、2023年に10%でピークを迎えた後、2024年には約8%に低下した。BEVは現在、バス新規登録車両の25%超を占めている。
ハイブリッドバスからBEVへのこうした移行は、電動技術の成熟と、都市バスに対する欧州連合のゼロエミッション義務化によって促されており、Mercedes-BenzやVolvoなどのメーカーがBEV優先の姿勢を強めている。
なお、トラックとバスの双方におけるBEVの普及は、政府の目標やインセンティブに大きく左右される点に注意が必要だ。例えばオランダでは、2030年の全面的なゼロエミッション義務化に先立ち、2025年以降に新たに導入される公共交通用バスを再生可能エネルギーで運行することを求める要件によって、電動バスの導入を加速させている。
ハイブリッドおよび電動トラック:物流上の課題が市場の進化を左右
大型トラック市場は、より複雑な様相を呈している。電動トラックは一部のセグメントで販売が拡大しているものの、バッテリーサイズや重量、コスト、充電インフラといった課題が、長距離輸送用途での普及を制約している。こうした制約があるにもかかわらず、主要メーカーは依然として「BEVファースト」の方針を採用し、電動トラックへの投資を積極的に進めている。
ハイブリッドトラックについても検討は進められているが、これまでのところ欧州市場における普及は限定的である。例えばScaniaとDHLは2025年2月、長距離物流向けに、燃料駆動の発電機を備えたハイブリッド電動トラックの実証試験を開始し、現行インフラの制約への対応を図っている。
トラック分野での取り組みは、2020年以降、マイルドハイブリッドの推進からフルハイブリッドへと明確に軸足を移してきた。この動きはBEVを中心とするバス市場とは対照的である。もっとも、ハイブリッドトラック導入の絶対台数は、ハイブリッドバスと比べて依然として大幅に少ない水準にとどまっている。
最終的にはBEVがハイブリッドを上回る見通し
最終的に、欧州連合の長期目標はゼロエミッション市場への移行を指し示しており、BEVが持つ総炭素排出量(total carbon output:TCO)の優位性により、ハイブリッド車やその他の内燃機関を用いた代替技術の魅力は低下すると見込まれる。こうしたBEVへの明確なシフトは、一部の用途分野において2030年代に起こると予想される。
バス分野では、政策上の義務化とBEVの有利な経済性を背景に、ハイブリッドバスは陳腐化に向かう可能性が高い。一方、トラック分野では、長距離車両向けの高出力充電インフラの整備進行が遅い場合、ハイブリッドが補完的な移行期の選択肢として一定の役割を果たす余地がある。
それでも、欧州全体におけるハイブリッド商用車の普及は、BEVの導入加速、規制圧力、ならびにハイブリッドに特化したインセンティブの不足により、限定的な水準にとどまると見込まれている。
欧州商用車市場を先取りするS&P Global Mobilityのエンジン生産予測
S&P Global Mobilityの7ヵ年商用車予測は、エンジン生産に焦点を当て、43ヵ国を対象に、現在および将来のエンジン市場に関する重要な示唆を提供します。本予測を活用することで、電動商用車の将来像を把握できるほか、OEMによるエンジン部品需要の評価、競合各社のパワートレイン構成の分析など、幅広い検討が可能になります。
DRAMメーカーがAIデータセンター向け需要を優先、自動車向け半導体不足が再燃
Jeremie Bouchaud(サプライチェーンおよびテクノロジー担当エグゼクティブディレクター) Hrishikesh S
2026年を目前に控え、自動車業界は新たな潜在的危機に直面しつつある。ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)チップの不足である。
今回予想される不足は、2021年に1,000万台以上の自動車が生産できなくなる事態を招いた危機ほど深刻なものにはならない見込みだが、2025年のNexperiaを巡る事案よりも混乱が大きく、かつ長期化する可能性がある。
自動車向け半導体不足とDRAMの脆弱性
DRAMは、自動車に搭載される演算負荷の高いシステム、すなわちコックピットやADAS/自動運転システムに使用されている。しかし、主要DRAMメーカー各社は、ウエハー生産能力をAIデータセンター向けの高帯域幅メモリ(HBM)へと振り向ける動きを強めている。
HBMは、従来の自動車用途と比べると収益性と需要の両面で大きく上回っており、その結果、自動車メーカーが属する自動車サプライチェーンでは、過去の半導体不足に匹敵しかねない度合いの逼迫が進行する状況となっている。
近付きつつあるパーフェクトストーム
この変化はいつ始まり、なぜ起きたのか。主な動向を以下に整理する。
AIブーム:ChatGPTのローンチ以降、AI利用が爆発的に拡大し、データセンター需要が加速した。これらのデータセンターはGPU(グラフィック・プロセシング・ユニット)に大きく依存しており、Nvidiaが市場リーダーとなっている。
DRAM消費量の増加:各GPUモジュールには、HBMと呼ばれる特殊なDRAMが必要であり、車載用途で使われる標準的なDRAMチップよりも多くのウエハー面積を消費する。この構造変化により、AI用途の需要が拡大するにしたがい、自動車用途向けの供給は縮小することになる。
製造上の課題:DRAMメーカーがこれほど急激な需要拡大を想定していなかったため、現在はDRAMウエハー製造能力が不足している。2023年以降、生産能力への投資は急増しているものの、新たなウエハーファブの建設には数年を要する。
利益率:データセンター向けDRAMの利益率は自動車用途を大きく上回っている。このため、DRAMメーカー上位3社であるSamsung Electronics、SK Hynix、Micron Technologyは、自動車向けよりもデータセンター向けにリソースを優先配分するようになっている。
旧世代技術の段階的廃止:さらに、DRAMメーカーは、自動車用途で依然として広く使われているDDR4やLPDDR4といった旧世代技術の段階的廃止を進めている。この動きはすでにOEMやティア1サプライヤーの間で混乱を招いており、2021年の危機時に部品確保を急いだ状況を想起させるものとなっている。
自動車業界への影響
DRAMチップに対する車両の依存度は一段と高まっている。エントリーレベルの車種ではメモリ容量は比較的限定的である一方、先進的なコックピット体験や高度な自動化機能を備える高級車では、リッチなインフォテインメントシステム、継続的なセンサー処理、無線(OTA)アップデートを支えるために、非常に多くのDRAMが必要となる。この傾向は、電動車と内燃機関車のいずれのプラットフォームにも共通しており、プレミアムセグメントが高密度DRAMモジュール需要を牽引している。
その一方で、DRAMメーカーの生産方針が車載エレクトロニクスにおける潜在的なボトルネックを生み出しつつある。従来の半導体不足は主にアナログ部品やマイクロコントローラが中心であったが、今後懸念されるDRAM不足は、特にプレミアム車に対する影響が大きくなる可能性がある。車両1台当たりのDRAM価値は、ベーシックモデルでは10ドル未満にとどまる一方で、ハイテク車両では100ドルを超える水準に達する場合もある。
迫り来る不足への対応
このような環境下では、サプライチェーンのレジリエンスが極めて重要となる。DRAMメーカーがデータセンター用途へと軸足を移す中で、OEMやティア1サプライヤーはバッファ在庫の積み増しを検討する可能性があるが、この戦略がもたらす長期的な効果は限定的である。
また、現代の車両で使用されるDRAMの種類が多岐にわたることが、状況をさらに複雑にしている。アナログ部品やマイクロコントローラとは異なり、メモリチップは車両内のシステム間で容易に代替できるものではない。その結果、在庫バッファによって不足の影響を一時的に遅らせることはできても、HBM生産へのシフトによって生じた構造的な供給不均衡を解消することはできない。
迫られる戦略的判断
自動車メーカーは、この環境下で難しい判断を迫られている。今回の危機の主な影響は、2つのフェーズに分かれて顕在化すると見られる。
2026年~2027年:価格弾性的な供給と散発的な不足
DRAMサプライヤーは、DDR4およびLPDDR4の廃止はコンシューマ製品向けであり、車載用途については今後数年間は生産を継続すると明らかにしている。S&P Global Mobilityの推計では、少なくとも2027年末までは供給が続く見通しだ。
2026年から2027年にかけて、DRAMの生産能力は制約を受けるものの、価格面では弾力性が残ると見られる。自動車メーカーが、他産業向けにDRAMメーカーが得られるウエハー価値に見合う価格を支払う用意があれば、必要な数量を確保することは可能となる。
新規契約では、DRAM価格が2026年に前年比で70~100%上昇する可能性がある。2025年時点ですでに車両1台当たり150ドル超のDRAMを搭載していた先進的なコックピットや自動化機能を備えるプレミアム車にとって、これは大幅なコスト増をもたらす。なお、2025年におけるAセグメント車の平均DRAM価値は約24ドルだった。
追加の半導体コストはOEMの利益率を圧迫するものの、米国の関税措置がもたらした、より大きなコスト上昇を吸収した前例があることから、自動車メーカーは2026年も対応可能と見られる。DRAM価格の上昇がライトビークル生産に直接的な影響を及ぼすことはないと見られる。
一方で、パニック買いを主因とする散発的な生産混乱が発生する可能性はある。実際、現在DRAMの在庫は急速に払底しつつあり、人為的な不足が生じる恐れもある。
2028年以降:自動車メーカーが迫られる、コックピットおよび自動化/ADASシステムの再設計
2028年以降、車載向けの旧世代DRAMの供給は、自動車メーカーがどれだけ高い価格を支払う意思があったとしても、急速に枯渇すると見込まれる。
現在、2028年に生産が計画されている車両の大半は、DDR4およびLPDDR4といった旧世代DRAMを用いたコックピットおよびADAS設計を前提としているが、これらのメモリは入手できなくなる見通しだ。2028年におけるコックピット設計の上位10件、またADAS設計の上位10件のうち8件が、DDR4およびLPDDR4を採用すると予測されている。
したがって、業界には設計を変更し2028年時点でも生産が継続される新世代のLPDDR5へと移行するための猶予が2年間与えられている。2年という期間は技術的には十分と考えられるものの、プロセッササプライヤー、コックピットおよび自動化/ADAS分野のティア1サプライヤー、OEMといったすべての関係者が、迅速に行動を起こすことが不可欠となる。
展望:車載DRAMの将来
自動車業界は、今後も環境変化が続く中で、より長期にわたる構造的な供給制約に備える必要がある。現在、上位3社のDRAMメーカーが車載向けDRAM供給の88%を占めているが、生産能力の問題に即効性のある解決策は存在しない。AIデータセンター市場の急成長によって生じる課題に適応しつつ、車載用途のニーズが後回しにされないよう、業界は引き続き警戒を怠らない姿勢が求められる。
迫り来るDRAM不足の影響に業界全体が向き合う中で、戦略的な計画立案、迅速な対応、そしてサプライチェーン全体にわたる連携が、この複雑な局面を乗り切るためのカギとなる。
OEMおよびサプライヤーは、DRAM供給の確保を最優先課題としつつ、モビリティの将来を形作る新技術への投資にも注力しなければならない。AIや先進エレクトロニクスへのシフトは一過性のトレンドではなく、業界の将来そのものである。こうした力学を正しく理解し、先手を打って行動することで、自動車業界は今後のDRAM不足に伴うリスクを緩和し、より強固な姿へと進化することが可能となる。
DRAM半導体市場の先を行くために
S&P Global MobilityのE/E & Semiconductor Serviceでは、自動車向け半導体業界をはじめ、車両のエレクトロニクスおよび電気・電子アーキテクチャに影響を与える主要技術について、迅速かつ正確なデータとインテリジェンスを提供しています。
市場動向を素早く把握し、個々の出来事や技術トレンドを文脈の中で理解するとともに、詳細な予測データを深掘りし、困難な意思決定を支える分析をシームレスに推進することができるよう、クライアントの皆様をサポートしています。
E/E & Semiconductor Serviceは、プランナーおよびストラテジストの皆様が直面する以下のようなシーンをサポートします。
- 新たなE/Eおよび半導体技術の成長の評価と予測
- 競合環境の分析とOEMの購買戦略の理解
- 顧客の技術採用パスの評価
未来を切り拓く:自動車分野のAIに対するNVIDIAのビジョン
Matthew Beecham(シニアアナリスト)
NVIDIAとのQ&A

Source: Getty image/ Just_Super
NVIDIAは、従来のAI定義車という概念をはるかに超えるAIビジョンを掲げ、自動車技術の道筋を再定義している。S&P Global Mobilityとの最近のインタビューにおいて、NVIDIAはモビリティ分野における生成AI、エージェント型AI、フィジカルAIの進化と統合についての見解を明らかにした。この多層的なアプローチは、自動運転車(AV)の学習向けに現実的なシナリオを生成する生成AIから始まり、自律的な推論と意思決定が可能なエージェント型AIへと進化し、最終的には安全性と精度を備えた形で現実世界の動作を実行するフィジカルAIの基盤を築くものである。
議論の中で特筆すべき成果として挙げられたのが、NVIDIAのオープンソースモデルであるAlpamayo-R1(AR1)だ。これは、思考の連鎖(chain-of-thought)推論を備えた、業界初のビジョン・言語・アクション(VLA)モデルである。このブレークスルーにより、車両は複雑な環境を理解し、未知の状況を予測し、これまで遭遇したことのない場面でも安全な判断を下すことが可能になる。オープンソースとして提供されている点も、パートナー各社が自社のニーズに合わせて技術を適応・改良できることから、業界全体のイノベーションを加速させる要因となっている。
Hyperionハードウェアプラットフォーム、先進データ生成ツールであるCosmos、そしてニューラル再構成エンジンを含むNVIDIAの包括的なエコシステム戦略は、自動車業界パートナーが堅牢な自動運転ソリューションを構築し、テストし、検証することを可能にしている。ロングテールシナリオという課題に取り組み、組み込み型の監視機構や冗長性によって安全性を高めることで、NVIDIAはモビリティの未来を前進させている。オープンな協業と最先端AIへの取り組みは、自動運転における安全性、適応力、そして業界の進化に新たな基準を打ち立てている。
S&P Global MobilityのシニアプリンシパルアナリストであるOwen Chenが、NVIDIAのオートモーティブ部門バイスプレジデントを務めるAli Kani氏に詳しい話を聞いた。

Source: NVIDIA
重要ポイント:
NVIDIAは最先端のオープンソースAIモデルによって業界の進展を牽引しているNVIDIAが公開した、思考の連鎖(chain-of-thought)推論を備えるAlpamayo VLAモデルは、自動車向けAIにおける重要なマイルストーンとなる。この技術をオープンソース化することで、NVIDIAは業界全体がモデルを微調整し、適応させ、改良できる環境を整え、より安全な自動運転車の実現に向けた集合的なイノベーションと安全基準の向上を加速させている。
ソフトウェア定義車からAI定義車への移行が進行している NVIDIAは、静的で更新可能なコードに依存する従来のソフトウェア定義車から、強化学習や高度なデータワークフローを通じて継続的に学習・進化するAI定義車へと業界が移行しつつある点を強調している。この進化には新たなインフラと専門知識が求められ、NVIDIAはこの変化を支えるため、クラウドから車載までを網羅する包括的なソリューションへの投資を進めている。
包括的なエコシステムおよびプラットフォーム戦略がNVIDIAの中核を成す NVIDIAのオープンソース戦略は、ソフトウェアにとどまらない。Hyperionプラットフォームをはじめとするハードウェア、データセット、合成データ生成(Cosmos)、ニューラル再構成ツールまでを含むフルスタックのソリューションを提供し、パートナーが高度な自動運転システムを構築・テスト・検証できる環境を整えている。このエコシステム型のアプローチは、単なるハードウェアやソフトウェアの販売を超える、より大きな機会として位置づけられている。
ロングテールおよび低頻度シナリオに対応する堅牢なソリューションを実現 NVIDIAは、実走行データでは十分にカバーされない希少または複雑な運転事象への対応という、業界共通の大きな課題に取り組んでいる。推論モデル、合成シナリオ生成(Cosmos)、ニューラル再構成を組み合わせることで、ロングテール事象を安全に扱えるAIを学習させるためのツールをパートナーに提供し、自動運転車の安全性と信頼性の水準を引き上げている。
以下は、対談内容の書き起こしを編集したものである。
S&P Global Mobility:オープンソースシステムについて、もう少し詳しく教えていただけますか。最近の進展や共有可能なアップデートがあれば、ぜひお聞かせください。
Ali Kani:自動車用途において安全性は常に最重要事項であり、AIは安全性とセキュリティを最優先に設計することが不可欠です。この考え方に基づき、NVIDIAでは、DRIVEプラットフォームにおいてあらゆるベストプラクティスを実装しています。その一例が、最新のオープンソースモデルであるAlpamayoです。このモデルは推論能力を組み込んでいる点が特に注目されます。自動車の運用環境では、すべてのシナリオを事前に想定することはできません。そのため、モデル自身が状況を分解し、取り得る行動を評価したうえで、最も安全な結果を選択できる必要があります。この推論能力によって、これまで遭遇したことのない状況に直面した場合でも、システムは正しい判断を下すことが可能になります。
Alpamayoは、思考の連鎖(chain-of-thought)推論を備えた、業界初の自動車向けビジョン・言語・アクション(VLA)モデルとして業界に公開されたものであり、安全な自動運転車(AV)を実現するための基盤となる技術です。これをオープンソース化できたことを誇りに思っており、他社が自社データを用いてソフトウェアを適応させ、微調整し、改良できるようにしています。
モデルそのものに加え、安全性は設計面からも確保されています。例えば、メモリシステムにおけるパリティやECC(誤り訂正符号)保護に類似した仕組みとして、モデル内部に安全モニターを組み込んでいます。NVIDIAの自動運転スタックには数万規模のモニターが含まれており、エラーやデータ破損を検知・対応することで、信頼性の低い結果をシステムが無視できるようにしています。
さらに、システムアーキテクチャには、冗長性を確保するための多様性も取り入れています。このスタックでは、エンド・トゥ・エンドモデルと、機能安全を担保する別系統のスタックを併用しており、異なる2つのアルゴリズムが従来型の安全ガードレールと連携することで、一貫して安全な判断を実現しています。
これら一連のイノベーションは、自動車用途向けに安全なAIを開発するためのNVIDIAの大規模な投資を反映したものであり、この分野をリードし続けるという同社の継続的なコミットメントを示しています。
貴社の視点から見て、この2年間でAI定義車はどのように進化してきましたか。また、AI定義車とソフトウェア定義車の主な違いは何でしょうか。これらの概念は対立するものなのでしょうか。それとも、トランプのデッキにおける異なるカードのように、並行して機能するのでしょうか。
私たちの考え方は、組み込みソフトウェアからの進化という文脈に根ざしています。従来、自動車業界は組み込みソフトウェアに依存してきました。ベースとなるプラットフォームにコードを実装し、時間の経過とともにアップデートしていく――これがソフトウェア定義車の本質です。しかし、AIはここに大きな変化をもたらします。AIはデータを通じて常に学習し、改善を続けます。強化学習では、行動を監視し、良い結果には報酬を与え、好ましくない結果にはペナルティを与えることで、モデルが継続的に性能を向上させていきます。
AI定義車を構築するということは、機能性、安全性、セキュリティを継続的に高めていくことを前提とした開発ループを構築することを意味します。従来のソフトウェアとは異なり、AIモデルは自己学習しますが、そのためには強固な学習ワークフローが不可欠です。具体的には、車両からクラウドへのデータ連携、学習およびテスト用データの整備、そして問題を迅速に特定し、修正する仕組みが求められます。
そのため私たちは、学習インフラ、シミュレーション用コンピュータ、車載コンピュータ、そしてそれらを結ぶシームレスなループに大規模な投資を行っています。このインフラは、AIの学習を加速させ、エラーを最小限に抑えるよう最適化されています。ソフトウェア定義のコンピュータを構築できる企業は多く存在しますが、AI定義車の開発には、まったく異なるアプローチと専門性が求められます。私たちが注力しているのは、まさにこの点です。クラウドから車載まで、エコシステム全体にわたって、この高度なインフラを提供することを目指しています。
AI定義車という概念には、エージェント型AIも含まれるとお考えでしょうか。また、自動車業界における生成AIからエージェント型AIへの移行をどのように見ていますか。GoogleやMicrosoftといった企業が、すでにさまざまな業界でエージェント型AIに取り組んでいることは承知しています。NVIDIAもこの分野に関する計画をお持ちですか。
はい、これは自然な進化だと考えています。ご指摘のとおり、最初は生成AIから始まりました。生成AIは、テキストや画像といった新しいコンテンツを生成するモデルです。その次の段階がエージェント型AIであり、AIが自律的に思考し、質問に答え、タスクを完了し、目標を達成できるようになります。
生成AIとエージェント型AIはいずれも、自動運転にとって非常に重要です。例えば、私たちのCosmos Transferでは、生成AIを活用してAVシステムのテスト向けにシナリオを生成・シミュレーションしています。これは生成AIの典型的な活用例です。その次の段階がエージェント型AIであり、モデルが能動的に思考し、車内での質問への応答など、取るべき行動を自ら判断します。さらにその先には、フィジカルAIがあります。これは、車両における運転判断のように、現実世界での動作にエージェント型AIを適用したものです。
真に自律的な車両を構築するためには、これらすべての要素が不可欠です。生成AIはシナリオ生成において重要な役割を果たし、エージェント型AIおよびフィジカルAIのモデルは、推論、計画、制御動作の実行において中核となります。生成AIからエージェント型AI、そしてフィジカルAIへと進化していく流れは、自動運転技術に求められる高度化の方向性を示しています。
NVIDIAは、オープンソースの自動運転モデルの役割をどのように捉えていますか。NVIDIAは業界全体に向けたオープンソースプラットフォームの構築を目指しているのでしょうか。オープンソースが業界全体をどのように支え、発展させるとお考えですか。
まずお伝えしたいのは、NVIDIAの市場展開に対する考え方は長年にわたって一貫しているという点です。少し説明したうえで、ご質問に直接お答えします。
ご存じのとおり、当社がゲーム分野に参入した初期には、PhysXやCUDAといったアクセラレーションライブラリを開発し、ゲーム開発者と協力し、それらをアプリケーションに組み込んでもらいました。この協業によって、開発者は当社のプラットフォームに最適化された優れたゲームを開発でき、最終的にはエンドユーザーにより良い体験を提供することができました。そして、その結果としてポジティブなフィードバックループが生まれました。
現在の自動車分野におけるアプローチも本質的には同じですが、プラットフォームの形は進化しています。自動車向けには、包括的なコンピューターアーキテクチャとセンサースイートからなるHyperionプラットフォームを構築しました。これは開発の基盤となるもので、パートナーがその上に自社アプリケーションを容易に構築できるようにするためのものです。Hyperionに加えて、私たちは各種ライブラリ、モデル、リファレンスコードを提供しており、その多くをオープンソースとして公開しています。これにより、パートナーは自社の用途に合わせてモデルをカスタマイズし、改良することが可能になります。例えば、ブランドの異なる車両が同じ挙動をする必要はなく、それぞれにふさわしい走行特性があるからです。
さらに、最近公開した自動運転向けのフィジカルAIデータセットのように、データセットの提供も進めています。プラットフォーム、ライブラリ、モデル、データセットを包括的に提供することで、業界全体がより効率的にイノベーションを進め、安全性と高度化を両立した自動車アプリケーションを構築できるようになります。
最終的な目標は、パートナー各社が自社ソリューションをより容易に開発・高度化できる環境を整えることです。その結果として、業界全体にとって、より安全な製品が生み出されていくと考えています。
Alpamayo-R1モデルについて、もう少し掘り下げて伺いたいと思います。このモデルはVLA、すなわちビジョン・言語・アクションモデルと呼ばれていますが、なぜVLMやワールドモデルではなく、VLAなのでしょうか。
用語の使い方は多少異なる場合がありますが、「ワールドモデル」が車両にとって重要であることは確かです。ワールドモデルは、車両内で周囲環境を可視化するためのもので、一般的には動的オブジェクトと静的オブジェクトの両方を検出するBEVトランスフォーマーのようなモデルが用いられます。もちろん、NVIDIAもそうした機能を備えています。
一方で、今回私たちが発表したのは、推論機能を備えたビジョン・言語・アクション(VLA)モデルです。自動車用途において、見ているものを本当に理解し、そのうえで意思決定まで行えるモデルを目指すのであれば、現時点での最先端はVLAだと考えています。例えば、TeslaのElon Musk氏は、最近エンド・トゥ・エンドモデルに推論機能を追加することについて言及しており、近く実装する計画があると述べています。また、中国本土では、XPengやLi Autoといった企業も、推論機能を備えたビジョン・言語モデルへと移行しつつあります。
このように、業界全体が向かっている方向性こそがVLAであり、だからこそ私たちは、このVLAモデルを公開しました。業界がその上に構築し、改良を加え、進化を加速させるための基盤を提供することが目的です。一方、ワールドモデルは、従来型のセンサー構成やアーキテクチャと密接に結び付いており、すでに業界では一般的な機能となっています。そのため、現時点ではワールドモデル単体としての別バージョンは公開していません。
(中国本土の)自動車業界を例に挙げると、この分野におけるソフトウェア開発をリードしているように見受けられます。一方で、現在のエンド・トゥ・エンドモデルは、推論能力が限定的であるため、「なぜ」よりも「何を」に重点が置かれている印象があります。もう一つの課題は、低頻度あるいはロングテールのシナリオへの対応です。これらのモデルは、基本的に過去に見たデータを模倣することしかできないため、対応が難しくなります。高品質で多様なデータは非常に希少で、人間の運転データがカバーしているのは、考え得る全シナリオの約0.1%にすぎません。VLAモデルにおける推論が、こうした課題をどのように解決するのか、詳しく教えていただけますか。特に、推論型VLAは、低頻度およびロングテールのシナリオにどのように対応するのでしょうか。
推論モデルがロングテール事象に有効である理由は、これまでに経験していないシナリオであっても、「考えながら」対応できる点にあります。このアーキテクチャでは、問題を段階的に分解し、複数の解決策を生成したうえで、たとえ未知の状況であっても、最も安全な選択肢を選び出します。
ただし、モデル単体だけでは十分ではありません。実世界のデータは非常に価値がありますが、あらゆるシナリオを網羅することは不可能です。そこで重要になるのが、合成データです。NVIDIAの合成データ生成エンジンであるCosmosを使えば、データが不足している特定のシナリオ――例えば、複数の歩行者が関与する信号なし左折のような状況を意図的に生成することができます。さらに、基盤となるワールドモデルであるCosmos Transferは、こうしたロングテールシナリオを幅広く生成し、推論モデルがより多様なデータで学習できるようにします。これにより、希少な事象への対応力が向上します。
また、現実世界で特異なシナリオに遭遇した場合には、オープンソースのニューラル再構成エンジンを用いることで、その状況を再現し、バリエーションを追加することが可能です。例えば、異なる種類の緊急車両やサイレン音を組み合わせるといった拡張が行えます。これにより、学習データをさらに充実させることができます。
Cosmosによる合成シナリオ生成、ニューラル再構成による実データの拡張、そして安全ガードレールを備えた推論モデルを組み合わせることで、自動運転におけるロングテールおよび低頻度事象に対して、信頼性の高い包括的なアプローチを構築することが可能になります。
これまでのお話を伺って、フィードバックとソリューションの完成度には非常に感銘を受けました。
実際、NVIDIAほど包括的なソリューションを提供している企業は、世界に他にありません。ソフトウェアのみを提供する企業はありますが、私たちはその先まで踏み込んでいます。具体的には、シナリオを含むデータセット、合成データ生成エンジン、課題となる事象を再現・拡張するためのニューラル再構成エンジンに加え、安全な開発に必要なあらゆるライブラリ、AIモデル、ツール、データセットを提供しています。フィジカルAI市場にこれほど幅広く投資してきた企業は、NVIDIA以外にありません。
PRの観点では、Teslaは同様のことを実現できると主張していますが、現時点ではまだ実現していないように見えます。
そのとおりです。Teslaのアプローチは、あくまで自社のために構築しているという点で、私たちとは異なります。
NVIDIAは、それを他社が実現できるようにしているわけですね。
まさにそのとおりです。
投資の観点から見ると、これは非常に大きなリソースと長期的なコミットメントを要する取り組みであり、5年から10年というスパンは決して容易ではありません。NVIDIAの深い投資があってこそ、これが可能になっていると感じます。一方、事業化の観点では、NVIDIAの基盤はデータセンター向けおよび車載向けのチップにあることは承知していますが、ハードウェアに加えて、ソフトウェアライセンスやフルスタックソリューションとしての収益分配も存在します。AR1がオープンソース化されたことで、NVIDIAのマネタイズ戦略は、ハードウェアやソフトウェアの直接販売から、エコシステム全体の価値獲得へとシフトしているように見えます。これは業界全体での採用を後押しする可能性があります。強力なハードウェアやソフトウェアを持つことは重要ですが、Android、Llama、DeepSeekのように、堅牢なエコシステムを構築することのほうが、マネタイズの観点ではさらに重要だと思います。この点について、どのようにお考えでしょうか。
私も同意します。より大きな機会は、プラットフォームとエコシステムにあります。これらのアルゴリズムを学習させるには、莫大なインフラが必要であり、Teslaが公表している10万基規模のGPU(グラフィックス処理ユニット)への投資が、その一例です。私たちが、パートナーがクラウド上で微調整できる有用なプラットフォームとアルゴリズムを提供できれば、それは数千億ドル規模の機会につながります。AIライブラリやツールによってエコシステムを支えることは、私たちにとって最も重要な戦略的注力分野です。ただし、重要な点は、私たちは特定のプラットフォーム向けに本番対応のソフトウェアをオープンソース化しているわけではない、ということです。本番ソフトウェアには、異なるビジネスモデルと厳格な安全性検証が求められるからです。私たちがオープンソースとして提供しているのは、パートナーが自社製品向けに適応させ、安全性を確保するためのものです。一方で、本番用ソフトウェアについては、必要な検証を行ったうえで、パートナーに直接提供するものです。
業界がレベル2+からレベル4へと進む中で、NVIDIAはUberをはじめとする複数の企業との協業を発表しています。このNVIDIAとUberのパートナーシップは、OEM(完成車メーカー)がロボットタクシーサービスを立ち上げることを支援する目的なのでしょうか。もしそうであれば、現在どのパートナーが関与していますか。例えば、Mercedes-Benzの協業はコンシューマー向け車両に焦点を当てており、ロボットタクシーではありません。ロボットタクシー分野では、どのOEMがNVIDIAと協業しているのでしょうか。
非常に良い質問です。Uberとのパートナーシップはいくつかの段階で構成されています。まず、私たちはレベル4およびロボットタクシー対応車両向けに、Hyperionプラットフォームのアーキテクチャを定義しました。このプラットフォームは、安全性と冗長性を確保する設計となっており、UberがOEMやソフトウェアパートナーと標準化を進めやすくするものです。すでに発表しているとおり、NVIDIAはWayve、Waabi、WeRideといった企業とともに、このアーキテクチャ向けのソフトウェア開発を進めています。また、OEM各社もHyperionをベースに、ロボットタクシー対応車両の開発を行っています。発表済みの例としては、Mercedes-BenzのSクラス、Lucid、Nuro(Lucidの車両を使用)、そしてStellantisなどがあります。さらに、Hyperionエコシステムを拡大するため、より多くのOEMや自動運転ソフトウェアパートナーと協議を進めています。加えて、Magna、Continental、Desay SVといったティア1サプライヤーも、Hyperionに対応したコンポーネントや車両の開発を進めています。このエコシステムには、ソフトウェア企業とOEMの双方が含まれており、ソフトウェア開発において高い柔軟性が確保されています。パートナーは、自社で開発することも、他社と協業することも、あるいはNVIDIAと直接連携することも可能です。
ソフトウェア定義車の台頭を読み解く―KPIT Technologiesへのインタビュー
Matthew Beecham(シニアアナリスト)
KPITとのQ&A

ソフトウェア定義車(SDV)が自動車業界の構図を塗り替えつつあり、車両の設計や機能に、従来型からの大きな転換点をもたらしている。この変革を後押ししているのは、強化されたコネクティビティ、自動化、ユーザー中心の機能に対する需要の高まりである。車両動作におけるソフトウェアへの依存度が高まるにしたがい、自動運転、先進インフォテインメントシステム、車車間・路車間通信(V2X)といった機能の標準化が進んでいる。
SDVのエコシステムは、クラウドサービス、アプリケーションプラットフォーム、そして重要なサイバーセキュリティ対策を含む、階層化されたソフトウェアアーキテクチャを中心に構成されている。KPITのような企業は、この進化において中核的な役割を担っており、電気・電子アーキテクチャからミドルウェアサービスに至るまで、複数のレイヤーにまたがるソリューションを提供している。高度化するソフトウェアをハードウェアと統合する複雑さに自動車メーカーが直面するなか、強固なセキュリティプロトコルを確保することも含め、こうした企業の関与は不可欠となっている。
地域ごとの動向も、SDVを取り巻く状況をさらに複雑にしている。中国では、顧客体験と最先端機能への注力を背景に、急速なイノベーションの進展が見られる。一方で欧州の自動車メーカーは標準化と安全性を重視しており、米国ではAI強化型の機能へと注目が移りつつある。市場が進化を続けるなか、技術進歩、規制の変化、そして消費者の期待の変化が相互に作用しながら、モビリティの将来像を形作っていくことになる。
こうした状況への理解を深めるべく、S&P Global MobilityのシニアプリンシパルアナリストであるOwen Chen、同社SCTソフトウェア担当プリンシパルアナリストであるManuel Tagliavini、同社SDVリサーチアナリストであるApurva Thakreが、KPIT Technologiesの共同マネージングディレクター兼共同創業者・取締役であるSachin Tikekar氏と、同社シニアバイスプレジデント兼チーフアーキテクトであるOmkar Panse氏に話を聞いた。

Sachin Tikekar氏 [Source: KPIT]

Omkar Panse氏 [Source: KPIT]
重要ポイント:
ソリューションおよび製品へのシフト:KPITは、従来のサービスモデルから、ソリューションや製品を重視するモデルへと移行している。この転換は、自動車分野においてOEMが直面する複雑な課題に対応するため、より高いカスタマイズ性を備えた選択肢を提供しつつ、市場投入までの時間短縮と、信頼性を確保した上でのコスト削減を図ることを目的としている。
地域別およびグローバル戦略:KPITは、欧州OEM向けに最適化したソリューションの提供に注力しつつ、同時にグローバルなニーズも考慮する戦略を採用している。この二軸のアプローチにより、欧州特有の市場環境や規制要件に対応しながら、より広い視点を維持することが可能となっている。
SDVエコシステムへの関与:KPITはSDVエコシステムに深く関与しており、E/Eアーキテクチャ、ミドルウェア、アプリケーション統合、サイバーセキュリティ、コネクティッドサービスに至るまで、すべてのレイヤーにまたがるソリューションを提供している。同社はOEMと連携しながら、この進化する環境における複雑な統合課題への対応に取り組んでいる。
インドおよび中国市場への注力:グローバルOEMがR&D拠点をインドや中国へ移転する動きが進むなか、KPITは現地のリソースや専門性を活用し、これらの市場に適した車両の開発を目指している。このローカライゼーションへの注力は、インドと中国が世界の自動車産業において存在感を高めていることを反映している。
以下は、対談内容の書き起こしを編集したものである。
Owen Chen:KPITについてご紹介いただけますでしょうか。中核となる製品や、ソフトウェア定義車市場においてどのようなポジショニングを取られているのかについても、ご説明ください。
Sachin Tikekar:もちろんです。本日はお招きいただき、ありがとうございます。KPITでは、「よりクリーンで、安全かつスマートな世界のためにモビリティを再構築する」というビジョンを掲げています。このビジョンは単なるスローガンではなく、当社の事業運営や戦略のあらゆる側面を方向づけるものです。モビリティエコシステムにおいて大きなインパクトを生み出すためには、チップからクラウドに至るサプライチェーン全体と連携し、OEMによる車両の高度化を支援していく必要があると考えています。
当社のアプローチは包括的なものです。OEMが直面している課題は、技術進化、規制対応、消費者の期待など、多岐にわたり、かつ複雑であると認識しています。こうした課題に対応するため、当社は従来のサービス企業から、ソリューションおよび製品志向の企業へと移行を進めています。この移行は単なるビジネスモデルの転換にとどまるものではなく、モビリティ分野におけるイノベーションと卓越性に対する当社のコミットメントを反映したものです。
当社の提供内容を定義するにあたっては、ソリューションと製品を明確に区別しています。当社が定義するソリューションとは、カスタマイズに再利用可能なアセットを含むものであり、特定のOEMに対して約50%のスタートダッシュを提供できるものです。つまり、ソリューションを開発する際には、柔軟性と適応性を重視して設計し、OEMがそれぞれの固有要件に合わせて調整できるようにしています。これに対して製品は、90%以上が導入可能な状態に仕上がっており、既存システムへ迅速に統合できることから、顧客にとっての市場投入までの時間を最小限に抑えることができます。
当社の事業戦略においては、この移行に大きな重点を置いています。その取り組みは、社内ケイパビリティの構築に加え、Technica Engineeringなどの戦略的買収、N-Dreamといった革新的ベンチャーへの投資、さらにはZFおよびQualcommと共同でミドルウェアソリューションを開発する合弁会社Qorixの設立など、重要な協業を通じて支えられています。さらに、チップからクラウドに至るプロバイダーとのパートナーシップも、進化を続けるこの市場におけるイノベーションとリーダーシップに対する当社のコミットメントを一層強化するものとなっています。
当社は、乗用車、トラック、オフハイウェイ車両といった分野を対象に、おもに約25社の顧客にサービスを提供しており、それぞれの顧客の最善の利益を常に念頭に置きながら、複雑な課題の解決に取り組んでいます。また、各社の個別ニーズに応じてソリューションを柔軟に適応させる能力を強みとしています。
Owen Chen:欧州におけるKPITの戦略について、もう少し詳しくお聞かせください。「in Europe for Europe」や「in India for Europe」といった表現を耳にしたことがありますが、この戦略を最も適切に表すと、どのように説明できるでしょうか。
Sachin Tikekar:はい。乗用車の観点では、当社は欧州のすべてのOEMと緊密に連携しており、最近開設したスウェーデンの拠点を含め、各社の近くに戦略的にオフィスを配置しています。当社のアプローチの中心にあるのは、顧客の最善の利益を理解し、それに基づいて行動することです。これこそが、「Europe for Europe」という戦略の本質です。
この戦略では、欧州OEMが直面している固有の規制環境や市場条件を踏まえつつ、各社の個別ニーズに合わせてソリューションやサービスを最適化しています。欧州の自動車市場は、サステナビリティ、安全性、技術革新を強く重視する点に特徴があると認識しています。そのため、当社のソリューションは、こうした優先事項に沿う形で設計されています。
さらに、欧州で開発され、グローバルニーズに対応するソリューションや製品もいくつか有しており、その意味では「Europe for Global」という戦略も体現しています。このデュアルアプローチにより、欧州におけるプレゼンスを活かしながら、同時にグローバル市場全体の幅広い需要に応えることが可能となっています。
ローカルな知見とグローバルな専門性を組み合わせることで、変化の激しい環境においても競争力を維持できるよう、顧客にとってベストな両立を提供することを目指しています。
Owen Chen:次に、SDVエコシステムに関する話題に移ります。Manuel、私たちが実施した、このエコシステムにおけるレイヤー構成に関する調査について説明してください。特に、どのレイヤーが対象範囲に含まれ、どのレイヤーが対象外となっているのかを教えてください。
Manuel Tagliavini:はい。私たちは、クラウドからアプリケーションプラットフォームサービス、サイバーセキュリティ、ミドルウェアサービス、車載OS、ハイパーバイザーに至るまで、ソフトウェアスタックを階層的に分類しています。主な焦点はアプリケーションレイヤーより上の層に置いており、アプリケーション自体はドメインごとの個別性が高いため、対象外としています。
この調査では、これら各レイヤーに対してソリューションを提供しているさまざまなソフトウェアサプライヤーを特定しています。目的は、SDVエコシステムの進化を追跡し、各レイヤーがどのように相互作用しているのかを理解することにあります。
また、OEMごとに、各レイヤーにおける内製と外注のバランスを評価し、カスタマイズや統合に関する取り組みも把握しています。こうした分析により、特にサイバーセキュリティやハイパーバイザーのように統合の複雑性が生じやすい分野を中心に、レイヤー別のトレンドを明らかにすることができます。
たとえばサイバーセキュリティのレイヤーでは、潜在的な脅威から車両を保護するための強固なセキュリティ対策の重要性を認識しています。ソフトウェアやコネクティビティへの依存が高まる現代の車両において、このレイヤーはきわめて重要な位置付けにあります。
Owen Chen:これらのレイヤーの中で、KPITは具体的にどのような製品やソリューションに注力しているのでしょうか。
Sachin Tikekar:非常に良いご質問だと思います。当社の基本的な考え方は、顧客中心であること、すなわち顧客のニーズを包括的に理解することです。設計アーキテクチャの段階から量産開始に至るまで関与し、その過程でさまざまなパートナーと協業しています。 これらのレイヤーにまたがる具体的な提供内容については、Omkarから詳しくご説明します。
Omkar Panse:当社がOEMを支援している重要領域の一つが、電気・電子(E/E)アーキテクチャです。これは、SDVプログラムを成功させるための基盤となるものです。当社は、コンセプト開発から車両レベルでの検証に至るまで、ハードウェアおよびソフトウェアの両面で製品やソリューションを提供しています。
たとえば、現在はKPITの一員となっているTechnicaは、車載イーサネット技術の先駆者です。同社は、車両のコネクティビティ、ネットワークセキュリティ、パフォーマンスを向上させる最先端のソリューション開発において、重要な役割を果たしてきました。
また当社は、プラットフォームサービスやミドルウェアソリューションの開発においてもOEMと連携しており、統合および製品戦略の最前線に立つことを重視しています。顧客と緊密に協業し、それぞれの固有要件を理解した上で、効率性とイノベーションを推進する最適化されたソリューションを提供することが、当社の基本姿勢です。
さらに、E/Eアーキテクチャ分野に加え、サイバーセキュリティにも注力しており、テストおよび検証に関する専門性を提供しています。当社の専任ブルーチームおよびレッドチームが、OEMによるサイバーセキュリティ戦略の策定を支援し、新たに出現する脅威から車両を保護するとともに、ライフサイクル終了まで安全性を維持できるよう取り組んでいます。
Owen Chen:各分野でKPITが現在協業している主な顧客例をいくつかご紹介いただけますか。
Sachin Tikekar:守秘義務を尊重する必要はありますが、公にされている情報の範囲であればお話しできます。当社は、HondaおよびRenaultで第1世代のSDV開発パートナーを務めており、大規模なソフトウェア統合を担当しています。この協業は、顧客のニーズに応える包括的なソリューションを提供するという当社の姿勢を象徴するものです。
また、BMWとはeパワートレイン関連プロジェクトをはじめ、さまざまな分野で協業しており、効率的かつ持続可能なソリューションの開発において重要な役割を担っています。さらに、JLR、Stellantis、General Motors、PACCARなど、欧州および北米のさまざまなOEMともパートナーシップを築いています。
こうした協業は、急速に進化する市場環境の中でも顧客が競争力を維持できるよう、それぞれの要件に合わせてソリューションを柔軟に適応させる当社の能力を示しています。
Owen Chen:中国、欧州、米国の間で、SDV開発にはどのような地域差があるのかを掘り下げて伺いたいと思います。共有いただける知見はありますか。
Omkar Panse:SDV開発の進み方は、地域ごとに大きく異なっています。中国では、新興OEMが顧客体験や自動運転、コネクティビティといった機能に注力してきました。このアプローチにより、迅速なイノベーションと新機能の市場投入が可能となっていますが、その持続性やスケーラビリティを確保するためには、強固なアーキテクチャ基盤が必要になります。
欧州では、SDV Allianceのプロジェクトに見られるように、標準化と協業に向けた動きが強まっています。欧州のOEMは、安全性、セキュリティ、相互運用性といった課題に対応できる、堅牢なソフトウェアエコシステムの構築を重視しています。
また、NVIDIAやQualcommといったテクノロジー企業を中心に、AI定義車へのシフトも進みつつあります。このトレンドは、人工知能を活用して車両機能やユーザー体験を高度化しようとする動きの広がりを反映しています。
一方でインドのOEMは、こうした地域ごとの成功事例や課題の双方から学びつつ、それらを融合させる姿勢を見せています。最先端技術の導入に前向きである一方、コストの管理にも配慮しており、インドはSDVを取り巻く環境において重要なプレーヤーとしての位置付けを強めつつあります。
Owen Chen:最後に、エコシステムやパートナーシップの観点から、OEMは内製開発と外部パートナーとの協業をどのようにバランスさせているのでしょうか。
Sachin Tikekar:一概に当てはまる答えがあるわけではなく、OEMごとに異なり、また時間とともに変化していきます。例えばToyotaのように大規模な内製エコシステムを構築しているOEMもあれば、パートナーシップへの依存度が高いOEMもあります。
全体的な傾向としては、差別化の中核となる領域については主導権と所有権を維持しつつ、特定の専門性についてはパートナーを活用する方向にあります。このバランスは、市場環境やベンダーロックインを回避したいという意図によって左右されます。
例えば、多くのOEMは、変化する消費者ニーズに迅速に対応できるよう、自社のソフトウェアケイパビリティ構築に注力しています。一方で、専門的な製品やソリューション、知見、リソースを提供できる外部パートナーと協業する価値も認識しています。
Omkar Panse:そのとおりです。OEMは、自社でアーキテクチャを管理しつつ、専門性の高いソリューションについてはパートナーと協業することで、俊敏性と競争力を維持しようとしています。このアプローチにより、OEMは自社のコア・コンピタンスに注力しながら、パートナーの専門知識を活かすことが可能になります。
Manuel Tagliavini:さらに、AI開発やサイバーセキュリティといった分野は、継続的な投資を必要とするケースが多く、外部パートナーとの協業が不可欠となっています。OEMも、特にAIやサイバーセキュリティのように進化のスピードが速い分野においては、すべてを内製で賄うことはできないという認識を持っています。
Apurva Thakre:インド市場の観点では、グローバルOEMがR&D拠点をインドへ移転する動きが見られますが、このトレンドは今後どのように進展していくとお考えでしょうか。
Sachin Tikekar:インドでは、独自のモビリティエコシステムが急速に構築されつつあり、現在ではグローバルOEMも、インド市場向けに最適化した車両の開発を目指すようになっています。生産やイノベーションのローカライズへと舵を切る動きが見られますが、これはインドの消費者が持つ固有のニーズに応える上できわめて重要です。
このトレンドは、単なるコスト削減にとどまるものではありません。インドが有する人材プールや技術力を活用し、現地の消費者に響くソリューションを開発することが本質です。グローバルOEMがインド市場のポテンシャルを認識するにしたがい、R&Dやイノベーションへの投資は今後さらに拡大していくと見ています。
Omkar Panse:そのとおりです。インドのOEMは、コストを抑えつつ最先端技術を積極的に採用する姿勢を示しており、インドはSDVを取り巻く環境において重要なプレーヤーとしての地位を確立しつつあります。今後は、ローカル企業とグローバル企業の協業が、イノベーションを推進し、インドが自動車産業の最前線にとどまり続けるためのカギになると考えています。
Sachin Tikekar:さらに、インドのコングロマリットの間でも、モビリティ分野への関心が高まっているのが見て取れます。これらの企業は、中国や欧州の技術を含め、さまざまな供給元からコンポーネントを統合しようとしており、KPITのようなパートナーに、全体をまとめ上げて車両の円滑な市場投入を実現する役割を期待しています。
コネクティッドデジタルサービス、収益構造上の重要分野に浮上
Vivek Beriwal(シニアリサーチアナリスト)
コネクティッド/デジタルサービスモデルからの収益について、数十億ドル規模の目標をおおやけに示している自動車メーカーもあるが、これら分野が自動車メーカー全体のグローバル収益に占める割合は、現時点では比較的限られた水準にとどまっている。とはいえ、自動車メーカーは、ソフトウェアのマージンがハードウェアよりもはるかに高い点を強調しており、収益規模が小さくても利益率を大きく押し上げる効果があるとしている。

Source: Getty Images
従来型の自動車OEMは、単に車両を製造・販売するビジネスから、アップグレード可能なプラットフォームを販売し、コネクティッドカーサービスのサブスクリプションや、software-as-a-service(サービスとしてのソフトウェア、SaaS)やmobility-as-a-service(サービスとしてのモビリティ、MaaS)のユースケースなど、継続的な収益源を創出する方向へと、実質的に重点を移しつつある。
車両のソフトウェア定義化が進むなか、常時かつユニバーサルなコネクティビティによって、車両は周囲の環境と通信しリアルタイムでデータを収集してクラウドへ送信できるようになっている。こうしたデータを活用することで、コネクティッド機能およびサービスが提供され、無線アップデートによって継続的に強化されていく。従来のコネクティッドサービスに加え、リモート充電や車両ステータスデータを用いた最寄り充電ステーションの検索といった充電関連をはじめ、EV特有のデジタルサービス群も新たに台頭している。
こうしたコネクティッドなデジタルサービスは、自動車業界における価値創出の在り方を根本的に変える(経済面と技術面、双方の)構造的要因を背景に、自動車メーカーの収益戦略の中核になりつつある。
コネクティッドデジタルサービスがOEMの収益戦略の中核になりつつある理由
自動車ハードウェアには現在、きわめて大きなマージン圧力がかかっている。たとえば、電気自動車の多くはバッテリーコストが車両BOM(bill of materials)の約35~45%を占めているため、現時点では採算割れの状態で販売されているケースも少なくない。さらに、差別化の軸がメカニクスではなく、ソフトウェア主導のインターフェースやユーザー体験へと移行するなか、車両ハードウェアはますますコモディティ化が進んでいる。消費者はブランド間で車両の類似性を強く意識するようになっており、性能や品質の差は縮小しつつある。その結果、自動車メーカーは、機能差を武器としたプレミアム価格戦略を維持することが難しくなっている。
継続的かつ高マージンの収益源を求める自動車メーカーにとって、コネクティッドデジタルサービスやサブスクリプションは歓迎すべき転換点となっている。ハードウェアのマージンが一般に一桁台にとどまるのに対し、ソフトウェア主導のサービスなら70~90%にも達する粗利率を実現できるうえ、収益の安定性によって投資家からの信頼を高める効果もある。


自動車メーカーでは現在、すべてのサービスを車両購入時に一括で組み込むのではなく、階層型のサービスモデルを提供している。基本的なコネクティビティを含むパッケージを用意し、購入後にプレミアム機能や追加機能、アップグレードに対して追加料金を課す形を取っているメーカーが多い。また、大半の自動車メーカーはフリート/商用向けについて、一般消費者向けとは通常異なるビジネスモデルを提供している。
最近、Tesla(テスラ)およびGeneral Motors(ゼネラル・モーターズ)の2025年第3四半期決算が発表されたが、両社の収益においてコネクティッドおよびデジタルサービスの重要性が高まっていることが浮き彫りになっている。
Teslaは以前から、over-the-air(無線ソフトウェアアップデート、OTA)に関する専門性を収益エンジンとして活用してきた。購入後も継続的な性能向上や機能アップグレードを提供している点が特徴である。

Teslaの2025年第3四半期決算によると、Full Self-Driving(FSD)を購入またはサブスクリプション契約しているTeslaオーナーの割合は、昨年までの一桁台から、現在では世界全体で約12~15%へと増加している。この伸びは、無料トライアルの拡大、月額サブスクリプションの導入、約8,000ドルの一括購入価格といった施策がけん引役となっている。おもにCybertruckと「Actually Smart Summon」機能が貢献し、Teslaは2024年通期では5億9,600万ドル、2024年第3四半期は3億2,600万ドルのFSD関連収益を計上した、と報じられている。
同様に、General Motors(GM)も9月30日終了の第3四半期において、ソフトウェアおよびサービス収益が堅調に推移したことを報告している。同社は、Super Cruise(ハンズフリー運転支援技術)、OnStar、その他のソフトウェアおよびサービスから約20億ドルの収益を計上、繰延収益は約50億ドルで前年同期比で90%超の増加となった。Super Cruiseのグローバル加入者数は50万人を超え、年末までに60万人を突破する見通しで、前年同期比ではほぼ100%増となっている。GMは、2025年にはSuper Cruise関連で2億ドル超の収益を計上する見込みだとしている。第3四半期末時点で、OnStarのグローバル加入者数は1,100万人を超えており、2025年末までに1,200万人超に達する見通しで、こちらも前年同期比34%増となっている。
GMは2028年に新たな集中型コンピューティングプラットフォームを投入する予定で、その第1弾としてCadillac Escalade IQ(キャデラック・エスカレード IQ)への採用が見込まれている。このプラットフォームは、OTA容量を10倍、帯域幅を1,000倍に拡大し、自動運転や先進機能向けのAI性能を最大で35倍まで高めることが期待されている。
展望
自動車メーカーのコネクティッドデジタルサービス戦略は、車両をアップグレード可能なプラットフォームへと転換し、ドライバーをデジタルサブスクライバーへと変え、さらにデータを新たなプロダクトラインとして収益化することに軸足を置いている。多くのOEMは、モビリティサービス、フリートサービス、保険など、収益性の高い分野へ事業を多角化するなか、サブスクリプションおよびソフトウェア主導の野心的な収益目標を掲げ、コネクティッドカーサービスに対して強気の姿勢を示している。
主要OEM各社はすでに独自のコネクティッドサービスを立ち上げているが、その多くはまだ導入初期段階にとどまっている。今後、より多くのOEMがサービスを展開していくにつれ、価格戦略やサービス内容の設計が一段と重要になっていくだろう。
潜在的な市場規模は大きいものの、多くの自動車メーカーは依然、コネクティッドサービスを十分に収益化できていない。野心的な目標が掲げられている一方で、現時点ではデジタルサービスが自動車メーカーのグローバル収益に占める割合は比較的小さく、ソフトウェア定義車(SDV)の開発に巨額の投資を行っている状況を十分にカバーするには至っていない。ただし、AIを活用したサービスレコメンデーション、AI生成コンテンツ、より自然なインタラクション、そして先進自動運転を特徴とするソフトウェア主導の未来へと業界が加速するなか、この状況は大きく変化していくと見込まれている。
OTAアップデート機能およびクラウドインフラは、コネクティッドサービス事業を成功させる上で不可欠であり、OEM各社は地域特性に応じたマルチベンダー型のクラウド戦略を追求せざるを得なくなっている。さらに、適切なアーキテクチャやデータガバナンス、顧客体験を構築することも容易ではなく、多くのOEMがコネクティッドサービスの訴求や、無料トライアルを有料サブスクリプションへと転換する点で苦戦している。
OEMは、消費者にとって各種ソフトウェアや機能が持つ価値提案を見極め、機能やサービスを試用できる機会を提供するとともに、コネクティッドサービスの機能を内製、もしくはサードパーティープロバイダーとの提携や買収を通じて構築していく必要がある。このバランスは時間とともに変化していき、最終的には長期的な収益性を左右する重要な要素となっていくだろう。
Maruti SuzukiがSuzuki Motor Gujaratとの合併を完了、事業運営を効率化
Jamal Amir(プリンシパルリサーチアナリスト)
Maruti Suzuki India(マルチ・スズキ・インディア、MSIL)は、完全子会社であるSuzuki Motor Gujarat(スズキ・モーター・グジャラート、SMG)を親会社に統合する合併が12月1日付で正式に完了したことを発表した。ET Autoが報じている。今回の動きは、国家会社法審判所(NCLT)が承認した命令が会社登記局に提出されたことを受けたもので、同社の戦略的再編における重要な節目となる。合併に伴い、MSILは定款(MoA)も改定し、授権資本を1,500億ルピー増額した。これにより、同社の授権資本総額は1,687億6,000万ルピーとなり、額面5ルピーの普通株式337億5,000万株で構成されることになる。さらに、MoAの事業目的条項には新たな下位条項が追加され、インド国内および海外の顧客に対して「技術サポートおよび専門アフターサービスを提供する」ことが可能となった。この追加は、顧客体験の向上とサービス提供範囲の拡大を図るMSILの意図を示すものであり、自動車分野における同社の地位を一層強固なものにする狙いがある。
重要ポイント:今回の合併は、事業運営の効率化と市場対応力の強化に取り組むMSILの姿勢を反映したものである。2024年7月に取締役会が当初承認し、その後に株主の承認を得た一連のプロセスは、親会社と子会社の間でシナジーを最大化し事業運営を合理化する、というMSIL経営陣の共通したビジョンを示している。この統合により、組織全体の効率性向上が見込まれる。Maruti Suzukiの親会社であるSuzukiは、2030年までにインドにおける年間生産能力を400万台に引き上げ、同国を世界向け輸出の重要な生産拠点とすることを目指している。この目標の内訳は、国内市場向け300万台、輸出向け100万台となっている。現在、Maruti Suzukiの年間生産能力は合計260万台である。ハリヤナ州カルコーダ工場では、今年に入ってから年産25万台の生産能力を持つ第1工場が稼働を開始しており、来年度に入って数ヵ月にうちに同規模の第2工場が加わる予定だ。さらに、カルコーダでの第3工場の建設も承認されており、年産能力25万台を追加する見通しである。このほか、Maruti Suzukiはグジャラート州に新工場を建設するとともに、同州の既存工場に新たな生産ラインを追加する計画だ。追加の生産ラインは2026年度から2027年度に稼働を開始し、新工場はその約2年後に立ち上がる見込みである。S&P Global Mobilityのデータによると、他のOEM向けに生産される車種を含む、Maruti Suzukiのインドにおけるライトビークル生産台数は、暦年2025年に前年から6.6%増の約220万台に拡大すると予想されている。その後も増加が続き、2030年には約275万台に達する見通しだ。なお、ライトビークルには乗用車と小型商用車が含まれる。
モービルアイのロボットタクシー市場参入戦略に関する洞察
2025年12月1日
Matthew Beecham Senior Analyst
モービルアイとのQ&A

Source: Getty Image/ Scharfsinn86
先進的な運転支援システムと自動運転技術の世界的リーダーであるモービルアイは、商用ロボットタクシー事業を主要な国際市場に拡大することを計画している。同社はロサンゼルスやミュンヘンなどの都市でテスト走行と展開を行っており、他の主要なモビリティ市場にも世界的に参入する計画である。この拡大は、車両プラットフォームの協力、地域の規制枠組み、市場環境を通じて緊密に連携して進められている。
モービルアイの戦略と技術統合に関するさらなる洞察を得るために、S&P Globalのシニアプリンシパルアナリストであるオーウェン・チェン氏は、モービルアイの自動運転車グループを率いるオートノマス・ビークル担当エグゼクティブバイスプレジデントのヨハン・ユングヴィルト(JJ) 氏と詳細なQ&Aディスカッションを行った。

1.テクノロジー戦略: モービルアイは、視覚ベースの1次サブシステムと画像レーダーに焦点を当てた2次サブシステムを利用して、レベル4 Mobileye Drive製品を開発している。同社は、サラウンドセンシングにはLiDARを採用しているが、サイドとリアのLiDARは段階的に取り外し、段階的アプローチの一環として冗長性のある安全性を確保するためにフロントのLiDARに集中する計画で、さまざまな世代に段階的に技術を展開する。
2.市場の焦点: モービルアイは当初、米国市場に焦点を当て、2026年末までにドライバーレス運用を目指している。同社はフォルクスワーゲンやホロン (ベントラー・グループの子会社) などの自動車メーカーと提携し、ロサンゼルスなどの主要都市でロボタクシーやロボシャトルを展開している。テキサス州オースティン;およびミュンヘンを含む複数の地域に研究開発拠点を持ち、テスト車両を走らせている。
3.規制環境: モービルアイは、さまざまな地域における規制の枠組みの重要性を認識している。米国は現在、自己認証型の法的環境を提供しているが、欧州には車両配備を制限するさまざまな規制がある。ただし、モービルアイがEUベースの導入に先立って満たす予定の型式承認プロセスがある。ノルウェーなどの国々は野心的な自動運転車の目標を推進しており、モービルアイの戦略にも影響を与える可能性があり、モービルアイは同国で、HoloやRuterとパイロットプロジェクトを実施している。
4.今後のオポチュニティ: モービルアイとその車両プラットフォームパートナーは、ロボタクシーやロボシャトル、そして将来的にはロボバスやトラック輸送など、さまざまな交通手段を模索している。同社は、リファレンス技術スタックをさまざまな車種、特に消費者向けの車種に適応させるつもりである。
S&P Global Mobility: モービルアイはLiDARと4Dレーダー、あるいはテスラに似た別のアプローチの採用のバランスをどのように判断しているのだろうか?この点に関するモービルアイの戦略について教えていただきたい。
ヨハン・ユングヴィルト (JJ)氏 : 承知のとおり、当社は豊富な経験を持つビジョンファーストの会社であり、コンピュータビジョンが当社の基盤となっている。当社のレベル4のMobileye Driveでは、ロボタクシーやロボシャトルでの無人運転を想定し、当社はデュアルアプローチを採用いる。当社の主要なサブシステムは視覚ベースであり、当社の二次サブシステムは画像レーダに焦点を当てている。
現在、当社は、主にサラウンドセンシングのために、二次サブシステムにライダーセンサーを組み込んでいる。しかしながら、当社は開発を段階的に見ている。当社のEyeQ 6ベースの自動運転システムの第1世代では、3つのモダリティをすべて利用する予定である:サラウンドビジョン、サラウンドイメージレーダー(または4Dレーダーは、モービルアイが開発したハードウェアとソフトウェアでもある)、およびサラウンドライダー。当社の戦略には、フロントセクターに三重の冗長性を集中させることが含まれており、最終的にはフロントのLiDARのみを維持し、サイドとリアからLiDARを取り外す予定である。
このアプローチは、2つのフェーズで説明できる。安全は当社の最優先事項であり、それは当社の意思決定プロセスの指針となる。
ちなみに、当社のテクノロジースタックには13台のカメラが搭載されており、その数はウェイモの第6世代のセットアップの数とほぼ同じである。当社は、ウェイモが前面に2つの小型レーダーを採用したのに対して、ウェイモの6つのイメージレーダーと比べて当社は5つのイメージングレーダーを使用しており、一方、当社は1,536の仮想チャネルを持つ大型のイメージングレーダーを採用し、サイドとリアには小型のレーダーで補完している。LiDARの領域では、当社は、現在、長距離と短距離の両方のLiDARでサラウンドをカバーしている。
LiDARは現在、前方にのみ配置されているのか?
第2フェーズでは、当社はサイドとリアのLiDARを取り外す予定である。第1世代では、当社は、サラウンドLiDAR、サラウンド画像レーダ、サラウンドビジョンを利用する。サイドLiDARとリアLiDARを取り外す決定は、いくつかの要因に基づいている。例えば、画像レーダーは洗浄液を必要としないが、LiDARは洗浄液を必要とする。さらに、イメージングレーダーには可動部がないため、一般的なLiDARに比べて信頼性と耐久性が向上する。
LiDARには確かに一定の利点があるが、当社の段階的アプローチは安全性を優先するものであり、特に当社は当社の無人自動運転システムで市場に参入する。当社は、データに基づいた判断に基づいて、安全確保のために三重の冗長性を維持することを信じている。
当社のイメージングレーダーは、超短・短・中・長距離モードをリアルタイムで切り替えることができるソフトウェア定義の4Dレーダーで、柔軟性と性能に優れている。1,536の仮想チャネルを備えた前面イメージングレーダーは、LiDARと同様の点群を生成する。当社は、システムオンチップ (SoC) と特殊アンテナ設計の進歩を活用して、高解像度、高度化、長距離性能、およびダイナミックレンジを実現し、将来の可能性に向けて優位に立てるこをとても楽しみにしている。
Driveと呼ばれるレベル4製品の初期導入後、モービルアイがどこに向かっているのか、私の理解を確認するために要約させていただきたい。主なトピックは次の2つである:
1.信頼性: 初期の開発段階で使用していたコーナーレーダーは、LiDARに比べて有利なモービルアイの4Dイメージングレーダーに取って代わられる。4Dレーダーは洗浄液を必要とせず、様々な環境条件でより良い性能を発揮し、信頼性を高める。
2.安全性: 安全性は重要な懸念事項であり、モービルアイが複数のセンサーモダリティを保持して三重の冗長性を実現しているのはそのためである。センサーの設定に加えて、モービルアイはPrimary、Guardian、Fallbackの略であるPGFと呼ばれる安全方法論も導入している。これは、オープンスタンダードドライビングポリシーフレームワークRSSやマッピング技術REMなどの当社の他の知的財産と一緒に、モービルアイが安全性を強化できるように設計された知覚ロジックシーケンスである。
はい、先ほどテクノロジーフェーズを当社はどう考えているかという話をした。第1フェーズは、カメラ、レーダー、LiDARを含むすべてのセンサーモダリティを網羅する。次のフェーズでは、あなたが正しく指摘したように、フロントセクターのみでトリプル冗長性を維持する予定である。仮説としては、フロントセクターでもLiDARが不要になる段階が来るかもしれないが、その判断はデータに基づく洞察に基づいて将来的に下されるだろう。
グローバル化と商業計画について詳しく説明していただけるか?
はい、まず第一に、当社は、IDを持つフォルクスワーゲン (VW) をはじめとする自動車メーカーとのパートナーシップを確立している。Buzz ADとホロンはムーバーと呼んでいる。自動車分野の当社のパートナー企業とともに、ロボタクシーやロボシャトルなどの車種を積極的に拡大していく。
例えば、VWはモービルアイの技術をロサンゼルスで展開するためにウーバーと公的契約を結んだ。当社は、現在、ロサンゼルスでテストと検証を受けている車両がある。VWとウーバーは来年、非公開のユーザーグループによるテストを開始し、車両と乗車ユーザーを拡大する計画で、規制当局の承認を経て、2027年までに無人運転を実現することを目指している。
ロサンゼルスに加えて、ミュンヘンやドイツのハンブルク;テキサスのオースティン;とノルウェーのオスロを含むいくつかの主要都市で車両を運行している。また、ドイツのダルムシュタットにあるドイツ鉄道とも協力している。さらに、当社は、日本の東京などに独自のオペレーションセンターを持ち、車両のメンテナンスを行っている。
中国「本土」のロボタクシー市場における競合他社を分析すると、ドバイやサウジアラビアのようにトップダウンで新技術の採用を決定するシンガポールや中東のような地域を好むことは明らかである。これらの地域には、2030年までにモビリティソリューションを導入することを目的とした明確な規制計画がある。 これらの競合他社への当社のインタビューから、主に2つの要因が明らかになった:
1.規則: ロボットタクシー技術をどの程度サポートしているかは、都市によって異なる。例えば、ロンドンは、中東やシンガポールの主要地域と比較して、二次市場と考えられるかもしれない。
2.潜在的な収益: ニューヨーク、ロンドン、スイス、シンガポール、東京などの都市ではタクシー料金が高く、ロボタクシーサービスにとって大きな収益機会となっている。
現在の主な焦点は米国にあり、米国は、自己認証プロセスと市場投入までの時間が短いため、当社は主要な市場と考えている。当社の目標は、2026年末までに米国内のドライバーレスの自動運転を実現することであり、ウーバーとの関係、特に重要な機会と考えられているロサンゼルスとの関係を活用していく。LAでの事業運営の成功は、特にライドヘイリングサービスやタクシーサービスの料金が高いことを考えると、巨大な市場の可能性を示している。
米国では、現在の法的枠組みは従来の自動車安全基準に基づいているため、共同認証プロセスを完了する必要がある。一方、欧州は大きく2つに分けられる:欧州連合では、現在の規制で導入が小規模なシリーズに制限されており、ノルウェーやスイスなどEUに加盟していない国も含まれる。例えばノルウェーでは、2030年までに3万台の自動運転車が走行する可能性がある。その目標が完全に達成されない場合でも、ノルウェーは米国と同様に自己認証を可能にする規制の枠組みを確立している。
歴史的にノルウェーは電気自動車の普及をリードしてきており、支援的な規制とインセンティブのおかげで、現在では自動車販売の50%以上がEVとなっている。
また、中東では、VWやホロンなどの当社のOEM顧客が積極的に進出を推進しており、有望な機会があると考えている。アジア、特に日本では、当社は、車両の供給サイド、オペレーションサイドともに、さまざまな関係者と鋭意協議を進めている。また、公表されている日本の大手コングロマリットである丸紅とは、日本国内のみならず、米国を含むグローバルでの事業展開強化を目的とした覚書 (MOU) を締結している。当社のネットワークは、供給側と需要側の両方を網羅しており、フリートの運用と展開も非常に堅牢である。
ロンドンと比較して、特に同都市における自動運転車の導入に関して、ロンドンの展望をどのように見ているか?
当社はロンドンについて幅広く議論したが、英国は新しい技術を非常に受け入れているようである。市場の需要があり、規制作業が進行中である。ロンドンの交通システムは独特で複雑に組織されており、さまざまな部門や地域にわたってトップダウンの意思決定を必要とすることが多い。
自動運転車に対する大きな後押しはまだないが、当社は現在進行中の開発を認識しており、機会に対してオープンであり続けている。ロンドンは輸送と需要の両面で魅力的な市場である。しかしながら、当社は現在、最終的な規制と立法を待っている。
私はロンドンを自動運転車市場のトップ10に確実に入れるだろう。今のところ、当社の直接の顧客サイドのOEMパートナーのトップ3には入っていないが、将来的には状況が変わる可能性がある。
モービルアイは運転技術を提供しているが、技術ロードマップ -前述のフェーズ)-は地域によって異なると思うか?例えば、ドイツと英国ではより高い要件が定められているが、米国では道路が広く、運転条件が簡素化されている。
いいえ、当社の技術スタックはすべての地域で一貫していると考えている。
天候の影響はどうか?
まさにその通り。例えば、私は最近、エルサレムとテルアビブの両方でMobileye Drive自動運転システムのテストを数時間行った。これらの都市の交通は複雑で、多くの電動スクーター、自転車、歩行者、信号無視をする人がいる。このような環境は、ハンブルクやサンフランシスコなどの他の密集した都市部と似ている。ここにははっきりとした四季はないが、雨季があり、運転条件をさらに複雑にしている。当社のテクノロジースタックは、雪や道路障害など、さまざまな環境条件や交通の複雑さに対応できるように設計されている。当社は、ニューヨーク市で最初に試験・開発車両を運用し、昼夜の走行、トンネルや橋の通過など、さまざまな条件下で当社のシステムのテストを行った。この経験は今後の開発のための貴重なデータを提供した。最終的に、当社は現在、どこでも同じ技術スタックを維持している。
Go-to-Market戦略と都市の選択に移るが、日本やアメリカなどの市場でフォルクスワーゲンとの協業を継続するのか、それとも他の地域でのパートナーを探すのか?
はい、フォルクスワーゲンは長年の戦略的パートナーであり、米国、欧州、中東を含む都市や地域での確固たる計画がある。現在は実行フェーズにあり、来年の米国での発表に向けて検証と自己認証に注力している。並行して、当社は、2027年に予定しているヨーロッパでのドライバーレスに向けたホモロゲーションタイプの承認に取り組んでいる。当社は、すでにいくつかの都市でフォルクスワーゲンや、さまざまな用途向けにさまざまな車種を提供しているホロンなどのパートナーと事業を展開している。
フォルクスワーゲンを長年の戦略的パートナーとすることは、ロボットタクシーの展開を拡大する上で有利である。OEMsは、既存のモデルを改造するのではなく、コストを削減し、量産前に調整できる車両を提供できる。しかしながら、多くのタクシー運転手はOEMsではなく、独立して営業しているか、フリート管理会社のために営業している。モービルアイが運転技術だけを提供すれば、ウーバーやリフトのようなプラットフォームと提携しやすくなるかもしれない。OEMsと協力して、後付け用の車両を提供できるフリート管理会社に資金を提供することは可能か?
どちらのアプローチも実行可能であると考えているが、当初はMobileye DriveをOEM生産ラインに統合することに焦点を当てており、これにより、拡張性が大幅に向上する可能性がある。現在のところ、需要の問題には直面していない;当社の課題は供給にある。OEMsは通常、工場の稼働を維持する必要があるため、大量生産の機会があると判断した場合に契約する。フォルクスワーゲンはモビリティ、特に自動運転とサービスとしての輸送に戦略的アプローチを取っている。フォルクスワーゲンには、フリート運用の資金調達を支援できる、十分に確立された金融サービス部門がある。これは双方にメリットがあると考えている。また、日本の丸紅、ウーバー、リフト、官民の様々な事業者を含む他のパートナーとも協議を進めており、いずれも車両の供給が可能になり次第、前進する用意がある。
当社は、安全とパートナーシップの話題を取り上げたが、ルート選択と交通管理について話ししたいと思う。空港から都心へなど、具体的なルートを考えているか、それとも都市部を中心に考えているか?運用設計ドメインとマップ選択に対するアプローチはどのようなものか?
これは重要なトピックである。当社の強みの一つは、当社の Road Experience Management(REM) システムを活用したクラウドソースによるデータを活用したマッピング技術である。一般的に静的なHD (高精細) 地図に依存している競合他社とは異なり、当社は世界中の数百万台以上の車両から毎日数百万kmのデータを継続的に受信している。これにより、都市部や空港への接続を含むすべての公道の最新の地図を自動的に生成できる。拡張性に重点を置くことで、迅速な拡張が可能になり、当社の自動運転システムは効率的に動作し、消費電力はわずか数百ワットで-一般的な競合製品の数十倍の電力を消費するが、当社の製品の電力消費はかなり低い。
ロボタクシー対ロボバス対ロボトラックの戦略について伺いたい。欧州では、ウィーライドのような企業間の強力な協力関係があるようだ。ロボタクシーは固定されたルートで運行されるため、プロセスが簡素化され、堅牢なシステムはより個人的な移動を可能にする。ドライバーの給与が高い米国のトラック業界には収益の可能性があることを考えると、モービルアイはなぜロボタクシーに主に焦点を当てているのか?欧州ではロボバスが、アメリカではロボトラックが将来的に活躍する機会があると思うか?
両社の協力により、ロボタクシーとロボシャトルの両方が提供され、一桁台から最大15人までの乗客をカバーし、アクセシブルなモビリティを提供している。特に運転手の費用が高いため、ロボシャトルの需要は大きい。当社の戦略は、ロボタクシーとロボシャトルから始め、需要が増えれば小型バスへの拡大も視野に入れている。当社の自動運転技術は大型車にも対応しており、当社は、市場の要求に応じて規模を拡大する能力を開発している。トラックのような他のフォームファクターは、その後の焦点として続く可能性がある。
ラストワンマイル配送も検討の対象になるか?
はい、当社は、特に自動車のOEMsやオペレーターと協力してこの分野を調査しているが、それは主要な焦点ではない。当社は、消費者向け自動車、特に消費者向け自動運転車に大きな可能性を見出している。当社のCEOは、消費者が運転中に目視もハンドル操作も必要ない状態を可能にする自動運転車の目標価格を約5,000ドルと言っている。これが実現できれば、消費者向けのAVに巨大な市場機会が開かれ、最終的には従来の制御装置を使わずに設計された車が登場し、車輪付きのオフィスやラウンジのような多用途の空間に変身する可能性がある。
モービルアイより: ユングヴィルト氏の特定の記述は将来的見通しであり、リスクと不確実性に左右される。実際の結果は、これらの表示とは大きく異なる場合がある。このような差異が生じる要因については、モービルアイが米国証券取引委員会に提出した最新の年次報告書、Form 10-Kを参照すること。
ADASとコックピットの将来に関するクアルコムの洞察
2025年11月24日
Matthew Beecham
クアルコムとのQ&A

出典:Getty/metamorworks
自動車を取り巻く環境は、技術の進歩の影響を受けて変化しており、消費者の嗜好もさまざまな地域で変化している。 コックピット市場では、中国本土が急速なイノベーションとAI統合に注力し、車内体験を向上させている。欧州の消費者は安全性、利便性、持続可能性を優先し、米国の消費者は安全性に加えてエンターテインメントとパーソナライズを重視する。このような地域差があるため、相手先ブランド名製造メーカーはコックピットソリューションを特定の市場ニーズに合わせて調整している。
クアルコムは、効率的でスケーラブルなコンピューティングソリューションを提供するために、主要OEMsおよびTier 1サプライヤーと協力している。これらのソリューションは、特定のパフォーマンスと取り付け要件に応じて、1チップおよび1ボードのセントラルコンピューティングソリューションに基づいている。 同社は、ソフトウェア・デファインド・ビークルとAI搭載車両の両方を重視しており、AI機能を使用してユーザーエンゲージメントと車両機能を強化している。このアプローチにより、OEMsはソフトウェア更新を実装し、相互作用を改善して、ユーザーの安全性と利便性に貢献できる。
コックピットと自動運転の市場が進化する中、クアルコムの戦略は自動車業界の多様な需要に対応することを目指している。自動運転の分野では、高速道路や市街地でのハンズフリー運転や、AIモデルに支えられた中国本土でのロボットタクシーの開発に焦点が当てられている。
クアルコムは、コンピューティングの知的財産 (IP) を開発し、さまざまなアプリケーション向けにさまざまなシステムオンチップ (SoC) を提供してきた経験によって差別化を図っている。ゼネラルモーターズ (GM)、ルノー、BMWなどの大手OEMsとパートナーシップを確立しており、フルスタックソリューションと特定の顧客のニーズに合わせたカスタマイズされたエンゲージメントの両方を提供している。クアルコムはまた、自動運転における安全性を重視したアーキテクチャとエンドツーエンドのソリューションのバランスを取ろうとしている。
これに関連して、S&P Global Mobilityのシニアプリンシパルアナリストであるオーウェン・チェン氏は、クアルコムのデジタルコックピット製品管理担当バイスプレジデントであるマーク・グレンジャー氏と、QualcommのADASおよび自動運転製品担当バイスプレジデント兼責任者であるアンシュマン・サクセナ氏にインタビューし、これらの市場動向と技術的要因について議論した。

Anshuman Saxena
オーウェン・チェン氏:中国本土、欧州、米国におけるクアルコムの自動運転の主な顧客は誰か?
アンシュマン・サクセナ氏:当社の最初のADASデザインの受賞には、スーパークルーズのGMが含まれている。次世代では、本質的に開発ツールチェーンを含むSoCに加えて、ビジョン認識とフルスタックを含むように当社の製品を拡張した。当社は、現在、ルノーやBMWなど、複数のチップとスタックの顧客を抱えており、近いうちにさらなる発表が予定されている。もう1つのモデルには、ソニーホンダモビリティ (SHM) およびAWSとの当社の提携が含まれ、ここでは、SHMがクラウドベースのデータフライホイール製品を使用してADASの再処理を実行できるようにし、大量のデータによるADASの改善を迅速に展開できるようにした。SoCのみのソリューションによる当社のグローバルな成長には、零跑汽車、奇瑞汽車、フォルクスワーゲン(VW)、ホンダ、北京汽車、上海通用汽車、現代自動車などの顧客も含まれている。
オーウェン・チェン氏:地域によって-特に中国本土、ヨーロッパ、アメリカの消費者とOEMsの間で-自動運転の優先順位にどのような違いがあると考えるか?
アンシュマン・サクセナ氏:ロボタクシーのような自動運転にはさまざまなユースケースがあるが、例えば、自動運転タクシーでは、運転手の代わりになるという共通の目標を持っている。ほとんどの消費者にとって、傾向はハンズフリーの高速道路運転およびナビゲーションオンパイロット (NOP) システムに向かっており、ユーザーが目的地を設定すると、車両がそれに従ってナビゲートする。中国本土は、ますます高度化するエンドツーエンドのAIモデルに支えられて、これらのシステムを市場に投入する道をリードしている。一方、世界の自動車メーカーは、安全性と快適性を重視しながら、一部の車両で車線内ハンズフリー走行を可能にする機能に焦点を当て、漸進的なアプローチでテクノロジーソリューションを強化している。
オーウェン・チェン氏:クアルコムは、ビジョン言語モデルのようなエンドツーエンドのアプローチと、自動運転における安全性に焦点を当てたモジュラーアーキテクチャのバランスをどのように取っているのだろうか?これらのアプローチの間に矛盾はあるか?また、地域によって異なる戦略を採用する可能性はあるか?-例えば、中国本土ではエンドツーエンドの採用が多く、欧州では安全指向のアプローチが強いなどである
アンシュマン・サクセナ氏:当社は、さまざまなエンゲージメントモデルを通じて幅広いパートナーと協力し、業界から学ぶことで、このバランスを実現している。エンドツーエンド (E2E) ソリューションと呼ばれる場合、当社は、3つの主要な要素に焦点を当てる:マルチモーダルセンサーフュージョンを含むシーンエンコーダー;オプティカルパス計画を支援する決定トランスフォーマ;および安全ガードレールは、システムが反復可能であり、規制要件を満たすことを可能にする。競合は通常、特定のアーキテクチャ内で発生する。しかしながら、当社のアプローチは全ての要素を包含することである。最終的には、当社は、さまざまな共存形態に安全ガードレールを組み込んだE2Eモデルへの移行を想定している。
オーウェン・チェン氏:クアルコムは、中国本土のOEMsが独自の自動運転チップを開発することをどのように見ているのだろうか?
アンシュマン・サクセナ氏:クアルコムは、技術的な進歩、AI処理のためのコンピューティングIP開発の長い歴史、差別化されたCPU、クラス最高のカメラパイプライン、電気自動車と内燃機関 (ICE) 車の両方をサポートする電気/電子 (EE) アーキテクチャの熱設計ソリューションを通じて、差別化を図ることに注力している。クアルコム SoCのこれらの差別化要因は高く評価されており、中国本土にはADASの発展を推進する重要な顧客基盤がある。

Mark Granger
オーウェン・チェン氏:中国本土、欧州、米国におけるクアルコムのコックピットソルーションの主な顧客は誰か?
マーク・グレンジャー氏: 当社は、さまざまな大手OEMs、およびこれらのOEMsに供給する多数の自動車Tier 1サプライヤーおよび契約製造業者 (CM) と製品の出荷に携わっている。理想汽車、ニオ、長城汽車、メルセデスベンツ、ボルボ、ステランティス、GM、フォード、リビアンなどのパートナーに関する公開リリースがある。
オーウェン・チェン氏:エンゲージメントモデルは地域によってどのように異なるか?
マーク・グレンジャー氏: tier1サプライヤ-、ソフトウェア独立系ソフトウェアベンダー (ISV)、オペレーティングシステムなど、完全なソリューションの提供に関与するエコシステムパートナーには地域差がある。同じ地域内でも、OEMs間の違いは明らかである。多くのOEMsは依然として従来のtier1、2、3の作業モデルに依存しているが、ソフトウェアとテクノロジの重要性を認識するOEMsが増えている。この変化は、特に新しい電気自動車メーカーの間で、クアルコムなどのテクノロジー企業と直接協力し、彼らのソフトウェアの所有権を拡大することを促している。
オーウェン・チェン氏:コックピット体験の優先順位は地域によって-特に中国本土、欧州、米国の消費者とOEMsの間でどのように異なるか?
マーク・グレンジャー氏: 3つの地域はいずれも、ソフトウェア・デファインド・ビークルとデジタル体験の向上に向けて前進している。中国本土市場は、急速なイノベーション、AI支援、エコシステム統合で注目されている。欧州では利便性、安全性、持続可能性が重視され、米国ではエンターテインメント、利便性、パーソナライゼーションが重視されている。OEMsは、こうした地域の期待に沿ったコックピット体験を採用し、世界的に車載技術の未来に影響を与えている。
オーウェン・チェン氏:ワンチップセントラルコンピューティングソリューションとワンボードセントラルコンピューティングソリューションについて、クアルコムはどのように考えているか?また、どちらがクアルコムのセントラルコンピューティングの将来戦略におけるプレミアム/ハイエンドバージョンであるか?
マーク・グレンジャー氏: クアルコムは、OEMアーキテクチャの選択と必要なパフォーマンス、堅牢性、スケーラビリティに応じて、ワンチップとワンボードの両方のセントラルコンピューティングソリューションが市場に共存すると予想している。コックピットとADAS/ADアプリケーションの両方で最高のパフォーマンスを求める顧客は、通常、プレミアム商品用のワンボードのソリューションを選択する。また、これらのOEMsは、Snapdragon CockpitとSnapdragon Ride Flex SOC間の高度なソフトウェア互換性の恩恵を受け、単一のSOCソリューションをより迅速に導入できる。
オーウェン・チェン氏:クアルコムはコックピットのイノベーションを、ソフトウェア・デファインド・ビークルの一部と見ているのか、またはAIデファインドカーの一部と見ているのか?
マーク・グレンジャー氏: クアルコムは、コックピットのイノベーションを、ソフトウェア・デファインドパラダイムとAIデファインドパラダイムの両方を含む進化と捉えている。従来、ソフトウェア・デファインド・ビークルは、堅牢なソフトウェアアーキテクチャによる柔軟性、アップグレード性、モジュール性に重点を置いており、自動車メーカーは車両機能を強化し、ユーザーエクスペリエンスをパーソナライズし、市場の需要に迅速に対応することができる。
次のフロンティアは、AIデファインド・ビークルに関するもので、AIは車内のインテリジェンスとユーザーエンゲージメントで重要な役割を果たす。クアルコムにとって、コックピットのイノベーションには-自然言語処理、ドライバーモニタリング、アダプティブインターフェイス、予測的パーソナライゼーションなど-強力で柔軟なソフトウェア基盤の上に構築された高度なAI機能の活用が含まれている。このアプローチにより、OEMsはシームレスなソフトウェア更新、よりスマートな操作、およびプロアクティブな安全システムを提供できる。
本質的には、クアルコムはコックピットを、ソフトウェアの適応性とAIの知能を組み合わせたコンバージェンス点として構想している。これらの概念は相補的である;AIは、ソフトウェア・デファインド・アーキテクチャの進化を表し、ドライバーと乗客の車内体験、安全性、利便性を向上させる。
オーウェン・チェン氏:今後5年から10年で、AIは自動車のソフトウェアをどのように形作っていくと思うか?
マーク・グレンジャー氏: AIは車両とのインターフェースを強化し、よりプロアクティブでパーソナライズされたインタラクションを可能にして、車内体験をより直感的で効率的なものにする。具体的には、エッジAIは高速かつセキュアで、ユーザーに合わせたエクスペリエンスを促進する。
さらに、AIは車内体験だけでなく、コックピットの基盤となるソフトウェアの開発にも影響を与えるだろう。これにより、イノベーションのペースが速くなり、新機能を市場に投入するまでの時間が短縮される。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
欧州委員会は欧州の自動車産業を中国から守るべきと述べる
2025年11月14日
Ian Fletcher Principal Analyst
欧州委員会のある委員は、欧州連合は中国からやってくるライバルから欧州の自動車産業を守らなければならないと述べた。ロイターは、欧州委員会の産業戦略・繁栄担当上級副委員長であるステファン・セジュルネ氏が、イタリアのラ・スタンパとのインタビューで、「我々は無知にならず、世界のすべての主要経済国の基準に戻らなければならない。我々は産業政策に関する戦略的思考を欠いている唯一の大陸である」と述べたと伝えられている。同氏は「我々が介入しなければ、10年以内にヨーロッパで生産され販売される車は1,300万から900万に減少するだろう」と警告した。セジュルネ氏が支援の可能性を示唆している分野には、「2035年までに内燃車を完全に停止するという目標に向けた柔軟性」を示すことや、輸出支援の提供、自動車メーカーの官僚主義の緩和などがある。さらに、欧州委員会委員は、中国の部品から中国の人員による中国車の欧州での組み立ても「受け入れられない」とし、保護主義的措置の採用について質問された際、「欧州への外国投資に条件を導入する必要がある」と述べたが、関税は貿易摩擦を引き起こし、生産に打撃を与えると付け加えた。自動車業界が現在レアアースを中国に依存していることに関して、セジュルネ氏は、欧州はブラジル、カナダ、アフリカ諸国のサプライヤーを検討し、レアアースの使用に制限を導入し、リサイクルを増やし、現地での抽出に投資すべきであると述べた。
重要性:フランスの欧州・外務大臣を務めた-セジュルネ氏は、現在の職務において-欧州委員会の「欧州自動車産業の将来に関する戦略的対話」の一環として、最近自動車セクターに強い関心を寄せている。同委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長のように、2025年の間に出されたコメントの中には、数年前よりもはるかに自動車業界を支持するものもあった。これは、排出量削減とICEの販売停止という厳しい目標が、この地域の自動車製造に大きなダメージを与えるという懸念があるからである。中国の自動車メーカーがこの地域で最近成功を収めていることも、この状況に拍車をかけている。中国からのBEV輸入には関税が適用されているが、S&P Global Mobilityによると、中国からEUへの乗用車輸入は2025年に754,000台と、2024年の約546,100台、2021年の209,800台から増加する見通しである。また、2026年には910,700台に達し、欧州販売の約8.4%を占めると当社は予測している。ただし、スペインで生産された奇瑞汽車車やハンガリーで生産されたBYD車などの中国ブランド車の販売は含まれない。さらに、中国の自動車メーカーはEUとの主要な貿易相手国に生産拠点を置き始めており、これまでのところ最も顕著なのはBYDとマニサ工場で、2027年中に生産を拡大する予定である。自動車産業の将来を議論する次の会議が開かれる12月中に、同委員会の計画の次のステップを見るべきである。これは2035年の目標をカバーすると予想されているが、小型で低コストの新しいEカー規制の概要も見られる。しかしながら、何が適切かについては業界から様々な意見があるが、成功するかどうかは、適格な製品を発売するために必要な投資額を最小限に抑えることにかかっているようである。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
イスラエルのEV販売、1月~10月は中国ブランドが首位
Abby Chun Tu Principal Research Analyst
2025年11月10日
イスラエル自動車輸入業者協会 (IVIA) の最新データによると、 2025年の最初の10ヶ月間に中国ブランドがイスラエルの電気自動車 (EV) 市場で最大のシェアを占めた。電気自動車 (BEV) 市場では、中国ブランドが43,177台を販売し、82%のシェアを占めた。全体では、2025年の最初の10ヶ月間に52,612台のBEVが市場で販売され、イスラエルの自動車販売の20%を占めた。BYDは純電気自動車を7,825台販売し、最初の10ヶ月間の販売台数をけん引した。奇瑞汽車が6,216台でBYDに続いた。小鵬汽車はイスラエルのEV市場でも主要なプレーヤーである;同期間の販売台数は5,711台で、中国のBEVブランドとしてはイスラエルで3位となった。その他の中国ブランドの高い販売台数としては吉利やリンク・アンド・コーが占め、この期間の間、吉利は3,081台を販売してイスラエルのBEV市場で5位、リンク・アンド・コーは2,985台で6位であった。
重要性: IVIAが発表したデータによると、中国の自動車メーカーはイスラエルのプラグインハイブリッド車市場でも主要なプレーヤーである。2025年の最初の10ヶ月間に中国で合計28,613台のプラグインハイブリッド車が販売された。同セグメントの売上高は、奇瑞汽車、ジェイクー、BYDがけん引した;中国の自動車メーカー3社の合計マーケットシェアは94%となった。トヨタと現代自動車はイスラエルのフルハイブリッド電気自動車 (HEV) 市場で2大ブランドを維持した。トヨタのHEV販売台数は2025年の最初の10ヶ月間で24,286台、現代車のHEV販売台数は20,263台であった。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国、水素自動車への補助金を削減
2025年9月11日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
方針・規則、テクノロジー、トレンド・進化
Isha Sharma, Research Analyst
韓国環境部は来年度、水素自動車の購入補助金を中心に約14億5,000万ウォン(104万米ドル)の予算削減を発表したとChosun Dailyが報じている。同環境部は来年、補助対象車を11,000台から6,000台に減らし、電気自動車(EV)の奨励金を増やす計画である。業界関係者からは、環境へのメリットがあるにもかかわらず、水素技術に対する政府の関心が薄れていることを示すものであるとの懸念の声が上がっている。
重要性: 今回の予算削減は、特に現代自動車が7年ぶりに新型水素自動車「ネッソ」を発売したことを受けて、業界内で懸念が高まっており(韓国:2025年4月4日:ソウルモーターショー2025: 現代自動車は次世代水素SUV「ネッソ」とモデルチェンジした電気セダン「アイオニック6」を公開参照)、斗山フューエルセルは燃料電池システムの供給に1,000億ウォンの多額の投資をした。政府は2040年までに水素自動車を620万台、燃料電池発電を15GW導入するという野心的な目標を設定したが、進捗は遅く、現在稼働しているのは水素自動車45,000台と燃料電池発電1GWのみである。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
パキスタン、持続可能なモビリティへの移行に向けたNEV政策を発表
2025年9月9日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–パキスタン
方針・規制、ライトビークル、電動化
Jamal Amir, Principal Research Analyst
パキスタンは新エネルギー車(NEV)政策2025-2030を打ち出し、持続可能な交通に向けた重要な一歩を踏み出したとアラブニュースは報じている。ガソリンから電気自動車へのシフトを促進することで、排出ガスの削減、石油輸入の削減、余剰電力の活用を図る意欲的な取り組みである。NEV政策は、従来車との価格差を縮小するための費用負担策を含む、需要を拡大するためのいくつかの措置を導入している。報道によると、補助金は当初、二輪車が65,000ルピー(230米ドル)、三輪車が40万ルピー、四輪車と商用車はバッテリー容量キロワット時当たり15,000ルピーまたは請求金額の5%のいずれか低い方を上限として支給される。「世界的な慣行に沿って、パキスタンは、主に低所得層にサービスを提供し、自動車人口の約87%を占める市内の二輪車や三輪車の普及を加速させることで、NEVの需要にインセンティブを与える」としている。この移行を支援するため、同政府は2030年までに3,000カ所の充電ステーションを設置する計画で、特に既存の充電ステーションの10%を電気自動車(EV)充電ステーションに転換することを目指している。補助金とインフラ整備の財源は、ガソリン車とディーゼル車に対する課税で賄われ、政策期間中に約1,220億ルピーの税収が見込まれている。この政策は、2030年までに新車販売の30%をNEVに、2040年までに50%に、2060年までに輸送車両のネットゼロを達成するという野心的な目標を掲げている。特に、イスラマバードは、成功した取り組みを州を越えて再現することに重点を置いて、「電気モビリティ都市」のモデルになろうとしている。2027年までに、連邦政府が購入する二輪車と三輪車はすべて電気自動車でなければならなくなり、公共調達慣行が大きく変わることになる。これらの対策により、2030年までに450万トンのCO2排出を回避できる可能性があると当局は予測しており、同時に、電池組立や輸送技術などの新興産業に機会を創出している。
重要性: 2019年に導入された同国初のEV政策は、実施の不備とCOVID-19パンデミックによる混乱により課題に直面した。しかしながら、最近の政策は電動モビリティへの新たなコミットメントを反映しており、2021年にはわずか567台であったEVが、2025年6月までに主に二輪車や三輪車によって8万台以上に増加することを強調している。2025年7月までに65社が電動バイクと人力車の現地組立の認可を取得、2社が電気自動車とSUVの認可を取得したと同報道は付け加えた。しかしながら、同国のEV普及は他国に比べて遅れている。高い初期費用、限られた充電インフラ、厳しい資金調達規則が大きな障壁となっている。同政府は、NEVがパキスタンの二酸化炭素排出量の約10%を占める輸送時の排出量を削減するとともに、年間160億米ドルに上る同国の多額の石油輸入代金を削減するために不可欠であると強調している。パキスタンが電動モビリティに向けたこの野心的な旅に乗り出す中、新しいNEV政策の成功は、効果的な実施と既存の導入障壁の克服にかかっている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
JLR「サイバー攻撃」で生産・販売に打撃
2025年9月3日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-英国
タタ・モーターズ株式会社|経費・運営、生産、コンポーネント、売上高、インフラ、ライトビークル、コーポレート
Ian Fletcher, Principal Analyst
JLRの生産と販売は、同社が言うところの「サイバー攻撃」によって打撃を受けている。同自動車メーカーは声明で、「システムを積極的にシャットダウンすることで、影響を軽減するための迅速な措置を講じた。当社は、現在、制御された方法でグローバルなアプリケーションを再開するためのペースで作業している」と述べた。同社は、「現段階では顧客データが盗まれた形跡はない」としながらも、「小売および生産活動に深刻な混乱が生じている」と述べた。JLRは具体的にどのような影響を受けたかを明らかにしていないが、さまざまなニュース報道が詳細を伝えている。 オートカーによると、英国に拠点を置くJLRディーラーは、ナンバープレートの変更に伴い、同国の自動車メーカーにとって伝統的に繁忙日である9月1日に車両を登録することができないと伝えたという。また、この愛好家の雑誌は、この問題が部品供給に影響を与えていることも分かっている。さらに、リバプールエコーは、「ディスカバリースポーツ」と「レンジローバーイヴォーク」を製造するヘールウッド工場のスタッフが9月1日に自宅待機を命じられ、別のシフトが自宅待機となったと伝れた。このダウンタイムは9月2日まで続き、影響を受けた従業員はこれらの失われた時間が積み重なると言われている。その日に送られたメッセージには、他の通知がない限り、労働者は9月3日に仕事に戻ることが求められるとも書かれていた。BBC Newsはまた、「レンジローバー」、「レンジローバースポーツ」、「レンジローバーヴェラール」を製造しているソリフルにあるJLRの工場もIT問題の影響を受けたと報じている。
重要性:企業におけるITインフラストラクチャの問題は、さまざまな業界でますます大きな課題となっており、これは、ITインフラストラクチャがもたらす効率性によって、ITシステムへの依存度がますます高まっているためである。安全性と回復力を確保するための対策が講じられているが、つまずいた場合には重大な問題が発生する可能性がある。JLRが声明で使用した用語は、外部要因がこの混乱を招いたことを示唆している。この問題の影響に関するメディアの注目は、英国での事業に集中しているが、スロバキアのニトラでの「ディフェンダー」と「ディスカバリー」の生産にも影響を与えた可能性がある。これらの問題を解決するのにどれくらいの時間がかかるかはまだわからない。報道によると、英国のディーラーの中には、英国の運転免許局 (DVLA) に車両を「手作業で」登録するなど、顧客に納車するための回避策を見つけているところもあるという。しかしながら、その他の生産、ディーラーからの車両発注、サプライヤーからの部品調達に関する問題は、その対応に要する時間によっては財務業績に悪影響を及ぼす可能性がある。確かに、英国の小売業者であるマークスアンドスペンサーや生協で起きた同様の事件は、これがどれほど破壊的なものになり得るかを示している。S&P Global Mobilityのデータによると、今年初めにシフトを縮小したヘールウッドの生産は現在、日量約160台 (upd) で、ソリフルは約710台 (upd)である 。ニトラが影響を受ける場合、さらに520 updの影響を受ける可能性がある。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
IAAミュンヘン2025:欧州の業界向けショーケースで重要なニューモデルを披露する
2025年9月5日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-ドイツフォルクスワーゲン AG、BMW AG、Stellantis N. V.|企業、市場、展示・発売、ライトビークル、コーポレート
Tim Urquhart, Principal Analyst

IAAモビリティ 2025は2025年9月8日にミュンヘンで開幕する。ミュンヘンは、ドイツのOEMsとパリと共通するより広範なヨーロッパ産業の両方の隔年の展示会の場所として、以前のフランクフルトメッセの場所に取って代わった。ここ数年、伝統的な静的モーターショーの将来について多くの議論がなされてきたが、多くの出展者と新モデルの発表は、メーカーが製品を発表し披露できる大規模なヨーロッパのイベントを維持したいという願望が依然としてあることを示唆している。
今回発表された新製品の中で最もビジュアル的にエキサイティングなのは、アウディのコンセプトカー「コンセプトC」であろう。「コンセプトC」は2人乗りの電気スポーツカーで、駆動系とバッテリーは発売予定の電気自動車 (BEV)ポルシェ「ボクスター/ケイマン」と共通である。このデザインは目を見張るものがあり、声明によると、アウディの過去のデザイン言語、例えば同社の「アウトウニオンタイプ C」フォーミュラ1や1998年の初代TTを思い起こさせる。「コンセプトC」のフロントエンドはデザインの鍵であり、フロントエンドのコーポレート「フェイス」という観点から、今後のアウディのデザインのテンプレートとなる。

アウディ「コンセプトC」
BMWは、IAAミュンヘンの最大の公開の一つとして、ノイエ・クラッセテクノロジープラットフォームの最初の車であり、まったく新しい統合されたカスタムメイドのソフトウェアとハードウェアアーキテクチャを備えた第2世代「iX3」の生産可能バージョンを、地元のショーにふさわしい形で持ってやってくる。ノイエ・クラッセのデザイン、プラットフォーム、技術スタックは、バッテリーおよび内燃機関 (ICE) ベースのドライブトレインの両方で今後数年間にBMWの全ラインナップに浸透し、さらには2028年に予定されている水素エンジンモデルにも採用される予定である。

BMW「iX3」
クプラは、ショーカー「ティンダヤ」の世界デビューで、将来への野心的なビジョンを披露することになっている。クプラは、コンセプトに関する最小限の追加情報を開示したが、外観デザイン言語の次のフェーズを反映することを確認した。同自動車メーカーは「ティンダヤ」を「ドライバーの集中力を最大限に発揮し、ユニークな体験を提供し、ドライバーの感情を高めるショーカー」と呼んだ。
現代自動車は、全く新しいコンセプトを披露する予定で、すでに車両デザインの要素を示唆する3つの画像を公開している。 オートカーは、バッテリーを搭載した電気自動車のサブコンパクトクロスオーバー車になることを示唆しているが、この車がどのセグメントに属するかについての情報は発表されていない。S&P Global Mobilityは、これが「アイオニック2」になる可能性が高いと予測しており、「アイオニック2」は正式名称はトゥルキエとして知られているトルコのイズミル工場で製造され、「i10」の後継となる。このモデルの生産は2026年半ばに開始される予定である。
メルセデス・ベンツは、大胆で新しいコーポレートデザインをショーで披露する。同社はベストセラーのD-SUV GLCの新しいEVモデルのグリルの画像を公開した。このデザインは、同社の伝統的なフロントエンドとすぐに認識できる「フェイス」を再発明し、現代的なコンテキストに取り入れる。BEVは冷却のためにラジエーターグリルを必要としないが、メルセデス・ベンツのチーフ・デザイン・オフィサーであるゴードン・ワグナー氏は、同社の新しいフロントエンドのデザインの特徴として伝統的なラジエーターグリルを現代的にした理由を説明した。同社の声明の中で同氏は、「当社の新しい象徴的なグリルは、「GLC」の新しいフロントであるだけでなく、当社のブランドの顔を再定義する。それは、未来のために再解釈された永続的なデザインコードの完璧な融合であり、当社の車をすぐに認識できるようにしている」と述べた。
オペルは、新しいスポーツカーコンセプトを「コルサGSEヴィジョン・グランツーリスモ」として発表し、これは、最終的にオペルのベストセラーモデルである次世代のBセグメント「コルサ」となるモデルをスポーティに解釈したものである。オペルは声明の中で、このコンセプトカーは「高性能EVの限界を探る」ものだと述べている。オペルは、また、「今後のモデルをプレビューする」とも述べている。このコンセプトカーには、オペルの新世代スポーティBEVの同一であるGSEスポーツトリムレベルのバッジが付けられており、既に「モッカGSE」が発表されている。

オペル「GSEヴィジョン・グランツーリスモ」
ポールスターは「ポールスター5」のコンセプトを披露しており、これはポルシェ「タイカン」やシャオミ「X7」、「YU7」といった競合他社に挑戦する高性能モデルとなる。ポールスターのCEOであるマイケル・ローシェラー氏は最近発表した財務業績報告書の中で、「9月のIAAで4ドアのグランドツアラーを発表し、高性能EVのトップブランドとしての地位を強化する」と述べた。

フォルクスワーゲン「ID.ポロ」
フォルクスワーゲン(VW) の乗用車ブランド「ID.Polo」は、「ID.Polo GTI」と並んで、まだ偽装されているがほぼ生産可能な「ID.Polo」を発表し、どちらも来年発売される予定である。また、同社がB-SUVとして発売を予定しているもう一つのBセグメントBEVのコンセプトモデル「ID.クロスコンセプト」も公開する。これは、VWグループが新しい「エレクトリックアーバンカーファミリー」と呼ぶものの主要な展示であり、MEB Entryとして知られるグループの新しい小型車BEVアーキテクチャも使用される。ほぼ生産可能な「ID.Polo」のスタイリングは一目でわかり、形状とプロポーションの点で現行の「ID.3」に大きく影響を受けている。ディティールデザインはVWの現在のデザイン言語を使用しており、特に2つのヘッドライトをつなぐスリムなライトバーが特徴的なすっきりとしたフロントエンドが特徴である。
見通しと影響
ここ数年、伝統的な静的モーターショーの将来と継続的な関連性について多くの議論がなされてきた。OEMsのモデルローンチカレンダーは、かつては欧州、米国、日本での大規模な国際的な静的データによって占められていた。数々の要因により、規模と重要性が低下し、かつて強大な存在だったジュネーブショーは今や途中で失敗し、もう二度と回復しない打撃として2020年3月のパンデミックの影響を最初に受けた主要国際イベントのひとつとなってしまった。中国のOEMsの台頭により、北京と上海のショーの注目度が高まっている一方で、インターネットは明らかに、特定の物理的な場所にいなくても、新しい発表と関連するマーケティング資料に世界中のどこからでもアクセスできることを意味している。その結果、マーケティングとプロモーションの予算がますます厳しくなっている現在、多くのOEMsは従来のモーターショーからリソースを割り当てることにしている。しかし、ドイツとフランスのOEMsは、ミュンヘンとパリでの展示会がある程度の規模を維持できるように協力しているようで、また、欧州の自動車業界は毎年、メディア向けの展示会を開催して自社製品を披露し、欧州がまだ存続していることを世界に思い出させようとしている。
(2年前の第1回ミュンヘン・ショーを拡大した)今年のショーでの重要な発表は、ACEA (欧州自動車工業会) とドイツ自動車工業会 (VDA) の重要な協力を得て、欧州の自動車メーカーが地域で大規模な自動車ショーを維持しようとしていることを示す心強い兆候である。その中で最も重要なのは間違いなく、新しいBMW「iX3」で、まったく新しいノイエ・クラッセアーキテクチャを搭載した、事実上同社の第2世代BEVテクノロジーを初めて披露する。これは、新しいバッテリー技術とエクステリアとインテリアのデザインコンセプトを披露する、特注のBEVアーキテクチャである。「iX3」のデザインは、BMWが誇る伝統を参照しながら、新しいテクノロジーへのコミットメントのバランスを取ろうとする中で、同社の有名なキドニーグリルという、攻撃的ではなく、より伝統的なコンセプトへの回帰を示している。この重要な車は、BMWのハンガリーの新工場で間もなく量産され、将来のすべての電気BMWの手本となる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本がインドに4億米ドルを投資し竹由来バイオ燃料精製所を設立
2025年8月29日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-日本-インド
経費
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
Nikkei Asiaの報道を引用したBusiness Standardの報道によると、日本は、竹由来バイオマスを自動車用燃料に変換するインドのバイオ燃料プロジェクトに官民から最大600億円 (4億800万米ドル) の資金を提供する計画である。この資金調達は、政府系金融機関の国際協力銀行 (JBIC) と三井住友銀行などの民間企業が拠出する。JBIC単独で資金総額の2億4,400万ドルを拠出する。同取り組みは、国営の電力金融公社が主導し(PFC)、 持続可能なエネルギーに関する日印協力の一環である。融資はPFCを通じてインド法人Assam Bio Ethanol Private Limited(ABEPL) に融資され、アッサム州ゴラガート地区に新製油所を建設している。完成間近のこの施設では、地元で採れる竹からバイオ燃料を生産する。この製油所では、インドでガソリン添加剤として使用されるバイオエタノールを年間49,000トン生産する予定である。また、接着剤などに使用する酢酸11,000トン、合成樹脂の原料となるフルフラール19,000トンを生産する。残ったバイオマスは発電に利用し、ゼロウェイストアプローチを推進する。
重要性: バイオ燃料はインドの自動車産業にいくつかの重要な利益をもたらす。第一に、温室効果ガスの排出削減に貢献し、気候変動との闘いや都市部の大気環境の改善に貢献している。エタノールなどのバイオ燃料を燃料供給に統合することで、産業は輸入化石燃料への依存を減らし、それによって燃料価格を安定させることで、エネルギー安全保障を強化することができる。さらに、バイオ燃料の利用は、バイオ燃料生産に使用される作物などの農産物の新たな市場を創出することによって農村開発を促進し、農民の所得を増加させることができる。日本は資金を提供するだけでなく、製油所に日本の蒸留装置を設置し、日本の発酵技術を導入するための議論を継続するなど、バイオ燃料生産に関する技術的知見を提供する予定である。さらに、このプロジェクトは、化石燃料の輸入への依存を減らすためにガソリンに20%のエタノールを混合することを奨励するインドのE20プログラムに沿ったものである (インド:2025年7月25日:インド、ガソリンへのエタノール20%混合を前倒しで達成参照) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車労働者、賃上げ要求ストに賛成票
2025年8月26日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代自動車|施設・運営、生産、企業、ライトビークル、人事、電動化
Jamal Amir, Principal Research Analyst
韓国の現代自動車の労働組合は賃上げを求めてストライキを開始することに賛成票を投じ、この動きは7年ぶりのストライキにつながる可能性があると聯合ニュースは報じている。8月25日に行われた投票では、組合員の86.15%がストライキ計画を支持し、42,180人の組合員の95%近くが投票した。同日、国家労働委員会の仲裁が失敗し、ストの法的権利が確保されたことで、労組はストに備えることができた。ストライキへの圧倒的な支持にもかかわらず、即時の行動は期待されていない。労組は8月28日に臨時スト委員会を設置し、具体的な対策を協議する予定である。
重要性: 今回のストライキ投票の背景には、今年に入って17回の賃金交渉が行われるなど、労組と経営側の交渉が失敗に終わったことがある。労組は毎月の基本給の大幅な引き上げ、具体的には労働者1人あたり141,300ウォン (102米ドル) の賃上げを主張してきた。また、現代自動車の年間純利益の30%を成果給として分配し、ボーナスを現行の7.5ヶ月から、労働者一人当たりの給与の9ヶ月分に増やすことを要求している (韓国:2025年1月23日:現代自動車、2024年の純利益が前年比7.8%増、シェア2025年の見通し参照) 。労組はまた、雇用安定や報酬に対する懸念を反映し、定年を60歳から64歳に引き上げることを求めている。最近、米国の自動車輸出関税15%の発動など、外圧に直面している韓国自動車産業にとっては厳しい時期である。このような関税は、現代自動車の米国市場での事業と収益性に大きな影響を及ぼす可能性があり、労組の賃金とボーナスの引き上げ要求はさらに切迫したものになる。同報道は、現代 (ヒョンデ) 自動車グループのチョン・ウィソン会長が、イ・ジェミョン大統領とドナルド・トランプ米大統領の重大な首脳会談に出席するため、韓国財界代表団としてワシントンDC(米国)を訪問しているという。今回の首脳会談の結果は、現代自動車など韓国企業の今後の対米投資計画に影響を及ぼす可能性がある。状況が進展すれば、ストの可能性は、現代自動車の事業と従業員関係、さらには韓国のより広範な自動車産業に広範な影響を及ぼす可能性がある。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米・EU、貿易協定に拘束力なしで合意
2025年8月22日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-欧州-米国
政策・規制、貿易(輸出入)、コンポーネント、財務、ライトビークル、中型&大型商用車
Stephanie Brinley, Associate Director


7月27日に最初の合意に達したことを発表した後、米国と欧州連合は、最終的な貿易協定の計画をまとめたさらなる要素に署名し、発表した。条件をまとめた共同声明が発表されたが、法的拘束力はない。批准のためにEUと米国政府に提出できる完全な貿易協定を作成するためには、さらなる作業が必要である。しかしながら、今回の改訂では、いくつかの短期的な関税変更のタイミングについて、より詳細な構造が示されている;自動車業界に関連するいくつかの問題は、比較的早く効果を発揮する可能性がある。7月に発表された内容の大半は今後も継続されるが、鉄鋼輸入枠やワイン・蒸留酒の関税に関する協議などが未解決の問題となっている。自動車や自動車部品に関しては、これまで述べてきたことの多くが当てはまる。
EUは、米国のすべての工業製品に対する関税を撤廃し、米国の海産物や農産物に優先的な市場アクセスを提供し、ロブスターに関する2020年の協定を延長・拡大する「意向がある」。米国はEUからの輸入品に2.5%の最恵国待遇(MFN)または15%の税率のいずれか高い方を適用することに同意する。15%は、MFNと15%に達する追加の相互関税額として計算される;EU加盟国のMFNが15%を超える場合でも、税率は15%に制限される。米国はまた、入手困難な天然資源、すべての航空機と航空機部品、ジェネリック医薬品とその成分および原料となる化学物質を含む特定の製品に対してのみ最恵国待遇(15%未満と仮定)を維持することに合意した。さらに、「米国と欧州連合は、自国の経済とバリューチェーンにとって重要な他の部門と製品を、MFN関税のみが適用される製品のリストに含めることを検討することに合意する」。
自動車及び自動車部品を含む米国通商拡大法232条関税の更新
米国通商拡大法232条関税に関連して、米国は自動車と自動車部品の関税を現在の25%から15%に引き下げる;交渉が続く間、鉄鋼とアルミニウムの関税は50%に据え置かれる。5月3日以降、EUは自動車と自動車部品に27.5%の関税を課しており、2.5%のMFN率に加えて米国通商拡大法232条関税を課している。共同声明は、米国通商拡大法232条に基づき、「欧州連合が関税引き下げを実施するために必要な立法案を正式に導入したとき…米国は自動車と自動車部品の関税を引き下げる…これらの関税引き下げは、EUの立法提案がこのフレームワーク合意と整合的であり、必要な立法府によって制定される同月の初日から実施されることが期待される」と明らかにした。
EUが関税の変更に取り組んだ後、「米国は、MFN関税および1962年通商拡大法232条により課される関税からなり、医薬品、半導体および木材に関する米国通商拡大法232条の措置の対象となる欧州連合の原産品に適用される関税率が15%を超えないことを速やかに確保する意向がある」。鉄鋼とアルミニウムに関しては、米国とEUは過剰生産能力から「それぞれの国内市場を保護するために協力」し、相互のサプライチェーンを確保することを目指している。
車両基準の「相互承認」
この点は7月の先の声明で言及された;8月21日の声明は、米国からEUへの輸出を緩和するのと同様に、EU基準を満たす自動車が米国で販売される機会を創出するようである。認められる基準の範囲が詳細ではない;この協定が、車両全体の運転に関する安全基準、衝突性能基準、またはエミッション基準に適用されるかどうかは、おそらく決定される問題の1つである。
同声明では、「自動車に関しては、米国と欧州連合は、互いの基準を受け入れ、相互承認する意向である。 基準に関する協力は、大西洋横断市場を強化する上で重要な役割を果たす。 欧州連合と米国は、共通の関心を有する主要分野における大西洋横断市場のための基準を特定し、開発することを目的として、EUと米国に所在する基準開発機関の間の技術協力の機会を拡大することにコミットする」と読み上げられた。
米国連邦自動車安全基準(FMVSS)を満たす車両に対してEUを開放すること-および米国で認められている欧州基準に対して米国を開放することは-製品開発の負担を軽減する可能性があり、特に、EUで販売される台数が少なく、基準への適合にコストがかかりすぎる車両の場合はそうである。しかし、最終的な合意は、基準の尊重よりもはるかに具体的なものになると予想される。この明確な意図は、米国であれEUであれ、自国市場の基準に適合する輸入品を全面的に受け入れることである。この条項が車両安全基準、より具体的な車両衝突性能またはエミッションおよび燃費基準への適合に適用されるかどうかに関しては、交渉上の懸念が残る可能性がある。しかしながら、各市場の車両の使用状況、規模、環境、道路状況に応じて策定される規制もある。最終合意がどう解釈されるかによって、この要素は自動車開発の複雑さを緩和する可能性があるが、まだ見ぬ意図しない結果をもたらす可能性もある。消費者の認識は推測するには早すぎるかもしれない。この条項は、米国では入手できないが欧州では提供されている技術や、その逆の技術の輸入を容易にする可能性がある。
この条項がエミッションと燃費基準にどのように影響するかも不明である。車両が生産される市場の基準を満たしていれば、どちらの市場でも販売できるようにすることは、最初の一歩にすぎないかもしれない。エミッションと燃費の基準も違反した場合に罰金の対象となるが、安全規制と衝突規制は許可/不許可の要件である。現在、米国は燃費規制に対する罰金を0米ドルに引き下げた。排出規制違反に対するEUの罰金は、削減前でさえ米国の罰金よりもはるかに高かった。この相互尊重条項の下でいずれかの方法で持ち込まれる車両について、エミッションまたは燃費の適合性がどのように評価され、対処されるかは明確ではない。
見通しと影響
全体として、8月21日の声明は、達成すべきハードルを残したまま、交渉を前進させた。同協定は、現在の27.5%よりは良いが、トランプ政権前よりも高い関税環境を反映している。これにより、製造、輸出入のコストが上昇し、最終的には米国の消費者が自動車に支払う価格が上昇する。しかしながら、より安定した貿易環境に少しずつ近づいている。この枠組みは、トランプ政権が前面に押し出してきたものの多くを扱っているが、これらは複雑な合意であり、詳細によって影響が変わる可能性がある。しかしながら、自動車に関しては、7月の発表と今回の8月下旬の発表には一貫性がある。自動車と自動車部品の27.5%から15%への削減は、まだ実施されていない。
S&P Global Mobilityのライトビークル予測に照らしてみると、最新の調査(2025年7月)では、2026年1月までにすべての国の自動車に平均15%の関税が課されるとの想定が盛り込まれた。次回の販売・生産予測は2025年9月に行う;当該合意により当該前提条件が実質的に変更される見込みはない。
8月21日の声明は、ほとんどの国に15%の自動車関税が2026年1月までに実施されるという当社の予想を変えている。2025年は実質的に8ヶ月しか経過しておらず、関税率が15%に引き上げられても、せいぜい第4四半期に輸出される自動車に影響が及ぶ可能性があるため、早期に関税が引き下げられたとしても、2025年の予想の修正は最小限にとどまる公算が大きい。7月の発表で当社が指摘したように、EUとの合意が成立したからといって、この予測に大きな変更は必要ないと考えられる。
2024年、フォルクスワーゲンは欧州地域からの最大の輸入業者であり、メルセデス・ベンツ、BMW、吉利汽車がそれに続いた。これら4社はいずれも米国でも自動車を生産している;EUから調達する部品に課される関税が現在のカナダやメキシコの25%ではなく15%であることも、これらの自動車メーカーにとって有利な点である。米国がカナダやメキシコと合意に達しない場合、EU、日本、英国での生産がカナダやメキシコでの生産よりも有利になる可能性がある。北米のサプライチェーンを構築するための数十年にわたる投資が危険にさらされている。しかしながら、当社のより広範な仮定に反映されているように、カナダとメキシコが日本やEUのようなパートナーよりも著しく高い関税を課される状況が長期的に続くとは予想されない。米国、カナダ、メキシコ間の自由貿易環境に戻ることはないかもしれないが、これらの国に対する関税が25%のままである可能性は低い。韓国との最終合意も25%ではなく15%になる可能性が高い。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
欧州委員会、ハンガリー政府による新しいEV用バッテリー工場建設へ2億6,400万ユーロの支援を承認
2025年8月18日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–ハンガリー
BYD|市場分析、生産、原価・支出、自動車、ライトビークル、製品
Abby Chun Tu, Principal Research Analyst
欧州委員会はEU国家援助規則に基づき、ハンガリーにおいてSunwoda Automotive Energy Technology(Sunwoda Hungary)による電気自動車用バッテリー工場の設立を支援する2億6,400万ユーロの措置を承認した。現金補助金と税額控除の形をとるこの措置は、Sunwoda Hungaryによるニーレジハーザ市のグリーンフィールド電気自動車(EV)バッテリー工場への14億3,000万ユーロの投資を支援するものである。これは、同企業がハンガリーに投資を集中するインセンティブとなり、地域で2,500人以上の直接雇用と470人以上の間接雇用を創出することによって、ニーレジハーザの経済発展に貢献する。このプロジェクトでは、EVに電力を供給し、低炭素経済への移行を支援するリチウムイオン電池を生産する。
重要性: ハンガリーのEV用電池工場は、Sunwodaの欧州初の電池生産プロジェクトであり、電池セル、モジュール、パックの生産を2026年後半に開始する予定である。同委員会は、ハンガリーがSunwodaのプロジェクトを支援するために署名したインセンティブは、恵まれない地域の経済発展、雇用、競争力に貢献すると述べた。ハンガリー投資促進庁によると、ハンガリーは中国からの海外直接投資の最大の投資先であり、EUと英国に対する中国の投資総額の31%を占めている。この投資は、主に同国の自動車部門に利益をもたらした;中国のバッテリーメーカーCATLとEVEパワーはハンガリーにEV用バッテリー工場を建設中である。BYDはまた、最近ハンガリーでの存在感を拡大し、ヨーロッパ本社をハンガリーに置き、ブダペスト近郊のコマーロムにある電気バス工場を拡張してトラックを生産している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
モントレー・カー・ウィーク2025:アキュラ、キャデラック、ルーシッドがEVの方向性を示す
2025年8月15日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-米国
ゼネラルモーターズ、本田技研工業株式会社 |売上高、展示・発売、ライトビークル、製品、電動化
Stephanie Brinley, Associate Director


アキュラは来年のRSX EVをカリフォルニア州で開催されるモントレー・カー・ウィークのいくつかのイベントで展示し、キャデラックはオフロード電気自動車 (EV) の未来の可能性を探っている。ルーシッドはまた、「グラビティ X」コンセプトでより極端なオフロード性能を追求した。アキュラとキャデラックのブランドにとって、これは、その週のイベントで重要な存在感を維持し、企業目標や製品のリズムに合わせてコンセプトや新しい車を紹介するという発展途上の伝統を引き継いでいる。新興自動車メーカーのルーシッドも、この自動車イベントでの存在感を高めている。モントレー・カー・ウィークは、毎年8月の第3週にカリフォルニア州モントレー半島を中心に開催されるイベントである。今年の一連のイベントは8月15日から18日まで開催される。
EV「アキュラRSXプロトタイプ」 アキュラは2025年初め、ホンダの米国工場で新しいEVを生産すると発表し、ホンダはこの工場をEVハブと呼んでいる。「RSX」は2026年後半に発売される予定で、ホンダが社内で開発した新しいEVプラットフォームの発売商品となり、ホンダ製品群がその後に続く。同車におけるアキュラの声明はこの状況に直接言及していないが、2026年下半期の発売は、2025年1月に同自動車メーカーが示唆していた時期から遅れることになる(米国:2025年1月16日: 「アキュラEV」の名称を「RSX」に変更、ホンダは2025年の米国の見通しを発表および米国:2025年1月8日: CES 2025:ホンダ、0シリーズの電動サルーンとSUVのプロトタイプを公開、新技術も発表参照)。2024年に同じ会場でアキュラプロトタイプEVと共にこのエントリーモデルをプレビューした後、今年、ほぼ量産されたモデルが信用を受け入れた(米国:2024年8月19日: モントレー・カー・ウィーク:注目を集めるアキュラ、キャデラック、リンカーンを公開参照)。
アキュラは2025年のモントレー・ウィークの発表でさらなる情報を公開しているが、詳細は不明である。公開された画像には内装は含まれておらず、実際の車より少し誇張されていると予想されるが、それに近い。ホンダはこの生産施設をホンダ「EVハブ」と呼んでいる;この工場は旧メリーズビル組立工場で、「RSX」は内燃機関(ICE)専用のアキュラ・インテグラと同じラインで生産される。同施設は、ICE、EV、ハイブリッド車(HEV)の生産が可能である。このプラットフォームを採用している他のホンダ車と同様に、「RSX」はアシモOSと呼ばれるホンダの新しいオペレーティングシステムと電気アーキテクチャを採用し、アシモOSも2025年1月にホンダがCESで発表したものである。ソフトウェア・デファインド・ビークルの開発に取り組んでいる他の自動車メーカーと同様に、アシモOSは「車の所有者の好みや運転行動を学習して、極めてパーソナルな車内体験を提供する」ように設計されている、とアキュラのプレス声明は述べている。「RSX」について確認された製品情報によると、この車両はVehicle-to-X電源に対応し、他のデバイスをサポートするほか、家庭用のバックアップ電源としても機能するという。
EV「アキュラRSXプロトタイプ」 アキュラ
EV「アキュラRSXプロトタイプ」 アキュラ
「RSX」は標準として2つのモーターを使用し、スポーツチューンされたダブルウィッシュボーンのフロントサスペンション、低重心(乗客の下の車の中央に重いバッテリーを搭載したEVプラットフォームの利点)、ブレンボのブレーキを備えた全輪駆動構成となる。アキュラは機能の詳細を明らかにしていないが、「RSX」は「ブランドのトップクラスの運転支援技術を進化させる」という。現時点では、アキュラの運転支援システムは、ゼネラルモーターズ(GM)やフォード、BMW、メルセデス・ベンツが提供しているハンズフリーの視線監視機能の様々なレベルには達していない。しかしながら、アシモOSは、アキュラがその機能を段階的に変更する機会を提供すると期待されている。アシモOSは、無線アップデートのために設計されたオペレーティングシステムのリストに加わり、車両のライフサイクルを通じて新しいカスタマイズ可能な機能を作成する機会を提供する。
昨年のコンセプトが示すように、量産に近いプロトタイプはクーペのようなシルエットで、側面に深い彫刻が施され、フラッシュドアハンドルと一体化したリアスポイラーを備えている。21インチのホイールを取り囲むフレアー・ホイール・ウェルと、コーナーに突き出したホイールと短いオーバーハングを備えたEV特有の長いホイールベースがある。アキュラによると、フロントフェイシアはダイヤモンドの五角形を基調としたデザインを進化させ、新しい照明、セパレート型ヘッドライト、スリムなデイタイムランニングライトを採用している。リアのフルワイドテールライトは、第2世代NSXを想起させる。アキュラのクリエイティブディレクター兼ホンダR&D副社長の土田康武氏は、プレス声明において、「アキュラ「RSX」は、優れた空力によるパフォーマンスを表現したスポーティなクーペスタイルである。この新型「RSX」から、当社は、時代を超越した美しさと、パフォーマンスと独特なブランドに欠かせないハイテク感を軸に、アキュラブランドを再定義していく」と述べた。
米国のEV市場シェアが基本的に停滞していることを背景に、アメリカン・ホンダ・モーターのホンダナショナルオートセールスアシスタントバイスプレジデントのランス・ウェルファー氏はAutomotive Newsに対し、「当社は消費者に適した車を作っており、ホンダのオーナーが求めているものをより良い形で達成できるようになるであろう... 「RSX」は市場を征服するだけでなく、競合他社への離反を防ぐ機会を生み出すと期待している。今日、ホンダやアキュラに乗っていて、EVを探している人がいる。であるから、「RSX」は顧客の維持に役立つと思う」と述べた。
キャデラック・エレベーテッド・ベロシティ:自動運転技術を統合するためのデザインスタディ
「アキュラRSXプロトタイプ」が量産に近い状態での発表であるのに対し、キャデラックのエレベーテッド・ベロシティは未来を研究するものであり、2025年の「オピュレント ベロシティ」コンセプトから新しい方向性を構築している(米国:2024年8月19日:モントレー・カー・ウィーク:注目を集めるアキュラ、キャデラック、リンカーンを公開参照)。この研究では、対照的な技術とユースケースを探求しており、インテリアは、自動運転モードでは邪魔にならないように折りたたむことができるハンドルとペダルを備えた、パートタイムの自動運転車との相互作用を探求することを目的としている。オフロードの探索に関しては、洗練された外観の2+2コンセプトは、最大のアプローチとディパーチャアングルを提供するように設計された短いオーバーハングとファシアを備えている。同車両の発表に先立つブリーフィングで、現在GMのグローバルデザインの責任者を務めるブライアン・ネスビット氏は、デザインと車両には砂漠でのポロ競技と呼ばれるエリートスポーツやダカールラリー、Eレースのエクストリームからインスピレーションを得たと語った。
さらにGMのエグゼクティブチーフエンジニアのブランドン・ビビアン氏は、このコンセプトが「キャデラックVシリーズの未来の勝利の方程式」を定義し続けるようであると語った。キャデラックは企業の声明で、このコンセプトは「見事な外観と洗練されたインテリアでデュアルエクスペリエンスを実現し、乗員の状態を高め(したがって、Elevated)、また、リフト型プラットフォームは、最も過酷な砂漠の場所で大胆なオフロードパフォーマンスを発揮できるように調整されている(ergo、Velocity)」と述べている。このコンセプトは、オーダーメイドのラグジュアリーなクラフトマンシップを実現するキャデラックの能力をさらに強調するもので、コンセプトにふさわしいだけでなく、セレスティックの共同注文プロセスや、最近CT5-Vブラックウイングに導入された新しいCurated by Cadillacプログラム上に構築する(米国:2025年8月13日:キャデラック、新しいパーソナライゼーションプログラムを発表
参照)。
2025年キャデラック「エレベーテッド・ベロシティ」 キャデラック
2025年キャデラック「エレベーテッド・ベロシティ」 キャデラック
「エレベーテッド・ベロシティ」は、潜在的な車両のパートタイム自動運転モードによって可能になるユーザーエクスペリエンスとインテリア機能のバリエーションを探求する。ネスビット氏はメディアブリーフィングで、この車はまさに研究であり、キャデラックは車との相互作用がどのように変化するのか、どのような新機能が運転体験を向上させるのかを検討しており、将来的には何が実用化されるのかを見極めることを視野に入れていると述べた。これらの機能の中には、「エレベーテッド・ベロシティ」が自律モードで身体の再生のために赤色光療法を使用したり、統合されたバイオメトリクストラッキングに基づいて心拍数、酸素化、ストレスを記録して回復、集中、パフォーマンスを支援するための誘導呼吸ワークを使用したりするというアイデアがある。ネスビット氏は、このコンセプトのステアリングホイール内のディスプレイ画面について説明した。「当社はさまざまなサブシステムで作業する高度な開発作業がたくさんある。多くの場合、最初に何を解決するかは当社次第である...その後、どのようにするかについてパートナーと協力できる。当社はこのアイデアを検討してきた...これは本当にエキサイティングな統合であり、データやインターフェイスに関連した価値を持ち、全体的なエクスペリエンスとして非常に洗練された外観を実現できると考えている。私はこれに非常に興味を持っており、私のチームは、それを実行する方法についてエンジニアリングパートナーと積極的に追求していることを知っている」とネスビット氏は述べた。さらに、ネスビット氏によると、自動運転モードで車両に1つのインターフェースが搭載された場合、ドライバーがよりリラックスした姿勢のときにはハンドルスクリーンの情報が見やすくなり、高速運転時にはフロントガラスの前方のディスプレイがすばやく読みやすくなる可能性があるという。「当社は、従来のディスプレイと呼ばれるものを超えたテクノロジーに注目しており、より目立たないところで、より巧妙に統合され、必要なデータを適切なタイミングで提供する方法を検討している」とネスビット氏は述べた。
キャデラックによると、「エレベーテッド・ベロシティ」には3つのユーザー体験モードがあるという。ドライバーに挨拶するウェルカムモードがあり、多くの内装部品に柔らかな白色のアンビエントライトが点灯し、ガルウィングドアが上方に開き、ハンドル画面のウェルカムアニメーションが表示される。エレベートモードでは、「車両が自律走行となり、インテリアが運転手の回復空間に変化する」。ペダルとステアリングホイールが格納され、外気温、ドライバーの体温、キャビン温度が表示され、内装照明照明は赤色に変わり、シートバック照明は回復の可能性がある際は赤外線を探索する。その他の照明要素は、乗員が呼吸と動きを同期させるのを助けるように設計されている。エレベートモードでは、室内のフィルター、空気浄化、フレグランス、乾燥した空気、急激で極端な温度変化、高度の変化を補正する「極限気候化」機能も作動する。ベロシティモードでは、フォーカスがコックピットに移り、白色光が点灯し、ステアリングホイールのディスプレイには速度、時間、バッテリーの状態と温度が表示され、カウルディスプレイには拡張現実 (AR) HUDナビゲーションが表示される。これらの機能がどのように開発され、量産車に搭載されるのかはまだ決まっていないが、GMはキャデラックを出発点として、パーソナルユースの乗用車向けに自動運転技術を提供するための研究開発に力を入れており、最近発表されたAR HUDなどの技術をさらに発展させている。
2025年キャデラック「エレベーテッド・ベロシティ」 キャデラック
2025年キャデラック「エレベーテッド・ベロシティ」 キャデラック
EVの性能に関しては、「エレベーテッド・ベロシティ」のVシリーズの伝統として、選択可能な走行モードが用意されているが、キャデラックはランナーとデザインの研究として、量産車に搭載されるバッテリーのサイズや電力については言及していない。運転モードには、「激しいオンロードドライビング」のためのeベロシティ、オフロードで最高のパフォーマンスを発揮し、エアサスペンションを作動させるTerraモード、キャデラッックナイトビジョンのようにサンドビジョン砂嵐時の視認性を向上させる;キャデラックがElements defyと呼ぶもので、「「エレベーテッド・ベロシティ」の外側を外部の要素や破片からクリーンに保つ」ものである。
エクステリアデザインは、ファストバックルックを採用し、高い位置に座り、オフロードの地形に取り組む準備ができている間、エアロ効率を最適化することを管理する。「このコンセプトは彫刻と技術のバランスを追求したもので、将来のキャデラックの量産車のインスピレーションになるかもしれない」。ガルウィングドアはドラマチックであるが、このようなコンセプトでは、インテリアを簡単に表示する目的にも役立つ。新しいライトでは、ライト付きホイールを含むキャデラックの特徴的なライティングの振り付けを再検討し、リフトアップした社交の強調することを意図しているとキャデラックは述べた。インテリアでは、ハンドルやスクリーンのような機能的なデザインのソリューションだけでなく、素材の選択も検討されている。赤い内装は3色の赤で構成されている。ヘッドライナーとピラー、ドアアッパー、シートクッション、リアコンパートメント、キャビン、カーゴフロアには、深みのあるレッドのファインナッパレザーを使用している。ドアからインストルメントパネルの背面、リアシート裏まで、車内全体を包み込むように素材がリング状に広がる洗練されたレッドファブリックで、シートアッパー、ドアアームレスト、コンソールアームレスト、インストルメントパネルには赤いブークレウールのファブリックが使われている。ドアには3Dプリントのブラッククリスタルパターンも採用されている。キャデラックアドバンスドデザインのシニアクリエイティブインテリアデザイナーであるディン・ゼン氏は、「インテリアデザインの目的は、細身のフォルムによって物理的に重量を軽減しながら、視覚的にも豊かな快適さとサポートを提供することであった」と述べている。
2025年キャデラック「エレベーテッド・ベロシティ」 キャデラック
ネスビット氏は、機能の評価と調査という観点から「エレベーテッド・ベロシティ」の重要性を強調し、「コンセプチュアルデザインの仕事は、必然的に現在の生産プログラムを超えて、ライフスタイルとテクノロジーのトレンドと、当社の次のモビリティ体験への潜在的な影響を研究している... 「エレベーテッド・ベロシティ」は、妥協のないパフォーマンスの贅沢な体験の当社の解釈を実証しようとしており、そこでは、完全に自律的に通勤することで貴重な時間を再利用し、真の実践的なハイパフォーマンス体験を解き放つことができる」と述べた。
ルーシッド「グラビティX」は「グラビティ」のオフロードパッケージを示唆しているかもしれない
ルーシッドはモントレー・カー・ウィークを背景に、SUV「グラビティ」のバリエーションの可能性を示唆している。「グラビティX」(ルーシッドはGravity Crossという名称になると予想している) は、フロントとリアのファシアのデザインが変更され、アプローチとディパーチャーの角度が改善され、トラックの幅がより広くなり、ライドの高さが高くなり、カスタムホイールにオールテレインタイヤを採用してトレイルパフォーマンスが向上する。その役割のために、保護スキッドプレートと統合牽引フックも装備されている。見た目を良くするために、「グラビティX」はオレンジ色の外観のアクセントと特定の色、無骨なサテン塗装仕上げを採用し、濃い色のステルス外観パッケージを使用している。フロントとリアのファシアはつや消しメタルで仕上げられ、より冒険的な外観を与える。ボンネットにはカリフォルニアのビッグサー地域の山々やデスバレー砂漠の地形図が刻まれている;ペブルビーチでのデビューを記念して、ペブルビーチの座標が刻まれた専用シルプレートとロッカートリムも装備されている。
2025ルーシッド「グラビティX」コンセプト ルーシッド
2025ルーシッド「グラビティX」 ルーシッド
見通しと影響
展示されるコンセプトはこれらだけではないかもしれないが、EV分野におけるSUVへの継続的な注力と、米国の消費者がオフロード機能を備えた車を購入する傾向を反映していることを示しており、キャデラックとルーシッドのコンセプトに対して、アキュラはより洗練された都会的な側面を体現している。アキュラとルーシッドコンセプトカーは生産に近く、数ヶ月以内に市場に投入されるが、キャデラックはまだそれほど進んでいない。
ルーシッドは「グラビティX」の生産を確認しておらず、車の生産をスピードアップするのにいくつかの問題を抱えているようである(米国:2025年8月14日:ルーシッド「グラビティ」の生産に問題があり、販売開始が遅れている–報道参照)、「グラビティ」ラインナップのオプションとしてバリアントを開発することは論理的な動きであり、ルーシッドにパフォーマンス能力をより焦点を絞った領域に拡大する機会を与えることができる。アウトライト・オフロード・モデルではないにしても、少なくともオフロード・トリム・レベルを持つことの魅力は、ブランドイメージの観点からも強く、一般的に利益率のより高いバージョンを作る機会となり、製品ライン全体の収益性を向上させる可能性が高い。
GMはキャデラックのICEの時代が終わりには程遠いことを認識しているが、キャデラックの「エレベーテッド・ベロシティ」で追求された機能と哲学は、今後のEV製品へのブランドのコミットメントを構築し続けるだろう。「エレベーテッド・ベロシティ」は、「オピュレント・ベロシティ」とソレイコンバーチブルコンセプトから発展したキャデラックの設計開発にうまく組み込まれている(米国:2024年7月23日:キャデラックがコンバーチブルEVのコンセプトを発表参照)。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
欧州の自動車業界リーダーがEUのICE販売禁止に反対を強める
2025年8月12日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-フランス-ドイツ-イタリア-スペイン-英国
方針・規則、経費、企業、ライトビークル、中型&大型商用車、人事、コーポレート
Tim Urquhart, Principal Analyst


EUが掲げる、2035年までの内燃機関(ICE)車の販売禁止などの気候変動公約の一環として、自動車の排ガス目標達成に向けてどのような手段を講じたいと考えているかについて、欧州自動車業界の主要人物の間ではコンセンサスができつつある。メルセデス・ベンツのCEOオラ・ケレニウス氏は、消費者に利益をもたらす一方で、欧州のOEMsに商業的な不利益をもたらす可能性があるという点で、EUの現在の法的ロードマップに懸念を表明している最も重要な人物である。欧州自動車工業会の会長であり、メルセデス・ベンツのCEOでもあるケレニウス氏は、ドイツの経済紙ハンデルスブラットとのインタビューで懸念を表明した。ICEの禁止と、それがヨーロッパのOEMsの競争力にどのような影響を与える可能性があるかについて尋ねられたとき、ケレニウス氏は「我々は現実を確認する必要がある。そうでなければ、我々は全速力で壁に向かって進むことになる」と同氏は述べ、禁止措置が進めば欧州の自動車市場は「崩壊」する可能性があると付け加え、「もちろん我々は脱炭素化しなければならないが、それは技術中立的な方法で行われなければならない。我々は我々の経済を見失ってはならない」と述べた。同氏は、税制上の優遇措置や充電ステーションでの安価な電力料金を通じて、電気への移行を円滑に進めることができると述べた。
トヨタの欧州部門のプロダクト&マーケティング責任者であるアンドレア・カルッチ氏は、EUが二酸化炭素排出量目標を達成するためには、より技術中立的なアプローチが必要であると述べた。Automotive News Europe(ANE)のインタビューでカルッチ氏は、トヨタの電動化へのアプローチは今や正当化されつつあると語った。トヨタはハイブリッド車の商用化で先駆的な役割を果たしたにもかかわらず、電気自動車 (BEV) の量産化では他の旧型OEMsに比べて大幅に遅れていた。トヨタの豊田章男会長は数年前、BEVはカーボンニュートラルなモビリティの一つの解決策ではあるが、唯一の解決策ではないと発言し、批判を浴びた。これについてコメントを求められたカルッチ氏は、「振り返ってみると、豊田氏が物事を大局的に見たのは正しかったと言わざるを得ない。欧州では、規制は電気自動車に焦点を当てている。これはどこでもそうではない。基本的にトヨタが一貫して守り続けてきたのは、消費者を重視する姿勢である。パワートレインの適切な組み合わせを決定し、複数の選択肢があり-さまざまなソリューションが確立されるには時間がかかるのでそれを消費者の需要に合わせることは、現時点では特に難しい。当社は過去にこれをディーゼルで見たことがある。フル電動やハイブリッドのパワートレインでは、再びそれが見られる。最終的には、炭素が敵であることを認識しなければならない。したがって、この組み合わせには、二酸化炭素排出量を削減するためのいくつかの技術が含まれていると思う」と述べた。カルッチ氏はさらに、トヨタは現代的で効率的なICEのパワートレインとさまざまなハイブリッド化を組み合わせることが、欧州のライトビークルの二酸化炭素排出量目標を達成するためのソリューションの一部であると考えていると付け加えた。「しかし、当社は液体水素のような新しい技術も探求する。しかしながら、最終的には、1つの技術だけで行く必要があるかどうかは、規制当局次第である」と同氏は述べた。
見通しと影響
欧州の業界関係者の間では、EUが二酸化炭素排出量の目標を達成するための効率的な手段であると同時に、消費者が日々のニーズに合った製品を見つけるのに役立つものとして、ICEの禁止に疑問を投げかける声が高まっている。シュコダのCEOクラウス・ゼルマー氏も、ICEの禁止は同社が意図した目標を達成するための適切な手段であり、規制当局は顧客の選択と需要にもっと重点を置く必要があるとの疑念を表明した。ゼルマー氏は最近、欧州の電動化のペースを遅らせるべきかと尋ねられ、「そうではないが、顧客の声に耳を傾ける必要がある。敵はCO2であり、技術ではない。競争力のある価格、アクセス可能な充電、魅力的な車が必要である。強要する問題ではない。将来は効率のために電気自動車になるが、消費者が進むべき道を決めなければならない」と述べた。欧州の業界では、上級幹部がこの立場をとることが増えているようである。この一貫したメッセージは、EUの2035年のICE禁止令がEUの法的機関によって再検討される時期に出され、欧州委員会は以前、提案された禁止令は2025年後半に再検討されると述べていた。BEV販売の減速と、米国の関税、中国市場での激しい競争、複数のパワートレイン技術の開発コストをめぐって欧州のOEMsが強い圧力を受けていることを考えると、計画されている見直しの前に禁止に反対するロビー活動が強化される可能性が高いと言っても過言ではない。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国で自動車メーカー4社が計24,000台をリコール
2025年8月7日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
メルセデス・ベンツ・グループAG、ルノー、現代自動車、トレイトン SE|企業、コンポーネント、ライトビ
ークル、中型&大型商用車、リコール
Jamal Amir, Principal Research Analyst
聯合ニュースが韓国国土交通部の話として伝えたところによると、現代自動車、メルセデスベンツコリア、ルノーコリア、マントラックバスコリアは、韓国で21車種24,555台を自主回収する計画である。同部によると、メルセデス・ベンツ・セダン「E350 4マチック」のエンジン制御装置 (ECU)、現代自動車のバン「ソラティ」のホイール固定ナットの緩みの可能性、ルノー・コリアのセダン「SM6」の真空ポンプシステムの欠陥などがリコールの対象となったという。
重要性: 自動車メーカー4社すべてで是正処置を実施している。自動車のリコール件数は、車種間での共通部品の使用増加や、一連の不祥事を受けた自動車メーカーのより積極的な取り組みの結果、近年増加している。韓国におけるリコール件数の増加は、同国当局の警戒心の高まりも反映している。最近、韓国では起亜自動車やBMWコリア、現代自動車など14車種に及ぶ、計16,577台が韓国における個別の問題で自主回収された。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本政府、事前に合意したとおり米国に自動車関税の履行を要請
2025年8月7日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-日本-米国
方針・規制
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
二国間貿易協定の解釈の違いが石破茂首相の脆弱な政権への圧力を強めている中、日本は米国に自動車関税の合意された引き下げの迅速な実施を求め、その他の物品への課税について明確化を求めた。ロイター通信によると、日本政府の発表文を引用して、赤沢亮正経済再生担当相が8月6日、ワシントンでハワード・ラトニック米商務長官と会談し、日本の自動車・自動車部品に対する米国の関税引き下げ合意の早期履行の重要性を強調したと伝えたという。
重要性: 米国は7月22日、日本からの自動車輸入の関税率を15%に維持することで日本との貿易協定に合意したと発表した。この税率は、以前の2.5%最恵国待遇 (MFN) の税率よりは大幅に高いが、4月3日に発効した米国通商拡大法232条に基づく税率27.5%よりは低い。自動車輸入税の軽減と引き換えに、日本は米国製自動車の追加安全試験を廃止し、既存の無関税枠組みの中で米国産コメの輸入を増やし、日本の投資によるサプライチェーンの強化に向けて米国と協力することに合意した。特に、この合意には、米国の主要産業と技術に最大5,500億米ドルを投資するという日本のコミットメントが含まれている。ただし、この投資額の具体的な内容については、メディア報道で一部混乱が見られる (日本-米国:2025年7月28日:メディア報道は日本と米国が明らかにした貿易協定の詳細に相違があることを示唆する参照) 。両政府にとって具体的な内容を盛り込んだ共同声明を出すことが重要である。契約条件をめぐる現在の混乱を考えると、明確さが提供されなければ状況が悪化する可能性がある。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
三菱自動車、フィリピンでハイブリッド車生産検討
2025年8月4日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–フィリピン
三菱自動車工業株式会社|生産、企業、ライトビークル、電動化、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst
フィリピンでの電気自動車の需要増加を反映した戦略的な動きとして、三菱自動車工業株式会社はハイブリッド車の現地生産の実現可能性を評価していると、マニラタイムズが報じている。三菱自動車の社長兼CEOである加藤隆雄氏は、ハイブリッド車が現在の同国の市場状況に適したソリューションになると強調し、この開発の可能性を発表した。加藤氏は、将来は電気自動車 (BEV) に傾いているかもしれないが、フィリピンはまだ広範な採用に向けて十分な準備ができていないと強調した。「フィリピンにBEVを導入するのは時期尚早であると思う」と同氏は述べ、特に充電インフラの不足という既存の課題を指摘した。現在、内燃機関と電気モーターを組み合わせたハイブリッド車は、同国の電気自動車販売の最大セグメントであり、消費者にとってより現実的な選択肢となっている。
重要性:三菱は、フィリピン政府の優遇措置を活用したい考えである。昨年、同政府はEO12ゼロ関税プログラムを拡大し、ハイブリッド車 (HEV) も対象に加えた;これまではBEVなどのゼロエミッション車に限られていたが、このプログラムは2028年まで継続する。提案されたハイブリッド車の生産は、ミツビシ・モーターズ・フィリピンズ・コーポレーションの現地組立工場で行われる。しかしながら、加藤氏は大きな障害があることを認めた:ハイブリッド・コンポーネント・システムの現地サプライヤーが存在しないことである。「現時点では、フィリピンにハイブリッドコンポーネントシステムのサプライヤーは存在しない」と同氏は述べ、現地でのサプライチェーンの確立がこの取り組みの成功に不可欠であることを示唆した。世界規模では、アジアを中心にハイブリッドシステムの自主開発に注力し、ハイブリッド製品の提供の拡充を図る。同自動車メーカーは最近、EV化戦略を見直し、ルノーのアンペールプロジェクトなど中国や欧州での一部事業から撤退している。加藤氏は、三菱はアジアでは独自開発を進めるが、欧州など特定の地域では日産やルノーなどの企業との提携を模索する可能性があると述べた。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
上半期のEU CV登録は減少
2025年8月1日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-フランス-ドイツ-イタリア-スペイン-英国売上高、市場、ライトビークル、中型&大型商用車、電動化
Ian Fletcher, Principal Analyst
ゲッティイメージズ


欧州では2025年上半期に商用車 (CV) 登録台数が減少している。欧州自動車工業会 (ACEA) が公表したデータによると、3.5トン未満の小型商用車 (LCV) と中型&大型商用車 (MHCV) の販売がいずれも減少したが、3.5トン以上の中・大型バスやコーチは増加した。
2025年上期の欧州LCV販売台数は、前年比13.2%減の912,596台となった。アイスランド、ノルウェー、スイスからなる-欧州自由貿易連合 (EFTA) 地域での-販売も前年比17.6%減の26,910台、英国では前年比12.1%減の156,559台となった。しかしながら、最も影響が大きかったのはEUで、LCVの販売台数は前年比13.2%減の729,127台となった。EUでは、上半期のLCV販売台数に最も貢献したのはフランスで、前年比12%減の184,352台であった。ドイツとイタリアは、また、それぞれ前年比14.7%減の128,813台、11.7%減の98,843台となり、LCV市場全体の下押し要因となった。それとは対照的に、スペインは前年比11.2%増の95,154台、2024年の第4四半期に悪天候に見舞われた後の買い替えが寄与したとみられる。その他のEU諸国のLCV市場の大半は今年上半期に減少し、スウェーデン、デンマーク、チェコ、オーストリアでは2桁の減少となり、オランダではバッテリーを搭載しない電気自動車 (BEV) への優遇措置の終了と国内都市での低排出ゾーンの拡大で、登録台数が前年比で79%も減少した。しかしながら、ベルギー、フィンランド、リトアニア、ルクセンブルクを含む一部の市場では成長が見られ、ポーランドでは非常にわずかな増加となっている。
欧州における2025年上半期のMHCV登録台数は前年比14.9%減の183,930台となった。英国は年初来の累計値の前年比11.2%減の23,907台、欧州自由貿易連合 (EFTA) 地域は前年比16.7%減の4,656台となった。やはり、最大の量はEUから来ており、MHCV登録は前年比15.4%減の155,367台であった。このうち、EUでは、GVW 3.5トン~16トンのMCVが前年比20%減の25,421台、GVW 16トン超のHCVが前年比14.5%減の268,952台となっている。上半期にEUでMHCVの販売台数に最も貢献したのはドイツで、前年比27.5%減の37,994台であった。一方、その他主要市場では、フランスが前年比18.8%減の23,167台、ポーランドが前年比3.3%減の15,022台、イタリアが前年比13.3%減の14,535台、スペインが前年比13.6%減の14,044台となった。
2025年上半期には、COVID-19パンデミックからの回復が続き、バス登録台数はさらに増加した。欧州での登録台数は前年比4.1%増の24,695台となった。しかし、EUのバスとコーチの登録台数が前年比4.4%減の18,123台となった一方で、EFTAが前年比34.5%増の1,174台、英国の販売台数が前年比38.9%増の5,398台となったことで相殺された。
ACEAは欧州のCVの燃料の種類のデータも公表している。EUでは2025年上半期も引き続きディーゼル車が、LCVの82%、MHCVの93.6%と市場の大部分を占めて続けている。電動パワートレインへの移行はこの時期も続いた。実際、プラグインパワートレイン搭載のLCVは2025年上半期に前年比42.1%増の68,966台、プラグインパワートレインのMHCVカテゴリーでは前年比46.1%増の5,568台となった。しかし、シェアは依然として比較的低く、バンが9.5%、トラックが3.6%となっている。また、LCVハイブリッドパワートレイン (マイルドタイプ含む) の販売台数は、2025年上半期で前年比7.1%増の19,006台となり、その時期のシェアは2.6%に拡大した。
バスの燃料の種類のシェアはより多様であり、これらの車両の多くが排出量削減の推進がはるかに長く行われている都市環境で使用されていることを反映している。ディーゼルパワートレインの市場シェアは、EUでは2024年上半期に66.2%から64.7%に低下した。ただ、プラグインタイプは16.4%から21.6%に増加し、バスのハイブリッド・パワートレインは10.2%から6.9%に減少した。残りの6.9%は幅広い種類の代替燃料の種類で構成されており、2024年上半期の7.4%から減少した。
見通しと影響
2024年は明暗入り交じった年間業績となったが、2025年上半期は、過去数年間市場を支えてきた牽引力が衰え、CVカテゴリーはより厳しい環境に直面した。これらは現在、特に関税に関する地政学的環境を考えると、経済的な逆風と不確実性に取って代わられている。しかしながら、LCVカテゴリーでは、当初2025年中に目標としていたより厳しいCO2排出量目標を推進する圧力が若干低下している。これは、今年のWLTPベースのCO2排出量が約189.9 g/kmから153.9 g/kmに減少することを意味していた。しかしながら、現在では2025年から2027年までの平均目標に修正されており、自動車メーカーは当初の業績不振をその後の数年間の過剰業績で相殺することができる。S&P Global Mobilityは、EU+EMEA+英国におけるGVW 6トン未満のLCVの登録台数が前年比10%減少すると予測している。これも、2019年に記録した同型車のレベルを約16%下回ることになる。当社は、販売台数が今後数年間で幾分改善すると予測しているが、2021年と同程度にとどまり、年末まではパンデミック前の水準を下回るであろう。2025年5月の最新のライトビークル販売台数の電動化サマリーでは、EUでは2025年にBEVの市場シェアが9.7%となり、2029年には前年比27.8%に上昇すると予測している。
MHCVカテゴリーについては、S&P Global Mobilityのグローバル大型トラックリサーチチームのアソシエイト・ディレクターであるエワ・ルート氏は、今年上半期の減少にもかかわらず、買い替え需要のおかげで地域の一部のHCVメーカーは今年の受注を維持していると述べた。しかしながら、経済的な逆風、関税に関連する不確実性、総所有コストの上昇により、販売は低迷している。S&P Global Mobilityは、中・西ヨーロッパが2025年に前年比約7%のマイナス成長となり、2026年は小幅なプラス成長になると予測している。特にこの地域のトラック駐車場は比較的古いため、フリートは新しい規制に従わなければならない。これは市場にある程度の後押しを与えるはずである。しかしながら、総販売台数は、景気低迷と貨物需要の低迷の影響を受け続けるため、2026年には2023~2024年度の水準を下回ると予想される。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代コーポレーション、シグマを3,760万ドルで買収しポートフォリオを拡充
2025年7月21日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
合併・買収 (M&A)、企業、コンポーネント、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst
事業ポートフォリオの多角化を狙った戦略的な動きとして、韓国の現代コーポレーションが自動車部品サプライヤーのシグマ社を523億ウォン (3,760万米ドル) で買収することに成功したとMaeil Business Newspaperが報じている。今回の買収は、現代コーポレーションが伝統的な貿易事業の枠を超えて、自動車分野を中心とした新産業に進出するという意図を示している。現代コーポレーションは、シグマの発行済み株式の77.6%を取得し、同社の経営権を確保することに合意したと発表した。2007年に設立されたシグマは、自動車部品市場でニッチ市場を開拓し、インテリア照明とトリム部品の製造に特化している。現代自動車や起亜自動車など主要自動車メーカーの約30車種に採用されているドアライトやムード照明、各種電子部品などを提供している。特に、シグマは韓国の自動車業界にムード照明を初めて導入し、自動車照明市場で重要な位置を占めている。この革新は、シグマを競合他社と差別化しただけでなく、この分野での大部分の市場シェアを獲得することを可能にした。今回の買収により、現代コーポレーションはシグマの確立された製品競争力と広範なグローバル販売インフラを活用することができる。
重要性: 現代コーポレーションの戦略は、自動車分野での能力強化に集中しているように見えるが、これは革新とカスタマイズに向かうより広範な業界の傾向に沿った動きである。現代コーポレーションは、シグマの専門製品を自社製品に統合することで、新たなビジネス機会を創出し、自動車内装品の総合的な顧客体験を向上させることを目指している。先進的な機能と美観に対する消費者の要求が高まり、自動車産業が進化を続ける中、現代コーポレーションのシグマ買収は時宜を得た取り組みである。これは、市場の変化に適応し、自動車市場の主要セグメントでの基盤を拡大するという同社のコミットメントを反映している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
独首相、ハイヤー会社にBEV購入を義務付ける欧州委員会の計画を批判
2025年7月23日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-フランス-ドイツ-イタリア-スペイン
方針・規制、生産、企業、ライトビークル、製品、コーポレート
Tim Urquhart, Principal Analyst
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、欧州連合が進めている、レンタカー会社や大企業による非電気自動車の購入を2030年から禁止する計画を批判した。法案をめぐる現在の議論では、シックストやヨーロッパカーなど欧州の大手レンタカー会社は、それ以降は電気自動車 (BEV) しか購入できなくなる。Bildの報道によると、EUの行政執行機関である欧州委員会は、議会の承認を得る前に、ライトビークルの電動化計画を加速させることを目的とした最初の法案を数週間以内に発表するという。メルツ氏は、提案された措置は「欧州が現在抱える共通のニーズを全く理解していない」と述べ、自動車産業はEUの中核産業の1つだと強調した。「特定の期限までに市場に導入する準備が整っていない単一の技術に依存することで、自動車産業を壊してはならない。」
重要性: 自動車の燃料タイプに関して、義務化や相手先ブランド名製造メーカー(OEMs)がBEVを押し付けるのではなく、消費者により多くのコントロールを与えようという議論がある中で、この法案は不必要に高圧的に見える。メルツ氏はOEMsへの影響に焦点を当てているようだが、EUはレンタカー会社から最大の反発を受ける可能性が高い。短期間、車を借りることは、BEVを所有することとは大きく異なる。レンタカーの顧客は何よりも使いやすさとコストを優先するが、これらは時にはBEVの強みではないこともある。さらに、大手レンタカー会社は、あまりにも急速に車両を電動化した結果、すでに多額の財務損失を被っている。その結果、この提案に反対してヨーロッパの主要なレンタカー会社から本格的なロビー活動が行われる可能性が高く、特に、顧客が単に借りたくない車をレンタカー会社が引き受けることを余儀なくされる可能性があるからである。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米国、EUとメキシコへの関税引き上げを8月1日に決定-報道
2025年7月14日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-ヨーロッパ-メキシコ-米国
政策・規制、貿易 (輸出入)、生産、ライトビークル、製品
Stephanie Brinley, Associate Director
ドナルド・トランプ米大統領は欧州連合とメキシコに対し、8月1日から関税を30%にすると通知し、書簡は各国に送られ、報道によると大統領のプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に掲載されたという。書簡は7月12日に投函され、広く報道された。ロイターによると、書簡はEUに対し、すべての関税を撤廃するよう要求し、「欧州連合は、巨額の貿易赤字を削減するために、米国に関税を課すことなく、米国への完全で開かれた市場アクセスを認めること。」と述べたと伝えられている。AP通信の報道によると、EUは7月14日から始まる予定だった報復関税の発動を見合わせることを選択したという。ロイターによると、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長も、関税は貿易に悪影響を及ぼすとの考えを示した。フォンデアライエン氏は、30%の関税は「大西洋を挟んだ重要なサプライチェーンを混乱させ、大西洋の両側の企業、消費者、患者に損害を与えることになる」と述べたと伝えられている。EUは交渉を続けると述べた一方で、同氏は「必要な場合には相応の対抗措置をとることを含め、EUの利益を守るために必要なあらゆる措置をとる。」とも述べた。ロイターによると、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は、メキシコでのイベントで、まだ合意に達することができると信じていると述べたと伝えられている。同氏は、「私はいつも、このような場合、どんな問題にも冷静に向き合わなければならないと言ってきた。また、当国が米国政府と協力できることとできないことも明確にしている。そして、絶対に譲れないものがある:それは、当国の主権である。」と述べたと伝えられている。
重要性: 8月1日の期限が近づくにつれて、同様の発表が続くと予想される。米国は、トランプ氏が4月に広範な関税導入計画を発表して以来、主に交渉を続けてきたが、現時点では3カ国との枠組み合意にしか成功していない。これらの関税は、米国大統領が4月3日に発表したものであるが、最終的には90日間延期され、7月7日に再び8月1日まで延期された。しかしながら、同大統領は5月末と7月初めに、関税率を設定するだけであると発言したことを踏襲している。メキシコとEUの場合、これらは4月に設定されたものよりも著しく高い。20%ではなく、EUは30%に直面している;25%ではなく、メキシコは30%に直面している。これらの関税率は米通商拡大法第232条に基づく自動車・同部品への25%、鉄鋼・アルミへの50%、銅への予想される50%の追加関税とは異なる。大統領が以前の大統領令に忠実であれば、米通商拡大法232条の関税はこれらの一般関税に追加されない。トランプ氏はまた、米通商拡大法232条に基づく半導体チップへの関税が近く発表されることを示唆している。より高い一般関税を課すことは、実質的に国境を越えて米国に来るすべての製品のコストを上昇させることによってマクロ経済環境に影響を与え、米国から輸出される製品のコストを上昇させる報復関税を生み出すことが予想される。カナダはすでにそう実施している数少ない国の1つで、米国からカナダに輸出される自動車に25%の関税をかけている。しかしながら、米通商拡大法232条に基づく関税が自動車業界に最も直接的な影響を及ぼすことに変わりはない。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日産、新型「キャラバン」を来月発売へ
2025年7月17日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
日産自動車株式会社|製品
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
Car Watchによると、日産自動車株式会社は8月25日に新型「キャラバン」を発売し、価格は2,708,000円 (18,216米ドル) から4,583,000円である。また、キャンプ用途を中心にカスタマイズ性を追求した「プレミアムGXアウトドアブラックエディション」を3,356,000円~4,426,000円で設定した。今回の改良では、インテリジェントクルーズコントロール、先行車発進お知らせ機能、車線変更時のコンフォートフラッシャー、タイヤ空気圧警報システムなどの先進安全機能を搭載し、長距離ドライバーの安全性と快適性の向上を図っている。改良されたスパイナルサポート機能付きシートは、衝撃吸収性・低反発クッション材を採用し、快適性と疲労軽減を実現した。また、9インチの大型ナビゲーションシステムを搭載可能とした新型ナビフィニッシャーは、視認性の向上とより快適な室内空間を実現した。
重要性:「キャラバン」は、CV-Lプラットフォームをベースとした日本のDセグメント商用バンである。2024年の販売台数は約18,700台で、Dバンセグメント全体の18.7%を占めている。昨年のこのセグメントにおける総販売台数の約64%を占めたトヨタ「ハイエース・レジアスエース」に次ぐ2位となった。S&P Global Mobilityは、2025年の日本での「キャラバン」モデルの販売台数を約22,000台と予想している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国GM労組、賃金交渉決裂で部分ストを発表
2025年7月11日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
ゼネラル・モーターズ|施設・運営、生産、企業、ライトビークル、人事、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst
韓国ゼネラル・モーターズ (GM) の労組が、継続する賃金交渉で同社の経営陣との意見の相違を解消できず、部分ストに突入したと、聯合ニュースが報じている。労組は7月10日、全シフトを対象に2時間の部分ストを開始し、要求が受け入れられなければ7月14日から4時間ストに拡大する計画である。さらに、労組は時間外労働の拒否を約束し、経営への圧力が強まっている。
重要性: 両者は、仁川の韓国GM富平工場で開かれた第12回賃金交渉でも、突破口を見いだせなかった。労組の要求は、賃上げだけでなく、GMの韓国内サービスセンターや遊休施設の売却案の撤回などである。組合は、資産売却計画を、意味のある賃金交渉を進める前に解決しなければならない重要な問題と考えている。賃金面では、労組は月141,300ウォン(102.66米ドル)の基本給引き上げと4,136万ウォンの成果給を要求している。一方、経営陣は、国内売上高の減少と米国の関税の脅威による財政的圧力を理由に、はるかに控えめなパッケージを提案している。経営陣はまた、サービスセンターを段階的に売却し、稼働率の低い施設を処分する意向を表明し、リストラ戦略を擁護している。同自動車メーカーは従業員に対し、全国386カ所の提携サービスセンターを通じてカスタマーサポートを継続し、影響を受けた拠点の従業員の雇用を維持すると約束した。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
トランプ米大統領、相互関税導入を8月1日に延期、複数の国に書簡を送付
2025年7月8日-and|ヘッドライン分析-日本-韓国-米国
ゼネラル・モーターズ (GM)、本田技研工業株式会社、マツダ株式会社、三菱自動車工業株式会社、株式会社SUBARU、トヨタ自動車株式会社、 現代自動車|方針・規制、貿易 (輸出入)、生産、売上高、ライトビークル
Stephanie Brinley, Associate Director

ゲッティイメージズ

4月3日に発表された相互関税の発動期限の数日前、ドナルド・トランプ米大統領は関税の一時停止を8月1日まで延長した。トランプ氏は、8月1日までに合意に至らなかった場合の相互関税措置について14カ国に通知したと明らかにした。ホワイトハウスのファクトシートによると、「トランプ大統領は多くの国に書簡を送り、8月1日から新たな相互関税を適用すると説明し、これは、二国間貿易関係の条件を長期的により互恵的なものにし、米国の巨額の物品」の貿易赤字によって引き起こされた国家的な緊急事態に対処するための措置である。」という。一部の国は、4月2日に発表した水準よりも低い水準に改定される可能性があるが、ホワイトハウスは、4月に示した水準よりも高い水準になる国もあるとしている。
ホワイトハウスは、トランプ氏が今後数日から数週間でさらに多くの書簡を送る可能性があるとしているが、最初にリストアップされたのは14通であった。この14カ国のうち、米国に自動車輸出しているのはわずか4カ国で、かなりの量を輸出しているのは2カ国だけである。自動車生産国は日本、韓国、南アフリカ、タイの4カ国がリストに掲載されている。2024年、南アフリカとタイの輸入車は、米国のライトビークル販売の0.5%以下を占めていた。韓国からの輸入は8.7%、日本からの輸入は8.3%であった。4月2日の発表では、日本の新たな相互関税は24%に設定されていた;トランプ氏はこれを25%に引き上げた。韓国については、トランプ氏の書簡によると、8月1日以降の税率は4月2日から変わらず25%となるとホワイトハウスは述べた。
ホワイトハウスは5月、米国通商拡大法232条に基づく25%の自動車・自動車部品関税に相互関税は上乗せされることはないと発表していた。その結果、7月7日の発表がライトビークルや自動車部品の輸入に直接的な影響を与える可能性は低い。相互関税率は自動車以外の物品に影響を与え、最終的に導入された場合でもマクロ環境に影響を与える。しかしながら、自動車のすべての部品が自動車部品リストに載っているわけではない;米国での生産のためにこれらの部品を輸入する企業には、米国通商拡大法232条の税率ではなく相互関税率が適用される。ロイターの要約によると、米国通商拡大法232条の自動車部品の定義に含まれない一般的な自動車部品には、ドアハンドル、電子制御装置、一部のブレーキおよび先進運転支援システム部品が含まれる。
トランプ氏の書簡には、書簡を受け取った国からの報復関税の可能性に対処する条項も含まれていた。オートモーティブ・ニュースによると、トランプ氏が書簡を自身のトゥルース・ソーシャル・サイトに掲載したことに基づき、日本と韓国に宛てた書簡にも「何らかの理由で関税の引き上げを決定された場合、引き上げ幅にかかわらず、我々が課す25%に上乗せされる。」と書かれていたという。
見通しと影響
7月7日のホワイトハウスの声明は、交渉のための時間を増やす一方で、新たな関税水準の設定日を8月1日に設定するという点で威嚇的な姿勢をとっている。最初に挙げた14カ国のうち、米国のライトビークル市場に大きな影響を与えているのはわずか2カ国であるという事実は、貿易と関税の問題が自動車や自動車部品以外の多くの産業に影響を与えていることを反映している。リストに掲載されている主要自動車輸出国である日本と韓国にとっては、交渉が難航していると報じられていることへのホワイトハウスの焦りがうかがえる。
S&P Global Mobilityは7月の予測ラウンド (予測顧客向けに7月16日に電子ファイル形式でこのリンク に提供予定) で、英国の枠組みが最終的に自動車の輸入関税と割当量設定の基礎となること、カナダ、メキシコ、中国以外の輸入品に対する新たな関税率が2026年初めまでに決定されること、現在の関税は米通商拡大法232条の25%を下回ることなどを想定した。米国の姿勢は依然として攻撃的であり、交渉は大統領が予想していたよりも困難であるように見えるが、7月の予測ラウンドでは、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの経済アナリストは、自動車と自動車部品の関税が貿易交渉を通じて年末までに大幅に引き下げられるとの予想を維持している。全体的な相互関税率の長期的な仮定に関連して、当社のエコノミストは、個別の取引やホワイトハウスのスタンスの変更によって、米国は最終的にどの国からの一般的な製品にも10%の関税をかけるという仮定を維持している。当社のエコノミストは、4月上旬から90日間となっている休止期間が、通商合意が実現するまで延長されるとの想定も織り込んだ。7月7日のホワイトハウスの声明は、実際には、休止をさらに1ヶ月近く延長しており、この延長は、継続的な交渉のためのスペースを与えるように策定されている。要するに、自動車業界から見れば、環境の変化はほとんどない。最終的にどのような関税になるかについては、これ以上の確実性はなく、交渉は継続されると予想される。
S&P Global Mobilityの6月の米国ライトビークル販売予測は、自動車輸入関税が2026年初めまでに現在の25%よりも低くなり、来年中には実質的に10%の普遍的な一般財関税が適用されるという前提で作成されており、2028年までの米国調達の変化はわずかと当社は予測している。2024年に米国で販売されたライトビークルの約54%が同国で生産された。2028年には57%に増加し、2020年には59%近くになると当社は予測している。数量ベースでは、米国での販売台数は2024年の870万台に対し、2030年には940万台となる。
米国の自動車価格設定と比較すると、自動車メーカーはこれまで、米国で製造された自動車の完全輸入や輸入部品のコスト増に伴う大幅な値上げを実施することをほとんど躊躇していたようである。むしろ、これまでに発表されたモデルイヤー (MY) の大半は、関連する車両や技術の更新を反映して、どのMYにおいても予想されるペースでの値上げとなっている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国OEMs、6月の世界販売は横ばい;現代自動車グループ、「UXスタジオソウル」を公開
2025年7月4日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
ゼネラルモーターズ、 ルノー、現代自動車|施設・運営、貿易 (輸出入)、経費、企業、販売、インフラ、市場、ライトビークル、中型&大型商用車、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst

ゲッティイメージズ

韓国自動車大手5社-現代自動車、傘下の起亜株式会社、韓国GM、ルノーコリア、KGモビリティ株式会社-は、6月の世界販売台数を発表した。S&P Global Mobilityが聯合ニュースの報道や企業生命を基にまとめたデータによると、先月の5社の相手先ブランド名製造メーカー(OEMs) の世界の自動車販売台数の合計は691,507台で、前年比0.2%ばかり増加した。このうち国内販売台数は前年比5..0%増の117,390台、海外販売台数は前年比0..7%減の573,465台となった。国内と海外を合わせた販売台数には、起亜自動車が販売する特殊用途車両 (SPV) は含まれていない。
韓国自動車メーカーの先月の総販売台数の半分以上を占める市場リーダーの現代自動車は、前年比1.5%増の358,891台と発表した。国内市場において、先月の同自動車メーカーの販売台数は、前年比3.8%増の62,064台であった。6月の販売台数はセダンの17,954台で、内訳は「グレンジャー」が5,579台、「ソナタ」が4,216台、「アバンテ」が7,485台であった。同自動車メーカーは、レクリエーショナル・ビークル(RV)も先月、「パリセード」の5,471台、「サンタフェ」の5,443台、「ツーソン」の4,453台、「コナ」の2,958台、「キャスパー」の1,205台など、計22,922台を販売した。先月の国内販売台数は、「ポーター」と「スターリア」がそれぞれ4,352台、3,800台、中・大型バスとトラックが2,505台であった。高級ブランド「ジェネシス」の6月の販売台数は10,454台で、「G80」が3,544台、「GV80」が2,954台、「GV70」が3,002台であった。一方、現代自動車の先月の海外販売台数は、前年比1.0%増の296,827台であった。現代自動車の匿名の関係者は、「多様な車種の販売が拡大し、国内外で販売が伸びた」とし、「当社は、今後も競争力のある新車を投入し、販売の勢いを持続させる」と話した。
起亜自動車は先月、SPVを含めた世界販売台数が前年比0.2%ばかり増加の269,652台に達したと発表した。このうちSPVの販売台数は前年比38.7%増の652台となった。スポーツ用多目的車 (SUV)「EV3」、電気自動車セダン「EV4」、ピックアップトラック「タスマン」などの新モデルの投入が販売を牽引したほか、SUV「スポーテージ」や「セルトス」などの主力RVラインアップも堅調に推移した。先月の同自動車メーカーの販売台数では、SUV「スポーテージ」が世界レベルにおいて47,492台を販売し、RVモデルがトップであった。SUV「セルトス」、「ソレント」はそれぞれこの市場実績を支え、それぞれ27,665台、19,758台を販売した。起亜自動車の6月の国内販売台数は、前年比4.5%増の46,003台であった。際だった国内モデルはSUV「ソレント」で7,923台の販売を達成した。続いて多目的乗用車(MPV)「カーニバル」 が6,714台、SUV「スポーテージ」が6,363台の販売台数となった。起亜自動車の先月の海外販売台数は、前年比0.8%減の222,997台であった。モデル別では、「スポーティージ」が41,129台を販売し、韓国以外の市場でブランドの業績をリードした。SUV「セルトス」が22,565台、「K3」セダン(一部市場では後継のコンパクトセダン「K4」を含む)が18,342台と続いた。起亜自動車は、「PV5」、「EV5」などの新モデルを発売し、販売の勢いを持続させようとしている。同自動車メーカーは、顧客重視の戦略と戦略的投資を通じて、販売の成長を促進し、世界の電動化におけるリーダーシップを強化することを目指している。
韓国GMの先月の世界販売台数は45,165台で、前年比7.6%と減少した。GM子会社であるOEMの国内販売は前年比32.7%減の1,279台、海外販売は前年比6.5%減の43,886台となった。
KGモビリティは6月の世界販売台数が前年比1.4%減の9,231台であったと発表した。先月の同自動車メーカーの国内販売は前年比26.1%減の3,031台、一方、海外販売は前年比18.0%増の6,200台であった。会社役員は「今月発売予定のアクティオン」ハイブリッドが国内市場で高い関心を集めており、国内販売の伸びが期待できる」と述べた上で、「当社は、海外での新製品投入や差別化した販売戦略でグローバル市場に積極的に対応し、販売台数の拡大を図る」と付け加えた。
ルノーコリアの6月の世界販売台数は、前年比4.8%減の8,568台であった。先月のOEMの国内販売台数は前年比145.6%増の5,013台、一方、輸出台数は前年比48.9%減の3,555台であった。同月の国内販売では中型SUV「グランドコレオス」が好調に推移した一方、海外販売では同自動車メーカーの輸出で重点を置く中型SUV「QM6」やSUV「アルカナ」が伸び悩んだ。
現代自動車グループ、「UXスタジオソウル」を公開
現代自動車グループは、ソウル江南区に最新イノベーション・ハブ「UXスタジオソウル」をオープンした。企業のプレスリリースによると、この参加型研究センターは、モビリティ体験の開発方法に革命を起こし、顧客が自動車のユーザーエクスペリエンス (UX) の未来を形作る上で積極的な役割を果たすことを可能にする。この取り組みは、現代自動車のイノベーションへのコミットメントを示すだけでなく、顧客のフィードバックを理解し、車両開発プロセスに統合するための積極的なアプローチを反映している。「UXスタジオソウル」は、世界の自動車業界で最初のオープンな研究プラットフォームの1つとして際立っており、顧客は先駆的なUX研究に直接従事することができる。来場者は、さまざまな未来のモビリティ環境を探索し、実践的なアクティビティに参加し、その洞察が車両の機能やデザインにどのように影響するかを直接目の当たりにすることができる。現代自動車グループの副社長兼Feature戦略室の常務であるキム·ヒョリン氏は、「最高のUXに対する当社のビジョンは、利便性を超えて、真に感動的なモビリティ体験を促進する」と述べている。
スタジオの1階には「オープンラボ」があり、3つのエリアに分かれたインタラクティブな空間となっている:UXテストゾーン、ソフトウェア・デファインド・ビークル (SDV) ゾーン、UXアーカイブゾーン。各エリアは、現代自動車のモビリティUXへのアプローチを定義する最先端のテクノロジーと研究プロセスに触れるユニークな機会を提供するように設計されている。
UXテストゾーンでは、3つのセクションでUXの研究プロセスを体験できる:UXインサイト、UXコンセプト、UX検証。ここでは、実験的な車両コンポーネントを操作した後にアイデアを提出したり、仮想現実 (VR) デバイスを使用してさまざまなUXコンセプトを検討したり、車内での相互作用を検証する運転シミュレーションに参加したりすることができる。
SDVゾーンでは、開発者会議「Pleos 25」で発表された電気/電子アーキテクチャを展示し、現代自動車の先進的なハードウェアおよびソフトウェア技術に焦点を当てている。このアーキテクチャは、システムの複雑さを簡素化し、継続的なソフトウェア更新を可能にすることを目的としており、また、SDVテストベッドでは、シームレスなモバイルと車両の統合と高度な音声コントロール機能を備えた次世代インフォテインメントシステム、PleosConnectを体験できる。
UXアーカイブゾーンでは、現代自動車のUXジャーニーの進化を記録し、情報表示技術の大幅な進歩を紹介する展示を行っている。
2階には、詳細な研究とプロトタイプテストのために設計された没入型UX研究施設である「アドバンスト・リサーチ・ラボ」がある。このスペースには、ワークショップのためのUXキャンバス、個々のUXコンセプトを開発するための「フィーチャー開発ルーム」、包括的なUX検証のために実世界の環境をシミュレートする「シミュレーションルーム-アーク」が含まれている。
現代自動車グループは、上海やドイツのフランクフルト、カリフォルニア州アーバインなどでグローバルUXスタジオを運営し、地域別のユーザーの意見を収集し、ユーザーの好みを世界の車両デザインに反映させている。「UXスタジオソウル」は、ソチョにあった元のUXスタジオに代わるもので、アクセシビリティを向上させ、UX開発プロセスにおけるユーザーエンゲージメントの範囲を拡大する。
結論として、「UXスタジオソウル」のオープンは、現代自動車グループのイノベーションの旅路における重要なマイルストーンとなる。顧客インサイトがモビリティ体験の開発に不可欠なコラボレーション環境を育成することで、現代自動車はユーザー体験を向上させるだけでなく、自動車業界の電動化と自動運転車への進化の最前線に位置している。
見通しと影響
国内市場の改善に支えられ、6月の韓国自動車メーカーの総世界販売台数は、海外販売がやや減少したものの、前年比で0.2%増加した。先月の国内市場の成長は、経済の不確実性、政治の不安定さ、全般的に低迷する世界の自動車環境を背景に際立っている。6月の販売増は、政府の景気刺激策や環境に配慮した新型車への旺盛な需要、大手ブランドの好調な業績が要因となった。
S&P Global Mobilityの予測によると、2025年の韓国の新車ライトビークル市場は緩やかな回復を示し、前年比0.7%の成長を見込んでおり、総販売台数は約160万台となる見込みである。この控えめな成長予測は、2024年の景気後退に続くものである。韓国政府が自動車産業を米国の関税から守り、輸出減少を見込んだ内需を刺激するための迅速な支援策を発表した。輸出減少による企業の売上高への影響を軽減するため、同政府は電気自動車 (EV) の割引販売に対する補助金や、新車購入に対する個人消費税の優遇措置を拡充することを決めた。
こうした支援策にもかかわらず、全体的な韓国経済の成長は依然として一様ではない。好ましくないベース効果や外部不確実性の高まりなどの要因が、引き続き経済を圧迫している。2024年12月に大統領が突然戒厳令を宣言し、その後弾劾投票が行われるなど、国内政治情勢も騒然としている。こうした政治的不安定は、経済の不安定化や政府の裁量的支出の減少につながり、消費者信頼感を低下させる可能性がある。しかしながら、歴史的な傾向は、この政治的混乱の影響が一時的である可能性を示唆している。経済成長は、2025年に減速した後、2026年に徐々に勢いを取り戻すと予想される。AI技術への需要が輸出を後押しする可能性がある一方で、米国の貿易政策や世界的な保護主義に対する懸念が大きな課題となっている。これらの外的要因は、世界的な需要の減少と相まって、韓国経済の回復を制約する可能性が高い。
韓国の自動車市場は、2025年には若干の回復に向かっているものの、政治的・経済的な不確実性が複雑に絡み合った状況を切り抜けなければならない。政府の積極的な対策は業界を支える上で重要であるが、外圧は市場の方向性を決める重要な要素であり続けるであろう。当社のライトビークル販売台数データは、乗用車と小型商用車のみを対象としている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
三菱、欧州で新モデルプログラム開始へ
2025年6月30日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-フランス-ドイツ-イタリア-スペイン
三菱自動車工業株式会社|施設・運営、企業、売上高、ライトビークル、製品、コーポレート
Tim Urquhart, Principal Analyst
三菱自動車は、欧州の自動車市場を大きく変革し、年間販売台数を-実質前年比20~30%増の-75,000台から8万台にすることを目指している。この野心的な目標は、ルノーから供給される2つの新しいモデルの導入によって支えられており、この地域での波乱に満ちた最近の歴史を経て、同社にとって戦略的な転換点となる。三菱自動車は2020年、COVID-19の感染拡大で多額の損失を被ったとして欧州市場からの撤退を表明した。しかしながら、同社は2021年にルノーと生産分与契約を締結してこの決定を覆し、欧州市場に再び注力する下地を作った。リージョナルCEOのフランク・クロル氏が述べているように、特に自動車業界が電動化と持続可能なモビリティソリューションへと移行している今、ルノーとの提携は重要である。ルノーの「クリオ」をベースにした小型車「コルト」、「キャプチャー」をベースにした小型SUV「ASX」、「シンビオズ」プラットフォームをベースにした小型SUV「グランディス」などが発売される。「グランディス」は今年後半に発売される予定で、この地域における三菱のポートフォリオはさらに多様化する。この戦略的提携により、三菱はルノーの既存のプラットフォームを活用できるだけでなく、欧州で存在感を増しつつある中国の自動車ブランドに対抗できるようになる。
重要性: 三菱の欧州での販売実績はまちまちである。2024年の販売台数は前年比44%増の60,879台となったが、2025年1月から5月までの年初来の累計値における販売台数は前年比29%減となり、これは主に、EUの新安全規制に対応できなかった「スペーススター」と「エクリプスクロス」モデルの予算の段階的廃止のためである。「スペーススター」は昨年、欧州における三菱の販売台数の39%を占めたが、同社にとっては大きな損失となり、規制基準の変化に対応することの難しさを浮き彫りにした。三菱は、これらの問題を緩和し、競争力を強化するために、卸売業からディーラーや顧客との関係をより緊密にする直販への転換を進めている。この戦略的変更は、顧客エンゲージメントと直販モデルが成功のためにますます重要になっている自動車業界のより広範な傾向を反映している。クロル氏はまた、三菱が日本の軽自動車カテゴリーの車を欧州に投入することを検討していることを示唆し、これは電動化の取り組みを強化するための貴重なツールとなる可能性がある。軽自動車は日本での販売台数の約35~40%を占めているが-クロル氏は欧州市場へのそのような車両の導入が複雑であることを認めている。S&Pグローバルは、新型モデルのラインアップの結果、三菱の2026年の欧州販売台数は今年の予想55,000台から84,000台に増加すると予想している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国で4社が14,000台リコール、安全性に問題
2025年6月26日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
ゼネラル・モーターズ、タタ・モーターズ、現代自動車、BYD|企業、コンポーネント、ライトビークル、中型&大型商用車、製品、リコール
Jamal Amir, Principal Research Analyst
現代自動車、JLRコリア、GS・グローバル、GMアジア太平洋地域本社(米ゼネラル・モーターズの韓国子会社)は、19車種に及ぶ、計14,708台が韓国における欠陥のある部品として自主回収する方針であると聯合ニュースが韓国国土交通部の話として報じている。今回のリコールは、現代自動車のコンパクトセダン「アバンテ」のエアバッグのインフレーターの不具合、(中国BYDが製造し、GSグローバルが輸入した電動バス)「BYDeBus-12」バッテリーセルの発火危険性、GMのオール電化モデル「リリック」のインフォテイメントシステムのソフトウェアの不具合など、さまざまな問題が確認されたためである。
重要性: 4社とも是正措置を実施する。自動車のリコール件数は、車種間での共通部品の使用増加や、一連の不祥事を受けた自動車メーカーのより積極的な取り組みの結果、近年増加している。韓国におけるリコール件数の増加は、同国当局の警戒心の高まりも反映している。最近、韓国では起亜自動車やBMWコリア、現代自動車など14車種に及ぶ、計16,577台が韓国における個別の問題で自主回収された。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
仏当局、テスラに「詐欺的な商慣行」停止を要請
2025年6月25日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–フランス
テスラ|方針・規制、コンポーネント、売上高、ライトビークル、製品、テクノロジー、自動運転車
Ian Fletcher, Principal Analyst
重要性:テスラのフランス法人が遵守を求められている規制の大部分は、同国における同社の商慣行を厳格化するものだが、声明はテスラのオートパイロット技術の一部がどのように描写されているかも強調している。テスラのフランスのウェブサイトは現在、最高スペックのオートパイロットシステムを「完全自動運転機能」と呼んでいる。発表された声明によると、もしテスラが「一部のテスラ車の完全自動運転オプションに関する欺瞞的商慣行を止めない」場合、「その慣行の特に深刻さを考慮して」遅延1日につき5万ユーロの罰金を支払う責任がある。テスラは、フィナンシャル・タイムズ(FT)、ロイター、フランス通信社 (AFP) からのコメント要請に応じていない。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ホンダ、ラストマイルB2B事業「ファストポート」を発表
2025年6月18日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-米国-ドイツ
本田技研工業株式会社|電動化、カーシェアリング、コネクテッドビークル
Stephanie Brinley, Associate Director
ホンダはファストポートという名の新しい「マイクロモビリティ」ベンチャーを立ち上げた。最初の製品は、ソフトウェア定義プラットフォームを搭載した「ファストポート イークアッド」で、2025年6月末までにドイツでグローバルデビューする。このプロトタイプ車両は、フランクフルトで開催されるドイツのEurobikeイベントでデビューする。「イークアッド」は自転車専用レーンでの使用を想定して設計されており、消費者向けではない。ホンダは、このマイクロモビリティが都市部での商品配送に使われることを期待している。「イークアッド」は、同ベンチャーのFleet-as-a-Service (FaaS) ビジネスモデルと連携するために開発されており、交換可能なバッテリー、貨物コンテナ、サービスおよびメンテナンスプランを含むソフトウェア定義プラットフォーム機能を備えている。ファストポートFaaSは、リアルタイムデータを備えたAI搭載ダッシュボードを活用して、ドライバーや車両管理業務を改善するようにも設計されている。「イークアッド」は、UVコーティングされたキャノピー、スムーズな走行を可能にするシャーシ、回生ブレーキシステム、充電可能で交換可能なバッテリー、ペダルバイワイヤのペダルアシストパワートレインを備えている。
重要性: ファストポートは、カリフォルニア州トーランスのAmerican Hondaに拠点を置くホンダニュービジネスイノベーションラボグループの一部であり、米国事業部の研究者、デザイナー、エンジニアが所属している。ホンダはミシガン州オハイオにある同社のHonda Performance Manufacturing Center「イークアッド」を製造する計画であり、Honda Performance Manufacturing Centerでは、スーパーカー「アキュラNSX」や燃料電池車のホンダ「CR-V eFCEV」が製造されている。ホンダは米国での生産と開発、そして近い将来の生産を示唆したが、事業戦略や最初に展開する市場についてはほとんど語らなかった。このプロジェクトはドイツで発表されたが、どこで最初に販売されるかは不明である。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ラーダ、「アジムート」クロスオーバーを発表へ
2025年6月20日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-ロシア
企業、ライトビークル、製品、コーポレート
Tim Urquhart, Principal Analyst
Skrin newswireの報道によると、アフトワズのCEOマキシム・ソコロフ氏は、新しいラーダ、「アジムート」クロスオーバーが同社の新しいフラッグシップモデルになると語った。現在、ラーダの最高級車はスポーツラインのベスタSWである。このモデルの最も高価なバリアントは、スポーツライン'24ブラックの最大構成で、2,473,000ルーブル (31,522米ドル) で販売されている。「アジムート」の基本価格はこのレベルになる可能性が高い。ソコロフ氏は、「それ[アジムート]は現行のアフトヴァース車よりは少し高くなるが、人気がなくなることはないであろう。それでも平均的には市場全体よりも安いので、価格は本当に手頃なものになるであろう」と述べた。
重要性: 「アジムート」は、「ラーダ」シリーズのルノーベースのX-Rayクロスオーバーを実質的に置き換えることになる。ルノーがロシア市場から撤退し、アフトワズの経営権をわずかな金額で売却した後、X-Rayの生産は2022年に中止された。「アジムート」は、アフトワズが自社で設計・開発した初のクロスオーバー車となる。この車には、ウクライナ戦争後のロシアの自動車業界にはなかった印象的な一連のオプションが搭載される。これには、携帯電話のワイヤレス充電、シートとハンドルの電動調整、サンルーフ付きパノラマルーフ、暖房付きサイドウィンドウ、デュアルゾーンクライメートコントロール、電動トランククローザー、360度カメラなどが含まれる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車、約1年分のレアアースを備蓄
22025年6月11日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代自動車|施設&運営、生産、企業、コンポーネント、ライトビークル、電動化
Jamal Amir, Principal Research Analyst
現代自動車は最近、中国のレアアース (希土類材料) 輸出規制で世界的なサプライチェーンの混乱が続いているが、これを乗り切るために戦略的な位置を固めた。ロイターの報道によると、現代自動車は約1年間の生産を維持できるレアアース (希土類材料)の備蓄を増やした。この積極的な対策は、これらのサプライチェーンの課題のピンチをすでに感じている多くの競合他社と比較して、自動車メーカーの準備ができていることを示している。4月に中国が広範なレアアース (希土類材料)と関連磁石に規制を課すことを決定したことは、自動車、航空宇宙、半導体、軍事請負業を含む様々な分野に衝撃を与えた。特にフォードやBMW、スズキなどの企業で影響が顕著で、生産やサプライヤーのネットワークに混乱が生じているという。一方、現代自動車の備蓄努力は、これらの課題を克服するためのより強い立場にあることを示している。現代自動車のIR関係者は、「レアアース (希土類材料)と関連したサプライチェーンの問題について、ライバル会社よりもはるかに多くの余地がある」と述べた。同自動車メーカーは、サプライチェーンの多角化や調達戦略の強化で、電気自動車やハイブリッド車の生産を1年以上重要な中断はせずに維持している。
重要性:中国が輸出規制を緩和した時期に、現代自動車はレアアースの在庫を大幅に増やした。しかしながら、現代自動車と傘下の起亜自動車だけが備蓄されているのか、サプライヤーが保有している備蓄品も含まれているのかなど、具体的な内容は明らかになっていない。現代自動車は、在庫や調達戦略に関する詳細な情報は公開せず、事業の安定性を確保するために市場の状況を継続的に評価していると説明した。レアアースの重要性はいくら強調してもしすぎることはなく、特に、電気自動車 (EV) のモーター生産に不可欠なレアアースの世界供給量の約90%を中国が独占している。現代自動車の備蓄には、電気自動車やハイブリッド車の生産に欠かせないレアアース関連の磁石1年分も含まれている。レアアース (希土類) 材料規制まで議論されるなど、米中貿易摩擦が激化する中、現代自動車の戦略備蓄は、世界市場の不確実性に対する重要な緩衝材になり得る。この自動車メーカーのアプローチは、競争が激化し、地政学的に敏感な業界において、積極的な在庫管理とサプライチェーンの多様化の重要性を強調している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ホンダ、次世代チップメーカーへの投資を検討-報道
2025年6月12日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
本田技研工業株式会社|方針・規則、設備・運営、経費、研究・開発、コンポーネント、ライトビークル、テクノロジー、コーポレート
Ian Fletcher, Principal Analyst
ホンダは次世代半導体の開発・製造を手掛けるラピダス株式会社への出資を検討しているという。複数の関係者が時事通信に明らかにしたところによると、ホンダは今回の出資を通じて、これらの特殊半導体を国内で調達し、サプライチェーンの確保を目指す。ホンダの投資は、ラピダスが民間部門からさらなる資金を得て、さらなる顧客を確保するのに役立つだろうと報道は指摘している。
重要性:ラピダスプロジェクトは、2027年から日本の千歳市の施設で回路線幅2ナノメートルの半導体の量産を開始する計画である。しかしながら-この目標を達成するためには、これまでに膨大な投資資金が必要であり-今後も必要である。その多くは日本政府によるもので、報道によると、日本からの資金援助はこれまでに1兆7,000億円に達している。しかしながら、総事業費は約5兆円といわれ、その穴埋めに民間が乗り出している。この開発中の最先端半導体へのアクセスを得ようとする同プロジェクトにおける企業投資家はホンダが初めてではなく、トヨタとソニーも早くから関与している (日本:2022年11月22日:トヨタ、日本の政府系半導体グループに加わる参照) 。しかしながら、ホンダがプロジェクトに参加する可能性があれば、既存の利害関係者からの関心と資金が再び活性化する可能性がある。同報道は、ホンダが自動運転技術を支えるためにこれらの半導体の供給を望んでいることを示唆している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
豊田自動織機、株式非公開化へ
2025年6月3日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
トヨタ自動車株式会社|合併・買収 (M&A)、ライトビークル、コーポレート
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
豊田不動産株式会社は、本日 (6月3日)、トヨタ自動車、アイシン株式会社、株式会社デンソーおよび豊田通商株式会社による豊田自動織機の民営化戦略の一環として、豊田自動織機株式会社株式の公開買付けを実施することを発表した。ロイターの報道によると、買収額は260億米ドルであるという。この民営化を円滑に進めるため、新たに持株会社を設立し、豊田不動産が約1,800億円を出資してトヨタグループ内の連携を強化する。豊田章男氏は、その取り組みへコミットメントとして10億円を拠出し、トヨタ自動車は無議決権優先株式に約7,000億円を投資する。この投資戦略は、豊田自動織機が上場して以来、豊田不動産、豊田氏、トヨタ自動車が保有する株式の売却益を再投資するものである。本公開買付けに伴い、トヨタ自動車、アイシン、デンソー及び豊田通商は、豊田自動織機の株式を売却すると同時に、本公開買付けにより自己株式を取得する。これにより、豊田自動織機と4社の株式持ち合いは解消されるが、トヨタ自動車は優先株による出資を継続する。豊田自動織機は、今回の民営化を通じて、トヨタグループ内の連携を強化し、取り組みを加速させ、モノに関するモビリティ分野の進化をリードしていく。また、フォークリフトなどの自動運転技術や物流管理ソフトウェア、環境に配慮したパワートレインなどを開発し、物流に関するデータを活用することで、物流機能の強化を目指していく。
重要性: トヨタ自動車は1937年に豊田自動織機から分離独立したため、今回の取引は重要である。非公開化は豊田自動織機にとって、特に規制上の負担の軽減、コントロールの強化、短期的な株主利益を達成するための継続的なプレッシャーを受けることなく、会社の運営と戦略的方向性に関連する意思決定の迅速化という点で、大きなメリットをもたらす。また、公開株式市場の変動から遮断されるため、企業価値の安定化や市場心理の事業運営への影響を軽減することができる。その一方で、公開企業から非公開企業への移行は、特に既存の経営陣が公開企業の枠組みに慣れている場合には、困難な場合がある。さらに、従業員や経営陣は、雇用の安定、企業文化の変化、民営化後の同社の方向性について懸念を抱いている可能性がある。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ダイハツ、新型軽乗用車「ムーヴ」発売
2025年6月5日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-日本
トヨタ自動車株式会社|製品
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
ダイハツ工業は、軽乗用車「ムーヴ」をフルモデルチェンジし、本日(6月5日)に正式発売し、価格は1,358,000円(9,478米ドル)から2,024,000円の間の4つのグレードを提供している。DNGAプラットフォームを採用し、スプリングやショックアブソーバー、ステアリングシステムなどを工夫し、この新しいモデルは、上質な乗り心地と安定した操縦性を追求している。特に「RS」は、ターボエンジンと直変速無段変速機 (D-CVT) を採用することで高速走行性能を向上させ、都市部での通勤や長距離ドライブに適している。同自動車メーカーによると、同モデルの人間工学に基づいたドライビングポジションを採用することで、視認性の向上と疲労の軽減を図り、22.6 km/lの低燃費を実現したという。安全性は最優先事項であり、スマートアシスト技術、アダプティブクルーズコントロール、死角監視などのオプションを含む突発的な急加速を防止する17の予防機能を備えている。さらに、「ムーヴ」は、簡単にアクセスできる標準のリアスライドドア、使いやすいストレージソリューション、ワイヤレスApple CarPlayおよびAndroid Autoに対応する9インチディスプレイオーディオシステムなどの先進的なテクノロジー機能により、利便性を高めている。
重要性: このモデルは発売されてから30年近くが経過しているが、S&P Global Mobilityの販売台数データによると、2000年から2015年までの年間平均143,300台から、2016年から2024年までの間に約43,300台へと大きく減少している。しかしながら、2025年の予測では、世界販売台数は約55,500台に回復することが示唆されている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代モービス、7,500件の特許で未来のモビリティを強化
2025年5月30日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代モービス株式会社|企業、研究・開発、コンポーネント、テクノロジー、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst
現代自動車グループの自動車部品関連会社である現代モービスは、急速に進化する自動車業界での地位を強化する戦略的な動きとして、特に未来のモビリティと電動化の分野において、独自技術で競争力を強化するために、過去3年間で7,500件以上の特許を申請したと、聯合ニュースが報じている。出願された特許のうち、3,000件以上が電動化、自動運転車システム、コネクテッドカー技術などの主要分野に直接関連するものである。現代モービスは昨年だけで約2,300件の新規特許を取得し、そのうち1,000件以上が未来のモビリティ分野に関連している。この知的財産への多額の投資は、イノベーションと技術の進歩に対する当社のコミットメントを示している。登録された特許の中には、デジタルキーのハッキングを防ぐための高度なスマートキー技術や、高精細ヘッドアップディスプレイ技術などがある。これらのイノベーションは、車両のセキュリティを強化するだけでなく、ユーザー体験を向上させ、よりスマートで安全な車両への需要の高まりに対応している。
重要性: 現代モービスは、イノベーション戦略でコラボレーションの重要性を強調している。同社は、社内の発明者と特許弁護士の間で緊密な協力関係を構築するとともに、北米、欧州、インドなどの主要な海外市場の特許代理人とも連携していく。このアプローチにより、保護される知的財産が各地域の特定のニーズや規制に合わせて調整されることが保証される。同社は「技術開発だけでなく、市場でのリーダーシップを支えるグローバル特許の取得にも注力している」と、技術開発とグローバル特許取得の両立を強調した。この戦略は、現代モービスを自動車イノベーションのリーダーとしてだけでなく、未来のモビリティソリューションのためのグローバル市場での強力な競争相手として位置づけている。自動車産業が電動化と自動運転技術の進歩によって進化し続ける中、現代モービスは特許を積極的に取得することで、この変革の最前線に立ち、今後の関連性と競争力を確保する。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米議決権行使助言会社のグラスルイス、トヨタ会長に豊田章男氏の再任を提言
2025年5月26日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
トヨタ自動車株式会社|コーポレート
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
米議決権行使助言会社のグラスルイスは、6月の今年の定時株主総会でトヨタ自動車の豊田章男会長を再選するよう株主に勧告した。ロイターによると、同社の創業者の孫であり、以前はCEOを務めていた豊田氏は、近年、株主の支持が低下していることを経験している。2024年、同氏は株主の72%の支持を得て取締役に再選されたが、これは過去2年間の85%、96%から大きく低下した。2024年7月のトヨタの報道機関とのインタビューで、豊田氏は株主の支持がこのまま衰え続ければ取締役としての地位が危うくなることを認め、2024年の投票がトヨタの取締役としては史上最低の支持率だったことに言及した。グラス・ルイスのほか、議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS) も、昨年は同氏の反対の立場をとっていたが、今年は株主が豊田氏を再選するよう推奨している。
重要性: グラス・ルイスとISSの両者が、トヨタのガバナンス、取締役会の独立性の欠如、電気自動車への移行が遅れている中での環境への影響を緩和するというトヨタのコミットメントに関連する懸念を強調して、豊田氏の再選に反対票を投じるよう勧告していたので、この勧告は驚きである (日本:2024年5月29日:議決権行使会社はトヨタの株主に会長再任に反対票を投じるよう勧めている参照) 。ISS、グラス・ルイス、その他の議決権行使助言会社が、株主総会における議決権行使結果の形成に重要な役割を果たしていることは注目に値し、それは取締役やその他の問題に関する様々な提案について、ステークホルダーが賛成または反対の理由を説明する分析を提供しているからである。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車グループが「世界水素サミット2025」で先導
2025年5月23日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代自動車|企業、ライトビークル、中型&大型商用車、テクノロジー、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst


5月20日から5月22日までオランダ・ロッテルダムで開催された「年世界水素サミット2025」で、現代自動車グループは水素分野においてかなりの進歩を遂げ、この分野においてリーダーシップを発揮した。同自動車グループは、展示会とハイレベルラウンドテーブルの両方に積極的に参加し、最新の水素への取り組みを共有し、業界内の対話を促進した。
サミットの中心は、水素産業における主要な利害関係者を含むH2KOREAと共同で開催された韓国パビリオンであった。韓国パビリオンは、水素技術の進歩を強調し、大韓貿易投資振興公社と斗山フューエルセルの貢献を紹介した。現代自動車の水素専用ブランド「HTWO」を前面に出し、水素バリューチェーン事業とロッテルダム港の持続可能性目標とシームレスに連携する港湾脱炭素化へのコミットメントを強調した。
同自動車グループの展示会では、トラックやバス、フォークリフト、路面電車などさまざまな車両に搭載されている燃料電池技術を展示し、水素エネルギーの技術力をアピールした。水素を動力源とする発電機と路面電車を備えた水素社会の印象的なジオラマは、水素エネルギーの変革の可能性とHTWOを通じて開発されている協力的なエコシステムを示した。
現代自動車グループのジェフン・チャン副会長は、同自動車メーカーの水素バリューチェーンの拡大と脱炭素社会への移行へのコミットメントを明確にした。チャン氏は、強固な水素エコシステムを構築するためには、政府と産業界の強力なパートナーシップが必要であると強調した。同氏は、また、同部門の成長を促進するためには標準化が不可欠であることも強調した。
チャン氏は水素協議会の共同議長として、信頼できる世界の水素産業を発展させるための官民の取り組みを連携させることを目的とした閣僚-CEO円卓会議に参加した。オランダとブラジルが共催した円卓会議では、3つの戦略的行動が強調された:国の財政的インセンティブの実施、地域間の経済的利益の向上、世界貿易パートナーシップの強化。
見通しと影響
現代自動車グループは、「水素ビジョン」の中で、誰もがどこでも水素を利用できる世界的な「水素社会」の実現を目指している (韓国:2024年10月21日:現代自動車はFCEVコンセプトを通じて新しいデザイン言語を明らかにした : 韓国:2024年11月24日:現代自動車、蔚山市と広州市と共同でグローバルな水素エコシステムを推進;および韓国:2025年3月12日:現代自動車、韓国で水素燃料電池システムの新工場を計画参照) 。
このビジョンに沿って、同動車グループは最近、インドネシアにおける廃棄物処理と水素生産の革命を目指す野心的なプロジェクトを発表し、インドにおける燃料電池車 (FCEV) の大規模導入の可能性を探るためインド石油公社と覚書 (MOU) を締結し、次世代スポーツ・ユーティリティ・ビークル (SUV)「ネクソFCEV」を発表した。また、カリフォルニア州アナハイムで開催された「Advanced Clean Transportation (ACT) Expo 2025」において、新型燃料電池クラス8大型トラック「XCIENT」を発表し、北米における水素事業の拡大への継続したコミットメントをアピールした。さらに、現代自動車とプラスは、ACT Expo 2025で、自動運転水素燃料電池トラックに関する両社の協力が、米国における水素燃料貨物ネットワークの発展を加速することを目指すという共通のビジョンを発表した。今回の提携は、現代自動車の燃料電池トラック「XCIENT」とプラスのAIベース自動運転ソフトウェア「SuperDrive」を組み合わせ、長距離貨物輸送向けのスケーラブルで費用対効果の高いソリューションを提案するものである。この取り組みは、商業輸送における二酸化炭素排出量の削減を目指している。
世界水素サミット2025は、現代自動車グループの水素へのコミットメントを示しただけでなく、持続可能な水素社会の実現に向けた共同の努力を強調した。現代自動車は、業界リーダーと政府間の継続的な協力によって、水素経済への移行は手の届くところにあると考えている。
S&P Global Mobilityは、現代自動車の水素燃料動力のライトビークルの2025年の総生産台数が前年比168.6%増の約4,800台になると予想している。2026年にはさらに増加し、約9,100台となる見込みである。ライトビークルカテゴリーにいて、現代自動車は、現在、燃料電池SUV「ネッソ」のみを生産している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本の自動車業界、米国の関税を受けて政府に景気刺激策を求める
2025年5月23日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
方針・規制
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
日本の自動車業界は、米国の輸入車と自動車部品に対する関税を撤廃する外交的解決を期待しており、日本政府に景気支援のための緊急景気対策を検討するよう求めている。日本の読売新聞の報道を引用したAutomotive Newsよると、早ければ5月23日にワシントンD.C.で日米閣僚級協議が開かれるものと予想したという。日本自動車工業会の片山正則会長は「我々は関税の早期回避を引き続き求めていく考えを確認した」と述べた。しかしながら、同氏は「関税がいつまで続くのか、この問題がどのように解決されるのかは不透明である」と述べ、交渉の不透明性を認めた。同氏はまた、同業界は、先行きが不透明なため、緊急の景気対策が必要だと考えていると述べた。主な議論は、自動車メーカーとサプライヤーの間で関税の財政負担をどのように分担するかということである。また、日本政府は、日米間で自動車の安全基準を相互承認する制度を提案していると報じられており、これは基準の違いが米国車の日本での販売を妨げるという米国の懸念に対処するためである。
重要性: 自動車メーカーや部品メーカーを含む日本の自動車産業は、米国の貿易関税の結果として深刻な困難に直面している。その結果、多くの日本の自動車メーカーは今期の業績見通しを下方修正するか、ガイダンスを出さないことを選択した。利益の減少を受けて、日産やホンダなどの企業は、コスト削減と関税の影響の最小化に焦点を当てたリストラ計画と戦略的変更を実施している (日本:2025年5月14日:日産、2024~2025年度の純損失を6,709億円を計上、Re:Nissanの再建計画を発表および日本:2025年5月20日:ホンダ、自動車の電動化戦略を現在の市場状況に合わせて調整参照) 。日本はまた、米国との関税協議で、テスラの電気自動車 (EV) の充電スタンド設置に補助金を出す戦略も検討しているという(日本:2025年5月19日:日本は関税交渉の中、テスラのEV充電ステーション設置に対するリベートを検討している参照) 。自動車部門が日本経済において重要な役割を果たしていることであり、自動車は米国向け輸出のかなりの部分を占めていることを留意することは重要である。S&P Global Mobilityのデータによると、2024年のトヨタのアメリカにおけるライトビークル販売台数に占める輸入車の割合は49.8%で、これには約2,332,000台のレクサスが含まれるという。昨年米国で924,000台を販売したインフィニティブランドを持つ日産の輸入シェアは45.2%であった。ホンダは米国で1,291,000台を販売し、輸入シェアは43.6%であった。また、輸入シェアは三菱とマツダがそれぞれ100%、80.8%であった。これらの数字は、関税が日本の自動車生産、米国での対象車種の販売、日本の自動車メーカーの業績に大きな影響を与えることを浮き彫りにしている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
4月の韓国新車市場は拡大、起亜自動車が車椅子対応のPV5モデルを発表
2025年5月15日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
貿易 (輸出入)、販売、ライトビークル、中型&大型商用車
Jamal Amir, Principal Research Analyst


聯合ニュースとS&P Global Mobilityがまとめた韓国自動車輸入流通協会 (KAIDA) によって報告されたデータによると、乗用車輸入を含む韓国の2025年4月の新車販売台数は150,103台で、2024年4月の140,417台から6.9%増加した。起亜自動車は2023年1月から事業報告区分を変更したため、特殊用途車両(SPV) は含まれていない。さらに、テスラはKAIDAに加盟していないが、2024年からテスラの輸入台数もKAIDAに含まれるようになった。年初来の累計値において、韓国の総新車販売台数は前年年比4.0%増の537,177台となった。
現代自動車と起亜自動車は4月も韓国市場において首位を維持し、合計シェアは約79%であった。現代自動車の先月の販売台数は、前年比5.9%増の67,510台であった。同社は、国内ではスポーツ・ユーティリティ・ビークル (SUV) が総称して25,728台、ジェネシス高級ブランドが11,504台を販売した。年初来の累計値において、現代自動車は、市場において前年比4.5%増の233,870台を販売した。 現代自動車の傘下である起亜自動車の先月の販売台数は、前年比7.4%増の51,005台であった。同社の発表データによると、国内での卓越したモデルはSUV「ソレント」で8,796台を販売を達成した。続いて多目的乗用車(MPV)「カーニバル」 が7,592台、SUV「スポーテージ」が6,703台の販売台数となった。2025年1月~4月の同自動車メーカーの販売台数は前年比わずか0.2%増の185,417台となった。
ルノーコリアの2025年4月の国内販売台数は、2024年4月の1,780台から5,252台へと、前年比で195.1%増加した。「先月の国内業績は、中型スポーツ・ユーティリティ・ビークルと「グラン・コレオス」とクーペ型SUV「アルカナ」[旧「XM3」]の好調な販売に支えられた」と同社は説明した。2025年の最初の4ヶ月における同自動車メーカーの販売台数は前年比159.2%増の18,850台であった。
KGモビリティの先月の国内販売台数は3,546台で、前年比3.2%減少した。年初来の累計値において、同社の販売台数は前年比26.1%減の11,730台であった。
ゼネラル・モーターズ (GM) コリアの同国における4月の販売台数は1,326台で、前年比42.3%減少した。2025年の最初の4ヶ月における同社の販売台数は前年比41.0%減の5,435台であった。 KAIDAが発表してデータによると、4月の輸入乗用車販売台数は21,464台 (前年同月比0.1%増) で、韓国新車販売台数の14.3%を占めたという。自動車価格の上昇や一部外国ブランドの在庫不足が、先月の韓国における輸入乗用車販売を圧迫した。4月、BMWは6,710台 (前年比16.7%増) を販売し、最も売れた外国車ブランドとなった。2位はメルセデス・ベンツで、販売台数は前年比26.6%減の4,908台であった。テスラは3位で前年比16.0%減の1,447台であった。メルセデス・ベンツEクラスは、4月に2,151台を販売し、韓国で最も売れた輸入乗用車であった。BMW「5シリーズ」が2,040台、テスラ「モデルY」が804台と続いた。年初来の累計値において、韓国の輸入乗用車販売台数は前年比8.4%増の81,875台となった。

起亜自動車、車椅子に対応したPV5モデルを発表
企業のプレスリリースによると、起亜自動車はロンドンで開催されたFinancial Times主催のFuture of the Car Summitで、英国のMotability Operations Ltd.と共同開発した革新的なPV5車椅子対応車両(WAV) を披露した。これは、障がい者のモビリティ向上に向けた起亜自動車の継続的な取り組みを表しており、持続可能なモビリティソリューションのリーダーとしての地位を強化している。起亜自動車のPBV部門の責任者であるキム・サンデ副社長は、「PV5 WAVは、移動に困難を抱える人々の自立と自由への入り口である」と述べ、PV5 WAVの重要性を強調した。この車両は、先進的なPlatform Beyond Vehicle (PBV) 技術を考え抜かれたデザインと統合しており、誰もが持続可能なモビリティにアクセスできる未来の創造を目指している。
PV5 WAVの開発は、平均寿命の延長や高齢者人口の増加などの人口動態の変化に伴う、アクセシブルな車両への需要の高まりに対応している。輸送事業者がWAV関連サービスを拡大するにつれて、電動WAV (eWAV) の導入は、特に従来、WAVに変換された内燃エンジン (ICE) 車両の段階的廃止が差し迫っていることから、極めて重要になっている。起亜自動車のアクセシブルなモビリティへの取り組みは新しいものではない;2012年からは、障がい者の移動権向上を目的とした韓国でのプロジェクト「Green Trip」などを展開している。起亜自動車は、2021年にロサンゼルスでユニバーサルモビリティ研究プロジェクトを実施し、特殊なモビリティニーズを持つ個人に合わせたライドヘイリングサービスを提供するなど、グローバルに展開している。
PV5 WAVは、ユーザー中心の機能で設計されており、車椅子利用者、その家族、介護者、ドライバーに利便性と快適性を提供する。PV5 WAVは、車椅子利用者が歩道から安全に乗車できるサイドエントリーシステムと、車椅子利用者を側面から支援する介護者用の3列目チップアップシートを備えている。韓国の起亜華城EVO工場で生産されるPV5 WAVサイドエントリーバリアントは、同自動車メーカーの工場生産システムを採用している。製造プロセス全体が生態学的に持続可能なように設計されており、アクセシブルな車両を必要とする人々の参入障壁をさらに低減している。このモデルは、安全性と利便性を向上させるためにカーブサイドへのアクセスを容易にし、すぐに使用できる300 kgまで対応する車いす用ランプと特別に開発された車いすベルト固定システムを装備している。
さらに、PV5 WAVには、AAOSオープンソフトウェアプラットフォームを利用して、障害者に必要なアプリケーションが組み込まれている。起亜自動車は、モタビリティオペレーションズとのパートナーシップにより、モタビリティスキームの下で顧客中心のeWAVを提供できるようになり、モタビリティスキームは、障害のある顧客を必要なサービスに接続し、自立を促進する。
起亜自動車のビジョンは英国にとどまらず、PBV WAV製品を他の世界市場にも拡大し、モビリティに課題を抱える個人の生活を向上させることに特化した持続可能なモビリティソリューションプロバイダーとしての役割を強化する計画である。
見通しと影響
1月に落ち込んだ韓国の新車市場は、今年に入って好調を維持している。4月の同国の新車販売の伸びは、現代自動車、起亜自動車、ルノーコリアが新型車の投入と既存車の持続的な人気で好調を維持したことによるものと考えられている。先月の成長は、比較基準が低いことにも起因している (韓国:2024年5月10日:韓国の新車販売は4月も減少が続いている参照) 。しかしながら、韓国GMとKGモビリティは先月も苦戦を強いられた。
S&P Global Mobilityの予測によると、2025年の韓国の新型ライトビークル市場は、前年比0.7%増の約160万台とやや回復する見通しである。これは2024年に経験した景気後退に続くものである。韓国政府は米国の関税から自動車産業を保護し、輸出減少に備えて内需を促進するための迅速な支援策を発表した。輸出減少による企業の売上高への影響を軽減するため、同政府は電気自動車 (EV) の割引販売に対する補助金や、新車購入に対する個人消費税の優遇措置を拡充することを決めた。 こうした支援策にもかかわらず、韓国経済の成長の勢いは依然として一様ではない。好ましくないベース効果や外部不確実性の高まりなどの要因が、引き続き経済を圧迫している。2024年12月に大統領が突然戒厳令を宣言し、その後弾劾投票が行われるなど、政治情勢も騒然としている。こうした政治的不安定は、経済の不安定化や政府の裁量的支出の減少につながり、消費者信頼感を低下させる可能性がある。
しかしながら、歴史的な傾向は、この政治的混乱の影響が一時的である可能性を示唆している。経済成長は、2025年に減速した後、2026年に徐々に勢いを取り戻すと予想される。AI技術への需要が輸出を後押しする可能性がある一方で、米国の貿易政策や世界的な保護主義に対する懸念が大きな課題となっている。これらの外的要因は、世界的な需要の減少と相まって、韓国経済の回復を制約する可能性が高い。
結論として、韓国の自動車市場は、2025年には若干の回復に向かっているものの、政治的・経済的な不確実性が複雑に絡み合った状況を切り抜けなければならない。政府の積極的な対策は業界を支える上で重要であるが、外圧は市場の方向性を決める重要な要素であり続けるであろう。当社のライトビークル販売台数データは、乗用車と小型商用車のみを対象としている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日産、中国のJVパートナーである東風汽車とグローバル生産網を共有
2025年5月16日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-中国 (本土) -日本
日産自動車株式会社、東風汽車有限公司|施設・運営
シニアアナリスト、ニティン・ブディラジャ-自動車
日産のCEOイヴァン エスピノーサ氏の発言を引用したAutomotive News Europeよると、日産が事業再編の一環として、中国の合弁(JV)パートナーである東風汽車と「グローバルな生産ネットワークを共有することに前向き」であるという。同社は東風汽車と協力し、中国市場や世界への輸出向け車の開発を進めており、エスピノーサ氏は、日産が中国以外での生産モデルにおいて東風汽車を支援する意向を示した。同氏は「中国以外での共同作業を活用して、当社の生産エコシステムに参加してもらうことができる」と述べ、20年以上にわたる長年のパートナーシップを強調した。英国サンダーランドにある日産の欧州唯一の工場が東風汽車の生産候補になるかとの質問に対し、エスピノーサ氏は、それは東風汽車の問題だとしながらも、日産は「協力に前向き」だと繰り返したが、ただ、英国での生産は中国からの輸入に比べて競争上不利だと指摘した。「エネルギーのようなものは他の市場ほど競争力がなく、英国で競争力を維持するためには政府からの支援が必要である。」とエスピノーサ氏は述べた。同CEOはさらに、サンダーランド工場は最近のリストラで閉鎖が予定されている工場には含まれていないことを強調した。
重要性: 日産のグローバル工場の多くは現在、生産能力が不足しており、これらの工場で東風汽車の車両を生産することで、未使用の潜在能力を最大限に活用することができる。さらに、今週初めのブルームバーグの報道によると、世界の企業がますます多くの製品を現地で調達するようになっている中、日産は世界の過剰生産能力に対処するため、米国での共同生産について三菱およびホンダと協議していると明らかにした。これらの取り組みは、日産が最近発表したRe:Nissanリカバリープランに沿ったもので、生産拠点の再構築と業務効率の向上に重点を置いている。日産は、2027~2028年度までに車両生産工場を現在の17工場から10工場に削減することを目指している(日本:2025年5月14日:日産、2024~2025年度の当期純損失を6,709億円と報告、Re:Nissanリカバリープラン発表参照) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車、中国に特化したEVのSUVを発表
2025年5月9日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-中国 (本土)
現代自動車|市場分析、生産、自動車、販売、展示・発売、ライトビークル、製品
Abby Chun Tu, Principal Research Analyst
現代自動車は、中国市場向けに開発した新型EVのスポーツ・ユーティリティ・ビークル (SUV) を2025年に発売し、中国販売を強化する計画である。北京現代の合弁会社 (JV) が導入した「エレクシオ」は、合弁会社の北京工場で中国において生産される予定である。北京現代はすでにウェイボーのアカウントでEVのSUVの外観画像を公開しているが、詳細な仕様はまだ明らかにしていない。現地メディアの報道によると、「エレクシオ」の航続距離は700 kmであるという。ハイパワーチャージャーでは、27分でバッテリーを30%から80%まで充電できる。このモデルには、中国のテクノロジー企業であるファーウェイの自動運転ソリューションも搭載される予定で、2026年からレベル2以上の高度運転支援機能を提供する。
重要性: 現代自動車のE−GMPプラットフォームで開発された「エレクシオ」は、2025年の第3四半期に中国で発売される。「エレクシオ」のデビューとともに、現代自動車は中国戦略を強調する新しいスローガンを導入した:「中国で、中国のために、世界へ。」これは、他の市場向けの電気自動車 (EV) を開発するために中国の自動車サプライチェーンを活用する多くのグローバル自動車メーカーの計画を反映している。現代自動車の2024年の中国販売台数は128,645台で、前年比47%減少したが、同時期において世界販売台数は3.3%ばかりの減少に止まった。同韓国自動車メーカーは今後も中国市場に力を入れていくという。中国の現代自動車輸出は今年、2024年の倍の10万台に達すると予想している。

ヒュンダイ・エレクシオ 出典:現代自動車
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
三菱、米国でのEV生産を検討していることを認める
2025年5月9日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-米国-日本
日産自動車株式会社、三菱自動車工業株式会社|貿易 (輸出入) 、生産、販売、ライトビークル、製品、電動化
Stephanie Brinley, Associate Director


三菱は2026年半ばに、提携先の日産による自社ブランドの電気自動車 (EV) を生産し、米国で新型電気自動車(EV)発売する予定である。このEVは、まだ発表されていない次世代の日産「リーフ」をベースにしている。三菱は2026年から2030年まで毎年、北米市場向けに新型車や大幅改良車を投入する計画を発表している。三菱は米国とカナダで「リーフ」を発売する予定であるが、メキシコはまだ発売していない。「Momentum 2030」計画には、新製品に加えて、電動化、小売販売モデルの近代化、ネットワーク拡大と売上成長への三菱の道筋が含まれている。北米三菱自動車 (MMNA) の社長兼CEOであるマーク・チャフィン氏は、「本日の発表は、米国市場へのコミットメントを強化し、当社の顧客に可能な限り最高の車両を提供し、米国および世界で当社が末永く健全な未来を送れるようにするための第一歩である」と述べた。
EVの発表とは別に、三菱自動車の加藤隆雄CEOは2025年第1四半期決算発表の電話会見で、米国での生産についても日産を通じて解決策を模索していると述べた。加藤氏は「具体的なことは何も決まっていないので、今日の時点で具体的な車種や生産開始、投資についてコメントすることは控えたい。しかし、日産の米国工場の能力を活用して、両社が共同で投資することは、非常に前向きなプロジェクトだと考えている」と述べたと伝えられている。また、日産は今回の協議を確認する声明で発表し、「日産と三菱自動車は、次世代SUVを両ブランドで生産・販売するための協議を開始し、この取り組みのために日産の米国工場への共同投資を検討する。本プロジェクトは、日産の米国工場稼働率を向上させるとともに、MMCの現地生産車による車種ラインナップの拡充を図るものであり、両社にとって有益な成果となる」と述べている。
見通しと影響
三菱は、日産を通じて2026年半ばにEVを米国市場に投入する計画であるが、これにより三菱は同市場への早期参入が可能となり、日産はEV用プラットフォームとバッテリー動力伝達装置部品の規模拡大を支援できる可能性がある。三菱ブランドの生産能力を追加することを検討しているという三菱と日産のコメントは、両社にとってプラスになる可能性がある。日産は米国で適切な製品の生産能力を有しているが、より高い生産レベルを支える市場需要がない可能性がある。 現在の米国の関税環境を考えると、三菱が日産の米国調達能力を活用するのは理にかなった動きである。しかしながら、三菱からのニュースは全般的にパートナーシップの傾向があり、日産とのさらなる提携やフォックスコンとの関係を模索している。三菱は日本で生産している「アウトランダーPHEV」も日産に提供し、日産は「ローグPHEV」として販売する。
三菱は2016年にルノー・日産アライアンスに加入したが (日本-フランス:2016年10月21日:三菱、売却完了でルノー・日産アライアンスに参加、カルロス・ゴーン社長就任参照)、これまでのところ規模とコストダウンのシナジー効果は顕著に現れていない。米国の関税状況は、少なくとも米国市場では、両者を接近させる可能性がある。三菱は2015年に米国での生産を終了;旧三菱工場はリヴィアンに買収され、再利用された。2024年の三菱の米国での販売台数は11万台弱で、4つのモデル(「アウトランダー」/「アウトランダーPHEV」、「アウトランダースポーツ」、「エクリプスクロス」、「ミラージュ」)が入手可能であった。カナダとメキシコを含む北米での2024年の販売台数は約174,000台であった。そのうち、「アウトランダー」は77,000台近くを占めている;現在、「アウトランダー」は「ローグ」とプラットフォームを共有しており、この地域の次世代生産を日産の米国工場に移行するのが最も合理的かもしれない。米国で販売されている他の三菱製品は、日産製品とプラットフォームやパワートレインを共有していないため、調達や製造が不可能ではないにしても、より複雑になる。三菱の専用工場を建設するほどの生産量はないが、日産が別の製品の生産を一部吸収することは可能かもしれない。2024年には、両社はEVピックアップトラックを検討していたが、今年に入ってからは、次世代の「ローグ」と「アウトランダー」がプラットフォームを共有することから分割されるのではないかという憶測が流れていた(日本:2025年3月7日:三菱「アウトランダー」の次世代モデルは日産から分割されるかもしれない–報道および米国:2024年4月1日:日産と三菱、将来の1トンピックアップトラックで提携、電動化の可能性も参照) 。日産を通じて三菱ブランドの生産を開始することは可能だが、これは実現に2~3年かかる解決策であり、また現在の三菱の拠点ほどコスト競争力 (関税を除く) があるとは思えない。「ミラージュ」も断念された。
三菱はこのEVの仕様やビジュアルを一切公表せず、車の名前すら明かさなかった。日産は3月に発表した声明の中で、新型リーフは5ドアハッチバックから「スタイリッシュで広々としたファミリー向けクロスオーバー」に移行することを明らかにしている (日本-アメリカ州:2025年3月27日:日産、新製品・新技術を発表し、グローバルでのプレゼンスを高める参照) 。三菱は、この製品が米国で生産されるのか日本で生産されるのかについてはコメントを控えているが、現在のところ、次世代「リーフ」は米国ではなく日本で生産される予定である。現在のリーフの米国での生産は2024年に終了した。
また、三菱が提携拡大に積極的になっており、同社向けのEVのフォックスコン生産を検討する覚書を締結した(オーストラリア-日本-台湾:2025年5月8日:フォックスコン、三菱向けEV製造へ参照) 。この製品は2026年半ばにも生産される予定であるが、北米ではなく東南アジア市場での販売が見込まれている。
2024年の三菱の世界売上高の40%は南アジア地域であった。北米は同社にとって2番目に大きな地域で、2024年の売上高の21%を占めている。三菱自動車の2024年の売上高に占める日本/韓国地域の割合は14%であった。北米は三菱にとって第2位の市場だが、2024年にはカナダで2.1%のシェアを獲得したものの、2024年の米国での三菱のシェアは0.7%であった。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本の自動車メーカーは、提携と製品の現地化を通じて中国での競争に遅れをとらないことを目指している
2025年4月28日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-中国 (本土)
本田技研工業株式会社、マツダ株式会社、トヨタ自動車株式会社|生産、JV/提携、販売、ライトビークル、製品、展示・発売、コーポレート、電動化
Abby Chun Tu, Principal Research Analyst


日本の自動車メーカーは、中国での競争に追いつくために、現地の提携や中国専用モデルに目を向けている。4月23日から5月2日まで開催される上海モーターショー2025で、ホンダは中国のモメンタと戦略的提携を結び、同テクノロジー企業の自動運転システム「レベル2+」を中国の電気自動車 (EV) モデルに搭載すると発表した。ホンダが中国で販売するために開発したホンダの最新の電気自動車であるホンダ「GT」にも、同社はディープシークのAIソリューションを統合し、モデルのスマートキャビン機能の能力を向上させる予定である。
ホンダの日本のカウンターパートであるトヨタも上海モーターショーで、モメンタの自動運転システムを「bZ3」と「bZ5」に搭載すると発表した。3月に発売されたトヨタのクロスオーバーSUV「bZ3X」には、すでにモメンタの自動運転システム「5.0」が搭載されている。トヨタは、現地チームを強化するため、中国市場向けの次世代モデル「カローラ」「bZ7」「bZクロスオーバー」の開発を中国人エンジニアに任せたと述べた。また、同日本の自動車メーカーは、中国ではプラグインハイブリッド車やレンジエクステンダー電気自動車(REEV)にもEVパワートレインを拡大すると述べた。この二つの自動車セグメントは、2024年に中国のNEV市場で最も急速に成長した二つのサブセグメントであり、電気自動車市場の成長を上回った。
トヨタとホンダがバッテリー電気自動車を中心に展示しているのに対し、日本のマツダは上海モーターショーで2番目のREEVである「EZ-60」を公開した。マツダの中国合弁(JV)パートナーである長安汽車のプラットフォームを利用して開発されたこのモデルには、バッテリー電動パワートレインオプションも設定され、8月に発売される予定である。「EZ-60」に対する当初の市場の反応はおおむね好意的である。マツダは4月25日、ソーシャルメディアへの投稿で、4月23日の予約販売開始以来、すでに10,060件の予約を受けたと発表した。「EZ-6」セダンと同様に、「EZ-60」は長安汽車のEPAプラットフォームをDeepalと共有して開発されている。マツダブースの展示車は、同オートショーで、26.45インチの5K一体型フラットパネルセンターディスプレイとバーチャル3Dヘッドアップディスプレイを搭載している。中国では長安汽車とマツダのJVが自動車輸出に力を入れている。マツダは、中国のサプライヤーと協力して、最新の電動化技術やスマートドライブ技術を取り入れ、中国や国際市場により良いサービスを提供していくと述べた。JVの南京工場はマツダの輸出拠点となる。マツダは4月、欧州を含む中国本土以外の市場向けに、中国では「EZ-6」と呼ばれるセダン「Mazda 6e」の出荷を開始した (中国:2025年4月3日:マツダ、南京で世界市場向けセダンの生産を開始;KGMと奇瑞汽車、SE10車両プログラムに関する協定に調印参照) 。
見通しと影響
中国のNEV部門では、中国ブランドが技術革新と製品開発をリードしており、日本の自動車メーカー、特に大量生産メーカーのトヨタとホンダは、中国での販売台数の減少を好転させるという大きな課題に直面している。競争に追いつくために、上海モーターショーで公開された日本の自動車メーカーの新型NEVには、中国で開発されたスマートキャビンやインテリジェント運転機能が搭載されている。ホンダの「Ye」シリーズやトヨタの「bZ」シリーズなど、その多くは中国での販売を前提に開発されているが、日本の自動車メーカーの間では、中国のEVサプライチェーンや人材プールを活用してグローバル市場向けの車両を開発する動きが強まっている。例えば、今年の上海モーターショーで発表された日産フロンティアPHEVは、中国市場と輸出向けに中国で開発されたモデルである。マツダも同様の戦略をとる。マツダブランドは、多くの国際市場で高いブランド認知を得ており、中国で開発されたNEVを用いた新規市場への参入に強みを持っている。「EZ-60」は、マツダの象徴的なデザイン要素を取り入れたスポーティなマツダSUVであり、中国の新車購入者に好評のトレンディな技術を採用している。「EZ-6」や「EZ-60」のようなモデルは、長安汽車とマツダが両社の独特の強みを活かした電動化計画を推進するための基礎となる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米ホワイトハウス、自動車・部品関税の改定を発表
2025年4月30日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-米国
政策・規制、貿易 (輸出入)、コンポーネント、ライトビークル
Stephanie Brinley, Associate Director


ホワイトハウスは4月29日、大統領令1件と布告1件を発令し、ここ数カ月間にわたって輸入車と部品に対する関税の執行を改善した。この変更により関税状況は若干緩和されるが、25%のコア関税は残っている。本報告書では当社は米国政府の声明をレビューしているが、自動車部品に関する布告と非重複関税に関する大統領令は政府のWhiteHouse.govウェブサイトで読むことができる。これらの変化に関する以前のメディアの報道の内容は、おおむね予定通りであったようである (米国:2025年4月29日:米国商務省によると、トランプ大統領は自動車産業への関税の影響を緩和することを計画していると述べている-報道参照)。
どの関税を重複させるか、または同時に適用できるかに影響を与える米国大統領の大統領令の下で、いくつかのセクション232の関税の実施に変更がある。同文書は、「この大統領令の第2条に列挙されているように、これらの措置はそれぞれ別個の明確な政策目的を果たすものであるが、私は、これらの関税が同じ品目に適用される限りにおいて、これらの関税が累積的な効果(または、重なり合って「重複する」)を持つべきではないと判断した、なぜならそのような重複から生じる関税率は、意図された政策目標を達成するために必要なものを超えているからである。特定の品目に対する関税の重複による累積的な影響を回避するため、本大統領令は、ある品目が本大統領令第2条に掲げる措置の2つ以上の対象となる場合に、当該品目に複数の関税のいずれを適用すべきかを決定するための手続を定める」と記載されている。
大統領令は、第232条および国家緊急事態 (国際緊急経済権限法) の関税のうち、調整が適用されるものを詳述している;政権は、いかなる場合にも関税を重複させるべきではないと言っているわけではない。この新しい大統領令が適用される関税告示には、輸入自動車および自動車部品に関する3月26日の大統領令が含まれる (米国:2025年3月27日:米大統領、自動車と自動車部品に25%の関税を課すと発表参照);カナダとメキシコに影響を及ぼす、南部と北部の国境での不法移民と違法フェンタニル密輸問題に関する3つの大統領令 (米国:2025年2月3日:トランプ米大統領、2月4日からカナダ、メキシコ、中国製品に関税を設定 参照);メキシコと中国の輸入品に関する大統領令;鉄鋼・アルミニウム関税に関する様々な大統領令や布告 (米国:2025年2月4日:米国の鉄鋼、アルミニウムの輸入関税はカナダ製品の関税に追加される-報道参照)。輸入された物品が3月26日の大統領令及び当該文書に掲げられていない1つまたは2つ以上の関税の双方の適用を受ける場合には、関税率は、これらの大統領令に累積される。
自動車部品の輸入関税については、4月29日の布告で25%の輸入関税を緩和する方法が示されたが、米国車両の組み立てと関連している。4月29日の布告は、貿易に関する米国・メキシコ・カナダ協定 (USMCA) の遵守の問題には言及していない。米国内の自動車メーカーによる最終組み立てに関しては、当該車両が基準に適合するかどうか、米国での消費または輸出向けに生産されているかどうかにかかわらず、救済措置が適用される。ホワイトハウスの大統領向け声明は、「自動車部品の輸入に課される最終的な金銭的手数料を、米国内での自動車の組み立てに使用する輸入品とリンクさせることにより、以下の方法とスケジュールで、自動車および自動車部品の輸入を調整し、国家安全保障を損なう輸入品の脅威をより効果的に排除する。 修正されたシステムは、自動車や自動車部品の海外生産と輸入への依存をより迅速に減らすことができるため、国家安全保障上の脅威をより効果的に排除することができると私は思う;強力な国内防衛産業基盤に不可欠な国内生産能力の拡大を企業に奨励することによって米国の車両組み立て事業を強化する;製造活動を米国に移す;米国の自動車メーカーが米国の防衛産業基盤と軍事的優位性に不可欠な最先端技術を生産できるように、国内の自動車研究開発を強化する;自動車産業に雇用を創出し、国内自動車産業の雇用を増やす;そして、生産の他の利益が米国に集中することを確保する」と述べた。
4月29日の布告はUSMCA遵守の問題に全く言及していないが、現在の想定は、自動車部品スタンドに対する25%の関税を詳述した3月26日の大統領令の項目4である。この条項によると、USMCAに準拠した部品は、輸入前に部品のどの成分が米国で調達されたかを確認するプロセスを商務省が決定するまで、無関税で輸入されるという;25%は、米国で調達されたコンテンツを除く部品の値に適用される。本稿執筆時点では、商務省がそのプロセスを確立したという兆候はない。その結果、当社は、USMCA部品の無関税輸入が継続的に行われると予想する。
4月29日の変更は、2025年4月3日から2027年4月30日までに2段階で米国で組み立てられる車両にのみ適用される。米国で組み立てられた車両については、自動車メーカーは部品の関税を相殺するための「輸入調整」を受けることができる。指定輸入者は、国境での関税徴収を相殺するために設計されたと思われる調整を申請することができる。しかしながら、同大統領令にはサプライヤーへの影響に関する具体的な規定がない。
2025年4月3日から2026年4月30日までに米国で最終組み立てが行われる車両については、自動車メーカーは「米国で組み立てられるすべての自動車のメーカー希望小売価格 (MSRP) の総額の3.75%に相当する輸入調整相殺額を申請することができる」。2026年5月1日から2027年4月30日までの期間、自動車メーカーは、その期間に米国で組み立てられた全自動車のメーカーMSRPの2.5%に相当する輸入調整相殺額を申請することができる。2025年4月3日の開始日は、この変更が組み立てられた車両に対する25%の関税が開始された時点に遡及することを反映している;部品に対する25%の関税は2025年5月3日に開始される予定である。
ホワイトハウスによると、「 (3.75%の税率は) 自動車のMSRPの15%を占める部品に25%の関税が適用された場合に支払うべき総関税を反映している。[2.5%] 率は...自動車のメーカーのMSRPの10%を占める部品に25%の関税が適用された場合に支払われる総関税を反映している」という。
見通しと影響
これらの最新の動きは、当社が以前の報道で指摘したように、以前に発表された大幅な関税を撤回または修正するという米国政権のパターンに従っている。232条に基づく輸入車に対する25%、輸入部品に対する25%の基本関税は継続する;しかしながら、25%の鉄鋼・アルミニウム関税に上乗せされないようにする大統領令の権限は重要である。メキシコやカナダからの輸入品には一般に25%の国家緊急事態に基づく関税の上に重複する232条に基づく関税は既に免除されている。米国政府の声明には中国本土からの輸入品に対する関税についての言及はなく、現時点では変更されていないと思われる。
部品輸入関税の改定には、米国、メキシコ、カナダ間の貿易協定の遵守に関する言及は含まれていない。改正後の大統領令では、例えばドイツの部品とカナダの部品の間で相殺を適用する能力に違いはないようである。しかしながら、前述したように、現時点では、当社は、商務省が米国から調達したコンテンツを認定するプロセスの開発を完了していないため、USMCA準拠の部品は5月3日から関税化されないと予想している。それが決定され、USMCAに準拠した部品が関税化されれば、4月29日の布告で創設された相殺がこれらの部品にも適用されると予想される。
これらの変更は、政権にとっての勝利、生産の移転には時間がかかることの認識 (ただし、2年しかかからないようだ)、自動車業界にとっての和解の申し出、そして投資がまだ発表されているかどうかにかかわらず、業界が米国の新規投資にコミットしていることへの報酬として位置づけられている。自動車業界にとっては-輸入車に25%の関税が残り、25%の部品関税の一部の払い戻しを受けるための複雑な解決策を持つことが-どれだけの利益になるかであるが、自動車業界には依然として多額の貿易コストと、短期的に行うべき複雑で高価な設備投資の決定が残されている。表面的には、この変更はある程度の関税緩和を提供しているが、関税の影響は依然として大きい。これらの変化が自動車業界に影響を与え、対処されていないもう1つの分野は、保証ベースであれアフターマーケットであれ、交換部品である。今回の声明は、米国で最終組み立てを行う自動車部品のみを対象としている。
S&P Global Mobilityはこれらの問題を注視しており、具体的な詳細が明らかになり次第、さらなるアップデートを提供する。2025年4月の予測の前提条件には重複関税が含まれていなかったことを考えると、本稿執筆時点では、今回の最新の変更が前提条件の劇的な変更につながるとは考えていない。当社は、より詳細な情報が入手可能になり、特定の調達先と製造の変更が明らかになった時点で、5月と6月の予測の当社の前提条件をより定期的に変更する。しかしながら、本稿執筆時点では、S&P Global Mobilityのライトビークルの販売・生産予測の中心となる前提条件に関税調整が直ちに、あるいは劇的な影響を及ぼすことはないとの初期の見方が出ている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車グループ、次世代ハイブリッドパワートレインを発表
2025年4月22日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代自動車|生産、研究・開発、コンポーネント、ライトビークル、製品、テクノロジー、電動化
アソシエイトディレクター、ステファニー・ブリンリー


現代自動車は、「ヒョンデ・ウェイ」戦略を進める中で、新しいハイブリッドシステムを導入した (韓国:2024年8月29日:現代自動車、2033年までに900億米ドルを投資する野心的な「ヒョンデ・ウェイ」戦略を発表参照) 。現代自動車によると、新型ハイブリッドシステムは同クラスの内燃機関 (ICE) に比べて燃費が45%、出力が19%向上する。この新しいハイブリッドトランスミッションは、2つの統合モーターを使用しており、多様な分野にわたる車両クラスのさまざまなICEで使用できる。このシステムは-エンジンとトランスミッションの間に配置された-新しいP1モーターを使用しており、始動、バッテリーエネルギーの生成、推進を支援するためのエネルギー供給を行う。トランスミッションのP2駆動モーターが推進と回生ブレーキを担当する。現代自動車の声明によると、「この統合デュアルモーターセットアップにより、パワー、性能、燃費効率が向上し、スムーズなシフトチェンジと騒音・振動の低減を実現し、より洗練されたドライビングエクスペリエンスを実現する」という。
現代自動車は、まず2.5リッターターボエンジンと次世代の1.6リッター4気筒エンジンに新しいハイブリッドシステムを搭載する計画である。2.5リットル用が先である。今回の新しいハイブリッドシステムは、2.5 リッターエンジン機能の始動と発電機能をP1モーターに移したもので、現代自動車は、ターボチャージャー付きハイブリッドのパワートレインはパワーロスを最小限に抑えることができると述べている。また、エンジンは気筒内の流れを強化し、ハイブリッド性能に最適化された高効率サイクルを採用する。現代自動車は声明文で、「通常、内燃機関は4行程で動力を発生する:吸気、圧縮、燃焼、排気。2.5ターボハイブリッドシステムは「過膨張サイクル」を採用しており、圧縮中に意図的に吸気バルブの閉弁を遅らせて、燃焼プロセス中に高い膨張比を維持しながら、シリンダー内の混合ガスの有効圧縮比を低くする」と述べた。同自動車メーカーによると、その結果、混合気圧縮時の消費電力を削減し、燃焼後に発生するエネルギーを最大限に活用できるという。ピストンの設計を見直し、トリプル噴射範囲を拡大する。

現代自動車グループの新しいハイブリッドパワートレイン。 現代自動車グループ

現代自動車グループの新しいハイブリッドパワートレイン。 現代自動車グループ
現代自動車によると、P1モーターを直接エンジンに接続することで、エンジン始動時間を短縮し、より正確なエンジン制御が可能になるという。P1とP2モーターの駆動力により、高効率のエンジン作動範囲を確保している、と同社はいう。最初のアプリケーションは、最近公開された「パリセード」である (米国:2025年4月17日:2025年ニューヨークオートショー:現代自動車、ジェネシス、起亜自動車が再びリードするおよび韓国:2025年1月15日:現代自動車、来月韓国で新型「パリセード」を発売参照) 。HMGによると、新システムの最高燃費はリッター当たり14.1 km(km/l)、最高出力は334PS、最大トルクは460ニュートンメートル(Nm)という。現代自動車によると、「パリセード」のハイブリッド車は、ハイブリッド車でない2.5リッターエンジン車と比べて、燃費が約45%、出力が19%、トルクが9%向上する。1.6リッターターボハイブリッドエンジンは、出力とトルクの向上に加え、中型スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV) の燃費を4%以上向上させることを目標としている。
電動化によるハンドリングと利便性の向上
現代自動車によると、この次世代ハイブリッドシステムは、ステイモード、V2L機能、スマート回生ブレーキなど、電気自動車の機能をサポートするという。現代自動車はハイブリッドシステムとともに、電動全輪駆動(e-AWD)、電動車両運動制御装置(e-VMC 2.0)、eハンドリング2.0、電動回避ハンドリングアシスト(e-EHA 2.0)、eライド2.0システムを発表した。e-AWDシステムには、リアアクスルにP4モーターが追加されているが、HMGは車両と地域の好みに応じて、e-AWDと機械式AWDの両方を引き続き提供する。
e-VMC 2.0機能は、e-AWDを搭載したハイブリッド専用で、前後の駆動モーターによる独立したトルク制御によって安定性と走行制御を提供する。このシステムには、「eハンドリング 2.0」「e-EHA」「eライド 2.0」機能が含まれる。eハンドリング 2.0システムは、前後のモーターで逆方向にトルクをかけ、重心を下げる。現代自動車は、第1世代のハイブリッドシステムが単一モーターの加減速制御で走行安定性と応答性を高め、第2世代のハイブリッドシステムはより精密な制御が可能だと説明した。e-EHA 2.0エマージェンシーステアリング技術は、車両レーダーとカメラセンサーを使用して、前方衝突の可能性を検出し、ドライバーの急なステアリング操作に応じて前後のモーターを正確にブレーキ制御することで回避操作を行う。操舵入力後、フロントモーターを前進に、リアモーターを制動して重心を下げることで、横揺れを軽減し、安定性を向上させる。より攻撃的な衝突状況での制御は、事故の回避または事故の重大性の軽減に違いをもたらす可能性がある。eライド 2.0システムは、スピードバンプを通過する際の上下運動を最小限に抑え、乗り心地を最大化することを目的としている。

現代自動車グループの新しいハイブリッドパワートレイン。 現代自動車グループ

現代自動車グループのハイブリッドパワートレインエンジン。 現代自動車グループ
ステイモードは、バッテリーの充電状態が70%から80%の間の特定の条件で、最大1時間、エンジンをオンにせずに便利な機能を使用することができる。ハイブリッドのV2Lシステムは3.6kWを供給し、外部アクセサリーの充電と給電に使用する。エンジンがかかっていれば、連続して使用できる。ステイモードでは、バッテリー容量の50%まで使用できる。
現代自動車、ジェネシス、起亜自動車での展開
HMGは、4月21日に発表した2タイプに加え、新たなハイブリッドトランスミッションを搭載する。100PSから300PS半ばまでの出力に対応できる。この範囲の出力で、HMGのシステムは小型車、中型車、大型車、高級車をサポートするという。現代自動車は、2026年に後輪駆動2.5リッターターボハイブリッドシステムを導入するなど、ハイブリッドパワートレインのラインアップを3つから5つに増やす計画である。このシステムはジェネシスのハイブリッドオプションの基礎となる (米国:2024年8月28日:ジェネシス、G80セダンを更新、GV80クーペでSUVのラインナップを拡大、ハイブリッドパワートレインを計画および韓国:2024年5月31日:ジェネシス、初のハイブリッドモデルを2026年に量産へ-報道参照)。
公式声明ではレンジエクステンダー式電気自動車(S&P Global Mobilityのパワートレイン予測では「REX」の略称) の計画は明確にされていないが、メディア報道によると、同社はREX製品の航続距離は900キロメートル以上になり、バッテリーが小さいため電気自動車よりも手頃な価格になると述べたという。現代自動車のREXやレンジエクステンダー式電気自動車(EREV)モデルに対する野心は、しばらく前から報じられている (米国:2024年8月15日:現代自動車・起亜自動車、米国でEREVピックアップトラックを計画か-報道参照) 。ニュースサイトのCarscoopsによると、現代自動車は以前にも報道された計画において、北米のジョージア工場でハイブリッド車の生産を増やすことを認めたという。
見通しと影響
現代自動車グループ (HMG) は、電気自動車とともにハイブリッド技術の進歩で有利な立場にあり、プラグインハイブリッド車 (PHEV) システムの開発を続けている。現代自動車は、レンジエクステンダー式電気自動車の電気推進システム(REX) も計画している。現代自動車は、ハイブリッドシステムを初めて採用しており、システムの革新は自社の電動化開発によるものであるとしているが、最初のIMAハイブリッドパワートレインはホンダが導入した。ゼネラルモーターズとの潜在的な合意がHMGシステムの開発に何らかの役割を果たすかどうかは不明である。
S&P Global Mobilityの2025年3月の自動車生産予測は、4月に発表した関税問題の統合で下方修正され、2030年のHMGの世界生産に占めるBEVの割合は約25%、ハイブリッド車 (HEV) は26%、マイルドハイブリッドシステム車は2.6%と予想している。HMGは一部のREX車 (EREV) とPHEVの販売を継続する見通しだが、これらを合わせても2030年の生産構成比は2%未満にとどまる見通しである。HMGからの最初のREX車は2027年モデルイヤーに登場する見込みで、ゼネラルモーターズ(GM)」との提携の可能性もある(米国-韓国:2025年3月21日:GMと現代自動車、提案されたパートナーシップの拡大を検討–報道、米国-韓国:2025年1月28日:現代自動車、GM協議進行中-報道および米国:2024年9月13日:GMと現代自動車、電気自動車に関する覚書を締結参照) 。4月20日に発表されたイベントのニュースで、4月10日に韓国で開催された「現代自動車グループ次世代ハイブリッドシステムテックデー」イベントでは、GMについての言及はなかった。
HMGのプレス資料によると、同自動車メーカーの新しいハイブリッドシステムプロジェクトは、より強力なバッテリーを搭載した電気自動車の機能をハイブリッド分野に持ち込む野心的なものであるが、同社は、バッテリーの化学的性質やサイズに関する計画の詳細は明らかにされていない。ハイブリッドシステムはバッテリーの種類にとらわれずに開発されたようである。朝鮮日報のニュースの取材源によると、現代自動車「スターリア」や起亜自動車「カーニバル」などのハイブリッド車が比較的大型だったことが、新しいハイブリッドシステム開発の主な要因であると現代自動車は述べたと報じている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
東京都、2030年までに燃料電池車を5,000台導入へ
2025年4月22日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
方針・規制
シニアアナリスト、ニティン・ブディラジャ-自動車
東京都は2030年度までに約5,000台の燃料電池商用車を導入する目標を掲げている。この取り組みでは、2028年度までに約2,900台の導入を中期目標として、車種ごとに具体的な目標を設定している。2030年度までの車種別導入目標の内訳は、次のとおりである:2028年度までに小型FCトラック約2,000台、大型FCトラック約250台、FCバス約200台、FCタクシー約450台の計画である。2030年度までに小型FCトラック約3,600台、大型FCトラック約500台、FCバス約300台、FCタクシー約600台に拡大する。2050年の東京の姿「ビジョン」を実現するため、東京都は「2050年東京戦略」を策定した。この戦略では、2035年までに実施すべき施策を示し、2035年度までに約1万台のFC CVを導入することを目標としている。
重要性: 日本政府は燃料としての水素の利用を支援している。日本は2023年、脱炭素化を加速させるため、15年間で官民部門合わせて15兆円を水素サプライチェーンに投資し、利用を促進する計画を明らかにした。2040年までに水素供給量を約1,200万トンに増やす計画である。また、日本は2030年の水素発電の商業化を目指し、企業の積極的な水素への取り組みを期待している(日本:2023年6月5日:日本、水素サプライチェーンの整備に向け、今後15年間で官民部門合わせて15兆円を捻出参照) 。燃料電池車 (FCEV) トラックを導入する東京都の取り組みは、クリーンエネルギー源としての水素の利用を促進する可能性が高く、運輸部門の脱炭素化に向けたより広範な取り組みにおいて重要な役割を果たす。水素燃料トラックへの移行は、市の環境目標を支援するだけでなく、水素の製造、貯蔵、流通に関する技術革新とインフラ開発を促進する。さらに、FCEVトラックの導入は、製造、メンテナンス、給油所での雇用創出など、水素経済における新たな経済機会の創出が期待される。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車、韓国でのEV生産を一時中断
2025年4月18日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代自動車|施設・運営、生産、企業、ライトビークル、コーポレート、電動化
Jamal Amir, Principal Research Analyst
現代自動車は、人気の電気自動車 (EV) モデル「IONIQ 5」と「コナ」の生産を一時中断すると発表した、と韓国の聯合ニュースは報じている。この決定は4月24日から4月30日まで有効で、韓国の蔚山にある同自動車メーカーの主要工場のライン12に影響を与える。欧州やカナダ、米国など主要輸出先からの受注が大幅に減少したことが主な要因である。
重要性: 生産停止の根本的な原因は、最近の各国政府のEV政策の転換にある。カナダやドイツを含むいくつかの欧州諸国では、EVへの補助金が大幅に削減されたり、完全に廃止されたりしており、消費者のEV熱が冷めている。加えて、米国市場はドナルド・トランプ政権下での高関税の脅威に起因する不確実性と戦っており、EVメーカーの状況はさらに複雑になっている。同報道は、現代自動車が北米地域で無利子融資、ドイツと英国で頭金支援などの戦略を推進し、これらの課題に積極的に取り組んでいると付け加えた。しかしながら、これらの努力は限られた成功しか収めておらず、根底にある問題は単なる金銭的インセンティブではなく、より体系的なものである可能性が示唆されている。世界的なEV需要の低迷を受けた2月の同様の5日間の停止に続き、2025年に入って現代自動車の2回目の生産停止である。こうした中断の繰り返しは、政府の政策や市場環境の変化に伴う需要の変動にメーカーが対応する中、自動車業界全体の傾向を示している。S&P Glonal Mobilityは、2025年の韓国での現代自動車の電気自動車生産台数が前年比19.0%増の約195,000台になると予想している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ルノーの会長、日産の取締役退任へ
2025年4月18日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-フランス-日本
日産自動車株式会社、ルノーSA|人事、コーポレート
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
ロイターによると、ルノーの会長ジャン=ドミニク・スナール氏は、業績悪化に対処する取り組みの中で、木曜日に日本の同自動車メーカーが発表したように、日産の取締役を辞任する予定である。日産の副会長を務めていたスナール氏は6月の年に一度開催される定期株主総会後に退任する。さらに、ルノーの別の代表者ピエール・フルリオ氏も、その時点で日産の取締役を退任する。クレディ・スイスの元幹部で現在は自動車部品メーカーのフォービアの取締役を務めるヴァレリー・ランドン氏と、ナティクシスの元幹部ティモシー・ライアン氏が取締役候補に挙がっている。匿名を希望するルノーに近い筋によると、ルノーが提案した2人の財務面での専門知識は、日産が現在進めている再建努力に役立つという。ルノーと日産は過去20年間、アライアンスの一環として、それぞれの取締役会に2人の代表を置いてきた。
重要性: 財務経験のある2人を日産の取締役会に新たに指名したことは、最近再建計画を発表した日産にとってプラスになりそうである (日本:2025年2月14日:日産は、2024~2025年度当第3四半期の所有者に帰属する当期利益は、前年比98.4%の減益となったと報告している参照)。同氏らの経験は、コスト削減と収益向上の分野を特定するのに役立つであろう。一方、先月、日産とルノーは、それぞれの政策保有株式の柔軟性を高めることを目的とした新アライアンス契約の改訂に合意した。これにより、ロックアップ・コミットメントは15%から10%に減少し、各企業は最低10%まで持ち分を減らすことができる (フランス-日本:2025年4月1日:ルノーグループ、日産が戦略的提携を更新、インドでのパートナーシップを変更参照) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国政府、米関税で自動車産業に20億米ドルの緊急支援
2025年4月10日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国/p>
政策・規則、貿易 (輸出入)、企業、コンポーネント、ライトビークル、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst
最近、米国が輸入されたすべての小型自動車と自動車部品に25%の関税を課したことを受けて、韓国政府は窮地に陥っている自動車産業を安定させるために3兆ウォン (20億4,000万米ドル) の緊急支援策を発表した (米国:2025年3月27日:米国大統領、自動車と自動車部品に25%の関税をかけると発表参照) 。Korea Timesの報道によると、政府はすでに自動車産業全体を支援するために2兆ウォンの政策基金を承認した。しかしながら、関税による潜在的な損失を認識し、当局は追加的な金融支援策を積極的に検討している。この積極的なアプローチは、最も重要な経済部門の一つを保護するという政府のコミットメントを強調している。同産業をさらに強化するために、韓国政府は、民間金融機関と協力して特に現代自動車と起亜株式会社を対象に1兆ウォン規模の共栄事業を推進する計画である。これらの自動車メーカー2社は関税の影響を大きく受けると予想されており、このターゲットを絞った支援は彼らの継続的な成功のために不可欠である。このような差し迫った課題を受け、韓国自動車メーカー各社も輸出減少を補うため、国内販売の拡大に力を入れている。この戦略的方向転換は、市場環境の変化に対する業界の適応力を強調している。韓国政府は、当面の財政支援だけでなく、現地の自動車メーカーを支援するいくつかのプログラムを開始した。特に、特別な電気自動車 (EV) 奨励プログラムのタイムラインは、2025年上半期から2025年末まで延長された。この制度は、補助金を通じてEVの普及を促進することで、消費者へのEV普及を促進し、地元メーカーを支援することを目的としている。また、政府は輸出バウチャーの予算を拡大し、地元の自動車メーカーが新しい市場に参入するのを促進する予定である。韓国政府は今年初めに、同国の自動車輸出支援に2,400億ウォンを割り当てたが、さらに支援するために現在1,000億ウォン以上増やして支援することにした。
重要性: 韓国の自動車輸出にとって米国は重要な市場であり、韓国政府の迅速な対応が被害の重大な損害の可能性に欠かせない。前述したように、2024年の韓国の対米自動車輸出額は347億米ドルに達し、同年の韓国の自動車輸出総額の半分近くを占めた。国内業界トップの現代自動車・起亜自動車は昨年97万台を米国に輸出し、ゼネラル・モーターズ (GM)コリア は41万台を輸出し、総世界販売台数の85%を占めている。韓国の緊急措置は、政府が国際貿易政策の課題を認識し、国内製造業を支援するというコミットメントを示している。状況が進展するにつれて、これらの措置の有効性は、業界の利害関係者や世界市場から同様に注視されることになる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
TOYOTA GAZOO Racing、新型「GRヤリス」を発表へ
2025年4月11日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
トヨタ自動車株式会社|製品
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst - Automotive
TOYOTA GAZOO Racing (TGR) は、新型「GRヤリス」の受注を日本全国のトヨタ販売店で開始し、5月6日に販売を開始すると発表した。さらに、「東京オートサロン2025」で初めて発表されたモータースポーツの知見を取り入れた「エアロパフォーマンスパッケージ」を工場装備し、今年後半に発売する予定である。新型「GRヤリス」は、「ダイレクトオートマチックトランスミッション」を改良し、スポーティなドライビングにおけるギア選択コントロールと応答性を向上させた。シフトアップタイミングやシャシーの調整により、安定性やステアリングレスポンスを向上させ、車両性能を最適化した。また、サスペンションセッティングを見直してハンドリング性を向上させるとともに、オートマチック車のフットレスト部分を拡大して操作性を向上させた。新型の垂直パーキングブレーキオプションを全車種に設定するとともに、「Toyota Safety Sense」を全車種に標準装備し、安全機能を強化する。新型「GRヤリス」は、ターボとインタークーラーを備えた直列3気筒エンジンを搭載し、馬力304 PS、トルク400 N・mを発揮する。一方、「エアロパフォーマンスパッケージ」は、「GRヤリス」の空力性能を向上させるために、6つのコンポーネントをきめ細かく調整している。これらのアップグレードにより、冷却性能と空力性能が大幅に向上した。エンジンルーム内の熱を効率的に排出するダクト付きのアルミフード、最適な空力バランスを実現するフロントリップスポイラー、ノーズダイブ時のステアリングフィールを向上させ、コーナリング時の操縦安定性を向上させるフェンダーダクトを採用している。また、燃料タンクのアンダーカバー、高速走行時の安定性に寄与する可変式リヤウイング、リヤバンパーのパラシュート効果を緩和して抗力係数を低減するリヤバンパーダクトを採用している。
重要性: 「GRヤリス」は、2020年初頭に発表されて以来、販売されているさまざまな市場で自動車ファンの注目と賞賛を集めてきた。このサブコンパクトスポーツカーは、圧倒的なパフォーマンスとダイナミックな走りで、多くのドライブファンにすぐに愛されてきた。プレミアム価格にもかかわらず、「GRヤリス」の需要は供給を大幅に上回っている。力強いエンジンと軽快なハンドリングだけでなく、モータースポーツのようなドライビング体験を使用者に感じさせる数々の機能を搭載している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車、エンジニアリング人材のグローバル採用活動を開始
2025年3月31日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代自動車|企業、研究・開発、ライトビークル、人事、テクノロジー、コーポレート
現代自動車は、さまざまなエンジニアリング分野に海外の最も優秀な人材を確保するため、グローバル人材採用計画を発表した、と聯合ニュースは報じている。この取り組みは、競争の激しい自動車市場、特に先進技術と持続可能なソリューションの分野での同自動車メーカーの地位を強化することが期待される。この採用計画は、2026年8月までに工学博士号を取得または取得予定の個人を特に対象とする。同自動車メーカーが強調する主な研究分野は、人工知能、データ分析、バッテリー技術、水素燃料電池、スマートファクトリーシステム、ロボット工学、先進航空モビリティ (AAM)、サイバーセキュリティである。これらの分野は、自動車産業の電動化と自動化に向けた世界的なトレンドに沿った、現代自動車の未来のモビリティとサステナビリティのビジョンにとって重要なものである。応募手続きは今週開始され、5月に書類審査、6月に面接が予定されている。最終選考者は、韓国の南陽研究開発センターに招待され、綿密な面接を受ける。現代自動車は博士人材の募集に加え、韓国に留学している外国人大学生を対象としたインターンシッププログラムや、海外の学士・修士学位取得者を対象としたプログラムも実施する。7月と8月に5週間続くこれらのインターンシップは、実践的な経験を提供することを目的としており、優秀な候補者のフルタイム雇用につながる可能性がある。
重要性: 現代自動車のグローバル採用戦略は、企業が競争力を維持するために専門的な人材を引きつけることの重要性をますます認識している自動車業界のより広い傾向を反映している。現代自動車は、博士号取得者や大学生をターゲットにすることで、当面のスキルギャップを埋めるだけでなく、長期的なイノベーションにも投資している。人工知能 (AI)、バッテリー技術、サイバーセキュリティなどの先端技術に焦点を当てていることは、電動化とデジタル化に向けた世界的なシフトとの戦略的整合性を示している。このような積極的なアプローチは、現代自動車の研究能力を高めるだけでなく、グローバル市場で望ましい雇用者としての地位を確立し、野心的な目標に貢献できる多様な人材を引き寄せるものと期待される。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
レクサス、「GX550」の日本での販売を開始
2025年4月4日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
トヨタ自動車株式会社|製品
Nitin BudhirajaSr. Analyst – Automotive
レクサスは4月3日、「GX550」の日本の全国の販売店での販売を開始した。既に発売している「OVERTRAIL+」モデルに加え、同社は、新たに7人乗りの「Version L」バリアントを国内市場向けに発売する。「GX」は2002年から北米を中心に販売されている。2025年2月末までに、同社は世界約30カ国で約40万台を販売したと主張している。新型「GX」は、オフロードとオンロードの両方の性能に合わせた機能を備えている。耐久性に優れたGA-Fプラットフォームをベースに、高出力3.5リッターV6ツインターボガソリンエンジンと最適化されたサスペンション形状を組み合わせ、卓越した車両安定性と上質なドライビングエクスペリエンスを実現する。そのオフロード性能は、伝統的なリジッドリアサスペンションシステム、不要なフィードバックを最小限に抑える電動パワーステアリング、反応性の高いアクセルとブレーキコントロールによって強化されており、険しい地形でも簡単に操作できる。インテリアは快適さを追求し、デジタル環境を完備している一方で、エクステリアはタフで現代的なプロポーションをアピールしている。「OVERTRAIL+」と「Version L」の2つの仕様は、それぞれ異なる好みに対応しており、前者はアドベンチャーに適した機能を重視し、後者は調光可能なパノラマルーフやアルミホイールなど、ラグジュアリーさや快適さを重視している。また、最新の「レクサスセーフティシステム+」をはじめとする先進の安全技術を搭載し、長距離走行時のドライバーの負担を軽減する。
重要性: 「レクサスGX」は、Eセグメントのスポーツ・ユーティリティ・ビークル (SUV) で、S&P Global Mobilityのライトビークル販売台数データによると、2025年の日本の販売台数は約5,100台、2026年は6,000台と予想されているという。「GX550」には「Version L」と「OVERTRAIL+」の2つの仕様があり、寸法や機能に若干の違いがある。「Version L」モデルは長さ4,960mm、幅1,980mm、高さ1,920mmで、「OVERTRAIL+」バリアントはわずかに長く4,970mm、わずかに幅が広く2,000mm、高さは1,925mmである。両モデルともホイールベースは2,850mmで、3.5リッターV6インタークーラーツインターボパワートレインを搭載している。乗車率は「Version L」が7、「OVERTRAIL+」が5と異なる。メーカー希望小売価格は、いずれも10%の消費税込みで「Version L」が1,270万円 (86,888米ドル)、「OVERTRAIL+」が1,195万円である。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代モービス、自動車用半導体の自社設計を完了、量産へ
2025年3月20日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代モービス株式会社|企業、研究・開発、部品、製品、テクノロジー、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst
現代モービスがソフトウェア・デファインド・ビークル (SDV) の重要な部品である自動車用半導体の自社設計を完了し、量産に入ると、Business Koreaは報じている。同社は、今年末までに米シリコンバレーに研究拠点を設立し、技術力を高め、自動車用半導体技術を確保する計画である。現代モービスは、近代的自動車で半導体の重要性が高まっていることを認識し、電動、電子、照明装置などの中核部品に不可欠な半導体の研究開発 (R&D) に力を入れてきた。同社は、サムスン電子のノウハウを活用して高品質製造を確保するため、サムスン電子にこれらの半導体の生産を委託する計画である。2020年に現代オートロンの半導体事業を買収して以来、約5年ぶりに自動車用半導体の量産に乗り出した。
重要性: 最初に量産される半導体は、電気自動車 (EV) の電源制御機能を合わせた電源統合チップとランプ駆動用半導体である。これらは、現代モービスの未来のモビリティソリューションをリードするビジョンに沿って、車両の性能と機能性を高めるように設計されている。同社は半導体開発に特化した300人以上の専門チームを設けており、この取り組みの戦略的重要性を強調している。この動きは自動運転車の普及や電動化への移行に伴い、自動車用半導体の需要が急増しており、現在の自動車には最大3,000個の半導体が搭載されている。現代モービスは、2つの主な分野に戦略的に力を入れているる:EVの性能を高めるパワー半導体と、パワーマネジメント、通信、センシングなど、車両の多様な機能を管理するシステム半導体。同社の包括的アプローチは、パワー半導体、パワーモジュール、インバータ、モーターなど、EV駆動システムのフルラインアップを目指している。2026年にシリコンベースのハイパワー半導体 (Si-IGBT) を量産し、2028年に次世代電源管理集積回路 (IC)、2029年に炭化ケイ素シリコンベースのパワー半導体 (SiC-MOSFET) を発売する計画である。現代モービスは、この野心的な旅に出るにあたり、半導体技術の革新へのコミットメントにより、モビリティの未来を形作る重要なプレーヤーとして位置づけられる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
マツダ、電動化開発コストを削減する「リーンアセット戦略」を発表
2025年3月19日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
重慶長安汽車股份有限公司, マツダ株式会社|経費、施設・運営、貿易 (輸出入)、生産、研究・開発、JV/提携、財務、コンポーネント、販売、ライトビークル、製品、展示・発表、テクノロジー、トレンド、コーポレート、内燃機関 (ICE)、電動化
マツダ

マツダは、近年の課題を受けて、電動化開発コストの削減を目的とした新しいリーンアセット戦略を発表した。これにより、こうしたパワートレインに対する「同社の現在のマルチソリューションアプローチが実現するであろう」とマツダは述べている。同自動車メーカーは昨日 (3月18日) の声明とプレゼンテーションで、2030年の経営方針の下、2022年~2024年までの準備段階から、2025年から2027年の間の第2段階、すなわち「電動化への移行」に移行すると発表した。同社は、2028年から2030年の間の第3段階においてBEVを本格投入する。マツダは、第2段階ではインフレコストの上昇など不確実性が高まっていると指摘している;世界の自動車電動化普及率のばらつき;保護貿易政策;と「地政学的リスクの増大」。しかしながら、第2段階では電池技術開発と並行して電池の調達を検討し、「経営効率の向上」を背景に新型BEVの導入を進める。
同自動車メーカーの毛籠勝弘長兼CEOは、「リーンアセット戦略」のプレゼンテーションの中で、それは「資産の負担を減らし、資産の利用率を高めることで、ニッチプレーヤーとしての競争力を高めるアプローチ」であると述べた。「この経営戦略のもと、当社は、マルチソリューション戦略と「BEVについては、意思あるフォロワー」のアプローチを実行している。電動化に不可欠なソフトウェア開発については、当社は協業やモデリングを活用し、「マツダ ものづくり革新2.0」に反映させている。」と同氏は付け加えた。
同社は、「リーンアセット戦略」から得られると期待しているメリットの中には、電動化開発への投資を以前に発表した水準に維持できることであると述べた。2022年11月には、2030年までに1兆5,000億円 (100億米ドル) の電動化における投資を行うと発表していたが、現在はインフレにより2兆円となった。しかしながら、電池などへの投資を最適化することで、この額を1兆5,000億円に戻す計画である。電池を自前で調達する場合の投資額7,500億円を半分に抑え、中国の長安汽車などとの協業によるシナジー効果を狙う。これにより、2030年のグローバル市場におけるマツダのBEV比率25%、約40万台を支えることになるが、この中には日本の山口県岩国市での電池モジュール・パック組立設備投資も含まれるという。
研究開発 (R&D) を見ると、この分野では、マツダは生産性を3倍に向上させたとし、これは「現在のリソースレベルでより複雑な開発ができるようにするために達成された」と述べている。2027年に投入するBEVでは、従来の協業・提携開発に比べ、開発投資を40%、開発労働時間を50%削減できると同社は見込んでいる。
「ものづくり」または製造に関して、同自動車メーカーは、「マツダ ものづくり革新2.0」を展開している。これは、同社が述べた「規模の経済と多様な顧客ニーズや需要変動に対応する柔軟性」による効率化を実現したと「マツダ ものづくり革新1.0」の上に続くものである。「マツダ ものづくり革新2.0」は、この「ニッチプレーヤーでありながら開発・生産の柔軟性と効率性をさらに高める」ことを進化させ、BEVへの注力を後押しする。自動車開発の分野では、個々の部品単位のモデルベース開発 (MBD) が「AIなどを活用して自動車全体のモデリングを管理するように進化」している。さらに、MBD推進(JAMBE) センターなどの支援を受けて、MBDをサプライチェーン全体に拡大し、開発効率をさらに高めている。生産面では、同自動車メーカーは、既存の混合生産ラインに無人搬送車 (AGV) を採用した「ルートレス生産設備」を導入し、BEVと内燃機関 (ICE) 搭載車を同一ラインで生産できるようにした。これにより「需要変動に対する柔軟性が確保され、資産効率が向上する」と同社はいう。これを通じて、同社は、BEV専用の生産設備を新たに建設する場合に比べ、初期設備投資を85%、量産準備期間を80%削減できる見通しである。また、マツダは、部品の種類数の適正化や組立工場の車両工場への近接化をサプライヤーとともに進めている。
見通しと影響
今回の発表は、2030年までのマツダの基本方針である「中期経営計画」と「経営方針」が、2022年11月に発表された当時と比較して、変化に対応した進化を迫られていることを示している(日本:2022年11月22日:マツダ、車両の電動化に向けて1.5兆円を計画参照) 。マツダは最新の発表において、「ニッチプレーヤー」という表現を用いて、その規模に関連する具体的な課題を強調した。このことを念頭に置いて、同社は、特に現在直面している逆風を考慮しつつ、事業の将来の持続可能性を確保するためにこれらの措置を講じてきた。実際、「リーンアセット戦略」を通じて、「低い投資で高い資産効率を確保し、競争力のある技術と製品を提供することで、資本コストを上回るリターンを生み出し、持続的な成長を達成する」ことができると同社は述べている。
この戦略は同自動車メーカーがBEV計画を具体化する機会にもなっている。マツダはすでに、フルバッテリーまたはレンジエクステンダーパワートレインのいずれかを選択できるクロスオーバーSUV「MX-03」を販売しており、最近では中国のパートナーである長安汽車と共同開発中のEVセダン「EZ-6」を発表しているが、2027年には専用プラットフォームを搭載したマツダ初のBEVが発売される予定である。
マツダは、この電気自動車(EV)専用プラットフォームは社内で開発したもので、「バッテリー技術の継続的な進化に対応し、多様なタイプのバッテリーに対応できるため、さまざまなモデルタイプを導き出す高い柔軟性を確保する。」を考慮していると述べた。また、プラグインハイブリッドパワートレインを使用したものなど、他のデリバティブの提供を検討するとした。マツダのプレゼンテーションでは、長安汽車と共同開発している電動コンパクトクロスオーバーを2025年から2027年の間に発売し、この提携関係から10年間の終わり前にさらに2つのモデルが登場する可能性があることも示された。 BEVはマツダの今後のパワートレイン戦略の重要な柱と考えられているが、電動化はあらゆる形態で継続される。同社は、電動化時代の主力エンジンは、2024年11月に発表した「SKYACTIV-Z」としている(日本:2024年11月14日:マツダ、新型ガソリンエンジン「SKYACTIV-Z」を2027年に発売へ-報道参照) 。具体的には、このパワートレインは、欧州ではEuro 7、米国ではLEV4、Tier 4など、最も厳しい排出ガス規制に適合するように設計されている。「究極の燃焼に近い」燃焼技術を採用し、高い燃費性能と走行性能を実現するという。当自動車メーカー独自のハイブリッドシステムとの組み合わせで2027年に初めて導入し、次期クロスオーバー「CX-5」の直列6気筒エンジンに搭載する予定である。しかしながら、レンジエクステンダーとして使用されるロータリーエンジンのエミッション開発の一環としても利用される。
マツダは、日本と中国に加え、タイのオートアライアンスタイランド (AAT) 工場 (S&P Global MobilityのデータではラヨーンIIとして知られている) でも新型コンパクトクロスオーバーを生産する計画であることを正式に認めた。これは、日本市場と「グローバル・サウス」向けに年間約10万台 (upa) の割合で建設される予定である。このモデルの生産は2027年に開始されると予想されているが、これまでの憶測に反して、近い将来に電動パワートレインを搭載する計画はないようである。 今後、これらのステップが、生産されるマツダBEVのシェア拡大につながるかどうかは未知数である。当社は現在、2025年に同自動車メーカーによって生産される車両の121万台のうち、BEVになるのはわずか2%であると予測している。この割合は残りの10年も増加するが、当社は、2030年には11.1%、2032年には19%にしかならないと予測している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国で自動車メーカー5社が計15,000台をリコール
2025年3月14日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国
フォード自動車、メルセデス・ベンツ・グループAG、ステランティスN.V.、トヨタ自動車株式会社、フォルクスワーゲンAG|企業、コンポーネント、ライトビークル、製品、リコール
Jamal Amir, Principal Research Analyst
メルセデス・ベンツコリア、フォルクスワーゲン(VW)グループコリア、トヨタモーターコリア、ステランティスコリア、フォードセールスアンドサービスコリアなど韓国の11車種15,671台が、部品に欠陥があるとして自主回収に乗り出すと、聯合ニュースが国土交通部を話として報じている。このうち、エンジンコントロールユニット (ECU) のソフトウェアに不具合があり、メルセデス・ベンツは「S580 4MATIC」など2つのモデルで4,289台をリコーし、VWは「Audi Q4 40 e-tron」など4,226台でブレーキ装置のソフトウェアに不具合があったこと見つけた。トヨタは3列シートベルトの着用の不具合の結果として「シエナ」2,722台、ステランティスは燃料ポンプ部品の耐久性不足で「クライスラー300C」1,731台をリコールする。最後に、フォードは1,535台のノーチラスでドア制御モジュールのソフトウェアの欠陥を報告した。
重要性: 自動車メーカー5社すべてで是正処置を実施している。自動車のリコール件数は、車種間での共通部品の使用増加や、一連の不祥事を受けた自動車メーカーのより積極的な取り組みの結果、近年増加している。韓国におけるリコール件数の増加は、同国当局の警戒心の高まりも反映している。最近では起亜自動車、BMWコリア、ルノーコリア、テスラコリア、ジャガーランドローバー (JLR) コリアなどが国内で37車種に及ぶ合計76,382車の自主リコールを行っている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国で自動車メーカー5社が計15,000台をリコール
トヨタ、新型「クラウン・エステート」を日本で発売
2025年3月13日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
トヨタ自動車株式会社|製品
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
トヨタ自動車株式会社は、本日、全く新しい「クラウン・エステート」を日本で発売すると発表した。このリリースは「より良いクルマづくり」の同社の哲学を具体化することを目指すクラウンシリーズの第4弾である。従来のクロスオーバー、スポーツ、セダンモデルに続き、ハイブリッド (HEV) やプラグインハイブリッド (PHEV)オプション などのパワートレインを取り揃え、お客様の多様なニーズに応える。「エステート」は、「GA-K」プラットフォームを採用したエレガントなインテリアや、パワフルなスタンスに寄与するシャープなショルダーライン、21インチの大型アルミホイールなどのデザイン要素を特徴としている。フロントグリルはバンパーとシームレスに一体化したスタイリッシュなデザインで、視線移動を最小限に抑えた快適な長距離走行を可能にした。全長2メートルのスペースを完全にフラットにする独自のメカニズムラゲッジスペースを含む、後席を上げた状態で570リットル、折り畳んだ状態で1,470リットルと十分な広さを確保している。「エステート」はフロントモーターの出力を従来モデルと比べて約50%大幅に向上させた高効率ハイブリッドシステムを採用し、プラグインハイブリッドバリアントも選択可能である。これにより、重い負荷がかかってもスムーズに加速できる。高品質の素材を使用した広々としたキャビン、カスタマイズ可能なドライビングモード、快適性と精度を追求した洗練されたサスペンションシステムを備えている。主な仕様は、全長4,930mm、全幅1,880mm、全高1,625mm、燃費はPHEVが20.1km/L、HEVが20.3km/L、排気量は2.487Lを有する。同車の価格は、シリーズパラレルハイブリッドシステムを搭載した「エステートZ」が635万円、シリーズパラレルプラグインハイブリッドシステムを搭載した「エステートRS」が810万円である。
重要性: トヨタは、機能とパワートレインの一貫性を維持しながら、4つの異なるボディスタイルを開発するために「GA-K」プラットフォームを使用することで、クラウンを完全に再構築した。これは、今日の市場での関連性を維持することを目的としたオプションの範囲を拡大した、有名な製品ラインの継続を示している;新型は16代目である。生産は国内の堤工場で行い、トヨタは日本の市場におけるベース販売台数を月産約1,500台と見込んでいる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車、初のEVバッテリー研究センターの建設を開始
2025年3月3日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-韓国現代自動車|経費、施設・運営、企業、研究・
開発、コンポーネント、インフラ、ライトビークル、コーポレート、電動化
Jamal Amir, Principal Research Analyst
現代自動車グループは、韓国の京畿道安城市に初のバッテリー専門研究センターの建設を開始する計画であると、The Korea Heraldが報じている。早ければ3月にも建設に着工する。現代自動車は、自社ブランドのバッテリーを生産する中国のBYDと競合するため、独自の電気自動車(EV)バッテリーを開発する戦略の一環である。2027年に完成予定の新しい施設、コードネーム「Mobility Alpha Line Anseong Center」は、現代自動車の初のバッテリー研究開発拠点で、ソウル国立大学との継続的な協力を補完する。安城センターは、南陽、麻北、義王に続き、現代自動車の4番目の研究拠点となり、費用対効果の高いリン酸鉄リチウム (LFP) 電池、高性能ニッケル、コバルト、マンガン電池など、多様な電池技術の開発に集中する。現代自動車はこのプロジェクトに数千億ウォンを投じており、施設の小規模生産能力を拡大するための追加投資を検討している。
重要性: 現在、試作開発段階にある現代自動車のバッテリー生産方式は、コストと収益性を評価するために慎重に検討されている。同自動車メーカーは、自社内で大量生産するか、バッテリーメーカーに生産を委託するかを決めており、「ファブレス」ビジネスモデルを採用する可能性もある。現代自動車のバッテリーR&D投資は、コスト効率を高め、外部バッテリー供給会社への依存度を減らすための戦略的な動きと見られる。現代自動車は独自のバッテリー化学を開発することで、LGエネルギーソリューションやSKオンなどのサプライヤーとの交渉力を強化し、EV全体生産コストに占めるバッテリーのシェアを40%から30%以下に引き下げる計画である。現代自動車がバッテリー生産に参入するのは今回が初めてではない。義王センターは、SKオンが量産している5世代目のサンタフェハイブリッド用ハイブリッドバッテリーを開発した。さらに、現代自動車は義王センターで全固体電池の開発にも力を入れており、2025年までに全固体電池を搭載したEVの試験生産を開始し、2027年の量産を目指している。次世代バッテリー技術を確保するというこのコミットメントは、現代自動車がEVバッテリー分野で革新を起こし、グローバル自動車産業での競争力を強化するという、より広範な戦略を強調している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日産、次期CEOを来週にも決定か-報道
2025年3月7日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析–日本
日産自動車株式会社|企業、ライトビークル、人事、コーポレート
Ian Fletcher, Principal Analyst
日産は来週の取締役会で次期CEOを決定する可能性がある、と共同通信社は報じている。事情に詳しい情報筋は、同社は早ければ火曜日 (3月11日) にも会議を開き、事業の新経営体制を決定する可能性があると述べた。同紙は、取締役会の決定は、社外取締役4人を含む5人の取締役で構成される日産の指名委員会の議論を反映したものになると述べた。
重要性:日産はすでに、事業の意思決定プロセスを合理化するためのリストラ計画の一環として、トップマネジメントの数を20%削減する計画を発表している (日本:2025年2月14日:日産は、2024~25年度の当第3四半期の所有者に帰属する当期利益は、前年比98.4%減となったと報じている参照)。しかし、現CEOの内田誠氏の将来に疑問の声が高まっている。2019年にCEOに就任して以来、同社はさまざまな困難に直面しており、それ以前の困難から立ち直ることはあまりなかった。日産とホンダの合併協議が先月打ち切られて以来、同氏の指導部に対する圧力は高まっている。同社が同氏を更迭することを検討しているとの報道もある (日本:2025年2月25日:日産は、内田誠CEOの後任を探している -報道参照)、そして今、そのポストの候補者についての噂が渦巻いている。Automotive Newsが匿名の情報筋から得た情報によると、その中にはとフォックスコンいう名称でよく知られている鴻海精密工業の電気自動車戦略責任者である関潤氏も含まれているという。関氏はかつて日産で働いていただけでなく、日産の前CEOカルロス・ゴーン氏が2018年に逮捕された後、日産の経営を引き継いだ3人の役員のうちの一人でもあり、このエレクトロニクス企業は、消費者ブランドと小売事業の構築に向けた多角化の一環として、日産との提携に関心を持っていると言われている。日産には他にも、常勤または暫定的なポストを関連している役員がいる。この問題に取り組む会議が開かれるかどうか、そして内田氏が指導部への反発の高まりに耐えられるかどうかが注目される。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
トヨタ、米国人幹部をグローバル取締役に任命
2025年2月26日-Autointelligence|ヘッドライン分析-日本-米国
トヨタ自動車株式会社|ライトビークル、人事、コーポレート
Stephanie Brinley, Associate Director
トヨタ自動車株式会社 (TMC) は、北米トヨタ (TMNA) の執行副社長兼最高戦略責任者であるクリストファー・レイノルズ氏を同社のグローバル取締役に任命した。この新しい役割はレイノルズ氏が5月30日付でTMNAを退職することに関与している。その間、レイノルズ氏は4月1日からTMNAのシニアアドバイザーを務める。同社は声明で、「この [シニアアドバイザー]の役割において、レイノルズ氏は、会社のリーダーシップの移行を支援し、将来に向けてトヨタをより良い位置に置くために会社の再構築を導くことを支援する。」と述べた。レイノルズ氏はアドバイザーとして、引き続きTMNAの社長兼CEOであるテッド・オガワ氏の直属となる。今回の就任により、レイノルズ氏は取締役会の監査等委員会のメンバーおよび取締役会の一般メンバーとしてTMCの取締役会に参加する。クリス・ヤング氏は、現在レイノルズ氏が担当しているTMCのグローバルコンプライアンスおよびグローバルリスク機能を担当する。ヤング氏は、TMNAの企業戦略およびソリューション担当グループバイスプレジデントと法務担当副ゼネラルカウンセルの職に留まり、Toyota Connected North America (TCNA) の社長兼CEOを務める。
重要性:レイノルズ氏のグローバル取締役会への任命は、TMCの地域リーダーシップの統合強化を反映したものであるが、COOのジャック・ホリス氏が2025年1月に退任したため、TMNAは2ヶ月で2度の重要な経営陣の交代を余儀なくされる (米国:2025年1月23日:トヨタ・モーター・ノース・アメリカCOO退任参照) 。 しかしながら、ホリス氏が退職して同社を去った一方で、レイノルズ氏はTMNAに影響力を持ち続けている。レイノルズ氏の方針変更は、2025年6月のトヨタ株主の投票を条件とする;トヨタの取締役に就任する米国人は4人目となる見込みである。これまでに、ジム・プレス氏、マーク・ホーガン氏、ジェームス・カフナー氏が取締役会に任命されている。しかしながら、2月にレイノルズ氏の人事が発表されたことは、TMCの経営陣がこの人事が承認されることを期待していることを示唆している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
起亜自動車、新しい「EV4」と「コンセプトEV2」モデルを発表
2025年2月28日-Autointelligence|ヘッドライン分析-韓国-スペイン
現代自動車|企業、ライトビークル、製品、展示・発売、コーポレート、電動化
Jamal Amir, Principal Research Analyst


起亜株式会社はスペインのタラゴナで開催された「2025 EV Day」イベントで、エレクトロモビリティの新たな定義に向けた大きな一歩として、最新モデル「EV4」と「コンセプトEV2」を発表した。起亜自動車は、「EV3」、「EV5」、「EV6」、「EV9」に続き、「EV4」、「EV2」を発売し、2026年までにEV6車種を発売する計画で、EVの普及拡大を図っている(韓国:2024年4月8日:起亜自動車は2030年の事業戦略を再確認し、2028年までに未来のモビリティに38兆ウォンを投資する参照) 。
起亜EV4
「EV4」はセダンとハッチバックのボディスタイルで提供される予定である。この車は起亜のEVポートフォリオを強化するもので、イノベーションと持続可能性を積極的に受け入れるライフスタイル重視の幅広い消費者層をターゲットとしている。セダンタイプは全長4,730 mm、全高1,480 mm、ハッチバックタイプは全長4,430 mm、全高1,485 mmである。両バリアントの車幅とホイールベースはそれぞれ1,860 mm、2,820 mmである。
2023年10月に発表された「EV4」コンセプトをベースに、オリジナルのスタイリングを踏襲した製造規格「EV4」を維持している。起亜自動車の新しいデザイン哲学「オポジット·ユナイテッド」が採用されている。正面から見ると、セダンとハッチバックはまったく同じで、起亜自動車のEV「タイガー・フェイス」を装備しており、ヘッドランプは縦型で、フェイシアの端にはデイタイム・ランニング・ライト (DRL) が配置されている。製造規格モデルでは、ワイドな長方形のエアダムと、ボンネットとフロントバンパーを隔てる黒いエレメントが維持されている。側面から見たところ、「EV4」セダンは、滑らかなボディラインが特徴で、ホイールアーチの周りにはクラッドが施され、先細りのファストバックスタイルのルーフラインはトランクリッドの先端まで伸びている。セダンのハンチははっきりとした四角い形をしており、テールランプは後部の両端にある。対照的に、ハッチバックはセダンよりも一般的なシルエットで、リアオーバーハングが短くなっている。このハッチバックには、セダンと比較して独特な合金ホイールに加えて、ルーフマウントスポイラーも装備されている。ハッチバックのテールランプはセダンの配置と同じである。よりダイナミックなキャラクターを求める人のために、起亜「EV4 GT-Line」バリアントも用意されており、ウイング型の前後バンパーと三角形のモチーフをあしらった19インチホイールがスポーティな外観を高めている。
起亜の「オポジット·ユナイテッド」というデザイン哲学は、「EV4」の広々としたインテリアに顕著に表れており、特に、自由に動くユーザーインターフェイスと非対称のワンスポークステアリングホイールは、刺激的なデザインと機能性を融合させている。「EV4」は3つのスクリーンからなる30インチのパノラマディスプレイパネルを特徴としている:計装とインフォテインメント用の2つの12.3インチスクリーンと、5.3インチの暖房・換気・空調 (HVAC) コントロールディスプレイを搭載している。
この車は、アンビエントライト、オプションの8スピーカーHarman Kardonサウンドシステム、無線 (OTA) ソフトウェアアップデート、NetflixとYouTubeのエンタテインメントアプリの統合、前列リラクゼーションシート、デジタルキー、iペダル3.0可変回生ブレーキ、音声認識、vehicle-to-load(V2L)、vehicle-to-grid(V2G)、先進運転支援システム (ADAS) など、さまざまな安全性、利便性、技術的特徴を備えている。起亜自動車は「EV4」でユーロNCAPの5つ星を獲得し、米国NCAPの5つ星と米国道路安全保険協会 (IIHS) のトップセーフティピックの獲得を目指す。
起亜EV4は現代自動車グループが開発した400 V級エレクトリック・グローバル・モジュラー・プラットフォーム(E-GMP)をベースに2種類のバッテリーパックを選択できる:58.3 kWhの標準バッテリーと81.4 kWhの長距離バッテリー。これらのバッテリーは、最大出力150kWの単一のフロントマウント電気モーターとペアになっている。
世界統一小型車排出ガス・燃費試験法基準によると、セダンバリアントの場合、標準モデルは一回の充電で430 kmの航続距離を誇り、オプションの長距離バッテリーは一回の充電で630 kmもの航続距離を誇るという。このハッチバックバリアントは、充電1回あたりの航続距離も申し分ない:標準バリアントの場合は410 km、ロングレンジバリアントの場合は590 kmである。充電に関しては、「EV4」は利便性とスピードを重視して設計されている。標準バッテリパックは、DC急速充電器を使用してわずか29分で10%から80%まで充電できるが、長距離バッテリパックは充電に最大31分かかる。この車両は単相と三相の両方に対応した11kWの車載充電器を搭載し、ユーザーの柔軟性を高めている。充電ドアはフロントフェンダーの便利な位置にあり、目に見える充電ステータスインジケーターが充電プロセスを容易にする。
「EV4」セダンは韓国の起亜自動車の光明EVO工場で生産され、ハッチバックはスロバキアで主に欧州市場向けに生産される。セダンの生産は3月中旬、ハッチバックは今年の下半期に生産を開始する予定である。「EV4」は3月に韓国で発売され、欧州では年内に、米国でも発売される見通しである。 S&P Global Mobilityのライトビークルデータによると、「EV4」の世界販売台数は今年約15,000台、2026年には約58,000台に増加する見通しである。
起亜コンセプトEV2
このイベントで起亜自動車は、Bセグメントのフル電動スポーツ・ユーティリティ・ビークル (SUV) である「コンセプトEV2」も披露し、これは革新と持続可能性に対する同自動車メーカーののコミットメントを具現化するものであり、将来の生産モデルの姿を垣間見ることができる。
「コンセプトEV2」は、先進的なコネクテッドテクノロジーと、アクティブなライフスタイルに対応する広々とした複数の設定が可能なインテリアを備え、現代の都市生活者向けに設計されている。起亜自動車のホ・ソンソン社長兼CEOは、「「コンセプトEV2」では、当社は意表を突くクルマづくりに挑戦した。」と述べ、都市走行を再定義する可能性を強調した。このコンセプトビークルは、誰もが電動モビリティを身近で実用的なものにすることを目指している。
「コンセプトEV2」の外観は、クリーンで自信に満ちた美しさが特徴である。そのコンパクトなデザインは、力強いシルエットと頑丈なバンパーが相まって、大胆でプレミアムな印象を与える。このSUVの断面は立体的なスタンスとダイナミックなラインを融合させ、堅牢なフェンダー、幾何学的なディテールがテクニカルな外観を引き立てている。垂直DRLと起亜自動車のスターマップの特徴的な照明は、冒険の精神を具現化するモダンな顔を作り出す。都市に優しいサイズにもかかわらず、「コンセプEV2」の直立姿勢は洗練さと目的を感じさせる。この車両のデザイン要素が調和し、起亜EVファミリーの一部であることが一目でわかる独特な特徴を生み出している。
「コンセプトEV2」の内部は、持続可能性へのコミットメントを反映した活気に満ちた空間を誇っている。インテリアには環境に配慮した素材を使用し、柔軟な座席配置により、都会のストレスから解放される快適なくつろぎを提供する。特に、リアヒンジ式のバックドアとフラットフロアは、簡単なアクセスと汎用性を提供し、都市生活者に理想的である。際立った特徴の1つは、ダッシュボードの三角形のデザイン要素で、ワイヤレス充電器と電源コンセントを備え、客室全体の体験を向上させている。室内の雰囲気は、斜めのLED照明と独特なダッシュボードアニメーションによってさらに高められ、リラックスできる環境を作り出している。
「コンセプトEV2」は、ポップアップ式の荷物仕切り、メッセージウィンドウ技術、オーディオ体験を向上させる取り外し可能な三角スピーカーなど、さまざまな利便性、安全性、技術的特徴を備えている。この車両は、V2L充電やOTAアップデートにも対応しており、高い技術力を発揮している。
起亜「EV2」は、2026年に欧州や他の地域で発売され、EV市場に大きな影響を与えるものとみられる。 当社のデータによると、「EV2」の世界販売台数は2026年に約17,000台、2027年には約44,000台に増加すると予測されているという。
見通しと影響
起亜自動車は、スペインで毎年恒例の「EVデー」を開催し、EV業界に重要なメッセージを送った。「EV4」と「コンセプトEV2」に加えて、同自動車メーカーは野心的なクルマを超えるプラットフォーム (PBV) 戦略の最初のモデルとなる「PV5」電動バンも発表した (韓国–スペイン:2025年2月28日:起亜自動車は新しい「PV5」電動バンをスペインの2025 EV Dayで発表参照) 。企業のプレスリリースによると、これら3つの新モデルは起亜自動車の大胆な電動化戦略の最新段階であり、世界のEV市場を再活性化するというブランドの決意を示すものであるという。今回のイベント開催地の選定は、起亜自動車の電動化への取り組みにおけるスペインの重要な役割を強調するものであり、特に欧州は同社の世界EV販売の約34%を占める最大の海外市場であり続けている。
起亜自動車は今回のイベントで、新型モデルラインアップの発表に加え、EV戦略を披露し、同自動車メーカーが世界のEV市場の加速と変革をどのように推進し続けていくのかを明らかにした。ソン氏は、「起亜自動車は今後も、当社の顧客に提供するオプションと体験を強化し、世界をリードするEVブランドと持続可能なモビリティソリューションを提供する企業になる、」と述べ、「起亜「EV4」のようなモデルと起亜「コンセプトEV2」に示されたビジョンを通じて、持続可能なモビリティソリューションの恩恵をすべての人に開かれたものにし、EV所有の民主化に向けて努力する。」と付け加えた。同氏は「カスタマイズされた製品と体験に対する需要がこれまで以上に高まっている時代にあって、バイヤーは依然としてメーカーに自分たちのニーズを満たすことを期待している...起亜自動車は、「PBV」[目的に合わせて製造するクルマ]分野の先駆者として、「PV5」を通じて、顧客第一のアプローチと先進的なEV技術を組み合わせて、パーソナルモビリティを変革する。」とさらに続けて言った。
この大胆な発表の背景には、自動車業界が急速に変化していることがあり、いくつかの大手自動車メーカーは、EV販売の伸び鈍化に対応して電動化戦略を見直している。ボルボ・カーズは高級EVブランドであるポールスターとの関係を解消し、ルノーはEV部門のアンペールをスピンオフする計画を破棄した。さらに、フォルクスワーゲン (VW) が提案しているバッテリー部門のIPOも遠のいている。ステランティス、トヨタ、フォードなど他の自動車メーカーも、手頃な価格のモデルがないことや充電インフラの導入が遅れていること、中国の安価なライバルとの競争が激化していることなどを理由に、EV化の目標を引き下げている。
こうした課題にもかかわらず、起亜自動車の電動化戦略への揺るぎないコミットメントは、市場が失速しているのではなく、適応しているという幅広い理解を反映しているのかもしれない。起亜自動車は、革新とEVラインアップの拡大を続けることで、柔軟性と回復力が求められる状況で、自らを積極的なプレーヤーとして位置づけている。
S&P Global Mobilityのデータによると、起亜ブランドの電池式ライトビークルの生産台数は2025年に前年比80.1%増の約363,000台に達する見通しであるという。これは2027年には約624,000台に跳ね上がり、2030年にはさらに増加して約919,000台になると予想されている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
韓国政府、自動運転車サービスに投資
2025年2月21日-Autointelligence|ヘッドライン分析-韓国
経費、設備・運営、研究開発、コンポーネント、インフラ、ライトビークル、中型&大型商用車、自動運転車
Jamal Amir, Principal Research Analyst
韓国政府は国土交通部 (MOLIT) を通じて、ソウル、セジョン、キョンギ (パンギョ・アニャン)、チュンナム (チョナン)、キョンブク(キョンジュ)、キョンナム(ハドン)、チェジュを含むいくつかの主要地域で自動運転車サービスを強化するための画期的なイニシアティブを開始した。この重要なイニシアティブは、各地域の独自のニーズに合わせた自動運転車サービスの開発と実施を促進するために戦略的に割り当てられた26億ウォン (180万米ドル) の投資によって支えられている。このイニシアティブは、韓国の「自動運転車試験運行地区向け支援プロジェクト」に基づいており、急成長している韓国の自動運転車産業の競争力を強化することを目的としている。このプロジェクトでは、新しい技術やサービスをテストするために指定された試験運行地域を設定することで、公共交通機関のアクセス性を向上させ、サービスが行き届いていない地域のニーズに対処することを目指している。ハドンでは、荷物室を備えた地方の自動運転バスの配備に重点を置いている。この取り組みは、高齢者が多く、公共交通機関の選択肢が限られているため、徒歩やタクシーに大きく依存している多くの地域住民にとって特に重要である。これらの自動化されたバスの導入は、病院、市場、福祉センターなどの重要なサービスへのアクセスを大幅に改善する。交通量の多いソウルでは、タクシー不足を解消するため、カンナムエリアを中心に深夜・早朝の自動運転車サービスを拡大する。自動運転車の増車や早朝通勤用バスの増便などにより、全体の効率的な移動手段の向上を図る。キョンギ道は、パンギョ~アニャン間の通勤に便利な自動化路線バスを運行し、都市部の先端産業団地に通う労働者に特化した戦略を立てている。セジョン市は高速バスと各集合住宅を結ぶ自動運転車ラストマイルサービスに力を入れており、住民同士のつながりを向上させている。キョンジュ市は、2025年のAPECサミットの期間中に、韓国の自動運転技術を外国人観光客に紹介し、同市の会議場と周辺の宿泊施設を結ぶ自動運転シャトルバスを運行する計画である。一方、チェジュ島は、チェジュ~ソギポ間を移動する観光客の利便性を向上させるために、自動化された車両バスを活用する試験事業を推進する。
重要性: この包括的なイニシアティブは、韓国の自動運転車インフラを前進させるというコミットメントを反映しているだけでなく、地域のモビリティの課題に対処し、世界の舞台で自動運転技術のリーダーとしての地位を確立している。様々な地域に26億ウォンを配分するという目標は、特にサービスが行き届いていない地域における特定の地域ニーズに対処するための戦略的アプローチを示している。自動運転車サービスを公共交通システムに統合することで、韓国は地域のモビリティを向上させ、自動運転車産業の世界的プレーヤーとしての地位を確立しようとしており、特に2025年のAPECサミットに向けた取り組みが計画されている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本、テスラに日産への出資要請-報道
2025年2月21日-Autointelligence|ヘッドライン分析–日本
日産自動車株式会社、テスラ|合併・買収 (M&A)
Nitin Budhiraj, Sr. Analyst – Automotive
元首相を中心とする日本の著名なグループは、ホンダとの合併協議から撤退した経営不振の自動車メーカー、日産にテスラが出資する計画を策定した。フィナンシャル・タイムズが事情を直接知る3つの情報筋を引用して、テスラの元取締役である水野弘氏が主導するこの提案は、菅義偉元首相と元補佐官の和泉洋人氏の支持を得ていると伝えた。日産の複数の取締役は、すでにこの取り組みを認識している。同グループは、世界最大の純電気自動車 (EV) メーカーが日産の米国工場の買収に関心を持っていると考えており、テスラが戦略的投資家になると楽観している。この動きは、ドナルド・トランプ大統領の関税の脅威を考慮して、テスラの国内生産能力を強化することになる。テスラは米国で販売する車両をすべて国内で組み立てているが、一部の部品はメキシコや他の地域から輸入している。日産が580億ドルでのホンダとの合併提案を断念したことを受け、日本第3位の自動車メーカーが敵対的な外国資本の傘下に入る可能性があるとの懸念が浮上し、台湾のiPhone組み立てメーカー、フォックスコンのほか、アクティビストやプライベートエクイティ (PE) 企業が関心を示していた。報道によると、日本の経済産業省関係者は、中国本土と密接な関係があるとされるフォックスコンに関する国家安全保障審査プロセスの政治的影響と強度について、重大な懸念を表明している。日本は台湾からの大規模な半導体投資を歓迎しており、ルノーによる日産株取得やフォックスコンによるシャープ買収を認めた経緯があるだけに、こうした取引を阻止することは正当化しがたい。さらに提案では、テスラを主要な支援者とする投資家コンソーシアムの設立が概説されており、Appleサプライヤーによる完全買収のリスクを軽減するためにフォックスコンからの少数出資も検討されている。
重要性: この提案は、テスラがトランプ氏が提案した関税の影響を緩和するために米国内での生産を増やすことを狙っているという考えに基づいている。日産はテネシー州とミシシッピ州に2つの組立工場を有し、合わせて年間約100万台の生産能力を有している;しかしながら、日産は2024年には約525,000台しか製造していなかった。また、構造改革の一環として、日産は販売台数の減少に対応するため、グローバル生産能力を20%削減する計画である。同社は先週、米国の2つの施設でシフトを減らす意向を発表した。十分に活用されていない工場があるにもかかわらず、現地市場は利益成長のための重要な分野であるため日産は米国事業を競合他社に売却することに消極的であるかもしれない。最近の報道では、日産の内田誠最高経営責任者が退任した場合、ホンダが日産との買収協議を再開する可能性があるとも言われていることに言及する価値がある (日本:2025年2月18日:ホンダ、日産の元CEOが辞任すれば日産との合併交渉再開の可能性ある-報道参照) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
起亜自動車、2025 EVデーを今月末までに開催
2025年2月14日-Autointelligence|ヘッドライン分析-韓国-スペイン
現代自動車|経費、研究開発、ライトビークル、製品、展示・発売、テクノロジー、トレンド、電動化
Ian Fletcher, Principal Analyst
起亜自動車は、同自動車メーカーの電気自動車 (BEV) 技術を注力する「EVデー」を2月末前にスペインで開催すると発表した。声明によると、同自動車メーカーは2月27日にスペインのタラゴナで開催するタラコ・アリーナで「拡大したグローバルEVリーダーシップ戦略」を示すという。これには「持続可能なモビリティにおける起亜自動車の世界的なEVリーダーシップを前進させるためのブランドの最新の電同化モデル、コンセプト、技術」のショーケースも含まれる。起亜自動車は今回のイベントでEV4を世界初公開するとともに、ブランド初のプラットフォーム・ビヨンド・ビークル (PBV) 製品である「PV5」を披露する。また、「コンセプトEV2」を発表する予定であることも明らかにし、起亜自動車は「コンパクトEVであり、EV専用モデルグループの最新モデルである」と説明している。展示される車はすべて起亜の「Opposites United」デザインアプローチを採用している。起亜自動車は製品だけでなく、PBV全体戦略も共有し、「事業の全詳詳細、ビジョン、製品ラインアップ、および「PV5」の展開をサポートするための発売」を提供し、この車がベースとなるPBVプラットフォームを展示すると述べた。
重要性: 2025 EVデーは、2023年に韓国のソウルで開催されたEVデーに続くものである(韓国:2023年10月13日:起亜自動車がグローバルEV戦略を発表、EV5と2つの新しいEVコンセプトを発表参照) 。そのイベントで披露されたコンセプトの1つである「EV3」コンパクトクロスオーバーが、顧客に届き始めた。今回のイベントで発表される「EV4」の量産モデルは、これまでの製品を踏まえると、前回のイベントでコンセプトモデルとしてすでに発表されたものと似たデザインになる可能性が高い。同社は、昨年1月にラスベガスで開催されたCES 2024で「PV5」のコンセプトを発表し、その概要をすでに明らかにしている (米国2024年1月10日:CES 2024:起亜自動車、クルマを超えるプラットフォームのビジョンを更新参照) 。4月に英国で開催される商用車 (CV) ショーでこの車を展示する計画は、製品の展開をサポートする専門家のネットワークと共に、搭載される可能性のある技術の一部を示唆している (英国:2025年1月28日:起亜自動車、英国CVショーで「PV5」 EVバンを展示へ参照) 。「EV2」については、S&P Global Mobilityはサブコンパクトクロスオーバーと予測しており、2026年前半にスロバキアにおいて同社のジリナ工場で生産を開始する。このモデルは、今後数年のうちにインドのアマバルー・パリと中国の塩城にも最終的に建設される予定である。当社は今後も同モデルの世界生産台数を拡大し、2030年には73,400台を見込んでいる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
いすゞ、2027年生産に向け米国に新工場建設
2025年2月13日-Autointelligence|ヘッドライン分析-米国
いすゞ自動車|経費、設備・運営、生産、財務、インフラ、中型&大型商用車、人材、製品、コーポレート、内燃機関 (ICE)、電動化
Stephanie Brinley, Associate Director
企業の声明によると、いすゞは、2億8,000万米ドル (約430億円) を投じてサウスカロライナ州グリーンビルに5万台の新工場を建設し、2027年に生産を開始し、2028年に拡大する計画であるという。いすゞは2030年までに5万台の生産能力を達成する計画で、ディーゼルの「Fシリーズ」に加え、「Nシリーズ」の電気自動車 (BEV) とガソリンモデルを生産する予定である。いすゞによると、新工場では最新の生産行程を導入し、BEVや内燃機関 (ICE) 車の生産が可能な「変種変量生産方式」を導入する。これは、コンベアやピットを使わない初めてのいすゞの生産ラインである。検査の自動化による誤操作の排除、部品のトレーサビリティの確保、不良品の流出防止のための画像検査の導入などを行う。いすゞは100万平方フィートの既存施設を購入し、敷地を作り替えている。いすゞノースアメリカによると、このキャンパスは生産関連のすべての業務を集約し、プロセスを合理化するという。
重要性:新工場は、いすゞの北米における生産拠点を拡大する;同社はシャーロット工場(米国ノースカロライナ州)とサン・マルティン・オビスポ工場(メキシコ)でクラス4から7のトラックとバスを生産している。S&P Global Mobilityの推計によると、いすゞの2024年北米生産台数は2024年に約13,500台;この新工場は、いすゞの北米生産拠点をレベルアップさせるものである。同社の2024年の北米での販売台数は約24,000台であった。この工場は輸入車の需要を減らすことができるが、生産能力計画からは、この地域でのいすゞの存在感を飛躍的に高める狙いがうかがえる。このニュースは、ドナルド・トランプ米大統領がカナダやメキシコで生産された自動車に関税を課すとした後、延期したことを受けたものだが、この決定が環境に配慮したものかどうかは不明である。いすゞが新工場向けに計画している現行の「Nシリーズ」は米国とメキシコでも生産されているが、「Fシリーズ」は現在米国のみで生産されている。いすゞはメキシコで生産しているが、商用車事業は北米では米国とカナダでのみ販売している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日産、環境に配慮した鋼材の使用を拡大
2025年2月7日-Autointelligence|ヘッドライン分析-日本
日産自動車株式会社|設備・運営
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst - Automotive
日産自動車は、CO2排出量の少ない日本国内生産の鉄鋼の使用を増やす計画を発表した。この取り組みにより、2025年度には日本国内での低CO2排出鋼の使用比率を2023年度比で約5倍に引き上げる予定である。車両重量の約60%を占める鋼材の低CO2排出鋼材は、ライフサイクル全体でのCO2排出量削減に大きな役割を果たす。CO2排出量の多くは、高炉での鉄鉱石の還元によるものである。グリーン綱材は、原料を鉄鉱石から低炭素還元鉄に置き換えたり、高炉から電気炉に転換したりすることで、CO2排出量の削減を目指している。同社は2023年、神戸製鋼所のコベナブル・スチールを皮切りに、日本市場向け車両へのグリーンスチールの採用を開始した。日本製鉄株式会社の「NSCarbolex Neutral」、JFEスチール株式会社の「JGreeX」、ポスコのCO2削減配分鋼などを採用し、使用量を大幅に増やす計画である。これらのグリーンスチール製品は、マスバランス方式により生産時のCO2排出量削減に貢献している。
重要性:日産は2021年に、2050年までに世界の生産拠点でカーボンニュートラルを達成するためのロードマップを発表した(日本:2021年10月11日:日産、栃木工場の生産ラインを更新、生産におけるカーボンニュートラルに向けたロードマップを発表参照) 。これを実現するために、日産は生産革新の推進や工場のエネルギー効率や材料効率の向上など、事業活動や製品のライフサイクル(使用済み自動車の原材料の採取、製造、使用及びリサイクルまたは再使用)全体にわたる取り組みを進めている。さらに、工場設備は今後20年間で完全に電化され、使用される電力はすべて再生可能エネルギー源または代替燃料を使用するオンサイト燃料電池で発電される予定である。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com韓国OEMs、1月のグローバル販売は前年比3.9%減
2025年2月5日-Autointelligence|ヘッドライン分析-韓国
ゼネラルモーターズ, 現代自動車, ルノー|貿易 (輸出入)、会社、販売、市場、ライトビークル、中型&大型商用車、コーポレート
Jamal Amir, Principal Research Analyst

韓国自動車メーカー大手5社 -現代自動車、傘下の起亜株式会社、韓国GM、ルノーコリア、KGモビリティ株式会社-は、1月の世界販売台数を発表した。聯合ニュースより発表された数字と企業プレスリリースを基にS&P Global Mobilityにより集計したデータによると、先月の5つのOEMsの世界合計車両販売台数は、前年比3.9%減の593,385台であった。このうち、国内販売は前年比11.8%減の90,587台、海外販売は前年比2.4%減の502,623台となった。なお、上記の国内販売台数と海外販売台数の合計には、起亜自動車が販売する特別目的車両 (SPV) は含まれていない。
韓国自動車メーカーの先月の総販売台数の半分以上を占める市場リーダーの現代自動車は、前年比2.3%減の310,399台と発表した。先月の国内販売台数は前年比7.5%減の46,054台であった。現代自動車は国内で計14,836台のスポーツ・ユーティリティ・ビークル (SUV) を販売し、ジェネシス高級ブランドは8,824台を販売した。現代自動車の海外市場における販売台数は、同月の前年比1.4%減の264,345台であった。同ブランドの堅調な需要により、同自動車メーカーは北米で好調な販売を達成している。プレスリリースによると、同月の米国小売販売台数は54,503台で、前年比15.0%増となった。現代自動車は今後、グローバル販売戦略の強化と生産プロセスの最適化を通じて、財務・オペレーショナル・リスク管理能力を積極的に強化する計画である。同自動車メーカーは、今後も、ハイブリッド車や電気自動車 (EV) の新モデルを投入し、世界の顧客から信頼されるトップブランドとしての地位を確立し、持続可能な自動車向けソリューションで世界をリードしていく。
起亜株式会社は先月、SPVを含めた世界販売台数が前年比2.4%減の239,571台であったと発表した。このうちSPVの販売台数は前年比4.9%減の175台となった。同自動車メーカーの先月の販売台数はSUVモデルがトップで、「スポーテージ」は全世界で43,473台を販売した。SUVの「セルトス」および「ソレント」はそれぞれ22,198台、21,421台を販売し、市場を支えた。起亜自動車の1月の国内販売台数は、前年比13.9%減の38,403台であった。国内の傑出するモデルでは、SUV「ソレント」が7,454台を販売した。次いでSUV「スポーテージ」が6,547台、MPV「カーニバル」が6,068台となった。起亜自動車の先月の海外販売台数は、前年比0.1%増の200,993台であった。モデル別では、「スポーテージ」が36,926台を販売し、韓国以外の市場でブランドの業績をリードした。「K3」セダン(一部市場では後継のコンパクトセダン「K4」を含む)が18,663台、「セルトス」が17,856台と続いた。起亜自動車は今年、「タスマン」ピックアップトラックや「シロス」SUV、「PV5」パーパスビルトビークル(PBV)、フル電動化「EV4」、EV5などの新モデルを戦略的に発売し、グローバル販売の勢いを維持する計画である。
先月、韓国GMの世界販売台数は31,618台 (前年比26.8%減) に急落した。OEMの国内販売台数は前年比57.5%減の1,229台、海外販売台数は前年比24.6%減の30,389台となった。ある関係者は「旧正月の連休の影響で季節的な閑散期や営業日の減少にもかかわらず、当社の戦略モデルは国内外の顧客から着実に好意的な反応を得ている」と述べた。韓国GMは2月、顧客の反応を改善するため、積極的なマーケティング活動を展開する計画であると同関係者は付け加えた。
KGモビリティは1月の世界販売台数を、国内販売台数の減少の結果、前年比13.0%減の7,980台であったと発表した。同自動車メーカーの先月の国内販売台数は前年比38.9%減の2,300台、海外販売台数は前年比5.0%増の5,680台であった。売上を伸ばしたことにより同自動車メーカーは最近、トルコでSUV「アクチオン」の販売を開始した。
ルノーコリアの1月のグローバル販売台数は、国内外での旺盛な需要に支えられ、前年から倍増以上の3,817台 (前年比104.0%増) となった。先月の国内販売は前年比58.1%増の2,601台、輸出は4倍以上の(前年比438.1%増の)1,216台であった。先月の国内販売をけん引したのは、同自動車メーカーの中型SUV「グランドコレオス」の2,040台であった。続いてクーペスタイルのSUV「アルカナ」が272台販売された。輸出市場では、「アルカナ」が1,078台、SUV「QM6」が128台を販売した。ルノーコリアは先月、EVの生産インフラを構築するため、釜山工場の操業を一時中断したが、販売台数は伸びたと明らかにした。同自動車メーカーは平日の時間外勤務や週末の特別勤務を実施し、追加の産量を確保した。
見通しと影響
韓国の主要自動車メーカーの1月の総世界販売台数が減少したのは、旧正月休みの影響で営業日が減少し、韓国での生産が減少したためとみられる。
当社の予測によれば、韓国の経済成長は、ベース効果の低下や外部不確実性の高まりにより、一貫性のないものとなっている。2024年12月初めの大統領の突然の戒厳令の宣言と、それに続く大統領の謝罪と戒厳令を再び宣言しないという約束の後の弾劾投票によって引き起こされた最近の国内政情不安は、政府の裁量的支出の潜在的削減による経済不安定のリスクをもたらしている。
しかしながら、政治的混乱の影響は短期間で、比較的限定的であると予想される。
2024年の韓国の新車のライトビークル販売台数は前年比6.5%減の約159万台であった。この減少は、金融環境のタイト化、海外需要の低迷、および2023年上期からのベース効果の上昇の影響により、2024年の初めには前年比2桁の減少率となる月があったことによるものである。その結果、同国内市場は低調で厳しい1年となった。しかしながら、2025年には若干の回復が見込まれており、昨年の低迷から1.2%の成長が見込まれ、販売台数は約161万台に達する見込みである。この回復は、1.7%という比較的まともな実質GDP成長率を反映していると予想される。
当社のライトビークル販売台数データには乗用車とLCVを含む。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com三菱自動車、ホンダ・日産合併に参加せず-報道
2025年1月24日-Autointelligence|ヘッドライン分析–日本
本田技研工業株式会社、三菱自動車工業株式会社、日産自動車株式会社|合併・買収 (M&A)
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst - Automotive
重要性: ホンダと日産は先月、経営統合のための共同持ち株会社の設立を検討する基本合意書(MoU) に調印した。また、三菱が経営統合に参加する可能性についても検討することで合意した。
なお、三菱は当時、MOUへの参加については2025年1月に決定するとの声明を発表していた (日本:2024年12月24日:ホンダと日産が合併を模索するMOUに署名、三菱が参加を検討および日本:2024年12月18日:日産とホンダが合併を協議している-報道参照) 。
三菱自動車は、ホンダと日産の協業により、共通のリソース、高度な技術、専門知識を利用できるようになり-コスト削減や業務効率の向上につながる可能性があるが、日産とホンダの統合によって期待される利益については不確実性がある。最近の報道によると、ホンダは同日本の自動車メーカが合併を目指しており、日産がルノーの株式を取得できるか打診したという。ホンダは、日産との合併交渉中に第三者がルノーの株式を取得した場合、日産が好ましくない外国の影響力にさらされる可能性があると懸念している(日本:フランス:2025年1月17日:ホンダ、日産に合併前のルノー持ち分買い取りを要請-報道参照) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com起亜、2024年の純利益は前年比11.6%増、2025年の見通しを発表
2025年1月24日-Autointelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代自動車|会社・金融・販売・ライトビークル・企業
Jamal Amir, Principal Research Analyst

ゲッティイメージズ

本報告書は、現代自動車グループ傘下の起亜ブランドの2024年第4四半期および通期業績のみを対象としている。系列会社である現代自動車の決算については、別記事で取り扱われている (韓国:2025年1月23日:現代自動車、2024年の純利益が前年比7.8%増、2025年の見通しを発表参照) 。
2024年第4四半期実績
起亜(1月24日)は本日、2024年第4四半期の純利益が前年比8.5%増の約1兆7,600億ウォン (12億2,000万米ドル) となり、2023年同期の1兆6,200億ウォンから増加したことを発表した。営業利益は前年比10.2%増の約2兆7,200億ウォンで、プロダクトミックスの改善による利益1,630億ウォン、価格効果の拡大による利益1,360億ウォン、販売台数の増加による利益3,630億ウォン、為替レートの改善による利益3,880億ウォンなどが寄与した。これらのプラスの要因がインセンティブの増加分4,900億ウォン、材料費の増加分1,400億ウォン、その他の費用の増加分1,700億ウォンなどの損失を相殺した。同自動車メーカーの第4四半期の営業利益率は0.1ポイント低下して10%となった。
販売台数実績を見ると、起亜の第4四半期の世界販売台数 (小売ベース) は前年比6.0%増の約764,000台であった。このうち、韓国における販売台数は前年比1.6%増の141,000台、米国は前年比19.4%増の212,000台、西欧は前年比6.9%減の116,000台、中国は前年比6.2%減の21,000台、インドは前年比12.3%減の52,000台となった。中東アフリカ (MEA)、ロシア、中南米、アジア太平洋をはじめとする「その他一般市場」の起亜の販売台数は、前年比12.7%増の222,000台となった。
起亜自動車の第4四半期の代替パワートレイン車両の世界販売台数は約164,000台 (前年比14.5%増) で、小売り全体の21.5%を占める。これは前年より1.6パーセントポイント上昇した。代替パワートレイン車両の総販売台数は、電気自動車が約49,000台(BEV;前年比3.3%増)、プラグインハイブリッド電気自動車が約16,000台(PHEV;前年比23.5%減)、ハイブリッド車が約10万台(前年比31.7%増)となった。
卸売ベース (工場から販売店への出荷) では、起亜は,前年比5.0%増の77万台を世界で販売した。国内工場は前年比1.6%増の約141,000台、海外工場は前年比5.8%増の約629,000台 を占めた。同四半期の起亜の海外総販売台数のうち、北米での販売台数は前年比7.3%増の252,000台、米国での販売台数は(前年比7.6%増の)207,000台となった。欧州での販売台数は前年比2.1%減の133,000台となり、うち西欧での販売台数は125,000台 (前年比1.1%減) となった。同自動車メーカーは、インドで52,000台(前年比12.3%減)、中国で21,000台(前年比6.2%減)、ロシア・独立国家共同体で(CIS;前年比19.5%減)、中東・アフリカで73,000台 (前年比43.3%増)、中南米で4万台 (前年比7.3%増)、アジア太平洋で47,000台 (前年比18.7%増)を販売した。

2024年通期業績
起亜の2024年通年の純利益は前年比11.6%増の9兆7,900億ウォンであった。営業利益は前年比9.1%増の約12兆6,700億円、営業利益率は11.8% (2023年の11.6%増) となった。売上高は前年比7.7%増の約107兆4,500億ウォンであった。年間の同自動車メーカーの売上原価率(売上高のパーセンテージとして)は0.4パーセントポイント低下の76.9%、また、売上高のパーセンテージとしての、販管費は0.3パーセントポイント上昇の11.3%となった。
同自動車メーカーの2024年通年の世界販売台数は前年比0.9%減の約299万台となった。このうち、韓国は前年比4.2%減の542,000台、米国は前年比1.8%増の796,000台となった。西欧では529,000台 (前年比7.5%減)、インドでは前年比3.9%減の245,000台となった。年度中の起亜の中国販売は前年比3.0%減の78,000台で、「その他市場」の販売は798,000台 (前年比4.9%増) であった。2024年の同自動車メーカーの世界エコカー販売台数は前年比10.9%増の638,000台であった。内訳はハイブリッド車が367,000台 (前年比20.0%増)、PHEVが71,000台 (前年比19.5%減)、BEVが201,000台 (前年比10.2%増)であった。エコカーの同自動車メーカーの年度中の総売上高は21.4% (前年と比べると2.3パーセントとポイント増) を占めた。
起亜の2024年通年の世界販売台数は前年比0.1%増の約309万台で、過去最高を記録した。国内工場は前年比4.2%減の約542,000台、海外工場は前年比1.0%増の約255万台を占めた。 起亜の2024年末の総資産は92兆7,900億ウォン (2023年末の80兆6,300億ウォンと比べて)、負債総額は36兆9,200億ウォン (2023年末の34兆700億ウォンと比べて) であった。
2025年財務ガイダンス
起亜は、世界市場の不確実性にもかかわらず、製品ラインアップの強化と競争力のある事業戦略によって、2025年に2桁の営業利益率を達成できると楽観している。今年の総収入は112兆5,000億ウォン (前年比4.7%増)、営業利益は12兆4,000億ウォン (前年比2.5%減)、営業利益率は11% (前年比0.8ポイント減) を目標としている。
同自動車メーカーは、今年の世界販売目標を、卸売ベースで約322万台 (前年比4.1%増) を目指している。国内販売552,000台 (前年比1.8%増)、海外販売約266万台 (前年比4.6%増) を目標としている。北米での販売台数は前年比1.9%増の108万台を見込んでおり、そのうち米国での販売台数は(前年比0.7%増の)865,000台を見込んでいる。欧州での売上台数は前年比2.4%増の58万台 を、うち西欧での販売は557,000台 (前年比3.8%増) を見込んでいる。同自動車メーカーは、インドで300,000台(前年比22.4%増)、中国で81,000台(前年比3.9%増)、ロシア・独立国家共同体で52,000台(前年比14.2%増)、中東・アフリカで246,000台 (前年比3.9%増)、中南米で147,000台 (前年比1.4%増)、アジア太平洋で180,000台 (前年比4.4%増)を見込んでいる。
小売売上高については、同自動車メーカーは、2025年の世界販売台数は前年比6.1%増の約317万台を見込んでいる。韓国での販売台数は前年比1.8%増の552,000台、海外での販売台数は(前年比7.1%増の)約262万台を見込んでいる。北米での販売台数は前年比6.0%増の約105万台を見込んでおり、そのうち米国での販売台数は(前年比5.8%増の)843,000台を見込んでいる。欧州での販売は前年比4.0%増の581,000台 を、うち西欧での販売は559,000台 (前年比5.5%増) を見込んでいる。同自動車メーカーは、インドで300,000台(前年比23.2%増)、中国で81,000台(前年比1.8%増)、ロシア・独立国家共同体で51,000台(前年比5.6%増)、中東・アフリカで235,000台 (前年比6.5%増)、中南米で145,000台 (前年比2.4%増)、アジア太平洋で178,000台 (前年比7.3%増)を見込んでいる。
見通しと影響
起亜は2024年、初めて年間売上高が100兆ウォンを突破し、全世界の年間売上、営業利益、営業利益率で過去最高を記録した。この成功は、販売台数の増加、高利益率・高付加価値モデルの充実したプロダクトミックス、および有利な為替レートによるものであると同自動車メーカーは考えている。起亜が発表したデータによると、同自動車メーカーは、販売台数の増加3,320億ウォン、価格効果の増加4,820億ウォン、プロダクトミックスの改善6,920億ウォン、材料費の減少1兆200億ウォン、為替レートの改善1兆4,700億ウォンなどの効果があった。これらのプラスの要因がインセンティブの増加分1兆7,100億ウォン、その他の費用の増加分1兆2,200億ウォンなどの損失を相殺した。
起亜は、2025年もハイブリッド車とBEV車の販売を拡大し、北米と欧州の電気自動車需要の増加に柔軟に対応し続ける計画である。また、同自動車メーカーは、韓国とインド市場にも新規参入する予定である。起亜は今年、新型ピックアップトラック「タスマン」とパーパス・ビルト・ビークル(PBV)「PV5」、インド市場向けに戦略的に設計されたSUV「シロス」を披露する予定である。同自動車メーカーは、「EV4」と「EV5」のグローバル展開で、BEVの総合的なラインアップを確立することを目指す。
起亜も、好調な業績を基盤に株主価値を高め、積極的な還元戦略を展開する方針である。同自動車メーカーは、配当、自社株買い、自己株式の消却を含めた総株主利益率 (TSR) は2024年に33.3%、2025年には35%を目指す。これに伴い、起亜の一株当たり配当金は、昨年の5,600ウォンから900ウォン増加した6,500ウォンとなる。また、同自動車メーカーは、自社株買いと消却の費用として、前年より2,000億ウォン多い、7,000億ウォンを割り当てる計画である。
起亜はまた、自己株式の100%を無条件で消却することにした。また、起亜は2025年、自社株買い入れプログラムを上半期と下半期に分けて分割買い入れ方式に変更する予定である。これまで、同自動車メーカーは、2024年第1四半期に全額買い戻しを実施していた。起亜は、市場の安定性を高め、株価の安定性を確保するため、年間を通じて分割買い入れを実施する計画である。同自動車メーカーは、今年4月に予定されている「CEOインベスター・デイ」では、今後の戦略や財務目標などを公開する予定である。
S&P Global Mobilityのデータによると、起亜の2025年の世界ライトビークル販売台数は約292万台で、2024年の推定283万台から前年比3.1%増加する。当社のライトビークル予測には、乗用車と小型商用車のみが含まれている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ホンダ、全固体電池のパイロット生産ラインを導入
2024年11月21日-Autointelligence|ヘッドライン分析-日本
株式会社本田技研工業|経費・テクノロジー・動向・進化
Nitin Budhiraja - Sr. Analyst – Automotive
本田技研工業は、独自に量産化の開発に向けた全固体電池のパイロット生産ラインを立ち上げた。新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) グリーンイノベーション基金の一部助成を受け、430億円 (2億7774万米ドル) を投資した。このラインは日本の栃木県さくら市にある株式会社本田技術研究所(Sakura)の構内に建設された。ホンダは、この実証ラインで量産化に向けた技術検証を行うとともに、電池セルの基本仕様を確立し、2020年後半に発売予定の電動化モデルへの搭載を目指す予定である。必要な製造工程を模擬した約27,400平方メートル (295,000平方フィート) の実証ラインには、電極材料の秤量・混練、電極組立品の塗工・ロールプレス、セルの組み立て、モジュール組立などの各工程を検証する設備・機器を備えている。工場の建設は2024年初めに完了し、検証に不可欠な機器のほとんどが現在設置されている。ホンダは、この実証ラインで2025年1月から電池の生産を開始し、量産技術や各工程のコストを検証するとともに、電池セルの仕様を策定する予定である。また、同社は安全で効率的な低露点環境を維持する生産管理技術を利用することにより、エネルギー消費を含む間接的な生産コストの低減にも取り組んでいる。
重要性: ホンダは、高効率な生産プロセスを採用し、自動車、二輪車、航空機などのホンダモビリティ製品への適用を拡大することで、全固体電池のコスト競争力向上を目指す。ホンダは、スケールメリットを活用することで、さらなるバッテリーコストの低減を目指す。ロイターによると、本田技術研究所の大津啓司社長は、液体リチウムイオン電池に代わる全固体電池の航続距離は今世紀末までに倍増し、2040年までには2倍半以上になるとの見通しを示したという。大津氏はまた、今後5年間で電池サイズを50%、重量を35%、コストを25%削減する計画を明らかにした。今年に入って、日産は神奈川県の横浜工場で開発中の全固体電池 (ASSB) の試験ラインを公開した(日本:2024年4月17日:日産、全固体電池のパイロット生産ラインを公開、ギガキャスティングを取り入れる参照) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車グループ、大幅な役員人事においてホセ・ムニョス氏をCEOに昇格
2024年11月18日-Autointelligence|ヘッドライン分析-韓国
現代自動車|市場分析・人事
Isha Sharma - Research Analyst

Getty Images

現代自動車グループは11月15日、持続的な成長軌道を強化し、2024年下半期に向けたグローバル事業環境の不確実性に備えるための重要な役員人事を発表し、重要な経営陣の人事を行った。企業声明によると、この再編の中心は、2025年1月1日付でチャン・ジェフン氏を現代自動車グループの自動車部門副会長に昇進させることであるという。チャン氏は現代自動車のCEOとして、地政学的緊張、製品パラダイムの変化、新型コロナウイルスのパンデミックを乗り越えてきた深い経験を新たな役割に生かしている。水素技術の高度化やヒュンダイ・モーター・インディアのIPOの成功など、過去最高の売上高と収益性を達成した積極的な事業戦略を含む顕著な業績が同氏の在任期間を特徴づけている。新たに副会長に就任したチャン氏は-製品企画、製造、サプライチェーン管理、品質保証など-自動車のバリューチェーンの重要な側面を統括し、グループ内のさまざまな部門間のシナジーを調整して、将来の競争力に不可欠な革新とコスト効率の向上を図る予定である。

ホセ・ムニョス 現代自動車社長兼CEO
画像提供:現代自動車
チャン氏の昇格と同時に、ホセ・ムニョス氏が2025年1月1日付で現代自動車の社長兼CEOに任命された。今回の人事は、ムニョス氏が外国人としては初めての人事であり、現代自動車のリーダーシップのグローバル化の意志を示すものとして注目される。ムニョス氏は前職で社長兼グローバル最高執行責任者を務め、北米で記録的な業績を達成するための強固なフレームワークを確立した。実力主義を基盤とする-彼のリーダーシップ哲学は、競争力のあるディーラーネットワークを確立するための同氏の深い専門知識と相まって、電気、ハイブリッド、内燃エンジン (ICE)、水素燃料などの多様なパワートレイン技術を取り入れた、顧客中心のモビリティソリューションのイノベーションを推進する重要なプレーヤーとして位置づけられている。同氏がこの非常に重要な役割に踏み込むことによって、同氏は現代自動車の事業構造を改善し、グローバルプレゼンスを強化し、ブランドの国際的地位を高める役割を期待される。
また、ソン・キム氏は2025年1月1日付で現代自動車の社長に任命された。複数の米国政権にまたがる卓越したキャリアを持つキム氏は、東アジアと地政学的な情勢の微妙な違いについて貴重な洞察力を持っている。現代自動車グループの顧問として、同社の貿易および政策戦略を形成した同氏の最近の在職期間は、会社のグローバル対外問題を効果的に管理する立場にあり-現代自動車が複雑な国際政策の展望をナビゲートするための十分な準備ができていることを保証している。同氏の責務の一部として、同氏はグローバル経済の動向を予測し、安全保障上の課題に対処する戦略的情報能力を強化する一方、世界的な現代自動車のイメージを強化するためのコミュニケーションと広報活動を主導する予定である。
今回の人事は、経営トップ層にとどまらず、当社グループのポートフォリオ全体のケイパビリティを強化するための包括的な戦略を反映したものである。チェ・ジュンヨン氏は起亜自動車の国内生産部門を率いてきたことを認められ、起亜株式会社の社長に昇進した。チェ社長のリーダーシップは、労務管理の戦略的改善と品質競争力を強化した生産性向上によって、同社史上最高の業績を達成したと評価される。同氏の革新的なビジョンには、自動車業界の持続可能なエネルギーソリューションへのシフトに合わせて、起亜自動車の製造工場でのEV生産の変革的な取り組みも含まれている。また、イ・ギュボク氏は現代グロービスの社長に就任し、現代グロービス初の「インベスターデー」などの取り組みを導入し、ステークホルダーとのエンゲージメントを強化するなど、市場が不安定な中での企業価値向上に貢献した。
チョルスン・ベク氏を現代トランシスのCEOに、ジュンドン・オ氏を現代ケーフィコのCEOに任命するなど、持続可能性と変革的なビジネス慣行に重点を置く同グループの姿勢を示している。ベク氏は現代トランシス内の重要事業を安定させ、中核事業を未来の強靭化に導くという目標を掲げており、オ氏は同氏の製造業の専門性が高く、部品事業の最適化と電動化を主導する役割を担っている。建設分野では、現代建設のCEOに任命されたハンウ・イ氏の豊富な経験が、多様なプロジェクトポートフォリオの多角化戦略を推進することが期待される。現代エンジニアリングのウジョン・ジュCEO も、同氏の財務的洞察力を生かして同社の業績を大幅に引き上げるものと見られる。
見通しと影響
現代自動車グループの最近の役員人事の重要性は、技術的ディスラプション、持続可能性の要求、地政学的不確実性によって特徴づけられるますます複雑化する世界の自動車業界をナビゲートするために、同氏らが組織にもたらす戦略的先見性と適応力にある。チャン氏、ムニョス氏、キム氏のような経験豊富なリーダーを主要なポジションに配置することで、当社グループはグローバルな視点を統合し、自動車、物流、エンジニアリングの各部門におけるオペレーショナル・エクセレンスとイノベーションを強化するというコミットメントを強調している。今後、これらのリーダーシップの変化により、現代自動車は電気自動車と水素自動車の新たな機会を活用し、グローバル市場での競争力を強化し、持続的な成長を推進することができる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本政府、人工知能 (AI) や半導体分野に10兆円投資へ
2024年11月13日-Autointelligence|ヘッドライン分析-日本
経費
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
NHKワールドニュースによると、日本政府はAIや半導体などの次世代技術の国内発展を支援するため、10兆円 (645億米ドル) を超える基金を設立するという。石破茂首相は11月11日にこの構想を発表し、2030年度までに必要な資金を確保するため、政府がつなぎ国債を発行する可能性を示唆した。このハイテク産業へのコミットメントは、さらなる民間部門の投資を呼び込むことが期待される。石破氏は、この取り組みが今後10年間で50兆円以上の官民投資を生み出すことに期待を示した。同政府は半導体分野への支援を強化しており、この3年間で260億米ドル近くを次世代チップ開発に割り当てた。しかしながら、日本のRapidusは先進的な半導体製造だけで260億米ドルを必要とすると予測されており、資金需要は依然として大きい。
重要性: 特に、電動化・自動化が進む自動車産業にとって、半導体・AI産業への投資は不可欠である。現代の自動車は、パワーマネジメント、安全システム、インフォテインメントなどの重要な機能において、先進的な半導体部品への依存度が高まっており、信頼性と性能を確保するためには、堅牢な国内半導体サプライチェーンが不可欠となっている。さらに、AI技術は自動車の設計と製造に革命をもたらし、自動運転車、予測メンテナンス、スマートコネクティビティによるユーザーエクスペリエンスの向上などの開発を可能にしている。これらの分野への投資を優先することにより、政府は自動車のサプライチェーンを確保するだけでなく、自動車の安全性、効率性、持続可能性を高めるイノベーションを促進することができる。この戦略的焦点により、日本は急速に進化する自動車業界のリーダーとしての地位を確立し、世界市場での競争力を維持しつつ、投資と人材を呼び込むことができる。2023年12月の報道によると、日本政府は電気自動車 (EV) や半導体など主要5部門の国内大量生産を促進するため、10年間の減税措置を実施する計画である。半導体分野では、企業は毎会計年度最大20%の法人税減税を期待することができる (日本:2023年12月13日:日本、税制上の優遇措置を通じてEVと半導体の生産を促進参照) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
現代自動車、日本市場進出計画を明らかに
2024年11月11日-Autointelligence|ヘッドライン分析-日本
現代自動車株式会社|市場
Nitin Budhiraja, Sr. Analyst – Automotive
ヒョンデモビリティジャパン株式会社は「Hyundai Biz.Day」を2024年11月8日に横浜のヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンターで開催した。同日の行事では、2025年の事業計画や製品ラインアップ、今後のブランド戦略などを発表し、現代自動車の革新的なビジョンを披露した。七五三木敏幸マネージングダイレクターは、2024年10月末までに1,511台を販売したことを報告し、直販をビジネスモデルとし、5年間で販売台数を10倍にすることを目指すと強調した。プロダクトマネージャーの佐藤健氏が紹介した「IONIQ5」は、800V電源システムを採用し、バッテリー容量を84kWhの15%アップして703kmの航続距離が可能になった。同氏は、環境に配慮した設計と先進安全機能を強調し、現代車のフラッグシップモデルとして位置づけた。また、次世代小型EV「INSTER」を2025年初頭に日本市場に投入し、品質とライフスタイルの両立による顧客満足度の向上を目指すと発表した。
重要性: S&P Global Mobilityライトビークルデータの報告によると、現代自動車は2001年に日本の乗用車市場に参入したが、2009年に15,000台をわずかに超えてを販売した後撤退した。撤退の決定は、収益性の低い市場から、より急速に成長する地域、特にアジアや北米の他の地域に投資をシフトするという同社の戦略の一環であった。今回、同韓国自動車メーカーは、電気自動車 (EV) 売り出しで日本市場に再挑戦している。現在、現代自動車は「コナ」と「アイオニック5」を日本で販売しており、2024年には600台前後の販売を見込んでいる。同社は、2025年には日本で「キャスパー」モデルを発売する計画である。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
新車エモーショナル・アピールに関する年次研究の結果、BEVの満足度が向上
2024年7月26日-Autointelligence|ヘッドライン分析-米国
Stephanie Brinley, Associate Director
J.D.パワーは、2024年の米国自動車性能・実行およびレイアウト (APEAL) 調査を発表し、所有者の満足度が2年間低下していたが改善したことを報告した。同調査会社によると、2024年の総合満足度は1,000点満点で847点であったことに言及している。これは2023年の845ポイントから2ポイント上昇した。同調査は新車購入後の所有者の「愛着と興奮度」を測定したものだという。フランク・ハンリーJ.D.パワーの自動車ベンチマーク担当シニアディレクターは、「伝統的なメーカーは顧客の声に耳を傾けてきた。彼らは、内部ストレージの改善や高品質の素材、使いやすさの確保など、より顧客の要望に沿った強化された車を発売している。BEVに関しては、従来の自動車メーカーが最近発売した車は、新車に対する所有者の愛着度や興奮度において、長年のリーダーであるテスラを上回っている。」と述べたと伝えられている。しかしながら、J.D.パワーによると、インフォテインメント (調査対象となった10の機能のうちのひとつ) は依然として期待外れだという。インフォテインメントの評価は2024年に5ポイント上昇して823ポイントとなったが、依然として最もスコアの低いカテゴリーの一つである;車載システムの満足度は805、Android Autoの満足度は832、Apple CarPlayの満足度は840であった。J.D.パワーによると、これは、自動車メーカーが現在提供しているものよりも、携帯電話のシンプルな操作性を自動車に拡張することを顧客が望んでいることを示しているという;自動車メーカーが多くの人が期待する将来の組み込みシステムから継続的な収益を生み出すためには、顧客が組み込みシステムを好むようになる必要がある。J.D.パワーによると、高級車ブランドは依然として大衆車ブランドよりもエモーショナル・アピールが強い (870対838) が、大衆車ブランドは1ポイント改善した。電気自動車 (BEV) については、テスラ以外のBEVの所有者の感情満足度が877で、テスラの870を上回った;ガソリン車は842台、プラグインハイブリッド車は841台であった。テスラは他のEVとは別にまとめられており、昨年のテスラのスコアは878点で、この調査で最も高い部類に入る。興味深いことに、テスラの株価は2022年から2023年にかけて9ポイント下落し、2023年から2024年にかけては7ポイント下落した (テスラはJ.D.パワーのオーナー情報へのアクセスが制限されているため受賞資格がない) 。テスラ以外のBEVが増加したのは、従来の自動車メーカーのBEVが航続距離が長く、内装が改良された結果である。ポルシェ (891台) が再び首位に立ち、ジャガー (886台)、ランドローバー (882台) が3位に続いた。大衆車ブランドはすべてプレミアムブランドより低く、ミニ (858台)、ラム (854台)、起亜 (853台)、現代自動車 (846台) の順であった。プレミアムブランドの平均は870ポイント (前年より一つ低い)、主要ブランドは838ポイント (前年より一つ高い2023ポイント) であった。一方、主要ブランドで最下位だったのは三菱 (721)、スバル (828)、ジープ (828) であった。アウディ (847点)、アキュラ (851点)、ボルボ (856点) は、最も低いプレミアムブランドであった。この調査では、新車所有者のフィードバックを利用して、37の属性で顧客満足度を測定している。自動車メーカーとその車両は1,000点満点で評価され、数値が高いほど満足度が高いことを示す。今年の調査は、2023年4月~2024年2月に登録された車両を対象に、2023年7月~2024年5月に実施された調査で、90日以上所有した2024年モデルの購入者またはリース契約者99,144人の回答に基づいている。
重要性: 年次J.D.パワーAPEAL調査などの調査委は、自動車メーカーが販売時に自社の車に関する第三者の証拠として、また自社の車に関する消費者のフィードバックのソースとして使用されている。APEAL調査は、顧客満足度の指標である。それは、車の物理的な品質を測定するのではなく、新車に対する顧客の感情的な反応を評価する。この調査結果は、必ずしも米国市場における自動車メーカーの販売実績を反映するものではない。テスラ以外のBEVの性能が向上したことは、十分な生産能力が確保されれば、これらの製品が最終的にテスラと競争できることを示している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
インドネシア政府、ハイブリッド車へのインセンティブ導入を検討
2024年7月25日-Autointelligence|ヘッドライン分析-インドネシア
Isha Sharma, Research Analyst
インドネシアのアイルランガ・ハルタルト経済担当調整大臣は、同国の電気自動車 (EV) 推進に伴い、ハイブリッド車に対するインセンティブを導入する計画を発表したとANTARA Newsが報じている。「現在、我々はインセンティブプログラムを準備している」とハルタルト氏はインドネシアで開催中の2024年ガイキンド・インドネシア国際オートショー (GIIAS) で述べた。インドネシアでは現在、ハイブリッド車には6%~12%のぜいたく品販売税が課せられている一方、完全電気自動車 (BEV) にはPPnBMの税率がゼロとなるほか、政府が負担する10%の車両への付加価値税 (VAT) については、国産部品の最低比率が40%の車に適用されるなどの優遇措置がある。アグス・グミワン・カルタサスミタ産業相は、市場の停滞に対処し、販売を促進するために、ハイブリッド車の財政的インセンティブを関係政府機関に提案する意向を表明した。インセンティブは、低炭素排出車と特定の現地調達の要件を満たす車に焦点を当てる。
重要性: ハイブリッド車に対するインセンティブの導入は、インドネシアにおけるハイブリッド車と完全電気自動車の間に存在する税構造の不均衡に対処するものである。ハイブリッド車にインセンティブを与えることで、政府は競争条件を公平にし、異なるタイプの電気自動車と低炭素排出車のよりバランスのとれた市場を促進することを目指している。このイニシアティブは、炭素排出量を削減し、持続可能な交通ソリューションを促進するというインドネシア政府のより広範な戦略に沿ったものである。提案されたインセンティブは、インドネシアのハイブリッド車市場を大幅に押し上げると期待されている。最近、同政府はEVセクターを促進するためにいくつかのインセンティブを打ち出した (インドネシア:2023年12月13日:インドネシア、投資を呼び込むためにEV輸入に対する税制を緩和へ参照) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
シンガポールのLTA、ディーゼル車とタクシーの新規登録を2025年から禁止へ
2024年7月24日-Autointelligence|ヘッドライン分析-シンガポール
Isha Sharma, Research Analyst
シンガポールの陸上交通局 (LTA) は2025年1月1日からディーゼル乗用車とタクシーの新規登録を停止すると発表したとビジネスタイムズが報じている。ただし、この規則は、バン、ピックアップトラック、ライトトラック、大型車などのディーゼルを動力源とする商用車には適用されない。自動車メーカーはシンガポールでもディーゼル車の生産を終了しており、公式には2車種のみが登録されている。ディーゼル乗用車の所有者は免許証 (COE) を更新することができるが、更新を思いとどまらせるために道路税が引き上げられる。これは、10年以上経過した車両に道路税を課する既存の政策の一部である。
重要性: この最新の開発は、2040年までにすべての車両をよりクリーンなエネルギーに移行するというシンガポールのビジョンに沿ったものである (シンガポール:2020年2月19日:シンガポール政府、2040年までにICE車両を段階的に廃止することを目指す参照) 。シンガポール政府は2030年までに全国に6万カ所のEV充電ポイントを設置することを目指しており、そのうち4万カ所は公共駐車場に、残りの2万カ所は民間施設に設置する。報告書は、より多くの汚染物質を排出する車を段階的に排除するという決定は、2021年3月の政府の環境持続可能性計画に関する議論の中で議会で発表されたと付け加えた。2021年以降、ディーゼル乗用車とタクシーは新規登録台数の1%未満を占めており、タクシー会社は主にハイブリッド車を採用している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本の国土交通省は輸送格差を解消するために対応策を講じる
2024年7月22日-Autointelligence|ヘッドライン分析–日本
Nitin Budhiraja, Sr.Analyst – Automotive
日本の国土交通省 (MLIT) は、人口減少と高齢化によって生じる「交通格差」問題に対処するための本部を設置した。日刊自動車新聞によると、同省は2024年末までに、減便要請による公共バスや鉄道の減便・廃止が相次いでいる地方を中心に、地域住民や観光客の交通アクセスを改善する施策の実施を目指すという。主要な取り組みの1つは、タクシー事業者が個人の運転手と車を利用する日本版公共ライドシェアの推進である。このシステムの導入が遅れている約600の自治体がこれを支援する。また、主要駅や空港における二次交通の充実を図る予定である。
重要性: 高齢者の割合が最も高いことで知られる日本は、高齢化と労働人口の減少の影響に取り組んでいる。この人口動態の影響を特に受けているのが運輸業界で、日本ハイヤー・タクシー協会連合会のデータによると、2023年8月のタクシー運転手数は23万人と、2019年3月から約20%減少しているという。日本バス協会は、2030年までに36,000人の運転手が不足すると予測しており、これは2023年の運転手の約1/3に相当する。これらの課題に対応するため、日本政府は自家用車のライドシェアに力を入れるとともに、自動運転車 (AV) 技術にも目を向けている。先月、日本の河野太郎デジタル大臣は、2026年度までにロボットタクシーを、早ければ2027年度にも自動運転バスを導入する計画を発表した。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米大統領選候補トランプ氏、中国OEMsについて発言;バイデン大統領が撤退表明
2024年7月22日-Autointelligence|ヘッドライン分析-米国
Stephanie Brinley, Associate Director
2024年11月に予定されている米国大統領選挙は、活動が過熱し、自動車業界全体に大きな影響を与える可能性がある。ドナルド・トランプ氏は、共和党候補として大統領選に出馬するための指名を正式に受けた共和党全国大会での演説で、自動車産業と中国本土の自動車メーカーの可能性についての考えを述べた。これまでもそうだったように、トランプ氏の発言は我々が知っている事実を完全に反映していない。Automotive Newsなどのメディアによると、トランプ氏は、中国が米国で販売する自動車を製造することについて「今、こうしている間にメキシコでは国境を越えて大規模な工場が建設されている」と述べたという。トランプ氏は、「これらの工場は米国内に建設され、米国の人々をそれらの工場に人員を配置する。」と述べている。次期大統領になる可能性のあるトランプ氏は、これらの自動車に最大200%の関税をかけてアメリカに入らないようにすると脅した。トランプ氏はまた、「自動車製造を復活させ」、「早急に復活させる」と約束した。続いて繰り返し、トランプ氏はさらに、いわゆる電気自動車 (EV) 規制を廃止すると述べ、そうすることで「米国の自動車産業が完全に消滅する」事態を避けることができると語った。2024年7月21日、ジョー・バイデン大統領は大統領選から撤退し、現職のカマラ・ハリス副大統領を次期大統領に推薦した。バイデン氏の支持を受けて、ハリス氏はバイデン氏の代わりに出馬すると発表した。
重要性:2020年の大統領選でもそうだったように、業界全般、特に米国の自動車業界に大きな影響を及ぼすことが予想される。この記事の執筆時点では、一線は引くものの、最新の活動の完全な分析は行われていない。トランプ氏のアジェンダには、排ガス規制の撤回や、中国本土の自動車メーカーが米国の自動車産業に与える潜在的な脅威への対処が含まれており、バイデン大統領がこれまで行ってきたのとは異なる方法で対処している。両候補とも中国本土の自動車メーカーの強さにリスクを感じているが、アプローチは全く同じではない。それは政治的見解の違いだけでなく、状況の複雑さを反映している。バイデン政権は関税を引き上げる一方で、中国に拠点を置く企業が25%以上の株式を保有する企業に対する税制上の優遇措置を抑制しようとしており、本質的には米国政府が外国資本の投資に金融支援を提供しないようにしようとしている。電気自動車 (EV) 規制の可能性については、バイデン大統領は直接発令していないが、大半のEVが存在しなければ米環境保護局 (EPA) が定める排出ガス規制を満たすのは不可能かもしれない。バイデン氏が撤退するのは、高齢化が懸念され、他の民主党指導者からの要請に従ったためである。この段階での撤退はリスクが高い;民主党指導部は彼が勝つとは思っていないが、勝つ可能性のある候補者を立てて、その人物に早くスポットライトを当てるかどうかは、今は彼ら次第である。共和党全国大会は7月15日の週にトランプ氏の指名を正式に決定したが、民主党全国大会は2024年8月19日の週に予定されている。大統領選挙は2024年11月5日に行われる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ブラジル、電気トラックの輸入関税を7月から35%に引き上げへ-報道
2024年6月28日-Autointelligence|ヘッドライン分析–ブラジル
Stephanie Brinley, Associate Director
ブラジルのAutomotive Businessによると、ブラジルはー電気トラックとバンーで構成される「貨物輸送用電気自動車」の輸入にかかる税金を、1月から適用していた20%から35%の新しい率に引き上げるという。一部の企業は、イヴェコのe-Dailyを含む利用可能な税金輸入割当を使用して輸入を継続する予定である;同社は2024年には約50台の輸入を計画している (ブラジル:2022年11月8日:イヴェコ、脱炭素化プログラムの下、ブラジルでガストラックと電気デイリーを発売参照) 。現在ブラジルでは7社が電気トラックを提供している:フォルクスワーゲン (VW)、ボルボ、スカニア、フォード、メルセデス・ベンツ、ジャック・モーターズ、福田汽車、および南京汽車。イヴェコとフォトンは、南米での小型商用電気自動車協力協定にも署名している (アルゼンチン-ブラジル:2024年6月5日:イヴェコと福田汽車、小型商用電気自動車協力協定に署名参照) 。ブラジルのトラック部門への投資も拡大を続けている (ブラジル:2024年1月19日:中国の商用車自動車メーカーである福田汽車、ブラジルで生産される5つのモデルを導入する予定ー報道およびブラジル:2024年6月24日:スカニア、ブラジルから20億レアルの投資を確認 参照)。
重要性: ブラジル政府は、需要を満たすのに十分な現地生産があると予想しており、さらなる現地生産を奨励しようとしている。中国本土に対する最近の関税とは異なり、これは特定の国には適用されない。関税は上がっているが、報道によると、関税なしでトラックを持ち込むための輸入枠もあるという;ブラジル政府は2024年に使用するために200億米ドルを確保しているという。その割り当ては、次の年に削減される予定である;2025年には1,300万米ドル、2026年6月30日までは600万米ドルで利用可能である。Automotive Businessの報道によると、これまでのところ資金の38%しか使われていない。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
カナダ政府、中国製EVへの輸入関税を検討ー報道
2024年6月25日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-カナダー中国 (本土)
Stephanie Brinley, Associate Director
カナダ、中国本土から輸入する電気自動車 (EV) に関税導入を検討;同政府は新たな関税を提案する前に30日間の協議期間を経なければならない。クリスティア・フリーランド財務大臣は2022年6月24日に、これらの車両をカナダの連邦税額控除の対象外にするオプションとともに、この動きを発表した。Automotive Newsはフリーランド氏の発言として、中国本土のEV業界全体に対する「カナダでのより広範な投資制限」が検討されていたと伝えている。カナダの自動車業界全体は「中国の意図的で国家主導の過剰生産能力政策による不公正な競争に直面し、カナダのEV部門の国内および世界市場での競争力を損なっている」と同氏は述べたと伝えられている。
重要性: この記事を書いている時点では、具体的な提案は作成中である。中国本土からのEVのカナダへの輸入が増えているが、大半はテスラの上海工場からのEVで、中国メーカーからの輸入はまだ少ないという。中国本土からのEVに関税を課すことは、欧州や米国で使われている手段であり (中国ードイツ:2024年6月24日:中国、EUに7月4日までのEV関税撤廃を要求ー報道、中国ートルコ:2024年6月17日:中国政府、トルコに新車関税の撤回を要請および米国:2024年5月15日:米国、自動車、一部部品、EV部品を含む中国製品に対する関税の引き上げを計画参照)、カナダの自動車産業が短期的に失うものは少ないかもしれない。中国はカナダにとって米国に次ぐ第2の貿易相手国とされ、関税を課すことがより難しくなる可能性がある。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
中国、EUに7月4日までのEV関税撤廃を要求ー報道
2024年6月24日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-中国 (本土)-フランスードイツーイタリア
Abby Chun Tu, Principal Research Analyst / Tim Urquhart, Principal Analyst

中国政府はEUに対し、中国製の電気自動車 (BEV) に対する暫定的な輸入関税を7月4日までに撤廃するよう求めており、問題の解決に向けた合意にを目的として議論を行うことに意欲を示している。EUの法的機関である欧州委員会は今月初め、中国で製造されたBEVに7月4日までに暫定的な関税を課す計画を発表した;欧州からOEMsを輸入している中国の大手3社は、違法な政府補助金であると主張する調査に対して同委員会に提供した協力のレベルに応じて、特定の関税を与えられていた。これらの関税はそれぞれ、BYDに対して17.4%、吉利汽車に対して20.0%、上海汽車製品に対して38.1%の税率が予定されている (欧州:2024年6月13日:EUは、中国のBEVに最大38.1%の輸入関税を課している参照) 。しかしながら、欧州委員会はその件に関して声明で、関税を課さない交渉での妥協合意の可能性を残した。新華社によると、中国の王文濤商務部長は6月22日、EUが誠意を持って交渉のテーブルにつく意思があれば、中国は電気自動車 (EV) に関する対話と協議の用意があると述べたという。プレスリリースにおいて、王氏はドイツのロベルト・ハーベック副首相との会談でこのように述べた。ハーベック氏はEUと中国政府の仲介役のような役割を果たしており、協議を促し、協議が行われる場合には話し合いを促し、大まかな議題をまとめようとしている。ロイターの報道によると、上海訪問中にハーベック氏は、「過去数週間、具体的な交渉スケジュールに入ることができなかったという点で、これは新しく驚くべきことである」とコメントしたという。これは最初の一歩にすぎず、合意に至るまでには長い道のりではあるが、中国が交渉のテーブルにつく意思を示したことは、両国にとって正しい方向への前向きな一歩であると同氏は付け加えた。「終わりには程遠いが、少なくともこれまでは不可能だった第一歩である。私が今日、中国のパートナーに提案したのは、議論の扉は開かれているということであり、このメッセージが聞き届けられることを願っている」と述べた。
見通しと影響
合意に向けた重要な利害関係を有する国として、ドイツ政府は交渉における積極的な役割を果たし続けると中国とEUは期待している。ドイツは最大の貿易相手国である中国と緊密な貿易関係にある。ドイツの自動車メーカーも現地生産と車両の輸出で中国自動車市場で大きな存在感を示している;独系OEMが中国に輸入する車の多くは、比較的少量で高セグメントのモデルである。また、この種の車はBMW、アウディ、メルセデス・ベンツにとっても1台あたりの利益が最も大きくなる傾向があるため、それらの高級輸入車の競争がお互いに関税を課すことによって影響を受けることになるとして、これらのメーカーは中国からEUへのBEV輸入品にEUの関税を課すことに強く反対している。6月24日付のチャイナ・デーリーの報道分析において、中国の専門家はEUが中国製EVに1暫定的に最大38.1%(プラス既存の10%)の関税を課すことは「中国とEUの貿易関係を損ない、欧州の消費者負担を悪化させ、より環境に優しい未来への世界的な移行に水を差す」と警告した。中国商務省は、「欧州側が間違ったやり方に固執するならば、中国は正当な権利と利益を断固として守るため、世界貿易機関の紛争解決メカニズムに訴えるなど、必要な措置を取る」と述べた。しかしながら、双方が腰を据えて解決しようとするこの動きは、前向きな進展でしかない。協議の最大の難関は、中国のOEMsが補助金を受けられるかどうか、またどの程度の補助金を受けられるかについて、両者が合意できるかどうかであろう。そして、この問題で何らかの合意に達することができたとしても、現在の状況が公正な市場競争を表していないというEUの見解は明らかであるため、次のハードルは、欧州における競争条件を公平にするためにどのようなメカニズムを課すことができるかである。上海汽車や蔚来汽車など中国の自動車メーカーは、輸入車関税の引き上げに直面する見通しにもかかわらず、欧州への投資に引き続きコミットしていると述べた。蔚来汽車は新型SUV「ES8」をドイツ、スウェーデン、オランダ、デンマーク、ノルウェーで発売した。中国の自動車メーカーの中でEUでの販売をリードしている中国の上海汽車は、EUの関税計画は一時的な課題だが、欧州市場には引き続きコミットしていると述べた。同社は、ドイツで研究開発能力を構築するために欧州での投資を追加しており、欧州での製造工場の建設計画も推進する予定である。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
インド、FAME奨励金制度の第3弾を近く開始-報道
2024年5月29日-Autointelligence|ヘッドライン分析<-インド
Jamal Amir, Research Analyst
インド政府のFaster Adoption and Manufacturing of Hybrid and Electric Vehicles (FAME) 奨励金制度の第3弾が、来月発足する新政府の最初の100日以内に展開される予定である、とET Autoは報じている。約1,000億ルピー (12億米ドル) の投資を見込んでいるFAME IIIは、インドにおける電気自動車 (EV) の普及と製造を促進するミッションを継続する予定である。この優遇策は電動二輪車、三輪車、政府所有のバスに奨励金を提供する予定である。しかしながら、タクシー会社などの機関投資家向けを含め、電気自動車を含めるかどうかはまだ決まっていないと、同報道は強調している。
重要性: 同政府は2015年に89億5,000万ルピーを投じて同優遇策の第1フェーズを展開した。FAME IIは2019年4月に1,000億ルピーの支出で3年間開始したが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより2024年3月まで延長された。インド財務省は今年に入って、150億ルピーの追加の優遇策を承認し、2024年3月31日までの支援総額は1,150億ルピーとなった。FAME IIIは、2024年3月に終了した以前のFAME IIスキームを反映している。この新しい優遇策は、FAME II後に導入された総額50億ルピー規模の電動二輪車と電動三輪車の販売支援を目的とした7月までの4ヶ月の暫定計画「電動モビリティ促進スキーム (EMPS) 」を前倒しする予定である。FAME IIIは当初、FAME IIの5年間の有効期間から移行し、2年間を超える販売に対して有効となる予定である。この新しい優遇策は、State Transport Undertakings (STU) による電気バス購入に対する補助金がFAME IIの下で奨励されている7,000台を上回る可能性が高い、と同報道は強調している。現在提案されているFAME IIIは、FAME IIと同様に150万ルピー未満の電気自動車にインセンティブを与えることを提案している。ハイブリッド車も、乗用車がこの優遇策に含まれる場合、価格上限に従うことを条件として、FAME IIIの下で支援を受けることができる。FAME IIIにより、インド政府は引き続き電動モビリティの推進にコミットし、国内のEVエコシステムをさらに強化する。S&P Global Mobilityのデータによると、インドの電気軽車両の生産台数は2023年の約106,000台から2030年には約161万台に急増する見通しである。当社の軽車両データには、乗用車と小型商用車が含まれている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
EU、中国自動車輸入関税の決定を延期へ-報道
2024年5月31日-Autointelligence|ヘッドライン分析-フランス-ドイツ-イタリア-スペイン
Tim Urquhart, Principal Analyst
ロイターの報道によると、EUの法的機関、欧州委員会は中国製自動車に関税を適用するかどうかの決定を6月9日の欧州議会選挙後まで延期することを選択した。同委員会は当初、中国のOEMが人為的に安く自動車を製造し、欧州に輸入して現地メーカーより安い価格で販売することを支援する補助金について、6月5日に調査結果を発表する予定であった。しかしながら、このニュースを最初に報じたドイツの雑誌Der Spiegelによると、この延期の目的は、この問題を選挙運動の段階から除外することである。
重要性: 決定のスケジュールに詳しい情報筋がロイターに語ったところによると、調査結果と暫定的な補助金の新たな発表日は6月10日だが、この情報筋は延期の別の理由として-調査結果を概説した文書の土壇場での変更を挙げている。中国政府は「不合理」で国際ルールに反しているとして、調査を打ち切るよう求めている。2023年10月4日に正式に開始されたこの調査は、最長13カ月間続く可能性がある。調査から9カ月後、同委員会は暫定的な反補助金課税を課す権限を有する。これに関連して、同委員会は中国の電気自動車メーカー3社に対し、反補助金調査のための十分な情報を提供していないと警告した。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
独中、自動運転やコネクテッドドライブで協力する共同宣言に署名
2024年4月18日-自動車モビリティ|ヘッドライン分析-中国 (本土) -ドイツ
Surabhi Rajpal, Senior Research Analyst
中国からドイツへのデータ転送を可能にすることに重点を置いて、ドイツと中国は、自動運転とコネクテッドドライブで協力する共同宣言に署名したとロイターは報じている。両国は、自動運転開発の過程で発生するデータを管理するための共通の基準やルールを確立することを目指している。ドイツ自動車工業会 (Verband der Automobilindustrie [VDA] ) は、この協力が開発と生産における省資源につながると考えている。
重要性: 自動運転車 (AV) は、ライダーやその他のセンサーを通じて、乗客やドライバーの行動に関する広範なデータや、車両の取り巻く環境に関する情報を収集する。さらに、自動車がスマートフォンなどのデバイスに接続してドライバーのデータを収集することも増えている。自動運転とコネクテッドドライブに関するドイツと中国間の共同宣言は、EUと米国両国が中国の技術が自国市場に進出し、現地でデータを収集することに伴うセキュリティリスクについて懸念を表明した矢先に発表された。一方、中国はデータ管理の監督を強化し、ほとんどの業界でデータを海外にデータ転送する前に許可を得ることを義務付けている。中国の規制当局は当初、スマートカーの海外へのデータ転送を禁止することを提案したが、その後、企業からの苦情を受けて規制を緩和する意向を示している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
インド政府、排出ガス基準「BS VII」と「CAFE III」の導入計画を策定
2024年4月17日-Autointelligence|ヘッドライン分析-インド
Jamal Amir, Research Analyst
インド政府は厳しい排出ガス基準であるバーラト・ステージ (BS) VIIと企業別平均燃費基準 (CAFE) IIIを導入する計画を進めているとET Autoは報じている。これらは運輸部門における持続可能性のための次の5年間のロードマップの一部であるが、報告書は、それらの早期実施のための初期作業が開始されたことを強調している。インドにおける車両に関するBS基準は、地域全体で適用される欧州「ユーロ」排出ガス基準と類似している。一方、CAFE基準は自動車メーカーの全車両に適用され、一会計年度における全車両の総CO2排出量の上限を設けている。これらの基準は、より効率的で汚染の少ない車を生産し、燃料効率を高めるようメーカーにインセンティブを与える。2018年に通知されたCAFE基準は、2022~23年までに130g/km、2022~23年以降に113g/kmのCO2排出を目標として、二段階で実施されている。
重要性: 今回の動きは、自動車によって引き起こされる大気汚染を抑制する政府の取り組みと一致している。それは、インドをユーロ排出ガス基準に合わせることを目指している。欧州委員会は、自動車については2025年7月から、バスとトラックについては2027年からユーロ7基準を実施する予定である。インドが同様の基準を採用するのは、二重の目的がある: 排出ガス規制と「メーク・イン・インディア」車の欧州への輸出促進。しかしながら、この移行には、燃料品質の向上とこれらの変化を受け入れるために多額の投資の両方を必要とする石油会社と自動車業界との重要な調整が必要である。道路運輸省は、ユーロ7の最終決定と並行して、BS VII基準に関する議論を開始した。ニティン・ガドカリ運輸相は昨年、自動車業界に対し、BS VII対応車を積極的に準備するよう求めた。厳格な排出ガス基準とCAFE基準は、インドにおける電気自動車の普及を促進すると予想されている。インドのエネルギー関連のCO2排出量の12%以上を道路輸送部門が占めていることから、この動きは都市の空気のクリーン化に向けた大きな一歩であると報告書は強調している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ユーロ7:欧州委員会、乗用車・バン・トラック向け新排出ガス規制を採択
2024年4月16日|ニュース|ポリシー&規則
Amit Panday, Senior Research Analyst
欧州議会の見解を理事会が承認した後、立法措置が採択された
中国当局は今後数カ月以内に、消費者が古い車から新しい車に買い替えることを奨励する新たな奨励プログラムを導入すると予想されている。中国の最近の国内消費強化では、新エネルギー車 (NEV) と内燃機関 (ICE) 車の両方の販売を促進するために、中央政府と地方政府が消費者にインセンティブを与えることが期待されている。中国メディアのCailianによると、今年上半期に発表される予定の 「トレードアップ」 プログラムの詳細について、関係省庁がまだ協議中だという。
欧州理事会によるマンデートの採択は、意思決定手続きの最終段階である。
理事会によって採択された条文は、乗用車、バン、大型車を一つの法律にまとめる範囲に及び、排気ガスやブレーキから排出される大気汚染物質のさらなる削減を目指している。
Euro 7規制は、2022年11月に欧州委員会によって最初に提示された。欧州理事会は2023年9月にその見解を採択した。その後、2023年12月に、理事会と欧州議会はこの問題について暫定的な政治的合意に達した。
欧州議会の見解を理事会が承認した後、立法措置が採択されたと理事会はプレスノートで述べた。
欧州議会議長および閣僚理事会議長が署名した後、本規則は欧州連合官報に掲載され、その掲載から20日目に発効する。
本規則の適用日は、以下のような当該車両の種類によって異なる:
a) 新種の車及びバンについては30ヶ月、新車及びバンについては42ヶ月
b) 新種のバス、トラックおよびトレーラーについては48カ月、新しいバス、ローリーおよびトレーラーについては60カ月
c) 自動車およびバンに取り付ける新品のシステム、構成部品または単体技術ユニットについては30カ月、バス、ローリーおよびトレーラーに取り付ける新品のシステム、構成部品または単体技術ユニットについては48カ月
Euro 7規則は、道路車両の排ガス、およびタイヤ摩耗やブレーキ粒子排出量などの他の種類の排出量に関する規則を定めている。また、Euro 7規則は電池の耐久性に関する要求事項を導入する。
自動車とバンについては、新しい規制は既存のEuro 6排ガス規制を維持するが、固体粒子についてはより厳しい要件を導入する。
大型バスや大型トラックについては、亜酸化窒素 (N2O) など、これまで規制されていなかったものを含む様々な汚染物質に対して、より厳しい規制を課している。
さらに、Euro 7では、ブレーキ時に発生する粒子状物質の排出量について、電気自動車に固有の規制値とともに、より厳しい規制値が導入されている。新しい規則には、走行距離と寿命の両方の観点から、すべての車両に対するより厳しい寿命要件も含まれている。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
英国、コベントリーに 「Greenpower Park」 を正式に開設EVへの投資を呼び込み、研究開発プロジェクトを推進
2024年3月28日|ニュース|ポリシー&レギュレーション
Amit Panday, Senior Research Analyst
すでにアジアの電池メーカーが移転を積極的に検討するなど、関心が高まっている
英国政府は、英国の電化とクリーンエネルギー技術の今後の中心地であるGreenpower Parkを英国のコベントリーに正式に開設したとGreenpower Parkは3月27日に発表した。
同工場は、英国をグリーン産業革命の中心点とし、民間投資を誘致し、研究開発やイノベーションプロジェクトを推進し、ウェストミッドランズ地域に新たな雇用を創出することを目的としている。
Greenpower Parkは、そのアンカーテナントとして計画されているウェストミッドランドのギガファクトリーを主催する予定である。ギガファクトリーは野心的なプロジェクトで、業界全体、主要な学術機関、利害関係者の間で世界をリードする協力を促進し、よりクリーンで持続可能なエネルギーの未来への移行をリードするという英国の野望を推進することを目的としている。
政府は、コベントリーにあるGreenpower Parkキャンパスで、エンドツーエンドの電化とクリーンエネルギーのエコシステムを構築することを目指しており、Greenpower Parkは、英国で唯一、最大60 GWhの容量を持つ大規模な電池生産施設の計画が承認された場所である。この容量はEV60万台分と推計される。
Greenpower Parkキャンパスは、投資ゾーンのステータス、承認された計画許可、開発を開始するための前例のない地域の奨励策を組み合わせた独特な優遇助成措置で、新しいビジネスと製造工場の開発を支援することが期待されている。
プレスノートによると、新工場では、政府は25億ポンドの前例のない対内投資を誘致し、この地域に6,000の高度なスキルを持つ雇用を創出することを目指している。同工場は、すでに強い関心を引きつけており、アジアの電池メーカーの多くが移転を積極的に検討しており、すでに関心が高まっているという。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
インドがEV政策を見直し、新たなグローバルプレーヤーを呼び込み、投資を加速
2024年3月29日|ブリーフィング|ポリシー&レギュレーション
Amit Panday, Senior Research Analyst
特に、新しいEV政策は、2030年までに排出原単位を45%削減し、2070年までに排出量を実質ゼロにするというインドの気候目標とも整合している
インド商工省が3月15日に発表したプレスノートによると、インド中央政府は、世界のEVメーカーにインド (世界第3位の自動車市場) への投資を呼び込み、現地に製造工場を建設し、重要部品の現地化を促進することを目的とした新しい電気自動車政策を承認した。
新興のEV領域への投資を加速する新たなスキームは、輸入コンテンツへの依存を減らしつつ現地生産を奨励する中央政府の 「メイク・イン・インディア」 イニシアティブと連携している。インド政府はまた、原油輸入の削減、貿易赤字の削減、特に大都市における大気汚染の削減を目的として、自動車メーカーに対し、大規模なEVの普及を加速するための良い結果を導くようなEVエコシステムを構築するよう奨励している。
その新たなスキームにおいて、インド政府は、同社が3年以内にインドにEV製造工場を設立することを条件に、最低コスト、保険、運賃 (CIF) が35,000ドル以上の電気自動車の現地組立車用部品 (CKD) の装置一式の輸入関税を70%から15%に引き下げた。そのため、対象となる自動車メーカーは最低415億ルピー (約5億ドル) の投資をしなければならない。インド重工業省の承認書発行日から5年以内に、現地部品調達率25%のEVの商業生産を開始し、続いて現地化50%を達成するために、インドに製造工場を設立するまでにタイムラインは3年を要する。
電気自動車の新しいEV政策の概要は以下の通り。
a) 必要な最小投資額:415億ルピー、投資上限なし。
b) 製造のタイムライン:インドに製造工場を設立し、電気乗用車の商業生産を開始し、最大5年以内に50%の国内付加価値 (DVA) を達成するために3年。
c) 製造中のDVA:3年目までに25%、5年目までに50%の現地化レベルを達成する必要がある。
d) 15%の関税 (CKDユニットに適用される場合) は、メーカーが3年以内にインドに製造工場を設置することを条件として、最低CIF値が35,000ドル以上の車両に合計5年間適用される。
e) 輸入が許可されるEVの総数に対して免除される関税は、投資額または648億4000万ルピー (生産連動型のインセンティブ [PLI] スキーム下のインセンティブと同等) のいずれか低い額に制限される。投資が8億ドル以上であれば、年間8,000台以下の割合で最大4万台のEVが認められる。未使用の年間輸入枠の繰越が認められる。
f) 同社による投資コミットメントは、関税免除の代わりに銀行保証によって裏付けられなければならない。銀行保証は、DVAとスキームガイドラインに定められた最低投資基準を達成しなかった場合に発動される。
特に、この新しいEV政策は、2030年までに排出原単位を45%削減し、2070年までに排出量を実質ゼロにするというインドの気候目標とも整合している。
インドの自動車業界全体の現在の市場規模は約1510億ドルで、2030年までに倍増して3000億ドルになる予測である。同業界全体は、インドのGDP成長率の約7%を占めている。
この新しいスキームは、最近導入された電動二輪車と電動三輪車の販売を促進する電動モビリティ促進スキーム (EMPS) 2024の最上位に来る。EMPS2024の予算は約50億ルピーで、既存のFAME-2制度に代わるもので、補助金を段階的に削減しながら、電動二輪車と三輪車の導入をさらに促進することを目標としている。EMPS2024スキームは、電気乗用車を対象としていない。
さらに、インド政府はPLIスキームの下で、電池の現地生産を支援するインセンティブも提供している。2021年5月に最初に開始されたバッテリー式電力貯蔵に関する国家プログラム先進的化学セル(ACC)の予算は1810億ルピーであった。
「この政策は、政府と世界最大のEVメーカーの1つであるテスラとの間で何カ月にもわたる厳しい交渉の結果である。テスラは当初、インド市場への参入を目指していたが、輸入関税が高く、計画は遅れた。最近、別のEVメーカーであるビンファストも、2年間数に限りのある乗用車で輸入関税を引き下げるよう要請した。現在、4万ドル以上の[完成]車は100%、4万ドル以下の完成車は70%の輸入関税が課せられている。この方針の発表後、テスラのインド市場への参入は目前に迫っている」 と、S&Pグローバル・モビリティのシニアリサーチアナリスト (バッテリー) であるデイヤ・ダス氏は述べた。
2月初め、ビンファストはインドのタミルナドゥ州にある同社初のEV製造工場を正式に着工した。ビンファストは、製造工場の建設中に顧客に製品を知ってもらうために、ビンファストの乗用車をインドに輸入する予定である。
ダス氏によると、新しいEVスキームは、今後インド市場でのEV需要の増加が見込まれることから、製造工場を設置するために他の海外EVメーカーを誘致する。
重要なEV部品、特にバッテリーの現地化についてダス氏は付け加えた、 「当社は、現地化を推進することで、国内だけでなく世界の電池メーカーがセル製造工場に投資することに関心を持つと考えている。インド政府は、国内セル製造を促進するため、電池のPLIスキーム (PLI‐ACCスキーム) を発表した。国内のセルメーカーはこの分野での専門知識や経験が不足しているが、メーカーは主に技術援助のための海外企業と共同開発している。主要な原材料が入手できないこととサプライチェーンの課題が、世界の電池メーカーがインドでの工場建設をまだ進めない主な理由となるだろう。しかしながら、インドでは電池のニーズが高まっており、現地化の目標を達成するためには、セル製造への投資がさらに増えることが予想される。」
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米国規制当局、2027~32年モデルイヤーの最終車両エミッション規制を発行
2024年3月21日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-米国
Stephanie Brinley, Associate Director

米国環境保護庁 (EPA) は、2027年モデルイヤー (MY) から2032年モデルイヤーのライトデューティおよびミディアムデューティ車両を対象とする最終車両エミッション規制を発表した。規制案と比較して、EPAは2032年モデルイヤーの企業平均軽自動車フリートのCO 2排出量を85 g/マイル、自動車73 g、トラック90 gとする目標を最終決定した。提案から最終規則までの間に、EPAは中間年度の規制目標の一部を緩和した。特定の車両、自動車またはトラックの目標に対するフットプリントに基づく決定は、提案されているとおりとし、本規則の対象となるミディアムデューティ車両の作業係数計算も使用する。
規制案が発表された2023年4月とき、およびEPAが提案を策定していたそれ以前の数カ月間、自動車メーカーは電気自動車 (EV) の生産への投資を増やし、積極的な目標を発表していた。自動車メーカーへの投資、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた米国の政策方針、2030年のEV販売台数50%というバイデン大統領のソフトターゲット、そしてこれまで以上に厳格化された世界的な排出ガス規制が2023年に組み合わされ、EPAはそれまでよりもはるかに積極的な活動を行う基盤を得た。しかし、その後、EVの成長ペースが鈍化しているのではないかと懸念されている。ほとんどの自動車メーカーにとって、全体としては大部分は大きく利益が出ておらず、いくつかの自動車メーカーは投資時期を遅らせており、世界的な規制の緩和も見られる。全体的な電動化の傾向は続いており、ほとんどの政府やOEMはゼロエミッション車 (ZEV) をターゲットにしているが、アーリーアダプターや先見の明のある買い手はほとんど飽和しており、実用的で主流の買い手に到達するには、まだ起こっていない消費者の飛躍が必要である。

本報告書では、最終的なライトデューティルールのいくつかの要素をレビューするが、その全範囲にはミディアムデューティ車両(8,001から14,000ポンド、クラス2bおよび3)の目標も含まれており、そちらは個別に扱う。1,100ページの全文はEPAのウェブサイトに掲載されている。
おそらく条件の変化を引き起こすコストと需要の懸念の証拠は、2024年の最終規則に見られる。EPAによると、ライトデューティー規制のCO2排出量のフットプリント目標は以前のものと同じだが、 「 (初期の数年間の厳格さの増加が緩やかになったことで) 基準の厳格さがMY 2027-2032からより直線的に増加する」 という。 最終的なルールは、2023年に提案されたAlternative 3フットプリント基準曲線と一致している。パブリックコメントを受けて、EPAはオフサイクルクレジットと空調漏れクレジットの段階的削減の延長を盛り込んだ。その効果は、プログラムの初期に基準を満たすための柔軟性を提供することである、とEPAは述べている。最終規制はミディアムデューティ車両にも同様の効果をもたらし、EPAは当初提案されたのと同様の厳格さで2032年モデルイヤーの作業係数ベースの温室効果ガス (GHG) 基準を完成させたが、さらに緩やかな増加率を示し、適合のための追加リードタイムを与えている。
最終的な規則は依然として積極的な変更を要求しており、MY 2032について同様の排出目標を維持している。EPAは、ライトデューティ車両について、最終基準によりMY 2032のGHGはMY 2026と比較して50%近く削減され、ミディアムデューティ車両では44%削減されると述べている。
EPAは、提案された規則の下では、MY 2032の米国の軽自動車販売の67%をEVが占めるようになる可能性があると予測していたが、目標を発表した際、最終規則ではEV販売の予測はより控えめになったと指摘した。2023年、EPAはこの規則案を発表するプレスリリースで、「EPAの予測では、メーカーが基準を満たすために選択する適合経路にもよるが、MY 2032にはEVがライトデューティ車両の新車販売の67%、ミディアムデューティ車両の新車販売の46%を占める可能性がある」と述べた。 2024年の規則について、EPAのプレスリリースは、代わりにMY 2032基準がライトデューティ車両のGHGを50%削減し、ミディアムデューティ車両のGHGを44%削減するという事実に焦点を当てた。
バッテリー電気自動車 (BEV) の予測にかかわらず、エミッション規制の影響は微妙である。この規則は、2032年の自動車販売 (または生産) に占めるBEVの割合を義務付けておらず、技術に依存しないことを意図している。CO2を含むGHG排出量の最大目標を自動車、トラック、フリート全体で設定した。従来のルールと同様に、各自動車メーカーには製品ポートフォリオに固有の業績目標があり、販売構成や製品ポートフォリオが目標に影響を与える。自動車メーカーが基準を満たしていない場合、EPAは販売を制限する。しかし、これはEPAの自動車排出ガス規制の数年間ではまだ起こっていない。
トップレベルでは、提案された規則は、2032モデルイヤーのライトデューティ車両からのCO 2排出量を85 グラム/マイル (g/マイル) 以下とする業界全体の目標を目指している。これは2026年の基準から50%の削減である。ミディアムデューティ車両(8,001ポンドから14,000ポンド (主に旅客輸送用に開発されたものを除く))の場合、提案された目標は275 g/マイルであり、これは実質的にMY 2026規則から44%の削減である。これまでと同様に、この基準は全国平均の最大排出量レベルを達成することを目指しており、各自動車メーカーは、車両の生産と販売の構成に基づいて異なる適合要件を持つことになる。
本報告書では、CO 2 g/マイルで表されるGHG排出量に焦点を当てるが、今回の提案では、基準汚染物質排出量も扱う。EPAの報告書は、「EPAは、基準汚染物質とGHGの両方について、個別の規制措置を設定せずに基準を調整するという従来のアプローチを継続するのではなく、2026年以降のモデルイヤーについて新たな基準を設定することが適切であると考える」と述べている。
フットプリントベースのモデルに対する変更案が確定
EPAは、ライトデューティカーとトラックの要件を決定するためのフットプリントモデルを維持しているが、最終的な裁定のために採択された2023年4月の提案では、いくつかの調整が行われている。フットプリントをベースとしたモデルにより、各メーカーは、生産する車両に応じて、そのフリートに基づいたCO2排出目標を持つことができる。自動車メーカーが適合しなければならないフリート平均基準は、最終MY生産数に基づいている。この規則は、 「したがって、メーカーによるモデルイヤー終了時のフリート平均エミッションの計算は、そのフリート内の各車両の生産加重平均エミッションに基づく」 と述べており、フットプリントに基づくコンプライアンスの基本構造を変更しないことを提案している。

しかし、最終的には、将来のフリート構成の変更が、メーカーがコンプライアンス戦略として車両のサイズまたは規制クラスを変更するインセンティブを意図せずに提供しないことを保証するために、提案されたフットプリント勾配が含まれている。「EPAの意図は、コンプライアンス戦略として、 (自らの意思で) フリート全体のサイズアップやダウンサイジングを開始しない勾配を設定することであった。勾配が平坦すぎるとフリート全体の規模縮小が促進され、勾配が急すぎると規模拡大が促進されることを認識し、それに応じて勾配を改定した」 。 この変更により、自動車とトラックのカーブの勾配が平坦になり、カーブ間の厳格さの数値的な差が小さくなり、後年の勾配は以前より平坦になる。EPAは、大型車ほど排出量が多くなるという典型的な想定に留意しつつ、「先進的なICE、HEV、PHEV、BEV電動化技術などの排出削減技術が適用されると、フットプリントの増加とテールパイプ排出量の関連が弱くなる...より効果的な排出削減技術の採用が増加すると、フットプリント曲線の傾斜が平坦になるという物理的根拠がある」と述べた。

トラックのカーブは車のカーブに基づいているが、 「より仕事のような活動のために使用されるこれらの車両を区別する」 全輪駆動など、実用性を高めるための追加の余裕を持たせてある。 フットプリントの増加は効用の増加につながるため、トラックにはレッカー移動のためのオフセットもある。EPAは「簡単に言えば、大型トラックは一般的に小型トラックよりもユーティリティを持っているので、大型トラックはユーティリティのオフセットが大きくなる」と述べている。 トラックカーブは、スケールされた全輪駆動とカーカーブに対するユーティリティベースのオフセットの合計である。EPAは、自動車とトラックのカーブの下限を2027年からMY 2030年まで毎年1平方フィートずつ、41平方フィートから45平方フィートに引き上げることを決定した。56フィートの上限は変更されていない。変更についての説明として、EPAは「これにより、 (MY 2023-2026のフットプリント目標の構造と比較して) 最小車両に対する基準が若干緩和される。これは、メーカーが最もクリーンな車両の1つであるこれらの最小車両を提供することを妨げないようにするために、重要であると考えている」と述べた。
さらに、EPAはトラックの上限を段階的に削減することを最終決定した。MY 2026までは74.0平方フィートである測定基準は、同じMY 2027~30の期間に年間1.0平方フィートずつ減少し、その後は維持される。EPAは、上限が2016年の66.0平方フィートから2020年の69.0平方フィートに増加した際に導入された、あまり厳しくないCO2目標の対象となるフルサイズピックアップの大型化の傾向に対する反応として、この変更を提案している。EPAは「最も大型のトラックの有用性を認識した適切なCO2排出目標を設定することと、トラックの大型化に伴う排出削減量の潜在的な損失を防止することとの間のバランスがとれるレベルまで上限を引き下げる」ことを目標としていると述べている。
クレジットの見直しとABT
EPAは、従来のアベレージング、バンキングおよびトレーディング (ABT) コンプライアンスの柔軟性を維持してきた。変更は提案されていないため、最終的な規則でも同じ構造となっている。これは、クレジットの繰越 (5年間) と繰戻し (3年間) が依然としてコンプライアンスツールであることを意味する。メーカーは、限られた数のモデルイヤーについて、あるモデルイヤーの終了時に依然として赤字 (フリート平均エミッションレベルが当該モデルイヤーについて要求されるフリート平均基準を満たさないことを意味する) を有してもよい。クレジットは、自動車とトラックの平均値の間で転送することもできる。自動車メーカーが自動車に過剰に準拠している場合は、トラック平均に適用することができる。
しかし、EPAは空調 (A/C) クレジットの調整を完了した。MY 2027からの効率的なエアコンのクレジットは、すでに0 g/マイルで評価されているBEVには適用されず、空調効率はこれらの車両のGHGに影響しない。さらに、EPAは2020年の米国技術革新製造法で地球温暖化係数の高い冷媒の使用を規制しているため、EPAはライトデューティー車両とミディアムデューティー車両の両方について冷媒ベースの空調規定を削除した。オフサイクルクレジットに関しては、EPAは提案よりも緩やかな段階的廃止を採用している。現在のメニューベースのクレジットについては、メニュークレジットの上限を段階的に廃止されるまで毎年削減することが提案された。現在は10 g/マイルで、10、8、6、3と段階的に廃止され、MY 2030にゼロとなる。最終規則では、10 g/マイルのオフサイクルクレジットはMY 2030まで残り、MY 2031には8.0 g/マイル、MY 2032には6.0 g/マイルに低下し、MY 2033以降は段階的に廃止される。
EPAはまた、MY 2027から始まる5サイクルおよび公共プロセス経路を廃止した。EPAはまた、オフサイクルクレジットの適格性をテールパイプエミッションが0を超える車両 (基本的にICE車両のみ)に限定しているため、BEVは実質的にクレジットを作り出さない。BEVはすでに0 g/マイルであるため、オフサイクルクレジットは適用されないはずだ。
見通しと影響
これらの最終的なルールは、2023年4月の提案に対するコメントとレビューの結果であり、全体としてS&P Global Mobilityの仮定と一致している。こうしたフィードバックもあり、EPAは積極的な目標を維持する方法を見つけたが、EVインフラや製造、消費者の受け入れにはまだ発展に時間が必要で、はるかに成熟していないことを認識しているようだ。2023年4月に提案された規制では、2032年の米国の軽自動車販売構成に67%のBEVが含まれる可能性があったが、最終的な提案では、MY 2030~32年の軽自動車新車販売の30%~56%がBEVになると予測されている。ただし、MY 2032年には前年に提案されたのと同様の排出ガス規制目標に到達する。2032年の適合目標は、目標案82 g/マイルCO2に対し、85 g/マイルである。
最終的なEPAの規則は、製造、バッテリー技術、インフラへの投資が、アーリーアダプターの買い手を越えて実用的な買い手まで移行するほど十分に定着するまでに時間がかかるという最近の懸念を反映しているようだ。米国のEV市場シェアは全般的に上昇傾向にあるが、月ごとの変動がある。市場シェアは2023年12月に増加し、2024年1月には減少した。EVが苦境に立たされているという世論の高まりに加えて、北米での重要な原材料の調達やバッテリー製造の基準が1月に厳しくなり、今後数年も厳しいままであることも、その理由として考えられる。2024年1月には、これにより対象となる車両の数が大幅に減少した。ほとんどのEVメーカーは、同様のインセンティブを提供するか、リースを奨励して問題を解決する方法を見つけたが、この状況では対象となる車が少なくなり、どの車が対象かわからない消費者に混乱を招く可能性がある。EV登録台数も2023年12月から2024年1月にかけて減少した。2024年1月の登録台数は過去12カ月で最低だった。
規則は、これまでで最も厳しい基準を実施するという政権の目標を維持しているが、提案された基準と比較してMY 2027–30の緩和は、多くの自動車メーカーにある程度の救済をもたらす可能性が高い。2021年以来、現政権はEV市場への転換を支援するためにいくつかの政策指示と巨額の政府資金を投入してきたが、これらの措置が意味のある影響を与えるにはまだ時間がかかるだろう。インフレ抑制法 (IRA) と超党派インフラ法 (BIL) には、変化を支援するための連邦レベルでの資金提供が含まれているが、製造と充電インフラの設置の変更にはまだ時間がかかる。この資金だけでは、すべてのインフラニーズをサポートしたり、バッテリー製造に十分な資金を提供したりすることはできないが、この資金は、政策の方向性として資金支援があることを保証する。
提案されたルールで指摘したように、現在決定されているフットプリント曲線の変更は、ピックアップのサイズクリープを遅らせ、小型車が適合しやすくするように設計されている。以前のガイドラインでは、トラックも自動車も大型化した。米国の消費者はより大きな製品に惹かれるが、フットプリントに基づくコンプライアンス曲線は、自動車メーカーがコンプライアンスと消費者の需要に基づいて車両サイズを選択することを促した。
現時点では、S&P Global Mobilityは提案された要素を引き続き評価し、当社の車両生産および販売予測、ならびに販売ベースのパワートレイン予測およびコンプライアンス製品への影響を決定する。これらの製品の今後の更新には、新しい規制に関連する前提条件にすべての必要な変更が組み込まれ、通常の配送スケジュールでリリースされる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本の経産省、充電インフラ整備に360億円の補助金
2024年3月20日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-日本
Nitin Budhiraja, Sr.アナリスト-自動車
日本の経済産業省は、2024年の電気自動車 (EV) 充電インフラ補助金制度の青写真を発表した。2024年度のインフラ補助金は、三回に分けて約360億円の予算を計上している。大容量の充電器や複数の充電ポートを持つ充電器を優先し、通常の充電器は空港や大型商業施設でより多くの支援を受けるという戦略だ。高速道路では、急速充電器あたりの補助金の上限は、150 kWh以上で500万円、50 kWh~90 kWhで400万円となり、大容量の充電器が優遇される。急速充電器の申請は3月、5-6月、8月に受け付けられ、先着順ではなく、申請内容を十分に審査した上で受益者が選ばれる。以前は対象外とされた新築マンションや月極駐車場、工場などが、通常充電器の補助対象に復活した。ショッピングセンターや空港など充電需要の高い地域でのシステムの普及を目指す。
重要性: EV充電補助金は、EVの販売促進と持続可能な交通エコシステムの構築に貢献する。電気自動車は、日本の経済産業省を含む世界中の政府が電動モビリティへの移行を促進するために使用している重要な政策ツールである。日本の経済産業省が最近発表した補助金は、高速充電器と複数のポートを持つ充電器を優先するため、特に戦略的である。急速充電器としても知られる高速充電器は、EVの充電にかかる時間を大幅に短縮する。これは、日常的な移動手段としてのEVの実用性において重要な要素である。これまでの報道によると、日本ではEV充電器の設置や運用にかなりの費用がかかり、 「数千万円」 かかることもある。こうした状況を踏まえ、日本政府は今年1月、EV急速充電スタンドの設置規制を緩和する方針を発表した (参考、日本:2024年1月17日:日本は急速充電EVステーションの規制を緩和する意向) 。日本はまた、EVや半導体などの重要分野に対する補助金政策の基準を、米国や欧州の基準と同期させることを目指している(参考、日本-ドイツ-イタリア-米国:2023年10月24日:日本、EV、半導体について欧米と共通の補助基準を追及)。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米国、新たなEV等価計算式を発表
2024年3月20日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-米国
Stephanie Brinley, Associate Director
米国エネルギー省 (DOE) は、自動車メーカーの燃費基準への適合性を評価する際に使用される石油換算係数 (PEF) の更新に関する最終決定を下した。PEFは、米国環境保護庁 (EPA) の計算で使用され、ライトデューティ車両メーカーの電気自動車 (EV) が企業平均燃費 (CAFE) 基準への適合に及ぼす影響を決定する。この係数は、CAFE基準への適合性の計算において、EVの販売が内燃エンジン (ICE) 車両の販売をどのように相殺できるかを本質的に決定する。例えば、EPAがフォードがCAFE基準に準拠しているかどうかを計算した際に、フォードF-150ライトニングEVを300マイル/ガロン (mpg) の車両としてカウントすることが可能になった。この計算によって、自動車メーカーが基準を満たしていない場合に罰金を科される金額や、基準を超えた場合にクレジットを獲得できるかどうかが決まる。Fシリーズのガソリンまたはディーゼルを燃料とするトラックの中には、燃費が16 mpgを下回るものもあるため、ライトニングはフォードの平均燃費の低下に大きく貢献する可能性がある。DOEのウェブサイトで閲覧可能な最終決定に関する77ページの文書では、同省は検討すべき要素、提案された変更、協議過程でなされた異議、変更を支持する事項、最終決定の根拠を詳細に記述している。PEFは、累積ガス当量 (CEg) 、すなわち40年間の生存重量ライフタイムマイルスケジュールにおける電気の年間ガス当量エネルギー含有量の合計 (ワット時/ガロン) を含むいくつかの要素 (因子) によって決定される。燃料含有率 (FCF) は、2026モデルイヤーから2030モデルイヤーの間に段階的に廃止され、2030モデルイヤーまでに1.0となる。さらに、PEFは、数十年前にガソリンを燃料とするアクセサリー機能を説明するために想定されたアクセサリーファクター (AF) によって決定されるが、現在では関連性がなく、1.0に設定されている。また、駆動パターン係数 (DPF) についても、ICE車と同様のパターンでEVが運転されることが予測されるため、同じく1.0に設定されている。PEFは、CEgにFCFとAFとDPFを乗算したものとして計算される (PEF=CEg×FCF×AF×DPF) 。
重要性: DOEの最終規則は、当初提案されていた2027モデルイヤーからの72%削減ではなく、2030年までに、PEF EV燃費評価を65%削減するため、自動車メーカーの勝利とされている。これにより、自動車メーカーは変化に適応するための時間をより多く持つことができる。DOEの新たな裁定は、EPA適合性計算におけるPEFの重要性を考慮すると、今週発表されると予想される2027から2032モデルイヤーのEPA最終エミッション規制にも大きな影響を与える。Automotive Newsの報道によると、旧バージョンでは数十億ドルの罰金が発生していたという。今回の改正で罰金が回避されるかどうかは不明だが、おそらく回避されるだろう。PEFをめぐる議論は広範に行われており、自動車メーカーを代表する組織は、PEFが低すぎると、EVがCAFEの要件を満たすことへの貢献度が低くなり、その結果、これらの自動車の開発に対するインセンティブが低下する可能性があると主張している。しかし、環境ロビイスト団体は、PEFの値が高すぎると、自動車メーカーがより限られた数のEVを販売で、ICE車両を相殺するできるようになると反対した。PEFとDOEの開発権限は、1970年初頭に署名された法律に基づいており、PEF要素は1979年クライスラー・コーポレーション融資保証法に基づいている。

この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
インド政府、EVの条件付き輸入関税引き下げを発表
2024年3月18日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-インド
Jamal Amir, Research Analyst
インド政府は電気自動車 (EV) の導入を促進し、現地での製造を促進するための重要な動きとして、EVの輸入関税を大幅に引き下げることを発表した、とET Autoは報じている。新しいEV政策の下では、コスト、保険、運賃 (CIF) が35,000米ドル以上の輸入EVについて、輸入関税が5年間、100%からわずか15%に引き下げられた。しかし、この削減には条件がある。各メーカーは、3年以内に現地生産施設を設立し、EVの商業生産を開始するために、最低5億米ドルの投資を約束しなければならない。さらに、3年目までに25%の国内付加価値 (DVA) を達成し、5年以内に少なくとも50%を達成しなければならない。また、新たな政策は、企業に対して、DVAと最低投資基準に違反した場合に適用される銀行保証付きの投資コミットメントの裏付けも求めている。この5年間、政府は、メーカーの総投資額が8億米ドル以上であれば、年間8,000台を超えない範囲で、最大4万台のEVを引き下げられた輸入関税で輸入することを許可し、未使用の年間輸入枠の繰越を認める。輸入が許可されたEVの総数に対して免除される総関税は、投資額または648億4000万ルピー(7億8220万米ドル。生産連動型インセンティブ制度におけるインセンティブと同等)のいずれか低い額が上限となる。
重要性: インド政府によるこの最新の動きは、持続可能で環境に優しい輸送を促進するというインド政府のコミットメントを明確に示している。これは、世界のメーカーがインドに生産施設を設立することを奨励するだけでなく、インドが世界のEV市場で重要なプレーヤーになるための道を開くものである。すでに述べたように、2023年のインドの新車販売の2.5%を電気乗用車が占め、約83,000台が販売された。インド政府は、2030年までにEVが国内の自動車販売台数の30%を占めることを目指している。しかし、これからの道には課題がないわけではない。グローバル製造業者がこれらの新たな政策措置にどのように対応し、規定されたDVAと投資基準を満たすために戦略をどのように効果的に適応させることができるかは、まだ不明である。S&Pグローバル・モビリティのデータによると、インドの電気乗用車生産台数は、2023年の推定98,800台から2030年までに約146万台に増加する。この新しい政策は、テスラのインド進出に道を開くものだ。インドでは、この減税措置が製造工場設立の前提条件となっている。この政策により、テスラはインドに工場を設立し、24,000米ドルの自動車を生産する一方で、より高価なモデルをより低い税金で輸入することが可能になる可能性がある (参考、インド:2023年6月21日:テスラはインドへの大規模な投資を視野におよびインド:2023年7月25日:テスラ、インドで24,000米ドルの車両生産を検討-報道) 。この新しい方針は、ベトナムのEVメーカーであるVinFastにも恩恵をもたらすだろう。VinFastは最近、インドのタミル・ナードゥ州トゥーットゥックディに予定されている統合EV製造施設を着工したばかりだ(参考、インド:2024年2月26日:VinFast、インドのEV工場を着工) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米国規制当局、2027~32年モデルイヤーの最終車両エミッション規制を発行
2024年3月21日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-米国
Stephanie Brinley, Associate Director

米国環境保護庁 (EPA) は、2027年モデルイヤー (MY) から2032年モデルイヤーのライトデューティおよびミディアムデューティ車両を対象とする最終車両エミッション規制を発表した。規制案と比較して、EPAは2032年モデルイヤーの企業平均軽自動車フリートのCO 2排出量を85 g/マイル、自動車73 g、トラック90 gとする目標を最終決定した。提案から最終規則までの間に、EPAは中間年度の規制目標の一部を緩和した。特定の車両、自動車またはトラックの目標に対するフットプリントに基づく決定は、提案されているとおりとし、本規則の対象となるミディアムデューティ車両の作業係数計算も使用する。
規制案が発表された2023年4月とき、およびEPAが提案を策定していたそれ以前の数カ月間、自動車メーカーは電気自動車 (EV) の生産への投資を増やし、積極的な目標を発表していた。自動車メーカーへの投資、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた米国の政策方針、2030年のEV販売台数50%というバイデン大統領のソフトターゲット、そしてこれまで以上に厳格化された世界的な排出ガス規制が2023年に組み合わされ、EPAはそれまでよりもはるかに積極的な活動を行う基盤を得た。しかし、その後、EVの成長ペースが鈍化しているのではないかと懸念されている。ほとんどの自動車メーカーにとって、全体としては大部分は大きく利益が出ておらず、いくつかの自動車メーカーは投資時期を遅らせており、世界的な規制の緩和も見られる。全体的な電動化の傾向は続いており、ほとんどの政府やOEMはゼロエミッション車 (ZEV) をターゲットにしているが、アーリーアダプターや先見の明のある買い手はほとんど飽和しており、実用的で主流の買い手に到達するには、まだ起こっていない消費者の飛躍が必要である。

本報告書では、最終的なライトデューティルールのいくつかの要素をレビューするが、その全範囲にはミディアムデューティ車両(8,001から14,000ポンド、クラス2bおよび3)の目標も含まれており、そちらは個別に扱う。1,100ページの全文はEPAのウェブサイトに掲載されている。
おそらく条件の変化を引き起こすコストと需要の懸念の証拠は、2024年の最終規則に見られる。EPAによると、ライトデューティー規制のCO2排出量のフットプリント目標は以前のものと同じだが、 「 (初期の数年間の厳格さの増加が緩やかになったことで) 基準の厳格さがMY 2027-2032からより直線的に増加する」 という。 最終的なルールは、2023年に提案されたAlternative 3フットプリント基準曲線と一致している。パブリックコメントを受けて、EPAはオフサイクルクレジットと空調漏れクレジットの段階的削減の延長を盛り込んだ。その効果は、プログラムの初期に基準を満たすための柔軟性を提供することである、とEPAは述べている。最終規制はミディアムデューティ車両にも同様の効果をもたらし、EPAは当初提案されたのと同様の厳格さで2032年モデルイヤーの作業係数ベースの温室効果ガス (GHG) 基準を完成させたが、さらに緩やかな増加率を示し、適合のための追加リードタイムを与えている。
最終的な規則は依然として積極的な変更を要求しており、MY 2032について同様の排出目標を維持している。EPAは、ライトデューティ車両について、最終基準によりMY 2032のGHGはMY 2026と比較して50%近く削減され、ミディアムデューティ車両では44%削減されると述べている。
EPAは、提案された規則の下では、MY 2032の米国の軽自動車販売の67%をEVが占めるようになる可能性があると予測していたが、目標を発表した際、最終規則ではEV販売の予測はより控えめになったと指摘した。2023年、EPAはこの規則案を発表するプレスリリースで、「EPAの予測では、メーカーが基準を満たすために選択する適合経路にもよるが、MY 2032にはEVがライトデューティ車両の新車販売の67%、ミディアムデューティ車両の新車販売の46%を占める可能性がある」と述べた。 2024年の規則について、EPAのプレスリリースは、代わりにMY 2032基準がライトデューティ車両のGHGを50%削減し、ミディアムデューティ車両のGHGを44%削減するという事実に焦点を当てた。
バッテリー電気自動車 (BEV) の予測にかかわらず、エミッション規制の影響は微妙である。この規則は、2032年の自動車販売 (または生産) に占めるBEVの割合を義務付けておらず、技術に依存しないことを意図している。CO2を含むGHG排出量の最大目標を自動車、トラック、フリート全体で設定した。従来のルールと同様に、各自動車メーカーには製品ポートフォリオに固有の業績目標があり、販売構成や製品ポートフォリオが目標に影響を与える。自動車メーカーが基準を満たしていない場合、EPAは販売を制限する。しかし、これはEPAの自動車排出ガス規制の数年間ではまだ起こっていない。
トップレベルでは、提案された規則は、2032モデルイヤーのライトデューティ車両からのCO 2排出量を85 グラム/マイル (g/マイル) 以下とする業界全体の目標を目指している。これは2026年の基準から50%の削減である。ミディアムデューティ車両(8,001ポンドから14,000ポンド (主に旅客輸送用に開発されたものを除く))の場合、提案された目標は275 g/マイルであり、これは実質的にMY 2026規則から44%の削減である。これまでと同様に、この基準は全国平均の最大排出量レベルを達成することを目指しており、各自動車メーカーは、車両の生産と販売の構成に基づいて異なる適合要件を持つことになる。
本報告書では、CO 2 g/マイルで表されるGHG排出量に焦点を当てるが、今回の提案では、基準汚染物質排出量も扱う。EPAの報告書は、「EPAは、基準汚染物質とGHGの両方について、個別の規制措置を設定せずに基準を調整するという従来のアプローチを継続するのではなく、2026年以降のモデルイヤーについて新たな基準を設定することが適切であると考える」と述べている。
フットプリントベースのモデルに対する変更案が確定
EPAは、ライトデューティカーとトラックの要件を決定するためのフットプリントモデルを維持しているが、最終的な裁定のために採択された2023年4月の提案では、いくつかの調整が行われている。フットプリントをベースとしたモデルにより、各メーカーは、生産する車両に応じて、そのフリートに基づいたCO2排出目標を持つことができる。自動車メーカーが適合しなければならないフリート平均基準は、最終MY生産数に基づいている。この規則は、 「したがって、メーカーによるモデルイヤー終了時のフリート平均エミッションの計算は、そのフリート内の各車両の生産加重平均エミッションに基づく」 と述べており、フットプリントに基づくコンプライアンスの基本構造を変更しないことを提案している。

しかし、最終的には、将来のフリート構成の変更が、メーカーがコンプライアンス戦略として車両のサイズまたは規制クラスを変更するインセンティブを意図せずに提供しないことを保証するために、提案されたフットプリント勾配が含まれている。「EPAの意図は、コンプライアンス戦略として、 (自らの意思で) フリート全体のサイズアップやダウンサイジングを開始しない勾配を設定することであった。勾配が平坦すぎるとフリート全体の規模縮小が促進され、勾配が急すぎると規模拡大が促進されることを認識し、それに応じて勾配を改定した」 。 この変更により、自動車とトラックのカーブの勾配が平坦になり、カーブ間の厳格さの数値的な差が小さくなり、後年の勾配は以前より平坦になる。EPAは、大型車ほど排出量が多くなるという典型的な想定に留意しつつ、「先進的なICE、HEV、PHEV、BEV電動化技術などの排出削減技術が適用されると、フットプリントの増加とテールパイプ排出量の関連が弱くなる...より効果的な排出削減技術の採用が増加すると、フットプリント曲線の傾斜が平坦になるという物理的根拠がある」と述べた。

トラックのカーブは車のカーブに基づいているが、 「より仕事のような活動のために使用されるこれらの車両を区別する」 全輪駆動など、実用性を高めるための追加の余裕を持たせてある。 フットプリントの増加は効用の増加につながるため、トラックにはレッカー移動のためのオフセットもある。EPAは「簡単に言えば、大型トラックは一般的に小型トラックよりもユーティリティを持っているので、大型トラックはユーティリティのオフセットが大きくなる」と述べている。 トラックカーブは、スケールされた全輪駆動とカーカーブに対するユーティリティベースのオフセットの合計である。EPAは、自動車とトラックのカーブの下限を2027年からMY 2030年まで毎年1平方フィートずつ、41平方フィートから45平方フィートに引き上げることを決定した。56フィートの上限は変更されていない。変更についての説明として、EPAは「これにより、 (MY 2023-2026のフットプリント目標の構造と比較して) 最小車両に対する基準が若干緩和される。これは、メーカーが最もクリーンな車両の1つであるこれらの最小車両を提供することを妨げないようにするために、重要であると考えている」と述べた。
さらに、EPAはトラックの上限を段階的に削減することを最終決定した。MY 2026までは74.0平方フィートである測定基準は、同じMY 2027~30の期間に年間1.0平方フィートずつ減少し、その後は維持される。EPAは、上限が2016年の66.0平方フィートから2020年の69.0平方フィートに増加した際に導入された、あまり厳しくないCO2目標の対象となるフルサイズピックアップの大型化の傾向に対する反応として、この変更を提案している。EPAは「最も大型のトラックの有用性を認識した適切なCO2排出目標を設定することと、トラックの大型化に伴う排出削減量の潜在的な損失を防止することとの間のバランスがとれるレベルまで上限を引き下げる」ことを目標としていると述べている。
クレジットの見直しとABT
EPAは、従来のアベレージング、バンキングおよびトレーディング (ABT) コンプライアンスの柔軟性を維持してきた。変更は提案されていないため、最終的な規則でも同じ構造となっている。これは、クレジットの繰越 (5年間) と繰戻し (3年間) が依然としてコンプライアンスツールであることを意味する。メーカーは、限られた数のモデルイヤーについて、あるモデルイヤーの終了時に依然として赤字 (フリート平均エミッションレベルが当該モデルイヤーについて要求されるフリート平均基準を満たさないことを意味する) を有してもよい。クレジットは、自動車とトラックの平均値の間で転送することもできる。自動車メーカーが自動車に過剰に準拠している場合は、トラック平均に適用することができる。
しかし、EPAは空調 (A/C) クレジットの調整を完了した。MY 2027からの効率的なエアコンのクレジットは、すでに0 g/マイルで評価されているBEVには適用されず、空調効率はこれらの車両のGHGに影響しない。さらに、EPAは2020年の米国技術革新製造法で地球温暖化係数の高い冷媒の使用を規制しているため、EPAはライトデューティー車両とミディアムデューティー車両の両方について冷媒ベースの空調規定を削除した。オフサイクルクレジットに関しては、EPAは提案よりも緩やかな段階的廃止を採用している。現在のメニューベースのクレジットについては、メニュークレジットの上限を段階的に廃止されるまで毎年削減することが提案された。現在は10 g/マイルで、10、8、6、3と段階的に廃止され、MY 2030にゼロとなる。最終規則では、10 g/マイルのオフサイクルクレジットはMY 2030まで残り、MY 2031には8.0 g/マイル、MY 2032には6.0 g/マイルに低下し、MY 2033以降は段階的に廃止される。
EPAはまた、MY 2027から始まる5サイクルおよび公共プロセス経路を廃止した。EPAはまた、オフサイクルクレジットの適格性をテールパイプエミッションが0を超える車両 (基本的にICE車両のみ)に限定しているため、BEVは実質的にクレジットを作り出さない。BEVはすでに0 g/マイルであるため、オフサイクルクレジットは適用されないはずだ。
見通しと影響
これらの最終的なルールは、2023年4月の提案に対するコメントとレビューの結果であり、全体としてS&P Global Mobilityの仮定と一致している。こうしたフィードバックもあり、EPAは積極的な目標を維持する方法を見つけたが、EVインフラや製造、消費者の受け入れにはまだ発展に時間が必要で、はるかに成熟していないことを認識しているようだ。2023年4月に提案された規制では、2032年の米国の軽自動車販売構成に67%のBEVが含まれる可能性があったが、最終的な提案では、MY 2030~32年の軽自動車新車販売の30%~56%がBEVになると予測されている。ただし、MY 2032年には前年に提案されたのと同様の排出ガス規制目標に到達する。2032年の適合目標は、目標案82 g/マイルCO2に対し、85 g/マイルである。
最終的なEPAの規則は、製造、バッテリー技術、インフラへの投資が、アーリーアダプターの買い手を越えて実用的な買い手まで移行するほど十分に定着するまでに時間がかかるという最近の懸念を反映しているようだ。米国のEV市場シェアは全般的に上昇傾向にあるが、月ごとの変動がある。市場シェアは2023年12月に増加し、2024年1月には減少した。EVが苦境に立たされているという世論の高まりに加えて、北米での重要な原材料の調達やバッテリー製造の基準が1月に厳しくなり、今後数年も厳しいままであることも、その理由として考えられる。2024年1月には、これにより対象となる車両の数が大幅に減少した。ほとんどのEVメーカーは、同様のインセンティブを提供するか、リースを奨励して問題を解決する方法を見つけたが、この状況では対象となる車が少なくなり、どの車が対象かわからない消費者に混乱を招く可能性がある。EV登録台数も2023年12月から2024年1月にかけて減少した。2024年1月の登録台数は過去12カ月で最低だった。
規則は、これまでで最も厳しい基準を実施するという政権の目標を維持しているが、提案された基準と比較してMY 2027–30の緩和は、多くの自動車メーカーにある程度の救済をもたらす可能性が高い。2021年以来、現政権はEV市場への転換を支援するためにいくつかの政策指示と巨額の政府資金を投入してきたが、これらの措置が意味のある影響を与えるにはまだ時間がかかるだろう。インフレ抑制法 (IRA) と超党派インフラ法 (BIL) には、変化を支援するための連邦レベルでの資金提供が含まれているが、製造と充電インフラの設置の変更にはまだ時間がかかる。この資金だけでは、すべてのインフラニーズをサポートしたり、バッテリー製造に十分な資金を提供したりすることはできないが、この資金は、政策の方向性として資金支援があることを保証する。
提案されたルールで指摘したように、現在決定されているフットプリント曲線の変更は、ピックアップのサイズクリープを遅らせ、小型車が適合しやすくするように設計されている。以前のガイドラインでは、トラックも自動車も大型化した。米国の消費者はより大きな製品に惹かれるが、フットプリントに基づくコンプライアンス曲線は、自動車メーカーがコンプライアンスと消費者の需要に基づいて車両サイズを選択することを促した。
現時点では、S&P Global Mobilityは提案された要素を引き続き評価し、当社の車両生産および販売予測、ならびに販売ベースのパワートレイン予測およびコンプライアンス製品への影響を決定する。これらの製品の今後の更新には、新しい規制に関連する前提条件にすべての必要な変更が組み込まれ、通常の配送スケジュールでリリースされる。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
日本の経産省、充電インフラ整備に360億円の補助金
2024年3月20日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-日本
日本の経済産業省は、2024年の電気自動車 (EV) 充電インフラ補助金制度の青写真を発表した。2024年度のインフラ補助金は、三回に分けて約360億円の予算を計上している。大容量の充電器や複数の充電ポートを持つ充電器を優先し、通常の充電器は空港や大型商業施設でより多くの支援を受けるという戦略だ。高速道路では、急速充電器あたりの補助金の上限は、150 kWh以上で500万円、50 kWh~90 kWhで400万円となり、大容量の充電器が優遇される。急速充電器の申請は3月、5-6月、8月に受け付けられ、先着順ではなく、申請内容を十分に審査した上で受益者が選ばれる。以前は対象外とされた新築マンションや月極駐車場、工場などが、通常充電器の補助対象に復活した。ショッピングセンターや空港など充電需要の高い地域でのシステムの普及を目指す。
重要性: EV充電補助金は、EVの販売促進と持続可能な交通エコシステムの構築に貢献する。電気自動車は、日本の経済産業省を含む世界中の政府が電動モビリティへの移行を促進するために使用している重要な政策ツールである。日本の経済産業省が最近発表した補助金は、高速充電器と複数のポートを持つ充電器を優先するため、特に戦略的である。急速充電器としても知られる高速充電器は、EVの充電にかかる時間を大幅に短縮する。これは、日常的な移動手段としてのEVの実用性において重要な要素である。これまでの報道によると、日本ではEV充電器の設置や運用にかなりの費用がかかり、 「数千万円」 かかることもある。こうした状況を踏まえ、日本政府は今年1月、EV急速充電スタンドの設置規制を緩和する方針を発表した (参考、日本:2024年1月17日:日本は急速充電EVステーションの規制を緩和する意向) 。日本はまた、EVや半導体などの重要分野に対する補助金政策の基準を、米国や欧州の基準と同期させることを目指している(参考、日本-ドイツ-イタリア-米国:2023年10月24日:日本、EV、半導体について欧米と共通の補助基準を追及)。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米国、新たなEV等価計算式を発表
2024年3月20日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-米国
米国エネルギー省 (DOE) は、自動車メーカーの燃費基準への適合性を評価する際に使用される石油換算係数 (PEF) の更新に関する最終決定を下した。PEFは、米国環境保護庁 (EPA) の計算で使用され、ライトデューティ車両メーカーの電気自動車 (EV) が企業平均燃費 (CAFE) 基準への適合に及ぼす影響を決定する。この係数は、CAFE基準への適合性の計算において、EVの販売が内燃エンジン (ICE) 車両の販売をどのように相殺できるかを本質的に決定する。例えば、EPAがフォードがCAFE基準に準拠しているかどうかを計算した際に、フォードF-150ライトニングEVを300マイル/ガロン (mpg) の車両としてカウントすることが可能になった。この計算によって、自動車メーカーが基準を満たしていない場合に罰金を科される金額や、基準を超えた場合にクレジットを獲得できるかどうかが決まる。Fシリーズのガソリンまたはディーゼルを燃料とするトラックの中には、燃費が16 mpgを下回るものもあるため、ライトニングはフォードの平均燃費の低下に大きく貢献する可能性がある。DOEのウェブサイトで閲覧可能な最終決定に関する77ページの文書では、同省は検討すべき要素、提案された変更、協議過程でなされた異議、変更を支持する事項、最終決定の根拠を詳細に記述している。PEFは、累積ガス当量 (CEg) 、すなわち40年間の生存重量ライフタイムマイルスケジュールにおける電気の年間ガス当量エネルギー含有量の合計 (ワット時/ガロン) を含むいくつかの要素 (因子) によって決定される。燃料含有率 (FCF) は、2026モデルイヤーから2030モデルイヤーの間に段階的に廃止され、2030モデルイヤーまでに1.0となる。さらに、PEFは、数十年前にガソリンを燃料とするアクセサリー機能を説明するために想定されたアクセサリーファクター (AF) によって決定されるが、現在では関連性がなく、1.0に設定されている。また、駆動パターン係数 (DPF) についても、ICE車と同様のパターンでEVが運転されることが予測されるため、同じく1.0に設定されている。PEFは、CEgにFCFとAFとDPFを乗算したものとして計算される (PEF=CEg×FCF×AF×DPF) 。
重要性: DOEの最終規則は、当初提案されていた2027モデルイヤーからの72%削減ではなく、2030年までに、PEF EV燃費評価を65%削減するため、自動車メーカーの勝利とされている。これにより、自動車メーカーは変化に適応するための時間をより多く持つことができる。DOEの新たな裁定は、EPA適合性計算におけるPEFの重要性を考慮すると、今週発表されると予想される2027から2032モデルイヤーのEPA最終エミッション規制にも大きな影響を与える。Automotive Newsの報道によると、旧バージョンでは数十億ドルの罰金が発生していたという。今回の改正で罰金が回避されるかどうかは不明だが、おそらく回避されるだろう。PEFをめぐる議論は広範に行われており、自動車メーカーを代表する組織は、PEFが低すぎると、EVがCAFEの要件を満たすことへの貢献度が低くなり、その結果、これらの自動車の開発に対するインセンティブが低下する可能性があると主張している。しかし、環境ロビイスト団体は、PEFの値が高すぎると、自動車メーカーがより限られた数のEVを販売で、ICE車両を相殺するできるようになると反対した。PEFとDOEの開発権限は、1970年初頭に署名された法律に基づいており、PEF要素は1979年クライスラー・コーポレーション融資保証法に基づいている。

この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
インド政府、EVの条件付き輸入関税引き下げを発表
2024年3月18日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-インド
Jamal Amir, Research Analyst
インド政府は電気自動車 (EV) の導入を促進し、現地での製造を促進するための重要な動きとして、EVの輸入関税を大幅に引き下げることを発表した、とET Autoは報じている。新しいEV政策の下では、コスト、保険、運賃 (CIF) が35,000米ドル以上の輸入EVについて、輸入関税が5年間、100%からわずか15%に引き下げられた。しかし、この削減には条件がある。各メーカーは、3年以内に現地生産施設を設立し、EVの商業生産を開始するために、最低5億米ドルの投資を約束しなければならない。さらに、3年目までに25%の国内付加価値 (DVA) を達成し、5年以内に少なくとも50%を達成しなければならない。また、新たな政策は、企業に対して、DVAと最低投資基準に違反した場合に適用される銀行保証付きの投資コミットメントの裏付けも求めている。この5年間、政府は、メーカーの総投資額が8億米ドル以上であれば、年間8,000台を超えない範囲で、最大4万台のEVを引き下げられた輸入関税で輸入することを許可し、未使用の年間輸入枠の繰越を認める。輸入が許可されたEVの総数に対して免除される総関税は、投資額または648億4000万ルピー(7億8220万米ドル。生産連動型インセンティブ制度におけるインセンティブと同等)のいずれか低い額が上限となる。
重要性: インド政府によるこの最新の動きは、持続可能で環境に優しい輸送を促進するというインド政府のコミットメントを明確に示している。これは、世界のメーカーがインドに生産施設を設立することを奨励するだけでなく、インドが世界のEV市場で重要なプレーヤーになるための道を開くものである。すでに述べたように、2023年のインドの新車販売の2.5%を電気乗用車が占め、約83,000台が販売された。インド政府は、2030年までにEVが国内の自動車販売台数の30%を占めることを目指している。しかし、これからの道には課題がないわけではない。グローバル製造業者がこれらの新たな政策措置にどのように対応し、規定されたDVAと投資基準を満たすために戦略をどのように効果的に適応させることができるかは、まだ不明である。S&Pグローバル・モビリティのデータによると、インドの電気乗用車生産台数は、2023年の推定98,800台から2030年までに約146万台に増加する。この新しい政策は、テスラのインド進出に道を開くものだ。インドでは、この減税措置が製造工場設立の前提条件となっている。この政策により、テスラはインドに工場を設立し、24,000米ドルの自動車を生産する一方で、より高価なモデルをより低い税金で輸入することが可能になる可能性がある (参考、インド:2023年6月21日:テスラはインドへの大規模な投資を視野におよびインド:2023年7月25日:テスラ、インドで24,000米ドルの車両生産を検討-報道) 。この新しい方針は、ベトナムのEVメーカーであるVinFastにも恩恵をもたらすだろう。VinFastは最近、インドのタミル・ナードゥ州トゥーットゥックディに予定されている統合EV製造施設を着工したばかりだ(参考、インド:2024年2月26日:VinFast、インドのEV工場を着工) 。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
中国、自動車の買い替え需要拡大に向け新たな奨励プログラムを検討
2024年3月15日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-中国 (本土)
Abby Chun Tu, Principal Research Analyst
中国当局は今後数カ月以内に、消費者が古い車から新しい車に買い替えることを奨励する新たな奨励プログラムを導入すると予想されている。中国の最近の国内消費強化では、新エネルギー車 (NEV) と内燃機関 (ICE) 車の両方の販売を促進するために、中央政府と地方政府が消費者にインセンティブを与えることが期待されている。中国メディアのCailianによると、今年上半期に発表される予定の 「トレードアップ」 プログラムの詳細について、関係省庁がまだ協議中だという。
重要性: 公安部のデータによると、中国では2023年末時点で3億3600万台以上の自動車が道路を走っており、そのうち約6%がバッテリー式電気自動車やプラグインハイブリッド自動車を含むNEVだ。これは2023年末時点で2,040万台のNEVに相当する。自動車市場がますます買い替え需要に牽引される中、当局は、消費者が古い車を 「下取り」 し、十分な装備を備えた新しいモデルにアップグレードすることを奨励するために、政策手段を活用することに熱心である。上海市当局は今月、古い車を新しい車に買い替える消費者に補助金を支給し続けると発表した。中国汽車流通協会のラングシュエホン副秘書長は最近のメディアインタビューで、昨年販売された約1000万台は買い替え需要によるものと推定していると述べた。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
仏政府、国家機関によるICE購入を制限へ
2024年3月12日-AutoIntelligence|ヘッドライン分析-フランス
Ian Fletcher, Principal Analyst
フランス政府は、国家機関による内燃機関 (ICE) 車の購入に制限を設ける。ロイター通信によると、フランスのブリュノ・ルメール経済・財務・復興大臣は、1.4トンの重さを超えるICE車両の購入を禁止すると述べた。新政策の実施時期については彼は明らかにしなかった。
重要性: 報告されているように、制限は現時点では曖昧な目標であり、実施のための時間枠を持つ明確に考え抜かれた政策ではないようである。フランス政府がこの点に向けて動くことができれば賞賛に値するが、場合によっては何年も何十年も実現不可能になるかもしれない。この分野で楽勝なのは、ICE以外のパワートレインですでに大きな進歩が見られる乗用車と小型商用車 (LCV) だろう。この分野において、中・大型商用車 (MHCV) の開発も進んでいる。しかし、装甲車や軍用車のような非ICEパワートレインへの一部の専門車の短期的な移行はおそらく困難であり、そのような車は代わりに水素燃料電池に焦点を当てる必要があるかもしれない。これらの野望がいずれ明らかになるかどうかはまだわからない。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
中国政府、ステランティス-リープモーター JVを承認-報道
2024年3月7日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-中国 (本土)
Ian Fletcher、主任アナリスト
中国政府は、ステランティスと中国の自動車メーカー、リープモーターとの合弁事業 (JV) の提案を承認したという。ロイターは、この件に詳しい2人の情報筋からこのニュースを聞いたと述べた。また、同国の国家発展改革委員会 (NDRC) は承認したが、他の市場ではまだ規制当局の承認を待っていると付け加えた。リープモーターは、木曜に報道機関に出された声明で、JVの幹部チームはすでに発足しており、Leapmotor C10はまもなくドイツ、フランス、イタリア、スペインで販売を開始する予定だと述べた。しかし、リープモーターはNDRCの承認についてのコメントに関するロイターの要求には応じなかった。ステランティスもこの件に関するコメントを控え、またロイターはNDRCの代表と連絡が取れないとしている。
重要性: JVの設立は、ステランティスが昨年発表した、バッテリー電気自動車 (BEV) 分野の中国のスタートアップリープモーターへの投資に関連している。15億ユーロを投じてリープモーターの約20%を買収するとともに、両社はJV、 Leapmotor Internationalを設立し、大中華圏以外でのリープモーター製品の輸出と販売、および製造に関する独占的な権利を持つことになる (参考、中国-フランス-イタリア-米国:2023年10月26日:ステランティス、リープモーターに15億ユーロを投資、中国のEVスタートアップのグローバル販売を促進するJVを計画) 。NDRCの承認は確認できず、その他の承認はまだ待たれていると言われているが、Leapmotor C 10の発売に関する最新のコメントは、それらが近いかもしれないことを示唆している。実際、リープモーターは、同社の車両の出荷が今年後半に始まるとも述べた。JVが欧州の顧客にリープモーター製品をどのように販売するかはまだ不明だが、すでに15番目のブランドと呼ばれていることを考えると、オンラインまたは既存のステランティスディーラーを介して販売する可能性がある。欧州委員会は、同地域に輸入される中国製BEVに関税を課す恐れがあり、リープモーター製品のコスト競争力を阻害する可能性があり (参考、フランス-ドイツ-イタリア-スペイン:2024年3月6日:EU、遡及的に中国BEVに関税課す可能性-報道) 、一方ステランティスは欧州で保有する生産能力の一部を活用して、中長期的にリープモーターの製品を製造すると考えられています。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
EU、遡及的に中国BEVに関税課す可能性-報道
2024年3月6日 - オートインテリジェンス | ヘッドライン分析 - フランス- ドイツ- イタリア- スペイン
Ian Fletcher、主任アナリスト
重要性: 中国のBEVに関する調査は2023年9月に初めて発表され、その翌月から本格的に開始された (参考、フランス-ドイツ-イタリア-スペイン:2023年9月14日:欧州委員会、中国BEVに対する反補助金調査開始) 。グローバルブランドによる中国からの両BEVの輸入が増加していることや、中国の自動車メーカーが自主開発製品で同地域に参入するケースが増えていることを背景に開始された。この調査は、これらの製品が中国政府の支援や不公正な慣行から利益を得ていたかどうかを調査することを目的としていた。報告書は、完全に明確ではないことを示唆しているが、製品に輸入関税を課すための措置が準備されているようだ。これに対し、中国商工会議所は「この動きに失望した。輸入急増は欧州のBEV需要の高まりを反映している」と述べた。S&P Global Mobilityは、中国から輸入されるすべてのパワートレインタイプの乗用車の登録台数が、2020年の22,100台から2023年には436,500台に増加すると予測している。現在、この流れを止めるための対策がないままなら、Mobilityは2026年までに輸入が1,178,000台に達する可能性があると予測している。しかし、一部の製品の生産が欧州に移転するため、今後数年間で生産量は後退するとも予想される。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
ACEA、EU 2035年のICE禁止に異議申し立てせず
2024年2月28日-AutoIntelligence|見出し分析-フランス-ドイツ-イタリア-スペイン-英国
Tim Urquhart、主任アナリスト

ロイターの報道によると、欧州自動車工業会 (ACEA) の現会長であるルノー・グループのルカ・デメオ最高経営責任者 (CEO) は、2035年の内燃機関 (ICE) 車の新車販売禁止を撤廃するための集団的な法的な異議申し立てはないと述べた。今年の欧州議会選挙後、新議会がICE全面禁止の延期に向けてより好意的に構成されれば、ACEAが加盟企業を代表して、ICEの全面禁止に関する訴訟を起こす可能性があるという話もあった。しかし、今週のジュネーブモーターショーでの記者会見でデメオは、業界は2035年の禁止令を受け入れ、できるだけ幅広い人々が利用できる手頃な価格の非ICE車を開発することを優先しなければならないと述べた。彼は、業界の責任は 「...ビジネスリーダーとして...規制に反対することではない」 と述べた。 また、 「2035年に異議を唱えるつもりはない。そろそろ本腰を入れなければならない。」 しかし同氏は、ICEからバッテリー電気自動車 (BEV) への完全な移行がスムーズに行われることや、OEMにとって大きな負担なく実現することについては、過度に楽観的ではないようだ。彼は、2035年のICE禁止は 「潜在的に実現可能だが、適切な条件を整えなければならない」 と述べた。 デメオはまた、とりわけOEMが電化に向けてすでに巨額の資金を投入していることを考えると、業界にとって最悪の事態は何らかの規制上の不確実性だろうと述べた。
見通しと影響
ルカ・デメオはジュネーブモーターショーでルノー5の手頃な価格のBEVの発売について話していた。ルノーが車に 「5」 を付けたのは、1996年に同社のBセグメント・シティ・カーとしてクリオに取って代わられて以来初めてだ。5は、その手頃な価格、快適さ、使いやすさのために、1972年から1996年の間 (興味深いことに、その長い期間の間にわずか二世代に渡って) ヨーロッパの道路で非常によく見られた。これらは、5が成功し、より主流の顧客にアピールするためには提供しなければならない真に手頃なエントリーレベルのBEVの1つであるために、5が模倣しなければならないのと全く同じ価値観だ。価格は約25,000ユーロから。これはBEVとしては比較的手頃な価格だが、多くの人にとってはまだ手の届かないものであり、またこの価格はエントリーレベルの186マイルバージョンのものであるため、一部の顧客を納得させて車を購入させるには十分ではないだろう。240マイルの走行距離バージョンもあるが、これは明らかに価格が高くなる。ルノーは過去10年間、Zoe BセグメントのBEVを製造してきたので、比較的手頃な価格の新しいBEVが登場したのは今だと言うのはやや誤解を招く。ルノーは、レトロで独創的な 5にインスパイアされたこのモデルのスタイリングがどのように受け入れられたかという点で大きなヒットを手にしているが、アーリーアダプターや環境問題に関心のある人々のほとんどがすでにBEVを購入している市場で、この車がどの程度売れるかはまだわからない。残りの潜在顧客にリーチするのはかなり難しいかもしれない。デメオは正しい条件を整えなければならないと言っている点で確かに正しいが、これは立法の観点からだけではない。EUと各国は、公共充電インフラの信頼性を強化し、証明するための計画を早急に策定する必要がある。一方で、このアナリストの意見では、都市部のフラット居住者や路上駐車を利用しなければならない人々など、自宅で自分の車やガレージにアクセスできない人々に自宅充電を提供することにもっと重点を置く必要がある。しかし、強化すべきは地方政府、国家政府、超国家政府だけではない。ディーラーは一般的に、BEVのストーリーをより主流の顧客に納得させる方法について、はるかに優れた訓練を受けなければならない。これは、特に充電に関しては、販売トレーニングと製品知識の向上を意味する。業界の電動化が進んでいる現在の段階では、製品や充電の知識が不完全なディーラーが多すぎる。多くの主流消費者は、所有して運転しても生活の利便性が著しく低下することはないと完全に確信しない限り、BEVに切り替えることはないだろう。そして、購入者にそのストーリーを納得させ、BEVの使用について教育するのは、主にOEMにかかっている。ルノー5は、間近に迫ったフォルクスワーゲンID.2および同社のSEATとシュコダの製品とともに、 「手頃な価格の」 BEVシティカーの新シリーズの1台だ。しかし、成功を確実にするためには、すべての利害関係者が一致団結して取り組む必要がある。ちなみに、ゾーイの販売台数のピークは2020年の102,000台。S&P Global Mobilityは現在、ルノー5のピークは2029年の135,000台と予測している。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
アキュラと三菱、S&P Global Mobility Automotive Loyalty Awardsで初受賞
2024年2月27日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-米国
ステファニー・ブリンリー、副所長

S&P Global Mobilityは、第28回目となるAutomotive Loyalty Awardsの受賞者を発表し、2023年のOverall Loyalty to Manufacturer賞はゼネラル・モーターズ (GM) が、Overall Loyalty to Make部門は、テスラが受賞した。今年の新しい部門では、リンカーン・ノーチラスがOverall Loyalty to Model賞を受賞した。S&P Global Mobilityの毎年恒例のAutomotive Loyalty Awardsは、米国の消費者の1月から12月までの新車購入活動を追跡することに基づいている。
S&P Global MobilityのAutomotive Insightsのプレジデント、Joe LaFeirは次のように述べた。「好みのブランド以外の新車を検討し、購入することに顧客が感じる苦痛が少なくなっていることを、私たちはここ数年間見てきました。」「しかし、在庫レベルと優れた新製品の改善と並行して、独自のマーケティングイニシアチブを通じてリテンションを向上させるためのOEMの協調的な努力は、数年間の減少の後、ロイヤリティレベルの安定化につながっています。」
S&P Global Mobilityの分析によると、在庫レベルの着実な増加は、2019年以来初めて自動車業界の消費者のブランドロイヤリティにプラスの影響を与えた。新車購入者の全体的なブランドロイヤルティは2023年には51.0%で、2022年の50.2%から0.8ポイント増加した。
GMのOverall Loyalty to Manufacturer部門での受賞は、9回連続受賞であり、過去28年間で20回目の受賞となる。2023年は、大型スポーツ多目的車 (SUV) とピックアップのラインアップに加えて、4つのブランドで顧客の移行パターンが高く、同企業のロイヤリティが大幅に向上しました。
バッテリー電気自動車 (BEV) 購入者の間でのテスラの人気は、ブランドの忠誠心と征服の両方の分野での成功に役立った。2023年のテスラブランドはOverall Loyalty to Make、Highest Conquest Percentage、Alternative Powertrain Loyalty to MakeおよびEthnic Market Loyalty to Makeを再び受賞した。 テスラ・モデル3とテスラ・モデルYの両方が現在のEV所有者の間で人気を博していることが、ブランドが以前のICE車所有者の多くをBEVに引き付けることができたことと共に、テスラが2年連続で複数の賞を獲得したことに貢献した。テスラは2023年に4つの賞を獲得したが、このEV製造企業は2022年に5つのブランド賞を獲得し、モデルYとモデル3がそれぞれの部門で受賞した。テスラの売上高は2023年に増加したが、増加の一部は同社が継続している価格調整によるものだった。
今年のAutomotive Loyalty Awardsで、S&P Global Mobilityは、単一モデルによる顧客維持のリーダーシップを評価するために、 Overall Loyalty to Modelという新しい賞を追加しました。2022年と2023年のLuxury Mid-Size Utility部門での連続受賞に続き、リンカーン・ノーチラスがこの新しい部門の2023年の受賞者となりました。2023年には、次の車のために市場に戻ってきたノーチラス所有者の42%超が、もう一度ノーチラスを選択した。2024年の第二四半期に、現在のノーチラスは、より多くの技術とハイブリッド・パワートレインを提供する、中国から輸入予定の新しいバージョンに置き換えられる予定だ (参考、米国-中国:2023年4月18日: オート上海2023:リンカーンが新世代ノーチラスを発表) 。
「これらの賞は、業界の競争力と顧客維持率を向上させたいという願望をまさに体現しています。これらの賞は、事実に基づいた実質的な分析を反映しています。これにより、征服率とロイヤルティ率を理解し、決定することができます。また、OEMマーケターとその代理店パートナーには、ロイヤルティプログラムと顧客維持率の向上に役立つガイダンスを提供します。」 と、S&P Global Mobility、Loyaltyの製品管理アソシエイトディレクター、Vince Palomarezは述べた。
今年のアワードでは、複数のブランドが初めてロイヤリティの功績を認められました。アキュラは、2023年の同ブランドの在庫が前年に比べて順調に増加したことにより、Most Improved Make Loyalty部門で受賞した。日産は、市場に戻ってきた同ブランド車の所有者の37%超が同じディーラーから次の車を購入したことから、 Overall Loyalty to Dealer賞を受賞した。
三菱は、プラグインハイブリッド電気自動車 (PHEV) 「アウトランダー」 の新モデルを販売し、2023年の Most Improved Alternative Powertrain Loyalty to Make部門で初受賞を果たした。この賞は、ブランドとBEVまたはハイブリッド・パワートレインの両方の観点から、自動車オーナーを維持するブランドの能力向上を評価するものだ。
見通しと影響
この4年間、自動車業界は安定した生産を確保するという点で常に課題を抱えており、その結果ブランドロイヤルティが低下していたが、2023年には生産が安定し始め、マーケティングや製品発売の増加によって顧客の維持率が向上しました。その効果は、顧客のブランドロイヤリティレベルを安定させるのに役立った。2020~22年には、新車購入者は以前のブランドとは異なるモデルを検討し、購入する意欲が高まったが、2023年には業界環境の改善により、全体的なブランドロイヤルティが51.0%に向上した。自動車業界は、小売売上高、ブランドロイヤリティともに前年比で増加し、回復の兆しが続いています。米国における軽自動車の総登録台数は、2022年の1362万台から2023年には12%増加し、1532万台に達し、在庫状況の改善が強調された。ロイヤルティが向上した車のほとんどは、登録台数も前年比で改善した。
S&P Global Mobilityが毎年実施しているAutomotive Loyalty Awardsは、2023年に米国で登録された1260万台の新車を分析した、業界で唯一の事実ベースの賞である。ロイヤリティは、以前に新車を購入した世帯が市場に戻り、同じ車種、モデルまたはメーカーの別の新車を購入したときに決定される。新たに購入された車両は、世帯の所有車の交換または追加のいずれであってもよい。
S&P Global Mobilityは28年間、自動車のロイヤルティを追跡してきた。大手自動車メーカーとそのマーケティングパートナーは、これらのデータと分析に基づいて、顧客の購買行動 (顧客の獲得と維持を含む) に関する十分な情報に基づく意思決定を行っています。詳細については、こちらのリンクを参照してください。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
英国、ダブルキャブピックアップへの課税措置を変更へ
2024年2月15日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-英国
Ian Fletcher, Principal Analyst
英国のHM Revenue & Customs (HMRC) は、ダブルキャブピックアップトラックに適用される税制を変更すると発表した。同庁はウェブサイト上の声明で、「2024年7月1日以降、HMRCは自動車とバンを税務上定義する法律をVAT (付加価値税) の定義に沿って解釈しなくなります。」と述べた。 現行のルールでは、ダブルキャブピックアップのVAT方式は積載量によって区別され、積載量が1トン未満のものは自動車、1トン以上のものはバンに分類されていた。しかし、「したがって、ゆくゆくは、車両構造がEIM 23115以降に概説されている2部構成のテストに従って主要な適合性を有するか決定可能になった時点で、車両全体の評価によってダブルキャブピックアップの分類を決定する必要がある。」としている。 EIM 23115テストでは、該当する課税年度における車両の構造を特定した後、 「その構造が主に物品または何らかの荷物の輸送に適しているかどうか」 を検討する。 2024年7月1日からの給付料金を計算する際にダブルキャブピックアップが自動車に分類される理由は、 「一般的にこれらの車両は乗客と商品を運ぶのに等しく適しており、優位性がないため」 であると指摘した。
重要性: HMRCは、 「この規則は、ダブルキャブピックアップの主要な適合性と分類を解決する実用的な方法として再現された」 と述べている。 また、購入された車両や引渡しの合意がなされた車両は、現在の取り決めの対象となるという経過措置も認めている。また、キャビンの現在の後部客車室が乗客を運ぶことができなくなった場合には、この取り決めにはいくつかの回避策が期待される。しかし、事業者は他の軽商用車のように購入時に付加価値税を返還請求することがもはやできなくなるため、この取り決めの変更はこれらの車の市場に大きな変化をもたらす可能性が高い。また、このオプションを社用車として選択した人は、一般に二酸化炭素 (CO 2) 排出量が多いことから、現物給付 (BIK) の大幅な増加に見舞われることになる。Autocarは、1キロあたり230 g排出し、VATを含めて47,220ポンドの費用がかかる、2.0リッターのディーゼルエンジンを搭載した人気のフォード・レンジャー・ワイルドトラックを例に挙げた。現行のルールでは、20%の納税者は月額60ポンド、40%の納税者は月額120ポンドを支払うことになる。しかし、この車はBIKの上位37%の課税グループに入るため、20%の納税者には月291ポンド、40%の納税者には月582ポンドかかることになります。Society of Motor Manufacturers and Traders (SMMT) が発表した最新データによると、英国のより広いピックアップトラック市場 (シングルキャブやその他のキャブタイプを含む) では、2023年に41,003台が登録され、前年比38.7%増となった。この発表の前に公表されたS&P Global Mobilityの予測では、このタイプの車両の需要は今後数年間、比較的横ばいで推移すると見られている。しかし、この変更により今後の予測期間に修正が行われる可能性が高い。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
米財務省、2024年にこれまで1億3500万ドルのEV税の事前控除を実施
2024年2月15日-オートインテリジェンス|ヘッドライン分析-米国
ステファニー・ブリンリー、副所長
米財務省は2024年1月1日以降、電気自動車 (EV) 向けに約1億3500万ドルの事前税額控除を実施したと発表した。米財務省は、19,500件の前払い要求を含む25,000件の売却時報告を受けたと報告した。ロイター通信によると、ワリー・アデエモ財務副長官は「この規定が実施されてから1ヶ月が経過しましたが、この新しい前払い割引に対する強い需要があり、米国におけるこの業界の成長の勢いを維持させています。」と述べた。 報告書によると、前払い請求額は、新車EVが17,500件、中古EVが2,000件だった。11,000社以上の自動車ディーラーがこのプログラムに登録し、8,000社以上が前払い制度に登録している。
重要性: 2024年1月1日以前のEV購入者は、年末に支払う所得税の額にEV税額控除が適用されていた。これは、消費者が適格な税額控除を含む自動車支払いを採用することを強制するとともに、年末まで待たなければならないことを意味し、税額控除よりも支払う義務のある額が少ない場合、実際の減税額は適格な7,500米ドルまたは3,250米ドルの控除額よりも低くなる可能性がある。新制度では、購入者がEVを販売するディーラーに税額控除の支払いを請求し、ディーラーはその金額を車両の購入価格に適用できる。この制度の下では、すぐに適用され、顧客が車両の販売店に支払う金額を減らすことができます。ディーラーは依然として正規の価格を受け取っているが、一部はEV購入者の代わりに国税庁から支払われている。税額控除は、2022年8月にインフレ抑制法が導入されたことにより更新された (参考、米国:2022年8月15日: 米国のインフレ抑制法がEV税額控除とともに可決) 。バッテリーおよび重要な原材料の調達に関連する税額控除の資格要件により、2024年には税額控除の資格を有するEVの数が大幅に減少した (参考、米国:2024年1月3日: 米国連邦税額控除が適用されるモデルは2024年は減少) 。しかし、その後、フォルクスワーゲンはID.4が税額控除の対象になると述べ、シボレーは2025年のエクイノックスEVが2024年後半に対象になると述べた。ただし、2023年第三四半期に発売されたシボレー・ブレイザーEVは対象外となっている(参考、米国:2024年2月14日: シボレー、2025モデルイヤーのEquinox EVの価格に関するさらなる詳細を発表) 。自動車メーカーは、調達方法の変更に伴い、EVの税額控除の適用を受けるために1年を通して再申請することができるが、調達要件は年々厳しくなり、対象となる車両のリストは変更され続けると予想される。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
紅海危機を乗り切る自動車業界の視点
2024年1月26日|インサイト|サプライチェーン
Matthew Beecham, Senior Analyst
自動車産業がいかにして地政学的紛争の集中砲火を浴びているか。
紅海とアデン湾での地政学的緊張とイエメンを拠点とするフーシ派武装勢力の攻撃は、世界貿易が地域紛争に脆弱であることを露呈しており、自動車産業に迂回、納期遅延および他の影響をもたらしている。
初期の混乱とグローバルな対応
フーシ派がイスラエルと関係があるといわれている西側の貨物船への攻撃のため、2023年12月以来、世界の海運業界は大きな混乱に直面しています。フーシ派は、表向きはガザでのハマスとの戦争を終わらせるようイスラエル政府に圧力をかけ、米国と同盟国の軍事的対応を促すために、これらの混乱を扇動している。世界の海上貿易のための重要な紅海航路のレーダーシステム、貯蔵施設、発射場に対する攻撃は、2024年の最初の数週間に開始された。
相手先商標製品の製造会社への影響
テスラとボルボ・カーズは、報道によれば部品不足を理由に欧州での一部生産を停止すると発表した。ステランティスやスズキを含む他の企業では、生産ラインが停止したり中断したりしており、航空貨物を利用して遅延を緩和し、コストを追加している企業もある。 フォルクスワーゲンは、生産への影響を最小限に抑えるために状況を管理していると述べている。 スペイン第2位のゴム生産会社であるミシュランは、原料供給の遅れのため、1月20日から21日にかけてスペインの4つの工場で生産停止を計画した。ミシュランは、十分なゴムの在庫があるにもかかわらず、海上輸送される原材料の供給を維持する上での継続的な課題を認識している。
出荷停止の期間によっては、OEMおよびサプライヤーの収益、および将来の戦略的支出決定に対する中長期的な影響が顕在化する可能性がある。現在のインフレ状況と自動車需要がすでに逆風に直面している状況では、OEMは業界の生産量よりも、所有するリスクがある増加した輸送コストを負担することを好むかもしれない。短期的には予算に余裕があるかもしれないが、危機が長引けば将来の設備投資プロジェクトに影響を与え、どの段階でも自動車メーカーの見通しに悪影響を及ぼす可能性がある。しかし現在、業界はその発展の中でも特に資本集約的な段階にある。電化、バッテリー、自動運転車、およびソフトウェア定義自動車はすべて、自動車メーカーの余剰資金を奪い合っており、追加コストに大きくさらされている自動車メーカー、特に現在バッテリーおよびバッテリー原料の調達に積極的な欧州のOEMは、将来の競争上のポジショニングに影響を及ぼす計画になる可能性がある。

サプライチェーンの脆弱性
アジアからのジャストインタイム在庫と海上輸送の電気自動車バッテリーに依存しているため、この業界は代替手段として航空、鉄道、道路に直面しているが、よりかさばった、または重量のある部品には航空輸送は使用できない可能性がある。S&P Global Market Inteligenceのデータによると、2023年の欧州連合 (EU) のアジアからの自動車部品輸入に占める鉄道の割合は4.7%だった。また、制裁関連の問題の影響も受けている。一時的なルート変更オプションにもかかわらず、ルートが長くなると、OEMおよび関連企業の輸送コストが増加する。
輸送コストと遅延
輸送コストはインフレに大きな影響を与える可能性がある。COVID-19のパンデミックの際、国際通貨基金は、世界的なサプライチェーンのボトルネックがインフレに約1パーセントポイント寄与したと推定した。通常の状況では、輸送費は長距離輸入の費用の約7%を占める。しかし、パンデミックによる混乱の間、この数字は25%にまで急増した。
アジアを出発地とし、スエズ運河を通る近道ではなく南アフリカの周囲3,500海里 (6,500キロメートル) を迂回する船も、航海日を最大20日間延長する可能性がある。そのため、輸送費が高騰している。ロイターによると、上海-欧州線の1月12日の運賃は20フィートコンテナ当たり3,103ドルで、前週比8.1%上昇した。同様に、影響を受けていない米国西海岸に向かうコンテナの料金は、週ごとに43.2%上昇し、40フィートコンテナ当たり3,974ドルとなった。
環境コスト
また、海上および港での待機時間が長くなるため、排出量も増加する。現在進行中の危機はまた、コンテナの不均衡に起因する予測不能な船舶のスケジュールと設備不足のために、港の混雑と遅延を引き起こす可能性がある。
将来の予測と容量に関する懸念
ドゥルーリーサプライチェーンアドバイザーの推定によると、世界のコンテナ船容量の約1/3に相当する約1000万フィート換算ユニット (TEU) に相当する800隻以上の船が、紅海攻撃の影響を受け、喜望峰を迂回している。バルト海国際海事理事会 (BIMCO) は、コンテナ輸送の需要が3-4%増加すると予測しており、持続的な過剰能力シナリオの可能性をさらに強調している。
中国本土の役割と業界の対応
自動車輸送船のNYK、Kライン、商船三井も、フーシ派の攻撃の危険性があるため、船の航路を変更している。彼らの決定は、業界の生産能力不足に寄与し、純粋な自動車およびトラック輸送業者 (PCTC) の可用性に影響を与えている。ロードスターによると、PCTCが不足しているため、荷主は自動車の輸送にコンテナを使用するように促したという。2023年には新しい自動車運搬船の注文が増加したが、ほとんどは2025年まで納入されないと予想されている。自動車輸出とリチウム電池生産における中国本土の影響力の増大と、国内の電気自動車生産へのシフトは、世界的なサプライチェーンの課題に拍車をかけている。BYDの輸送容量確保の動きは、中国本土の戦略的対応を浮き彫りにしている。
小売業への影響とより広範な懸念
マースクの最高経営責任者は世界経済への深刻な影響と潜在的なインフレを警告し、この危機は船舶の航路変更を促した。自動車セクター以外の小売業も同様のシナリオにあり、一部の報道では2月と3月の在庫状況とインフレ率に潜在的な問題が生じる可能性が指摘されている。
こうした海上の混乱が短期間で終わると仮定すれば、最近の海上輸送価格の上昇は反転すると予想される。自動車セクターは短期的な影響を受けるが、ベースラインの経済予測やインフレ予測が大きく変わることはないと予想される。しかし、紅海が閉鎖されたままで輸送コストが高止まりしているなどの課題が続けば、インフレの影響は新車購入者以外にも及ぶだろう。
また、現段階では石油やLNGの供給に基本的な影響はないものの、紛争の激化はリスクをもたらす可能性がある。シェルやBPなどの大手石油会社が紅海への出荷を停止するなど、原油価格の上昇懸念が高まっている。INGによると、世界の海上運送による石油の約12%が紅海を通って通過している。
自動車産業が危機を乗り切る中で、得られた教訓は将来の戦略を形成し、多様化、現地化、環境配慮の継続的な重要性を強調する。
この記事へのお問い合わせはこちらまで: AskMobility@spglobal.com
2022年インフレ削減法が米国EVエコシステムに与える影響
2022年8月11日 | インサイト | 政策および規制
2022年8月7日、米国上院民主党は2022年インフレ削減法案を可決した。同法案は財政赤字の削減によってインフレ上昇を抑制するだけでなく、再生可能エネルギーと電気自動車(EV)の国内製造に投資し、必要なサプライチェーンを維持し、2030年までに二酸化炭素排出量を約40%削減することを目指すものである。
政府の公式文書によると、2022年インフレ削減法(IRA 2022)の範疇で実施されたこの提案では、約7,390 億ドルを調達して約4,330 億ドルを投資し、3,000億ドル以上の総赤字の削減を期待している。IRAが今月後半に可決され成立した場合、米国政府の歳入増加に貢献する最大の要素は、年間収益10億ドル以上の企業すべてを対象とした法人税最低税率15%の導入(約3,130億ドルの歳入増)で、エネルギー安全保障および気候変動対策として今後10年間で米国史上最大となる3,690億ドル程度の支出が賄われる。
IRA 2022の大枠はクリーン自動車製造に限られたものではないが、本稿では、提案の措置がゼロエミッション車(ZEV)エコシステムに今後どのように影響するかに注目する。
まず、IRA 2022では、税額控除の対象となるよう、EVバン、EV SUV、EVピックアップ トラックの最大小売価格が80,000ドルに制限される。セダンやハッチバックを含むその他のEVカテゴリの小売価格は55,000ドルが上限となる。当然ながら基本要件として、国内で製造され北米で最終組み立てが実施された車両が対象となる。報道によるとこの措置に対して、RivianやFiskerなど今後参入予定の EVスタートアップが非難の声を上げているという。
EVとプラグイン ・ハイブリッド車(PHEV)のほか、IRA 2022では燃料電池自動車が初めて対象となっている。
次に、新たに提案された規制では、米国でのEV採用促進を目的として2008-09 年に初めて承認された7,500ドルの税額控除が引き続き提供されるが、その適用資格をEVバッテリー用重要鉱物(クリティカルミネラル)とバッテリーコンポーネントという2つの重要カテゴリに均等分割する新たな条件が追加された。その結果、1台の電気自動車が7,500ドルの税額控除の対象となるには、そのモデルはバッテリー用クリティカルミネラルとコンポーネント、それぞれに設定された要件基準を満たして各3,750ドルの控除を利用する必要がある。
IRA 2022 では、電極活物質、バッテリーセル、バッテリーモジュールなど、対象バッテリーコンポーネントのリストが公表されている。また、アルミニウム、ベリリウム、セリウム、クロム、コバルト、グラファイト、リチウム、マンガン、ニッケル、タングステンなど、対象となるクリティカルミネラルもリストアップされており、今後10年間で米国EVエコシステムの国内製造を強化することを主目的としている。
バッテリー駆動の電気自動車(BEVおよびPHEV)がバッテリー用クリティカルミネラル 3,750ドルの税額控除対象となる要件を満たすには、該当鉱物(公式文書で定義されている)が米国または米国が自由貿易協定(FTA)を締結している他の国で抽出または加工されたもの、あるいは北米でリサイクルされたもの、いずれかの条件を満たさなければならない。バッテリーに使用される該当鉱物の価値の割合は、2024年1月1日より前に販売された車両の場合は少なくとも40%、2024 年暦年中の販売車両では50%、2026年暦年の販売車両では 70%、それ以降の販売車両では80%でなければならない。

バッテリーコンポーネントについても同様に、IRA 2022 では2つの主要法定要件が提案されている。指定コンポーネントは北米で製造または組立が実施される必要があり、該当するバッテリーコンポーネントの価値の割合は、2024年1月1日より前に販売された車両の場合、50%以上でなければならない。提案にある通り、バッテリーに使用されるコンポーネントの価値の割合は毎年10%ずつ引き上げられ、暦年2029年以降に米国で販売される車両では100%まで上昇する。

IRA 2022 がクリーン自動車の国内製造強化を目的としているのは明らかだが、企業がサプライチェーンエコシステムを今後10 年間で段階的に米国へと引き寄せるよう奨励することも狙いとしている。バッテリー、バッテリー生産に使用されるクリティカルミネラル、および希土類鉱物を使用する電気モーターなど他のコンポーネント、これらの国内生産の確保に主な重点が置かれていることに変わりはない。
二酸化炭素排出量の削減と電気モビリティへの移行が世界的に急がれる中、中国を中心とするアジア諸国への依存度を下げることを目指す米国政府は2021年、重要なバッテリー材料と半導体の十分な供給を確保することを国家安全保障の問題と称していた。IRA 2022 は、国内製造業を強化すると同時に、国内での雇用創出も目指す政府のアジェンダに基づいている。
新たな措置では、自動車メーカーが累積販売目標を超えると7,500ドルの税額控除資格が段階的になくなるという、それまで設けられていた20万台の販売上限も撤廃される。報道によると、この条件が廃止される主な理由は、TeslaやGeneral Motors(GM)など大手EVメーカーが販売するモデルが今後も税額控除資格を備えた状態で市場に出回ることで健全な競争を維持し、広範なEV採用を支えられるようにするためだという。興味深いことに、Teslaは2018年に累計20万台のEV販売を達成したが、GMとトヨタのBEVおよびPHEVモデルも従来の規則が適用されていれば控除資格を失っていただろう。
Princeton UniversityのZero Labが発表した「気候とエネルギーに対する2022年インフレ削減法の影響」という予備報告書によると、排出削減に対する政策の直接的影響のほか、IRAには重要な政策措置と制度が含まれており、これらが新興の先進エネルギー産業の革新と成熟、米国のクリーンエネルギー製造とサプライチェーンの構築、投資の推進を促すことになるという。
「この法律は、超党派インフラ法におけるデモンストレーションとハブ資金調達に基づいており、2030年代から2040年代の大規模展開に向けた準備が必要な、クリーン水素、炭素回収、ゼロカーボン液体燃料、直接空気回収、先進原子力および地熱エネルギーといった重要な新興クリーンテクノロジーの革新と成熟を促す初期の市場展開機会を今後10年間に提供する。これらの技術はいずれも強力な展開用補助金(多くは初めて)を利用でき、触媒的な影響を与える可能性が高い」と、Princeton Universityの REPEAT(Rapid Energy Policy Evaluation and Analysis Toolkit)プロジェクト下で IRA 2022 を分析するこの報告書は述べている。
「この法律には、米国における太陽光、風力、バッテリー、電気自動車コンポーネントの製造と組み立て、およびクリティカルミネラルの加工の発展を強力にサポートする内容が含まれている。この法案は、クリーン電力に対するボーナス税制優遇措置とクリーン車購入を対象とした消費者向けの税額控除を国産品調達基準に結びつけ、米国の材料と製造に対する強力な需要をもたらす。また、20億ドルの助成金と300億ドルの融資を提供することで米国の自動車製造をクリーン自動車生産に向けて再編し、370 億ドルの新たな税額控除を提供することで米国の風力および太陽光発電コンポーネント、バッテリー、クリーン自動車の生産と組み立ての能力およびクリティカルミネラル加工の能力に向けた投資を促進する。また、大統領が国防生産法を活用することでヒートポンプとバッテリーの製造、クリティカルミネラル、その他の戦略的優先事項に向けた米国サプライチェーンを構築できるよう、追加の 5 億ドルも割り当てられている。これらの政策は、サプライチェーンの拡大とこれらの技術の迅速なスケールアップの実現にとって重要であるとともに、全国規模で数十万もの製造業雇用を生み出すことになるだろう」とPrinceton UniversityのZero LabはIRA 2022の詳細評価で述べている。
バッテリー用クリティカルミネラルとコンポーネントに関する新規則が税額控除資格を制限?
バッテリーに不可欠な鉱物やバッテリーコンポーネントの調達に具体的条件を設けた新たな提案規制が電気自動車の税額控除資格を制限することになるかどうかは、EVサプライチェーン関係者にとって依然、深刻な問題である。バッテリーセルとモジュールが米国で現地生産されている場合、バッテリーメーカーがIRA 2022 で指定されているように米国または米国とFTAを締結している他の国から重要材料を調達しないとしたら、どうなるのだろうか?
注目すべきは、新たな規制では、税額控除資格を維持するのに重要なバッテリー材料を米国内で、あるいはオーストラリア、カナダ、チリ、モロッコ、韓国、および米国とFTAを締結している他の国から、調達することが求められる点だ。
米国で生産能力を拡大しギガファクトリーを追加建設しようとしている複数の世界的バッテリーメーカーから最近、多くの高額投資が発表されている。たとえば、Stellantis とそのバッテリーパートナーである Samsung SDI は2022年5月、両社の合弁会社がIndiana地域に25億ドルのギガファクトリーを設立すると発表した。2025年に商業運用開始予定のこのギガファクトリーは年間生産能力が当初は23 GWhで、以降数年間で最大33 GWhまで拡張可能となっている。
興味深いのは、プレミアムバッテリー技術と厳格な品質管理を象徴するPRiMXという新ブランドを2021年後半に立ち上げたSamsung SDIが、Glencoreとの間で水酸化コバルト調達に関する5年間の契約を継続しており、UmicoreともNMC(ニッケル マンガン コバルト)カソード材料(韓国で生産)の調達で複数年契約を結んでいる点である。
一方、中国最大のバッテリーメーカーであるCATLは米国に50億ドルの工場建設を計画中と報じられており、最近ではFord Motor Companyとの間で拘束力のない覚書(MOU)に署名している。Ford はリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーパックをCATLから調達し、バッテリー構成に新たな化学物質を追加する計画だと述べている。これにより、FordはNCM バッテリーとの比較で材料を最大15%節約できるものと推定される。CATLとの契約に含まれるLFPバッテリー調達は、FordのMustang Mach-Eモデル向けには2023年に、ピックアップトラックのF-150 Lightning向けには2024年初頭に開始予定である。Fordの計画では2026年から北米で最大40 GWhのLFP バッテリー生産能力を現地化し使用することになっているが、CATLはLFPサプライチェーンを支配する中国からLFPバッテリー材料を調達する可能性があると予測される。
その場合、CATLのLFPバッテリーを搭載したFordのEVが税額控除の対象外になる可能性はあるのだろうか?
「LFPカソードと上流の材料サプライチェーンは中国に大きく支配されている。Fordが税額控除の恩恵を受けたいのであれば、『コンポーネント』要件を満たすためにカソード生産を北米に持ち込むようCATLを説得する必要がある」と、バッテリーの専門家であるS&P Global MobilityのAli Adim Hafshejani氏とJay Hwang氏は述べている。
「LFPの価値命題の1つが低コストであることから、IRA 2022がLFPの化学要素に対する阻害要因となる可能性はあるが、サプライチェーンにおける中国の優位性を考えれば、LFPでIRA要件を満たすのはNCMやNCAと比べて難易度が高くなる。そのため、LFPの選択が税額控除資格の喪失を意味する場合、LFPは低コストという利点を失うことになる」と両氏は重ねて説明する。
両氏はさらに

また、個々のバッテリー部品サプライヤーに対するこの新たな法律の影響について、両氏は次のようにコメントしている。「北米ではすでにセルとモジュールの生産が大きく伸びている。ただし、カソードとアノードの国内生産は現在、わずかである。活物質はバッテリーで最も高価なコンポーネントであることから、要件を満たすにはカソードとアノードの国産化が必要になり、現地調達要件100%のしきい値が設定されている2028年が近づけば尚更だ。10%の税制優遇措置は電極メーカーに、保証されている自動車産業からの需要に加え、北米への投資を奨励するものとなる。減税措置は、カナダでの生産をすでに計画しているPoscoや UmicoreといったCAMサプライヤーに大きな利益をもたらす。こうした現地生産材料をめぐる競争が激化するにしたがい、OEMにはJV やパートナーシップの形成による地位の強化が重要になるだろう」 ただし、S&P Global Mobility の電気モビリティおよびバッテリー担当シニアリサーチアナリストは、この規制(IRA 2022)への準拠はTeslaのような強力な鉱物調達戦略を持つ OEMにとっても困難なものになると予測している。
「鉱物資源に関しては、北米はトップではない。カナダには天然黒鉛の他、Sudbury鉱山のようなニッケル資源がある。米国では、Silver Peakで年間5000トンの炭酸リチウム生産能力を持つ小規模なリチウム生産が行われているが、これで対応できる自動車生産はわずか75,000台分だ。戦略を成功させるにはリソースを可能な限り活用する必要がある。一方、中国はバッテリー材料の精製生産能力を支配している。IRAではバッテリー用鉱物と電極加工に対する10%の減税措置が検討されており、これが鉱物加工と電極製造に向けた国内投資を奨励することになるだろう」と両氏は述べ、次のように重ねて指摘する。「OEMの調達戦略という点で、IRAはOEMにパートナーシップの一部見直しを迫るものになる。たとえば、Teslaのサプライヤーリストには要件を満たす企業はほとんどない。これは戦略の分岐をもたらす可能性がある。ニッケルのインドネシアやコバルトのコンゴ民主共和国など主要生産国に焦点を当てた大量生産の戦略と、税額控除に合わせたもう一つの戦略だ。後者は、国内生産者あるいは米国がFTAを締結している国との提携や投資によって実現されることになる」
執筆:Amit Panday(S&P Global Mobility シニアリサーチアナリスト、バッテリー担当) 情報提供:Ali Adim Hafshejani、Jay Hwang(S&P Global Mobility シニア テクニカル リサーチ アナリスト)
米国大統領、半導体法案に署名
2022年8月10日 - AutoIntelligence | Headline Analysis
バイデン米国大統領が、自動車産業に必要なマイクロチップを含む、米国の半導体製造向けのインセンティブとサポートに520億ドルを導入する法案に署名した。米国政府はホワイトハウスの声明で、現在、米国での生産に対する巨額投資の発表を計画しているマイクロチップメーカーが複数あると述べている。Micronによる400億ドル投資、マイクロチップ製造拡張に向けたQualcommとGlobalFoundriesの間の42億ドル提携などがここに含まれている。バイデン政権はまた、ハイテク製造の認可の調整や科学技術に関する大統領諮問委員会の半導体研究開発に対する新たな勧告の発行など、資金が迅速に展開されるようにするための措置を講じていると述べている。今回の527億ドル資金調達には、自動車および防衛システムに使用される従来のマイクロチップ向けの20億ドルを含む390億ドルの製造インセンティブ、研究開発と労働力開発に対する132億ドル、国際情報通信技術のセキュリティと半導体サプライチェーン活動に対する5億ドルが含まれている。また、半導体と関連機器の製造のための設備投資に対する25%の投資税額控除もある。これらの条件は、法案が下院で可決される以前に上院で7月に可決されて以降、変更されていない。重要ポイント:今回の資金調達によって投資が生まれる可能性はあるが、追加の製造能力による影響がマイクロチップ供給に出るまでには、さらに数年かかることも考えられる。半導体需要は増加し続けており、追加の生産能力が必要であり、すでに発表済みの投資プロジェクトも新たな資金調達の恩恵を受ける可能性がある。半導体供給の不足は世界の自動車製造能力の足かせとなっており、結果として世界のほぼすべての市場で在庫が減少し自動車販売が抑制されている。当社では7月26日時点で半導体不足の問題によるライトビークル生産の累積損失が全世界で202万台に達したと推定している。当社では世界の半導体状況の最新情報を定期的に更新発表している。
米国ライトビークル平均車齢、過去最高の12.5年
2023年5月16日- AutoIntelligence | ヘッドライン分析影響: 米国では新車販売の低迷が続く一方で稼働中のライトビークルの高齢化傾向が続いていることが、S&P Global Mobilityの最新分析で明らかになった。乗用車登録台数は何年にもわたって減少しているが、今年は米国の道路を走る乗用車の台数が1978年以来最低となる見込みで、アフターマーケットの修理事業の商機が急増すると予測されている。
展望: 車齢の伸びは、新車販売の低迷によって米国のライトビークルの平均車齢に上昇圧力がかかる状況が続くとした、S&P Global Mobilityの昨年の予測に沿ったものである。米国のライトビークルの平均車齢はこれで6年連続の上昇となる。また、今年の伸び率は、新車販売台数が激減し平均車齢の伸び率が従来の水準を上回った2008~2009年の景気後退期以降、最も高い伸び率となっている。さらに、ライトトラックやユーティリティビークルの台数は増加し続けていることから、乗用車の保有台数は1978年以来初めて1億台を下回ることになるだろう。
米国では新車販売の低迷が続く一方で稼働中のライトビークルの高齢化傾向が続いていることが、S&P Global Mobilityの最新分析で明らかになった。乗用車登録台数は何年にもわたって減少しているが、今年は米国の道路を走る乗用車の台数が1978年以来最低となる見込みで、アフターマーケットの修理事業の商機が急拡大すると予測されている。
S&P Global Mobilityの米国ライトビークル登録データによると、2023年1月1日現在、米国の道路を走る稼働中車両(VIO)は2億8400万台を上回っている。ライトビークル稼働台数の増加にともない、米国の乗用車とライトトラックの平均車齢も上昇している。今年の分析によると、平均車齢は2022年と比較して3ヵ月以上も長い、12.5年という過去最高の値に達している。
2022年は当初、新車在庫の低水準化を招いた供給制約によって平均車齢に上昇圧力がかかり、その後、金利とインフレによって年後半に消費者需要が鈍化したことで自動車需要も鈍化した。これらの要因の複合的影響により、2022年の小売とフリートを含む米国ライトビークル新車販売は2021年の1460万台から8%減の1390万台となり、過去10年以上で最低水準を記録した。
「当社では、2021年以降には複合的要因がフリートに影響を与え、平均車齢にさらなる上昇圧力がかかると予測していた。その圧力は、金利とインフレの影響が出始めた2022年後半になって増大した」と、S&P Global Mobility アフターマーケット・ソリューション担当アソシエイト・ディレクターのTod Campauは述べている。
S&P Global Mobilityのライトビークル販売予測によると、2023年の新車販売台数は経済の逆風にもかかわらず1450万台を突破し、これにより翌年の平均車齢の伸び率は抑えられる見通しだ。「2023年の平均車齢には上昇圧力が残るものの、2024年の新車販売台数は過去の水準に戻ると期待し、今年は上昇カーブが平坦になり始めると見ている」とCampauは述べている。S&P Global Mobilityのライトビークル販売予測によると、2000年から2022年までの期間の米国ライトビークル販売台数は年間平均で約1560万台だった。
この期間には、2008~09年の景気後退、2020~2022年の新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響、サプライチェーンにおける供給不足、経済圧力、そして販売台数が1700万台の大台を超えた7年間が含まれている。Campauは、米国の年間ライトビークル販売台数の水準を1550万台から1700万台の間と定義している。S&P Global Mobilityの販売予測では、米国のライトビークル販売台数は2024年に1560万台に達する見通しだ。だたし、この10年間で需要が1700万台の壁を越えることはない、とS&P Global Mobilityは予測している。
ますますライトトラックに偏る新車市場、BEV平均車齢は低下傾向
ライトトラック/ユーティリティビークルの販売台数はここ数年増加傾向にあり、2022年には米国で登録された新車の78%がこのカテゴリーの車両だった。スポーツ多目的車(SUV)セグメントが急成長している状況でVIOデータもシフトしており、ライトトラック/ユーティリティビークルが車両総数の63%近くを占めている。

自動車よりもライトトラックを好む消費者は多く、ライトトラック/ユーティリティビークルは自動車よりも維持費が高く、長く乗り続ける傾向があるため、自動車サービス業界にはビジネスの可能性が広がっている。当社の分析によると、今後18~24カ月以内に、米国で稼働中の乗用車(セダン、クーペ、ワゴン、ハッチバック)の総数が1978年以来初めて1億台を割り込む可能性がある。2028年までに、米国におけるVIOの少なくとも70%がライトトラック/ユーティリティビークルになると予測されている。
米国におけるバッテリー電気自動車(BEV)の平均車齢は、昨年の3.7年から下がって今年は3.6年となっている。2017年以降、平均車齢は3年から4年の間で推移しており、BEVの新車登録台数が伸び続けているため、車齢は大きく圧縮されている。S&P Global Mobilityの推計によると、BEVの新車登録台数は2022年に前年比58%増の約758,000台となっている。

しかし、BEVはICE車やディーゼル車に比べ、フリートから離脱するペースが極端に速いため、BEVの平均車齢に圧力がかかっている。S&P Global Mobilityの分析によると、2013年から2022年にかけて米国で登録された約230万台のBEVのうち、現在も道路を走行しているのは約212万台で、約6.6%がフリートから離脱していることになる。BEVを除く他の燃料タイプについては、同時期に販売された約1億5800万台のうち約1億4980万台が現在も道路を走っており、同期間中にフリートから離脱したのは5.2%ということになる。
アフターマーケットに好都合なビジネスパイプライン
ライトビークルの平均車齢の上昇傾向は自動車整備業界にとって好都合だ。フリートの年数が長くなればなるほど、正常に機能するための修理やサービスを必要とする車両の数も増える。一部の例外を除き、使用年数の長い車両を走れる状態に維持するために消費者が注ぎ込む金額は多くなることから、アフターマーケット分野の軌道は通常、平均車齢の伸びに追随する。Auto Care Association and MEMA Aftermarket Suppliersと共同で実施した最新のS&P Globalチャネル予測によると、2022年の米国ライトデューティ車アフターマーケットの収益は前年比8.5%以上増の3565億ドルになると予測されている。2023年については、同予測はインフレやその他の要因による調整前の初期段階で、収益が5%以上増加する可能性があると指摘している。最新のチャネル予測は6月発表予定である。
展望と影響
車齢の伸びは、新車販売の低迷によって米国のライトビークルの平均車齢に上昇圧力がかかる状況が続くとした、S&P Global Mobilityの昨年の予測に沿ったものである(「米国:2022年5月31日: 米国の平均車齢が12.2年に上昇」参照)。米国のライトビークルの平均車齢はこれで6年連続の上昇となる。また、今年の伸び率は、新車販売台数が激減し平均車齢の伸び率が従来の水準を上回った2008~2009年の景気後退期以降、最も高い伸び率となっている。さらに、ライトトラックやユーティリティビークルの台数は増加し続けていることから、乗用車の保有台数は1978年以来初めて1億台を下回ることになるだろう。
この最新調査は、サプライチェーンや経済問題による自動車販売台数の減少が平均車齢の上昇につながっているという説を維持している。平均車齢は少なくとも2011年から伸びているが、2014年は対2013年比で安定していた。新型コロナウイルス感染症の流行のような市場ショックにもかかわらず、自動車の品質と信頼性は全般的に向上しており、新車ローン期間はここ数年伸びている。平均車齢は所有者に関わらず車両が使用されている期間を反映しており、ローン期間が長いほど最初の所有者が車両を長く保有することになるが、これらは中古車市場や車両寿命に対する購入者の期待にも影響する。S&P Global Mobilityでは、米国のライトビークル販売台数が2023年に1480万台、2024年に1570万台まで増加すると予測している。
担当アナリスト:Stephanie Brinley
対中国本土チップ輸出制限:自動車業界への影響
2023年5月16日- AutotechInsight | 今月の分析
中国本土の先進リソグラフィ装置サプライヤーであるSMEEが2023 年、同社最高の装置を使用し 28 ナノメートル (nm) プロセスノードでチップ製造を行う計画である。これは世界トップのリソグラフィ装置サプライヤーであるである ASMLの2015 年の水準と同等である。
日本はこれまでに23種類の先端半導体製造装置を対象とした輸出規制を発表しているが、これは同技術に対する中国本土のアクセスを制限するという米国の圧力に反応したものである。日本の輸出規制は、半導体技術に対する中国本土のアクセスを制限する試みだと捉えられている。この措置は7月に施行される予定で、ニコンや東京エレクトロンなど大手企業約10社に影響を与えることになる。これらの企業がシリコンをチップに変換するための装置を出荷するには許可を取得しなければならず、その範囲は、洗浄から蒸着、アニーリング、リソグラフィ、エッチング、テストまで、予想以上に幅広いものとなっている。
日本と中国本土は重要な貿易パートナー国だが、中国政府の軍事力と経済力の増大に対する懸念から、外交関係は近年緊張している。日本の西村康稔経済産業大臣によると、輸出規制は特定の国を対象としたものではなく「技術の軍事転用を防ぐ」ことを目的としているという。米国は、同技術に対する中国のアクセスを同盟国が制限することを望んでいると明言しており、欧米の当局者、特に米国は、敵対姿勢を強める貿易相手国に対する半導体製造中核部品の提供について懸念を表明している。
西村大臣は、この動きは米国の規制に合わせたものではないとし、「日本の輸出品が軍事用途に流用されないのであれば、輸出を続けるだろう」と言う。また、「技術保有国として国際社会での責任を果たし、世界の平和と安全の維持に貢献していく」とも述べている。

日本の動きは、国際安全保障と国家安全保障を理由にオランダと米国が実施した同様の制限に続くものである。オランダ政府は中国本土へのチップ輸出を抑制する米国の取り組みに加わり、国家安全保障の保護を目的に半導体技術の輸出に新たな制限を設ける計画だと述べている。米国は2022年10月に対外直接製品規則(FDPR)の拡大を発表した。これらの政策手段は、特定の国に対する半導体チップ輸出の禁止に利用される可能性がある。たとえば、NvidiaやAMDといった米国の大手AIコンピュータチップ設計企業による、ハイエンドAIおよびスーパーコンピューティングプロセッサの対中国本土輸出が妨げられることになる。
最近の報道によると、ドイツが、半導体製造に使用される特定の化学物質の対中国本土輸出制限を検討しているという。これは、中国本土への経済依存を減らし、自国の半導体産業を競争や知的財産(IP)窃盗から守るというドイツの戦略の一環である。しかし、これはMerckやKGaA、BASF SEといったドイツ企業にも悪影響を及ぼす可能性があり、これらの企業は当該化学物質を中国本土に販売する機会を失うかもしれない。
中国本土の半導体産業に対する影響
輸出許可の取り消しは、短期的にも中期的にも中国本土の集積回路(IC)産業に打撃を与えるだろう。中国本土のIC産業は、先進リソグラフィ装置など主要コンポーネントを他国からの輸入に大きく依存している。輸出許可が取り消されれば、これらのコンポーネントが不足し、IC生産が滞り、業界に短期的および中期的ダメージを与えることになる。ASMLや東京エレクトロンなどチップ製造装置サプライヤーは世界のチップサプライチェーンの重要な構成要素であり、TSMCのような企業が最先端半導体を製造するために必要な装置を提供している。これらのサプライヤーの装置がなければ、中国本土の国内チップメーカーは先進チップ開発で大きな課題に直面することになる。
中国本土の先進リソグラフィ装置サプライヤーである SMEEは、2023 年に同社最高の装置を使用して 28 ナノメートル (nm) プロセスノードでチップ製造を行う計画である。これは、世界トップのリソグラフィ装置サプライヤーである ASMLの2015年の水準と同等である。中国本土はこれまでに購入した 2000i および 2050i リソグラフィ装置を使用し、より小さなノード サイズ約 14 nmのチップ需要に対応することができる。これらは現在市場に出回っている装置のなかでは最新のものではないが、それでも、より小さなノード サイズのチップを生産でき、そうしたチップに対する市場需要を満たすことができる。これは、中国本土が半導体産業においてある程度の技術力を有しており、輸出許可の取り消しなどの課題に直面しているにもかかわらず、依然としてチップ生産が可能であることを示している。

チップ規格が完全に分離されれば、中国本土では手頃な価格での半導体製造が困難になるため、長期的には、中国本土は独自のチップ製造装置を作らなければならくなるだろう。
チップ制限規則によってさまざまな反応が起こる可能性
中国本土は自らの半導体エコシステム開発を加速させる可能性がある。中国本土はオランダ(ASML)、米国、日本(ニコン、東京エレクトロン)の装置およびIPサプライヤーに対する依存を減らすため、独自の先進チップ製造装置や材料を開発しなければならない。これは今後起こり得る輸出規制や制裁の回避にも役立つ可能性がある。
ライトビークルの先進運転支援システム (ADAS) の動作において、その機能を小型プロセスノードに依存する度合いが高まっている。中国本土は先進インフォテインメントおよびADASの動作強化に用いられる5nm~12nmプロセッサのような先進半導体の製造のため、極端紫外(EUV)および深紫外(DUV)リソグラフィ技術を開発する必要がある。さらに、半導体チップの設計とシミュレーションに使用される電子設計自動化 (EDA) ツールも開発しなければならない。これらのツールは現在、Mentor、Synopsys、Cadence などの企業が独占している。独自のEDAツールを開発すれば、外国技術に対する中国本土の依存度はさらに低下するだろう。

中国本土は自らの半導体産業の競争力と自給能力を維持するために、中国以外の顧客に対して成熟プロセスノードの能力とコンポーネントを制限する可能性がある。中国本土はまた、半導体製造事業の一部を他地域に移転することも検討するかもしれない。これは地政学的リスクを軽減し、他国によって課される可能性がある貿易制限を回避する手段となり得る。
グローバルおよびローカルOEM各社は中国本土のベンダーとのチップ提携の評価を行っており、チップ調達源をグローバルICメーカーと中国本土 IC メーカーに分散することで、OEMは性能とサプライチェーンリスクのバランスを取ることができる。たとえば、VolkswagenとContinentalはHorizon Roboticsと合弁事業を行っている。NvidiaとHorizon Roboticsというデュアルソーシングはおもに、事態が制御不能になりさらなる貿易制限が発生する可能性に対する恐れによるもので、こうした事態は米国と中国本土の間の貿易戦争によって今後起こり得るものである。他のグローバルOEMもほどなく、中国本土市場でのチップ確保を目的としたデュアルソーシング戦略を踏襲することになるだろう。BMW GroupとMercedes-Benz AG も同様の解決策を模索している。
一部の半導体サプライヤーは、輸入制限に従えるようICの性能を下げなければならないかもしれない。2,000テラオペレーション/秒(TOPS)を実現する NvidiaのThorのような高性能 IC については、規制要件に適合させるために低性能版にダウングレードする必要があるかもしれない。ただし、低性能版の製造には、より多くのシステム・オン・チップ(SoC)あるいは設計が必要になる可能性があり、追加コスト、デバイスサイズの大型化、消費電力の増加につながることも考えられる。したがって、コンプライアンス適合に向けたICの低性能化は、製品の設計、コスト、性能に重大な影響を与える可能性があるが、規制基準の達成と関連法規制へのコンプライアンス確保が求められることになるかもしれない。
執筆担当:S&P Global Mobility シニアリサーチアナリスト Rohan Hazarika
Moskvich再生がVW系技術を採用する可能性。 AvtoVAZはRenaultプラットフォームの生産を終了
2022年5月31日 ― AutoIntelligence | Headline Analysis
IHS Markitの視点
影響
Moscow郊外の旧Renaultロシア工場でMoskvich車ブランドを再生する計画は、中国系自動車メーカーのJACがVWとの提携中に開発した車両技術が含まれる可能性がある。一方、AvtoVAZはRenaultの車両技術を採用した自動車の生産を終了した。
展望
ロシアのウクライナ侵攻後にRenaultが象徴的な価格である1ルーブルで支配権を売却したが、今後はMoskvichブランドの再生計画とAvtoVAZ事業の事実上の国有化の両方がロシアの乗用車開発の短期的および中期的動向のカギになるだろう。ロシアで製造および販売を行っていた欧州系自動車メーカーはすべて同国市場から撤退した。
旧ソ連時代の代表的自動車ブランドであるMoskvichをMoscow郊外の旧Renaultロシア工場で製造し再生する計画では、図らずもVolkswagen(VW)Groupのノウハウが活用される可能性をDie Weltが報じた。Moskvichとロシア最大のトラックメーカーのKamAZが中国系自動車メーカーのうち1社との技術契約に合意した場合に起こる事態である。KamAZが中国系自動車メーカーのJACと協議に入ったことはこれまでも報じられてきたが、ロシアの新聞Vedomostiは、KamAZがFirst Automobile Works(FAW)とも車両技術パートナーシップの可能性について協議したと伝えている。両社とも中国で数十年にわたりVW車を製造してきた長い歴史を持つ合弁企業(JV)を所有している。JACとFAWはいずれも長期にわたり独自アーキテクチャで車両を製造してきたが、両社のエンジニアリングチームはVWとのコラボレーションから多くの知識を獲得してきた。VWの広報担当者は、中国ではJACとFAWが長年のJVパートナーであった一方で、両社の製品はいずれもそれぞれの独自の車両アーキテクチャとテクノロジーを使用していることを速やかに認めている。新たなMoskvichプロジェクトとJACまたはFAWの関与も国レベルで合意されることになり、契約は事実上ロシア政府と中国政府が主体となる。ウクライナにおける戦争がもたらしたロシア政府と西側諸国政府との関係とは異なり、中国政府とロシア政府の関係は引き続きオープンかつ友好的であり、中国政府とその支配下にある自動車メーカー各社は、ロシア市場からの欧州系自動車メーカーの完全撤退によってロシアに大きな商機を見出すことになりそうだ。
一方、ロシア最大の自動車メーカーであるAvtoVAZは、Renault Groupの技術をベースとした最後の車両の製造と出荷を完了したことを発表した。Renault Groupは今月初め、AvtoVAZとMoscow近郊のRenaultロシア工場の両方の支配権をロシア国営の中央自動車エンジン科学研究所(NAMI)に、象徴的な価格としてそれぞれ1ルーブルで売却することに合意した。Renaultの技術とアーキテクチャで製造された車両、Sandero Stepwayの最後の2台は5月27日にディーラーに出荷された。
展望と影響
VW Groupと、JACまたはFAWのいずれかが提供する車両技術およびアーキテクチャとの間には直接的な関係はないが、欧州最大の自動車製造グループであるVWとの長年の協力関係は今後も大きな影響を及ぼすことになるだろう。事実、ロシアの自動車製造業は、ウクライナ侵攻と米国・EUに課された経済制裁によって、生き残りが危ぶまれるほどの大きな打撃を受けた。Renaultは今月初め、AvtoVAZの株式68%を売却し、かつてクロスオーバー車のRenault ArkanaとKapturを製造していたRenaultロシア工場の支配権を放棄、ようやく市場から撤退できた。Moscow市長が同工場でのMoskvichブランド車の生産再開に向けた主導的役割を担っており、この野心的な計画によると、今年末までに旧ソ連時代の同ブランド下で車両生産を立ち上げ稼働させることを目指しており、実現にはほぼ確実に中国系メーカーによる何らかのターンキーソリューションが必要になる。Moskvichプロジェクトの公式技術パートナーであるKamAZはロシア最大のトラックメーカーであり、独自のライトビークル技術を持っていないため、同社の主な役割は既存の乗用車メーカーとの提携交渉になる。JACとFAWはいずれも、VWの影響を大きく受けて開発されたものではあるが、手頃な価格の独自製品を持っているという点で要件を満たしている。最も起こりそうな結果として考えられるのは、Moskvichプロジェクトがおおまかに説明通りのスケジュールで軌道に乗った場合、少なくとも当初は、完全ノックダウン(CKD)キットを輸入し旧Renaultロシア工場で地元労働者によって組み立てる、という形態である。一方、AvtoVAZが今後はRenaultの独自車両技術やサプライチェーンにアクセスできなくなることを考えると、AvtoVAZがここからどのように進んでいくのか大変興味深い。当社では、AvtoVAZが独立企業として車両生産を続けることを前提としている。Renaultプラットフォームによる新車は予測から除外しており、再構成された新会社が構築するモデルとして残るのは、Granta、Niva、Grand Niva、Vestaだけである。
担当アナリスト:Tim Urquhart
半導体供給問題:ライトビークル生産トラッカー
2022年5月30日 - AutoIntelligence | 戦略レポート
S&P Global Mobility(旧IHS Markit)は、現在進行している半導体供給問題がライトビークル生産に与える影響を評価している。
自動車セクター向け半導体サプライチェーン混乱の報告は2020年後半に始まり2022年第1四半期に入っても継続し、地政学的混乱に対する不確実性は高まっている。2020年上半期から人類が経験した、広範囲にわたる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックとその対策としての封鎖から蓄積されていった需給圧力は、さらに大きな家電セクターからの需要の拡大とぶつかり、年の後半にはホリデーシーズンに向けて在庫の積み増しが進められた。2021年3月19日には日本のルネサス那珂工場で火災が発生、同工場の完全な稼働再開が6月下旬になったことや、2021年2月には米国南西部が荒天に襲われたことも重なり、状況はさらなる困難を極めた。直近では、COVID-19による影響が東南アジアの一部、特に半導体供給プロセスで多くの労働集約的バックエンドタスクを引き受けるマレーシアに及んでいる。さらに現在はこの他の要因も浮上し、生産に影響を与えるようになってきた。
本稿では、打撃を受けた主要自動車メーカー数社を選び、各社が状況緩和に向けて取った措置と今後の展望について解説する。
![]()
半導体
Shutterstock/Dario Lo Presti
Ford
Fordは、北米と欧州の両地域で大きな打撃を受けている。北米では2021年第1四半期に数週間の停止が発生、特に年間を通じてこの状態が継続した一部の拠点では大きな打撃を受けた。Explorer、Bronco SportおよびBronco、Lincoln Navigator、F-Series、Rangerピックアップなどの重要モデルの生産に影響が及び、バッテリー式電気自動車(BEV)であるMustang Mach-Eは2021年第4四半期に打撃を受けた。2022年第1四半期には生産の混乱が拡大し、F-SeriesやMustang Mach-Eの生産を含め、現在この地域の拠点の大部分に影響が出ている。第2四半期に停止したのはFord Mustangを製造するFlat Rock(米国)が最初で、以降はLouisville(米国)とOakville(カナダ)も続いた。
西欧と中欧の全拠点も2021年に数週間の停止の影響を受けた。KugaとTransit Connectを製造するValencia(スペイン)、Pumaを製造するCraiova(ルーマニア)、Fiestaを製造するCologneとFocusを製造するSaarlouis(ともにドイツ)の各拠点では、4四半期連続で半導体不足による混乱が見られた。TransitとTransit Customを製造するトルコ・OtosanのKocaeli工場は2021年第2四半期に長期間停止した後、第4四半期にも停止に見舞われた。コンポーネントの供給不足によりSaarlouisとCologneでは2022年第1四半期に操業短縮と停止が発生、両サイトとも第2四半期も停止した。Craiovaサイトも2022年第1四半期に1日停止、Valenciaは第2四半期に数日間停止などの影響が見られた。
2021年にはアジアの工場でも数件の生産停止があり、中国、インド、タイで操業が縮小した。インド事業は2022年第1四半期にも停止に見舞われ、Fordでは2022年第4四半期までにインドでの生産の終了も計画している。
Fordは第1四半期の決算発表で、半導体不足と材料費高騰の影響で卸売出荷と収益が減少しコストが上昇したと述べ、半導体不足とサプライチェーン問題の解決に引き続き取り組んでいることを付け加えた。そして在庫量の低い一部のコンポーネントのニーズを減らすためのエンジニアリングの見直しなど、下半期の改善に向けた措置を講じていることを説明している。Fordの産業プラットフォーム担当最高責任者であるHauThai-Tang氏は、入手できなかったフロントガラスワイパーモジュールのないフルサイズピックアップとユーティリティビークルを多数生産し、マイクロチップまたは関連コンポーネントを待っている状態の車両が約53,000台あると述べている。同社によると、車両にパーツを後付けしてディーラーに送ることでその後の数四半期にコストの影響が出るが、第1四半期には生産に新たなコンポーネントを使用したことでコストに影響が出た、と説明している。CFOのJohn Lawler氏は、一部の半導体ウェハーサプライヤーは生産能力を増強しており、2022年後半と2023年には稼働が開始することでマイクロチップは入手しやすくなり、生産稼働率は通常に近くなるはずだ、と述べた。またThai-Tang氏は、Fordが3月に過去数四半期で最高の生産稼働率を達成したことにも触れている。
General Motors(GM)
2021年の半導体不足の結果、GMの北米、南米、アジアで事業全体に影響が見られ、これは2022年まで続いている。北米ではフルサイズのピックアップトラックやスポーツ多目的車(SUV)など、利益率の高い製品への影響を回避しようとしたものの、主に2021年第3四半期にコンポーネントが不足したため、生産の混乱を回避できなかった。カナダの1拠点とメキシコの2拠点では2021年第4四半期に実施された1シフト制の生産スケジュールが2022年に入っても継続している。2022年3月には、FairfaxとBowling Greenの両工場でも追加のダウンタイムが発生した。GMでは2022年第2四半期初めに、フルサイズのピックアップトラックの一部を製造するFort Wayne(米国)施設で2週間の停止を実施した。
ブラジルでは事業に大きな混乱が続いており、Gravatai施設は約5ヵ月間続いた停止の影響を受けた。年末の操業停止は2週間と通常より長くなり、2022年2月と3月には約1ヵ月という停止が発生した。São Caetano do Sul工場では、最近の生産停止が年末まで延長されて休業期間が通常より長くなり、2022年初まで4週間続いた。São Jose dos Campos工場も2021年末に3週間の停止となった。韓国のGMの2拠点でも2021年の4四半期を通してさまざまな時点で生産台数が削減された。2022年最初の週のPupyongの停止も一部モデルに影響を与え、他モデルも1月までに生産台数が50%減少された。Pupyongでは2022年第2四半期にもさらなる減産が計画されている。中国では、2021年第2四半期と第3四半期にSAICとGMの合弁事業(JV)で限定的な生産中断が見られたが、2022年はこれまでのところ、半導体問題に関連する混乱は報告されていない。
4月初旬の第1四半期決算発表でGMのCFOであるPaul Jacobson氏は、生産はおおむね通常通りだったが在庫の再構築による受注残への対応はまだ実施しておらず、在庫は引き続きタイトである、と述べた。この状況はGMの対ディーラー卸売台数が先四半期に前年比1.2%増の831,000台に増加したことでも示唆されている。これは同社による車両価格引き上げとGM製品の需要拡大にもつながるだろう。2022年には卸売が前年比25%~30%増に改善すると見られている。
Ford社長であるMark Reuss氏はかつて、自社車両に使用する特定半導体数を95%削減を目指すと述べていた。この動きにより、不足以降のGMの半導体フローが強化される可能性があると言われて、さらに必要となる半導体は今後数年間で2倍以上になると見られている。またGMはコアマイクロプロセッサチップの購入を今後は3系統に統合する方向にあり、これらの系統は主要半導体メーカーと共同で開発、調達、構築されることになる。
Renault-Nissan-Mitsubishiアライアンス
Renault-Nissan-Mitsubishiアライアンスにはいずれも半導体不足の影響がある程度見られる。Renault Groupの欧州事業は、特にスペインで影響を受けている。2021年の4四半期すべてを通じてダウンタイムが発生し、2022年第1四半期もPalenciaとValladolidの両工場が停止、第2四半期にもさらに計画が立てられたため混乱が継続した。フランスでのRenault Groupの小型商用車(LCV)とBEVも2021年に国内サイトで影響を受けたモデルであり、2022年にはFlinsで冬季閉鎖が実施され、Sandouvilleでも2022年第1四半期と第2四半期にダウンタイムが発生した。Douai工場でも4月に2週間生産を停止した。中欧で影響を受けたモデルにはPitesti(ルーマニア)を中心にDaciaブランドの低価格車が含まれており、4月にはさらに1週間の停止が発表された。同社のトルコとロシアの拠点も2021年に影響を受けた。トルコ施設は2022年第1四半期に長期間停止を実施、第2四半期にも中断が見られた。Togliatti(ロシア)施設では1月に多くのシフトをキャンセルした後、ロシアのウクライナ侵攻を受けて生産が何度も中断され、さらなる混乱と供給の問題により、夏季の操業停止を7月ではなく4月に実施する計画だ。さらに、同拠点は6月から8月まで週4日稼働に移行し、停止で苦戦しているIzhevsk(ロシア)でも同様の措置が取られる。その他の同社拠点は影響が比較的穏やかで、たとえばSão Jose dos Pinhais(ブラジル)工場では年末の休業期間を2022年1月中旬まで延長し、第2四半期初めにも停止した。Oragadam(インド)施設では2月と3月に非生産日を記録、第2四半期にも多くの非生産日が見込まれている。
日産は日本の複数の拠点で課題に直面している。2021年第2四半期に始まり、台数への影響は第3四半期に拡大し、第4四半期にも継続的な生産調整でさらに悪化したケースもあった。2022年第1四半期には、九州第1工場を中心に日本事業で減産が実施された。北米では2021年第2四半期に生産調整が始まり第3四半期に増加、さほど劇的ではないものの第4四半期も継続した。しかし、2022年第1四半期にはメキシコの4拠点と米国の2拠点で生産が停止、米国ではさらに別の3拠点で第2四半期に混乱が発生した。インドやタイなど、他の地域の拠点でも減産の影響が出ており、今後も影響は続くだろう。タイのある拠点では2021年12月から3月まで1シフト制を実施、さらにSamutprakarnの両拠点でも生産が混乱し第2四半期まで継続する見通しだ。ブラジルのResende工場では1月の最初数週間に影響が見られ、部品不足のため7月の操業停止期間を5月26日~6月13日に移すことになっている。
三菱も、日本での軽自動車とクロスオーバー車の生産と、タイとインドネシアのサイトでの製造モデルの調整を行っている。2022年第1四半期と第2四半期には、主に製造率の低下によって、インドネシアとタイの一部の拠点でさらなる減産が実施されている。
Renault Groupによる2022年第1四半期の売上高と収益の業績発表では、逆風要因に加え、半導体不足の影響が引き続き注文への対応能力に打撃を与えていることが分かった。Renault Groupのライトビークル世界販売台数は、同社のデータによると、同四半期に前年比17.1%減の551,733台となっている。これにより、2022年には主に上半期に約30万台の生産が失われるとの見通しを認めている。しかし同社は台数よりも価値の創造に重点を置く販売方針の継続によって大部分を埋め合わせており、最も収益性の高い販売チャネルでの販売シェアが大きくなっている。これはまた、欧州で3.9ヵ月分に相当する受注にもつながっており、自動車事業(AvtoVAZを除く)在庫が336,000台と低い水準にあることと一致している。これは2021年第3四半期および第4四半期の終わりと同様の数値だが、2021年第1四半期からは31%減少した。顧客に車両が到達するという前向きな兆候かもしれないが、同社の在庫は2021年第4四半期末の91,000台から2022年第1四半期末には159,000台に増加している。5月16日、RenaultはAvtoVAZの株式を象徴的な価格である1ルーブルでロシア国営の中央自動車エンジン科学研究所に売却し、Renaultロシア工場がモスクワ市当局に引き継がれることを発表した。
Stellantis
Stellantisの北米事業は、半導体不足による重大な混乱を何度か経験した。2021年にはToluca(メキシコ)での23週間、Belvidere(米国)での24週間、Windsor(カナダ)での25週間を含め、同社拠点の大部分が数週間の生産停止に見舞われた。一部の拠点では、特に新しく収益性の高い車両について、影響の回避または最小化に成功している。広範囲の生産拠点に対する不足の影響は2021年第4四半期には比較的限られたものだったようだが、Windsorでは2022年1月に1週間の停止が発生、2月にも3回、数日間の停止が発生した。Belvidereでは 2月から3月までの間に数週間の停止が、4月にもさらにダウンタイムが発生した。4月にはMack Avenue工場がこの状況が始まって以来初めて1週間の生産停止を実施した。
欧州事業の状況はまちまちだが、2021年には旧Fiat Chrysler Automobiles(FCA)とGroup PSAの施設全体で複数拠点が打撃を受け、その深刻度はさまざまだった。旧FCA施設の中では、2022年に入ってこれまでのところ、幅広いバン製品を構築するVal di Sangro(イタリア)、さらにCassinoとMelfi(ともにイタリア)での生産も第1四半期に打撃を受け、4月にもさらに停止が発生している。Tychy(ポーランド)も3月に停止した。旧PSA拠点での混乱は2021年に、西欧と中欧で組み立てのサブコンパクトCMPとコンパクトおよびミドルサイズEMP2アーキテクチャに基づく車両製造拠点全体で発生した。生産停止やシフトキャンセルに加えて、一部の人気モデルでは、残業や追加作業の計画が取り消された。最も注目すべき動きの1つが、Eisenach(ドイツ)で第4四半期全体の生産を停止する計画だった。スペインでは、Vigo工場で一時帰休支援制度(ERTE)の利用を2022年まで60日間延長することで合意、これはさらに15日間延長可能だが、第1四半期と第2四半期にすでに利用されている。Madrid施設でもERTEの利用が2022年まで延長された。一方、ZaragozaではERTEが2022年に60日間に延長され、年初に2日間停止し、2月、3月、4月にもさらに停止が可能になった。前向きな点としては、コンポーネント供給の制約が緩和されたことから同社は1月にMulhouse(フランス)の生産ラインに第2シフトを導入し、新世代のPeugeot 308の生産拡大に対応している。しかし、その後の2月に生産が停止し、4月中旬から第3シフトを実施する計画が遅れている。SochauxとRennes(ともにフランス)も2022年第1四半期に停止に見舞われ、前者は4月上旬に第2シフトを数日間中断した。
Stellantisのもう1つの主要生産拠点はBetim(ブラジル)施設である。同施設は2021年の最初の3四半期に混乱に見舞われたが、業界の専門情報では第4四半期の影響がこれまでで最大だったことが示唆されている。これは同社が、Pernambuco(ブラジル)施設で製造の、より収益性の高い製品を優先しているためと考えられる。
2022年5月の第1四半期決算発表でStellantisは、台数と市場構成がもたらした22億ユーロ相当の損失を価格設定とコンテンツが埋め合わせ、結果として強力な収益を計上した。これは半導体の受注不履行で生産が減少したことにより、連結出荷台数が前年比12.2%減の142万台となったことの裏付けとなっている。現在も継続している不足は、特に消費者需要が供給を上回っていることから、Stellantisではこれまでに在庫レベルの大幅な調整ができていないことを意味する。同社の発表データによると、2022年第1四半期末時点の新車在庫は807,000台となっている。これは2021年第4四半期末の在庫である791,000台から増加しているが、1年前の在庫である1,234,000台を大きく下回っている。同社はまた、ディーラー在庫が2021年第4四半期と比較して第1四半期には約9.6%減の628,000台になり、中国本土と北米を除くすべての地域で減少したと述べている。
Stellantisはまた2021年12月に、同社が将来使用するさまざまな種類の半導体の合理化に向けたFoxconnとの契約の締結を発表した。CEOのCarlos Tavares氏はその後の2022年3月に、同社が自社生産拠点に近い拠点からの半導体調達を検討すると述べた。半導体の現地調達化の拡大に向けて「多くのイニシアチブ」が実施されており、今後3〜4年以内に欧州と米国の地域内での調達が可能になるという期待を同氏は語っている。
Volkswagen(VW)Group
Volkswagenは、主に欧州拠点で圧力がかかっている。2021年には、VW Golfを製造する中核拠点のWolfsburg工場や、コンパクトおよび中型のAudiモデルを製造するIngolstadtとNeckarsulmを含む、ドイツの多くの施設で停止が発生した。半導体関連の混乱はIngolstadt、Emden、Wolfsburgで2022年第1四半期まで続いたが、第2四半期にもNeckarsulm、Ingolstadt、Wolfsburgで一定期間の減産が実施され、後者は5月と6月に3ラインで夜勤シフトを削減した。重要なMEBベースのBEVを構築するMoselとDresdenも2021年下半期に生産停止を経験したが、2022年に入ってからはこれまでのところ半導体不足による影響の証拠は見られない。欧州の他地域の拠点でも2022年初めに混乱が見られた。SEATが運営するMartorell(スペイン)施設は1月第2週に減産を実施した。SkodaのMlada BoleslavとKvasiny(チェコ)の両工場は2021年末に未完成車の受注残に直面、両工場の昨年の生産ロスは合計で6桁に達した。
欧州外でも、2021年の4四半期すべてにおいて北米や南米などの主要地域で混乱と停止を経験した。ブラジルにある3拠点すべてが第1四半期に打撃を受けたが、うち2拠点は2022年第2四半期にも混乱を経験している。メキシコのPuebla拠点は2022年第1四半期と第2四半期に停止、San José Chiapa工場も打撃を受けている。中国でも2021年第1四半期と第2四半期に打撃を受けた後、第3四半期にグループ傘下のFAWとVWによるJVとSAICとVWによるJVで混乱が発生したが、同社はそれ以降、これに直接関連する不足は経験していない。
VW Groupは2022年5月第1四半期の決算発表で、部品不足によって売上高が減少したものの、当期は好調に推移したと報告した。これは、原材料費のヘッジに成功するとともに、最も収益性の高い車両を製造する生産現場にコンポーネントを向けることができたと同社は説明している。2021年の厳しい業績を踏まえ、VWでは今年の売上高を前年比8%から13%の増加と見込んでおり、今年末にかけて第1四半期と同じ要因を活用することで、2022年には7.0%から8.5%の営業利益率達成を目指している。
トヨタ
トヨタでは、2021年最初の2四半期に生産にわずかな変動が見られた後、9月のグローバル生産計画を40%削減することを8月中旬に発表した。これは日本だけでなく、北米、欧州、南アジアの施設、さらに中国のJV施設にも影響を及ぼした。9月中旬のトヨタによる2回目の発表では、9月の生産予測がさらに引き下げられた。10月と11月にはさらに削減が行われたものの、12月には通常の生産率に移行している。2022年初頭には、2021年の生産水準を超えると予想されていたが、その後1月下旬になって、同社の日本事業はCOVID-19による生産停止に悩まされた。トヨタはその後数ヵ月でロスを埋め合わせることを期待し3月の生産計画を95万台に調整し、2021-2022年度の予測生産台数は900万台未満という台数目標に対して約850万台となっている。同社は現在、2022-23年度第1四半期に当たる4月~6月の生産計画をさらに調整している。4月のグローバル生産目標は75万台で、当初計画に比べて15万台削減となっている。5月の総生産台数も同程度となるが、Shanghaiの封鎖の影響で6月のグローバル生産台数は5万台削減の約80万台になることを同社は認めている。現在、6月~8月の平均生産台数は月間85万台程度と見込んでおり、2022-23年度の総生産台数は970万台と予測しているが、不確実な状況の継続により、実際の生産台数は減少する可能性がある。
その他
ホンダやHyundai、さらにBMW GroupとMercedes-Benz Groupも生産停止を余儀なくされている。これらのメーカーの停止と生産台数への影響の詳細は、S&P Global Mobilityによる混乱評価に記載されている。評価は毎週公開され、確認された事象の累積記録となっている。ただし、その点では主要自動車メーカー全社が対象ではないことにご注意いただきたい。製造スケジュールは半導体不足をできるだけ適切に組み込むよう調整されており、今後は自動車メーカー各社から驚くべき発表はないものと見られる。変更内容があまり大きくなくなってくるとともに発表もさほど劇的なものではなくなり、今後の製造スケジュールは、2021年を通して見られたような大規模な変更の発表に基づくものではなく、状況の推移を見ながら細かい調整が適宜行われる「ストップ&ゴー」ベースになるものと考えられる。ロシアとウクライナの紛争危機による影響と中国本土でのCOVID-19封鎖措置による影響との境目は曖昧になりつつあり、生産ロスの詳細を判断するのがますます難しくなってきている。当社の週次実績追跡ファイルでは個々の創造的破壊要因に対応する個別タブを表示しているが、週次ロスすべてを1枚のシートにまとめる「統合」タブも含むようになった。ロシア-ウクライナ関連の追跡については、生産ロス発表の結論が難しい性質であることから今後も分離して評価するため、累積ロスの全体像を週単位で作り上げるのが難しいのが現状である。ライトビークル生産向け半導体の供給問題の最新の評価内容については、ここからアクセスしていただけます。
担当アナリスト:Stephanie Brinley、Ian Fletcher
オートモーティブ地理レポート - インドネシア
インドネシアの⾃動⾞販売と⽣産は2021年に⼒強い成⻑を記録した。インドネシアの⼈⼝1 ⼈当たりの⾃動⾞保有台数は世界でも最低⽔準にあり、2021 年は1,000 ⼈当たりわずか112台と推定されている。政府のCOVID-19ワクチン接種の 取り組み、奢侈税の減税、⽐較基準となる前年実績の低さが、昨年の全体的な⽣産と市場の成⻑に貢献した主な推進⼒だった。
S&P Global Mobilityでは、インドネシアの新⾞市場が経済の好転とインセンティブにけん引されて2022年に改善すると予測している。消費者の購買⼒を刺激するべく、複数の⾃動⾞メーカーが新たなネームプレートを多数導⼊する計画だ。
中国の5月乗用車販売、COVID-19封鎖に伴う混乱で減少の見通し
2022年5月26日 ― AutoIntelligence | Headline Analysis
IHS Markitの視点
影響
中国の5月の乗用車販売は減少が予測されているが、その要因として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生によって市当局が導入した封鎖措置が市場の正常状態への回復ペースを遅らせていることが挙げられる。
展望
S&P Global Mobility(旧IHS Markit)による5月の最新予測では、中国本土の2022年ライトビークル生産台数は2.5%減の約2,397万台になる見通しだ。
中国の乗用車販売台数は4月に前年比43%減の落ち込みを記録したが、5月は前年比19%減の132万台になると中国乗用車協会(CPCA)は見込んでいる。
中国の5月の乗用車販売は減少が予測されているが、その要因として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生によって市当局が導入した封鎖措置が市場の正常状態への回復ペースを遅らせていることが挙げられる。中国国家統計局(NSB)が発表した最新データによると、4月の自動車小売販売台数は前年比31.6%減だった。この不振により、今年1月~4月の4ヵ月間の自動車小売販売金額は前年比8.4%減の1,333億元(1,980億ドル)になった。4月のデータによると、COVID-19の封鎖によって打撃を受けたのは自動車セクターだけではなかった。中国経済の名目小売販売金額は、Shanghaiでの封鎖とJiangsuとJilinでの厳格な封じ込め措置によってすべての主要消費カテゴリーが打撃を受け、全面的な急減が記録されたことから、4月には前年比11.1%減となっている。
CPCAでは5月の最初数週間の販売データを編集し同月の販売見通しを提示している。CPCAは、前年比43%減という4月の落ち込みに続いて、5月の乗用車小売販売台数も前年比19%減の132万台になると見込んでいる。4月に比べて減少幅は縮小しているものの、5月に予想される業績の低迷は、COVID-19のパンデミックが自動車販売をさらに圧迫し、自動車需要の回復を刺激策で支援する必要があることを示唆している。S&P Global Mobilityは5月予測で中国本土のライトビークル販売見通しを修正した。中国本土の2022年ライトビークル販売は前年比2.1%減の2,340万台になると現時点では予測されるが、Shanghaiの封鎖前に発表された2月予測では、前年比3.9%増の成長が見込まれていた。
中国の中央政府は、市場の安定化に向けて自動車の消費と投資を促進するインセンティブ制度の展開を加速するよう関係部局に要請した。これらの制度のなかには、乗用車購入を対象とした600億元(89億ドル)規模の減税措置も含まれている。中国のLi Keqiang首相は5月23日に、新車購入に対する免税制度を確認したが、その詳細はまだ発表されていない。地方レベルの政策は主に、自動車購入の制限緩和と新規購入への助成金支給に重点を置いている。たとえば、Shenzhenは2022年に新エネルギー車を購入する消費者に最大10,000元を提供する。市当局はさらに、十分な予算を持つ消費者の新車購入を増やせるよう、車両ナンバープレート割り当てを20,000台分増加している。また、Changchunも自家用車の購入者を対象とした同様の制度を発表している。
展望と影響
Li首相が発表した600億元規模の減税は、COVID-19による封鎖後の景気後退を埋め合わせるための33の措置を含む広範な刺激策の一部である。ShanghaiとJiangsuでパンデミックを取り巻く状況が安定化していることから、これら地域の自動車市場を対象とした特定のインセンティブ制度が近々進められる見通しだ。ただし自動車セクターは、継続中の半導体不足やCOVID-19パンデミックによる工場の操業停止など、供給側の制約による課題も依然として抱えているため、一部の量産車の納品遅れが発生しており、繰り延べ需要の解放を活用しようというディーラーの努力が台無しになりかねない。Bosch ChinaのChen Yudong社長は最近の記者会見で、Shanghai-Jiang地域の一部のサプライヤーが政府の「ホワイトリスト(封鎖期間中に業務再開の許可を得ている企業のリスト)」に載っていないため、Bosch Chinaの工場は5月中にフル生産能力に達することができないと述べた。また、TeslaのShanghai工場は4月19日の再開以来、1シフトで稼働している。今週初めのReutersのレポートによると、Teslaは5月24日には日次生産台数を封鎖前の水準まで引き上げられたかもしれないという。しかし、Teslaはこれをまだ認めていない。S&P Global Mobilityによる5月の最新予測では、中国本土の2022年ライトビークル生産台数は2.5%減の約2,397万台になる見通しだ。自動車メーカー各社は恒例の夏季の操業停止期間を短縮することで第3四半期に生産ロスの一部を補うと見られ、これにより下半期の生産は改善に向かうと考えられる。
担当アナリスト:Abby Chun Tu
欧州議会、2035年以降のICE乗用車およびバンの禁止を承認
2022年5月16日 | ニュース | 政策および規制
欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会(ENVI)が、2035年以降の欧州で内燃エンジン(ICE)を動力源とする自動車およびバンの新車販売を禁止するという欧州委員会の提案に賛成票を投じたことが発表された。この提案は欧州委員会が昨年作成した政策パッケージ「Fit for 55」の一部として実施されたものである。注目すべきは、ENVIが、平均フリート排出量を対2021年比で2025年までに20%、2030年までに55%、2035年までに100%削減することを自動車メーカーに要求する新たな基準に賛成票を投じたことである。

Source: Getty image/sefa ozel
「2035年までにゼロエミッション道路モビリティを達成するという欧州委員会の提案に対し、議員らは支持を表明した」との記述が公式文書にあり、さらにゼロエミッション車と低排出車のインセンティブ機構の削除が提案措置の一部として含まれている。提案では厳格度を増した目標(CO2 7g/kmという従来の制限は2024年まで残り、2025年から5g、2027年から4g、2034年末まで2gとなる)にしたがい、エコイノベーションに向けて上限値を徐々に引き下げていく。
一方で、ENVIは新たな2027年中間目標と、CO2 75%削減に引き上げられた2030年目標の要求は拒否したと報じられている。「CO2基準は自動車業界に明確な目標を設定し、自動車メーカーの革新と投資を促進する。消費者にとっては、ゼロエミッション車の購入と運転にかかるコストが下がることになる。ディーゼルとガソリンの価格が上昇し続けている今、これは特に重要だ。この規制によって、誰でも持続可能な運転にアクセスできるようになる」とENVIの報告担当者であるJan Huitema氏は述べている。
重要ポイント:ENVIが提案した措置により、欧州委員会はEU市場に出回る自動車とバンのライフサイクル全体のCO2排出量と燃料およびエネルギーを評価するための域内共通の手法を2023年までに考案することを求められている。2025年末までに、そしてその後は毎年、ゼロエミッション道路モビリティに向けた進捗状況に関するレポートを作成し、消費者と雇用への影響、再生可能エネルギーの使用レベル、中古車市場に関する情報が収録されることも公式文書は伝えている。欧州委員会は2021年7月、「Fit for 55」パッケージの一部として、乗用車および小型商用車のCO2排出性能基準の改訂に関する法案を提出した。この提案は、道路にゼロエミッション車を配備することで一般市民に利益をもたらし、ゼロエミッション技術の新たな革新を促進することに加え、EUの2030年および2050年気候目標に貢献することを目的としている。
ミドルウェアというソフトウェア:車載OS開発競争
2022年5月6日 | インサイト | AutoTechInsight 今月の分析
基本的なコックピット機能から安全機能やパワートレイン制御システムまで、自動車のほぼすべての要素がソフトウェアに支えられている。車載ソフトウェアアーキテクチャと機能開発の進歩によって、自動車メーカーは新たな収益源を見つけ、以前なら時代遅れになっていた可能性のある部品から収益を生み出している。新たなソフトウェア定義車ビジネスの目標達成に向け、業界は先進運転支援システムと自動運転、デジタルスクリーン、コネクティビティ、先進サスペンションシステム、電気部品などがもたらすハードウェアの増加を抑制する責務を負ってきた。これまでは分散型電気/電子(E/E)車載システムアーキテクチャを搭載した分散型電子制御ユニット(ECU)がほぼ不可避だったが、高性能コンピューティング(HPC)の出現によって、このハードウェアの複雑化トレンドの逆転が見込まれている。業界が分散型E/Eアーキテクチャから集中型制御環境へと移行していくなかで、2つの要素が将来の成功に影響を及ぼす。ミドルウェアの役割とシステム統合の役割である。
ミドルウェアと中間にあるプラットフォームはソフトウェア定義車における最も重要な原則の1つであり、システム統合をより適切に制御するためのカギとなる。オペレーティングシステム(OS)に接続される必要があるのは、車両のソフトウェアアプリケーションとハードウェアコンポーネントの連結装置としてのミドルウェアだけである。中間プラットフォームは、単一のECUまたは単一の仮想マシンだけでなく車両ネットワーク全体を抽象化することによって、車両のソフトウェアライフサイクルを制御する役割を果たす。
業界は(少なくとも車両機能の一部の)ソフトウェア標準化に取り組んでおり、ECU機能の多くは、共通のベースと標準を備えた単一のドメインコントローラまたはHPCに統合される。自動車メーカーはOSとミドルウェアを別々に調達しているが、それらはAUTOSARなどの共通のベース、インターフェース、標準に従う。規模の経済を活用して異なる車両ドメイン間で同じOSおよびミドルウェア技術を利用し、車両内のドメイン間で標準のミドルウェア層を利用するという考え方である。ソフトウェアプラットフォームは今後、整合性のある車両機能を抽象化した統合ミドルウェア層へと移行していく。つまり、車両全体または車両の少なくとも大部分で、OSタイプの同じミドルウェアを利用する。狙いは、自動車メーカーがシステム概念と通信
プロセスを標準化できるよう、共通の抽象化を実現することである。




車両全体機能と安全面の改善に対処できるソフトウェアプラットフォームを開発する必要性は、市場の評価からも明らかだ。さらにTeslaへの羨望は伝統的な自動車メーカー各社の間を駆け巡っている。Teslaはすでにすべての車両ドメインと機能に対応する単一の車載OSをゼロから構築している。自社製ソフトウェアプラットフォームを使用すれば、セキュリティの脅威に対する保護を強化し、性能や機能を分配し、どの自動車メーカーよりも早く、新しく革新的なアプリケーションを展開することができる。別の角度から見ると、たとえ高い志があろうとも、すべての自動車メーカーがVW、Daimler、トヨタのようなソフトウェア内製リソースや台数規模を持っているわけではなく、Teslaのようなリソース能力も持っているわけでもないことを、自動車部品サプライヤー各社は十分に認識している。複数のコンソーシアム主導オープンミドルウェアフレームワークが今後、多くの自動車メーカー向けのオープンソースソフトウェアプラットフォームとカスタマイズソフトウェアプラットフォームの融合に貢献する可能性がある。当社サプライチェーンおよびテクノロジー(SCT)部門は、AutoTechInsightプラットフォームですべてのソフトウェア開発を追跡対象として車載ソフトウェアの予測およびデータ分析サービスを提供している。これは制御ソフトウェア、ミドルウェアソフトウェア、組み込みソフトウェアのコスト予測のための詳細なインサイト、背景データ、解析の追加サービスである。
米国運輸省、モデルイヤー2024-2026年向け
新CAFÉ基準を発表
2022年4月4日 | ニュース | 政策および規制
米国運輸省(DOT)道路交通安全局(NHTSA)は、1ガロンあたりの走行距離(mpg)の延伸、運輸排出量の削減、消費者の支出軽減を目的とした新たな燃費基準を発表した。新たな企業平均燃費基準(CAFÉ)は2026年モデルの乗用車と小型トラックのフリート平均燃費を業界全体で約49 mpgとするよう求めており、米国でこれまでに実施されたなかで最も厳しい燃費基準と見なされている。

政府文書によると、この新基準によって、モデルイヤー2024-2025年で年間8%、同2026年で年間10%、燃費が向上するという。「フリート平均走行距離はモデルイヤー2021年と比べ、2026年には1ガロンあたり約10マイル延伸すると推定される」と公式文書は述べており、モデルイヤー2024-2026年の新CAFÉ基準は、従来基準を継続した場合と比較すると、2050年までに2,000億ガロン以上の燃料使用を削減する効果があるという。
Pete Buttigieg米国運輸長官は、新基準によって燃料補給が必要になるまでに運転できる距離が伸び、米国世帯にとっては年間数百ドルの節約となると述べている。同長官はさらに「この改善は世界的な石油価格変動に対する米国の脆弱性を緩和することにもなり、25億トンの炭素排出量削減によって地域社会を守ることにもつながる」と述べている。
重要ポイント:米国運輸省が発行した1,200ページの指令によると、新CAFÉ基準によって2026年までのメーカーCAFE要件平均はノーアクション代替案( 2020年発行のベースライン基準)での約40mpgから約49mpgに延伸するとNHTSAは推定している。「乗用車の場合、2026年平均は59 mpgをわずかに超え、小型トラックの場合は42mpgをわずかに超えると推定される。ノーアクション代替案の下では、前者は47mpg、後者は34mpgである」(同54ページ)。新CAFÉ基準に関する発表は、自動車からの全体的排出量の削減を目的としたバイデン大統領の大統領令に続くものである。また自動車メーカー各社がゼロエミッション車(ZEV)製造に向けて生産工場とサプライチェーンを急速に変革している時期とも重なっている。燃費基準が厳格化することで、自動車メーカーはガソリン車とディーゼル車の燃費向上をさらに推進することになるだろう。新基準は温室効果ガス(GHG)排出量と大気汚染の削減にも貢献し、米国政府の文書によると、強力な燃費基準は同国のエネルギー自立を強化し化石燃料への依存緩和にも貢献するという。米国で2026年購入の新車は2021年のものに比べると1ガロンあたりの走行距離が33%長くなる、と同文書は述べている。
自動車UI/UX技術-スタートアップ企業が市場をけん引
2022年4月4日 | インサイト | AutotechInsight
自動運転モビリティ、Eモビリティ、コネクティビティなど、新たなテクノロジーによる進歩が著しい。コロナ禍で企業のキャッシュフローは損なわれたが、2021年に実施した当社の調査では、企業の自動車関連研究開発費は平均6.5%増加しており、45%がソフトウェアとソフトウェア関連機能の開発に研究開発予算を費やしていることが明らかになった。ソフトウェアに重点を置く製品への移行にともなって開発企業の数も増加しており、ここ数年で多数のスタートアップ企業が出現している。本稿では、自動車UI/UX技術に重点を置く主要スタートアップ企業を分析する。

Raythink Technology:Shenzhenを拠点としており、自動車用拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR-HUD)アプリケーションを開発している。同社製品のTri-Lane AR-HUDとMono-Lane Plus AR-HUDは正確な車線ポジショニングを支援、車線レベルナビゲーション、前方衝突警告(FCW)、歩行者衝突警告(PCW)、車線逸脱警告(LDW)などの情報をフロントガラスに表示する。Qianha:i FOF、Weed Ventures、さらに既存の投資家であるOriental Fortune Capitalが同社に出資している。特許技術のOpticalCoreは23°x 5°の広視野(FOV)を実現する。
Envisics:2018年設立のEnvisicsは、AR-HUDで使用されるホログラフィックテクノロジーを専門としている。英国を拠点とするスタートアップで、光を使用してHUD画像を作成するDynamic Holography Platformを開発した。自社製品は従来のHUDよりも40%小さく、エネルギー効率が50%高いと主張している。同社の投資家であるHyundai Mobis、GM Ventures、SAICはいずれもEnvisicsとAR-HUDを共同開発している。2021年1月、Envisicsはパナソニックオートモーティブシステムズと提携、次世代HUDの開発と商品化を目指している。
Wayray:WayRayはHUDで使用されるホログラフィック拡張現実(AR)テクノロジーを専門としており、ホログラフィック光学システムとハードウェアおよびソフトウェア開発キット(SDK)を生産している。自動車メーカーのパートナーにはHyundaiとPorscheが含まれており、AR-HUDテクノロジー開発でKarma Automotiveとも提携している。WayrayのDeep Reality Displayテクノロジーは仮想画像のさまざまな部分をさまざまな距離で表示することができる。同社はAlibaba、Hyundai、Porscheなどからこれまでに2億ドル近くを調達している。
Phiar Technologies:GoogleのAndroid Automotive Platformsの元グローバルヘッドであるGene Karshenboym氏が率いるPhiarは、リアルタイムのインテリジェントナビゲーション、スマートパーキング、HDマッピングに同社の空間AIエンジンおよびモビリティARエンジンを使用している。Phiarはパナソニックオートモーティブとの提携による車載ディスプレイとフロントガラスHUDやモバイル機器を提供している。同社の軽量空間AIは、物体トラッキング、車線セグメンテーション、奥行き知覚、地表面推定に使用される。Phiarは2022年1月にQualcommと、インテリジェントAR-HUDナビゲーションおよび状況認識モジュールの開発に向けて提携した。
Holoride:HolorideはAudiとPorscheを自動車メーカー・パートナーとして「後部座席エンターテインメント」に注力してきた。同社はナビゲーションデータを使用して後部座席の乗員のための仮想体験を作成している。HolorideはAudi用にVRヘッドセットを開発しており、このVRは車のフロントガラスと窓をゲーム画面に変える。同社はまた、先進運転支援システム(ADAS)の開発企業であるTerranet ABと提携し、最適な車内体験の創造を支援している。
Canatu:Canatuは、カーボンナノバッドベースのフィルム、タッチセンサー、ヒーターを開発している。柔軟性の高いタッチセンサーのおかげで設計の自由度が高まり、ユーザー体験が向上する。Canatuタッチセンサーは任意の3D形状に形成でき、複数の機械的ボタンやコントロールを置き換える多目的スイッチやスライダーの作成に使用される。Canatuは、Daimler、デンソー、Faurecia、3M、TS Techなど、OEMやサプライヤーとの提携関係を複数結んでいる。
Cambridge Touch Technologies:約2,000万ドルを調達したスタートアップ企業で、特許取得済みのUltra Touchロケーションおよびフォースセンシングソリューションをスマートデバイスおよびサーフェス向けに開発、商品化している。自動車分野における同社の主要パートナーには、日本のタッチパネル企業である双葉電子工業が含まれている。
Tapkey:オーストリアを拠点とするTapkeyは、特にキーレスエントリーに重点を置いた車両アクセスシステムを開発している。Tapkeyはモバイルアクセス制御用のオープンプラットフォームである。Bluetooth Low Energy(BLE)と近距離無線通信(NFC)テクノロジーを使用しているが、同社が超広帯域テクノロジーを製品に統合するかどうかはまだわかっていない。同社の特許技術は、機密データ用の委任認証や暗号化トンネルなど、複数のセキュリティレイヤーを使用している。Garminとも提携し、車のロック解除用のスマートウォッチを開発している。TapkeyはWitte AutomotiveやNXPとも提携している。
Kardome:Kardomeは音声制御ソリューションを開発している。その音声ユーザーインターフェイステクノロジーはロケーションに基づいて音声信号を収集し、クリアでリアルタイムの音声入力と出力をあらゆる環境で実現する。Kardomeによると、同社のソース分離ソフトウェアは、方向ベースのテクノロジーとは対照的に、個々の音声を分離することが可能で、これによって車両内の複数の人がデバイスに明確な指示を与えることができる。2020年、同社はイノベーションラボでRenault-Nissan-Mitsubishiアライアンスがスマートオーディオソリューションをテストすると発表した。HyundaiはKardomeのシードラウンド中に非公開投資を行っている。
トレンド
AR-HUD需要が高まっている。当社アナリストチームは、AR-HUDの世界需要が2030年までに470万台を超えると予測しているが、生産車への導入は2020年に始まったばかりだ。この分野では複数のスタートアップ企業が活動しており、出資するOEMの数も増えている(一部は投資ファンドを通じて)。Audi、GM、SAIC、Hyundaiといった自動車メーカーがすでにこの分野に足を踏み入れており、今後10年間で自動車用ソフトウェアへの投資が急増すると予測されていることから、AR-HUDテクノロジーへの注目度も非常に大きくなると見られる。自動運転モビリティ、特にレベル2とレベル3の成長も、AR-HUDの開発と商品化を後押しする可能性がある。ここでカギとなる要素が、安全性と運転支援機能の重要性である。AR-HUDはドライバーによる道路の監視、状況認識、安全運転の促進に貢献する。デジタルエントリーシステムも成長の準備が整っており、この分野でスタートアップ企業を目にするのも当然のことである。Apple、BMW、General Motors、ホンダ、Hyundai、LG、NXP、パナソニック、Samsung、Volkswagenなどの自動車企業やテック企業がCar Connectivity Consortium(CCC)の下、デジタルカーキーの標準化を検討している。乗員体験に重点が置かれることで、ゲームなどバーチャルリアリティアプリケーションの利用率が高くなっていく。車載ゲームを提供するOEMの増加にともない、Holorideのようなスタートアップ企業が最前線に躍り出ることになる。自動車メーカー各社はすでにソフトウェアベース製品向けに数十億ドル単位を確保しているため、今後は提携だけでなく、自動車メーカーやティア1サプライヤーがスタートアップ企業を買収する可能性もある。
Arnab Paul(調査アナリスト)
ウクライナ紛争の影響下でも成長する自動車ソフトウェア
2022年3月24日 | インサイト |
ウクライナでの紛争は主要コンポーネントや材料のサプライチェーンを混乱させるだけでなく、自動車セクターにサービスを提供するソフトウェア企業にも影響を及ぼしている。事実、複数の自動車ソフトウェア企業がウクライナに拠点とソフトウェア開発者を配置している。


自動車メーカーとソフトウェア会社は短期的な緊急時対応・復旧計画を検討している。混乱と遅延の最小化には人材の再配置が実行可能な選択肢で、ソフトウェア開発企業はこのプロセスを積極的に支持している。同地域の国々は熟練労働者の移住の恩恵を受ける準備ができている。ポーランドは自動車ソフトウェア開発者にとってのハブであることから、こうした恩恵の享受に最も適した国の1つである。


ICEからEVプラットフォームへの移行により、含まれる半導体の量が増え、全体的にイノベーションのグレードが高くなり、これが自動車ソフトウェアソリューション需要の加速をもたらす。事実、ロシアに対して厳格な制裁措置が講じられているなかでも、世界の一部地域ではソフトウェア機能の開発に今後、商機があると考えている企業もある。

ロシアとウクライナの紛争は、部品、原材料、エネルギー、物流など各方面で、欧州の自動車産業に最も痛手を与えているようだ。

S&P Global Mobilityのアナリスト陣は、この紛争下のソフトウェア開発の現状と今後の可能性を分析し、この危機が変革の原動力になる可能性があると予測している。ロシア、中国本土、およびソフトウェア開発のアウトソーシングが発生する傾向が強いインドなど他の国々の間で、パートナーシップやコラボレーションが実施される可能性がある。同時に、Kasperskyなどロシアを拠点とするソフトウェア企業やサイバーセキュリティ企業は出身国以外で市場シェアを失うリスクがある。こうした企業の製品はすでに米国で禁止されており、多くの欧州諸国が同様の措置を検討している。ロシアのサイバーセキュリティ企業がサイバー攻撃の促進に利用される可能性が懸念されているからだ。ロシアに対する制裁は紛争のごく初期段階から展開されているが、こうした制限がすぐに解除されるとは予想されていない。
現在の問題は、新たな車両プラットフォーム用のソフトウェアの設計段階で標準化アプローチを適用することが緊急に必要であることを浮き彫りにしている。この観点から、Automotive Open System Architecture(AUTOSAR)のパラダイムの利点は否定できず、緊急時にはそれがより顕在化している。
データ駆動型サービス、OEMの収益源をけん引
2022年3月14日 | インサイト | AutotechInsight
業界のソフトウェア主導化が進むにつれ、コネクティッドカーと自動運転の成長と電動化への移行やサプライチェーン全体の変化が進行し、スタートアップを含む多くの企業がデータを推進要因とする製品やサービスに焦点を絞っている。S&P Global Mobilityでは、2020年にはコネクティッドカーの世界出荷台数が5,200万台近くになり、その数は2027年までに年平均成長率(CAGR)7%で増加し8,200万台を超えると予測している。

ユースケース
コネクティッド・モビリティへの移行により、音声アシスタント、車載コマース、位置情報サービスなど、ドライバーや乗員にパーソナライズされた便利な機能が提供されるようになった。自動車メーカーとテクノロジー企業はデータを顧客の嗜好判断に活用している。
位置情報サービスは、駐車場の探索だけでなく駐車料金の支払いも含んだ駐車サービスを提供するParkopediaなどの独立サードパーティにも普及している。ChargePointは電気自動車(EV)の充電サービスを提供しており、このサービスには車両の充電ステータスの読み取りや、充電ステーションの場所と行き方の情報提供を含めている。位置情報サービスはユーザーにとって非常に便利であり、加入者ベースは2026年には3,000万近くにまで成長する可能性がある。
車載コマースは自動車エコシステムにとって重要な収益源であり、このセグメントは急速に成長している。S&P Global Mobilityは、車載コマースの利用者が2026年までにCAGR 40%超で約1,900万人に成長すると予測している。HEREなどの企業は、駐車場、ナビゲーション、気象情報などさまざまなサービスを含むHERE Marketplaceのようなソリューションを提供している。HERE Marketplaceは、INRIX、Apcoa、AccuWeatherなどのさまざまな企業とのパートナーシップを通じて提供され、便利な車載ソリューションを顧客に提供する。そのパートナーの1つが、匿名のモビリティデータを提供するLifesightである。このデータは、オーディエンスのプロファイリングと分類、小売サイトの選択と最適化、競合ベンチマーク、都市モビリティ計画など、ユースケース対応に活用できるモビリティパターンについてのインサイトを提供する。
利用ベース保険(UBI)は、ドライバーの運転習慣から収集されたデータによって推進される重要なソリューションである。走行距離、追跡、運転行動の監視などのコネクティッドカーデータを使用して、従量制や運転行動制などのUBI製品を提供できる。速度、ブレーキ、ステアリング、加速度などのデータが運転行動予測に使用される。UBIは、保険会社がリスクを正確に評価し、価格設定モデルを開発するのに役立つ。ArityやLexisNexis Risk Solutionsなどの企業が安全なUBIプログラムを提供している。ArityはFordのパートナーで、三菱はLexisNexis Risk Solutionsと提携している。自動車メーカーも独自のUBIサービスを提供している。Teslaは現在、米国の5つの州でUBIを提供しており、General Motors(GM)は昨年、同社のOnStar保険の2030年収益目標を60億米ドルに設定した。
交通、安全、危険に関する情報はデータ駆動型サービスのもう1つの柱である。車両から収集されたデータは、滑りやすい道路や封鎖された道路など、交通や危険な道路状況を判断するために使用される。Audiは昨年、高精度の群衆データを使用した迅速な警告アラートの発行を目指し、スウェーデン企業のNIRA Dynamicsと提携した。Audiは横滑り防止装置(ESC)の作動、雨センサーおよび光センサー、フロントガラスのワイパー、ヘッドライト、緊急通報、エアバッグトリガーなどのローカルハザード情報データを分析する。
データ管理企業
自動車データ管理企業の最大手として、Mojio、Wejo、Otonomoが挙げられる。Mojioはテレマティクスソリューション、データ分析、インテリジェンスを提供するデータ・ソリューションプロバイダーであり、位置や走行距離などの車両データを収集し、人工知能を使用してクライアントに詳細分析を提供する。同社はこれまでにAmazon Alexa Fund、T-Mobile、Bosch、Relay Ventures、Deutsche Telekom Capital Partnersなどから資金を調達してきた。同社のパートナーはBosch、Audi、AT&T、T-Mobileなどである。
Otonomo Technologiesは、コネクティッドカーデータのマーケットプレイスを提供する。このプラットフォームは自動車データを処理し、会計、請求、セキュリティ、市場管理、プライバシー保護、規制順守、データ匿名化に対応する。同社のパートナーはAudi、Daimler、三菱、Stellantis、BMWなどである。OtonomoのAutomotive Data Servicesプラットフォームは、複数ソースからの自動車データを集約および正規化し、データセットとインサイトを提供する。ユースケースには、トラフィック管理とロケーションインテリジェンスが含まれる。同社は昨年、特別買収会社(SPAC)の合併の一環としてNASDAQに上場した。
Wejoは、自動車データ交換プラットフォームを通じて、自動車メーカー、保険会社、サービスプロバイダーにインサイトを提供する。NASDAQに上場しており、パートナーにはDaimler、HELLA、Microsoft、Iteris、Palantirなどが含まれる。Wejoのデータベース製品にはライブトラフィックとトラフィックインテリジェンスが含まれ、スピード違反とブレーキングのパターン解読に貢献する。同社は今年初めにWejo Neural Edgeを発表した。これは、自動運転車、EV、商用車のデータを分析後、重要情報のみをクラウドに送信するものである。
市場範囲
ユースケースの多様性を考えれば、自動車データの収益化機会は膨大だ。コネクティッドエコシステムへの移行により、自動車企業は顧客の好みを容易に入手・分析し、インサイトを提供することができる。
Stellantis、Volkswagen、GMなどの自動車メーカーは、今後5〜10年間でソフトウェアビジネスを成長させるために数十億ドル規模の予算を割り当てている。データ管理のスタートアップ企業が成長し、自動車メーカーや規模の大きい企業に買収される可能性もある。データインサイトの検証は、顧客向けサービス強化のための無線(OTA)更新の使用によって示される。重要ポイントの1つは規制である。データフローが多い場合、適切な規制がなければセキュリティとプライバシーの問題が発生する可能性がある。車両データと個人データの間の境界線は微妙だ。公正な市場慣行を規制化し独占を回避するには、車両データの第三者への提供が不可欠である。EUの2018/858規則には、自動車メーカーがどのタイプの車両データを利用可能にするかに関する具体的要件が含まれている。
ロシアとウクライナ、自動車産業への影響
2022年3月17日-AutoIntelligence | 戦略レポート
Ian Fletcher, Principal Analyst
Tim Urquhart, Senior Analyst

2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻は、人類の悲劇であり、すでに世界経済に深刻な影響を及ぼしている。石油とガスの価格高騰は生活コストに影響を及ぼし、米国、EU、英国、カナダはロシアに対して企業および個人向けの大規模国際決済システムであるSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除を含む、前例のない規模の経済制裁措置を発動した。紛争の結果として、またロシアを経済的に孤立させる制裁体制の結果として、自動車生産に直接的な影響が及ぶことはもはや避けようがない。
ロシアとウクライナの紛争を背景に、S&P Global Mobility(旧IHS Markit)は2022年と2023年の世界ライトビークル生産予測をそれぞれ約260万台、下方修正した。3月の予測ラウンド後、世界ライトビークル生産台数は2022年に8,140万台、2023年には8,850万台への到達が予測されている。グローバル生産予測担当エグゼクティブディレクターであるMark Fulthorpeは「3月予測では2022年と2023年の見通しからそれぞれ260万台を削減したが、下振れリスクは大きい。コンティンジェンシー(不測の事態)シナリオでは、今年と来年の予測値から最大400万台削減の可能性がある」と述べている。 2022年予測では欧州生産だけで170万台を削減したが、これはロシアとウクライナで失われた100万台を少し下回る需要が含まれている。残りの削減の要因は半導体供給問題の悪化とウクライナから調達されるワイヤーハーネスやその他のコンポーネントのロスであり、どちらも他市場の生産に影響を及ぼす。さらにロシアのパラジウム供給が失われることは、業界最大の供給制約となり得るリスクである。現在から2030年までのライトビークル生産予測からは、これまでに計約2,500万台が削減されている。
欧州に次いで予測更新の影響が最も大きい地域は、北米である。北米のライトビークル生産予測からは、2022年に48万台、2023年に54万9,000台の削減となった。ロシアとウクライナの紛争のなか、北米ライトビークル生産に関する3月の予測更新では紛争とその後の制裁が2022年後半の半導体生産に影響を与える可能性により、事実上すべての自動車メーカーに及ぶ広い範囲の削減が考慮されている。さらに、サプライチェーン、労働、物流の長引く課題が依然、重要な懸念事項として残る。
繰延需要が減少、サプライチェーンが依然として制約要因
ロシアがウクライナに侵攻する以前、グローバル自動車産業では能力に制約のある状況が1年以上続いた。ロシアによるウクライナ侵攻前には、グローバルな繰延需要は今年到達可能なライトビークル生産を最大1,000万台(12%)上回っていると推定されていた。ライトビークル販売は2022年と2023年に減少が予測されていたが、これは繰延需要のロスよりも生産のロスに関連するものと考えられていた。しかしウクライナでの紛争によって(石油と原材料の価格高騰、株式市場の低迷、金利の引き締めなどのせいで)経済に対する信頼が損なわれ、潜在する繰延需要も弱まっている。未達需要は約3分の1削減されたと見られるが、それでもかなりの繰延需要が残るだろう。
マクロ経済の懸念は重大だが、サプライチェーン(と潜在ではない消費者需要)が、中期的に自動車販売台数の上限を設定する要因となる状況が続く。ウクライナ侵攻以降の生産レベルを圧迫する主な逼迫ポイントは、半導体材料の供給(具体的にはウクライナのネオンとロシアのパラジウム)と、電気配線ハーネスの調達という、2大カテゴリーに分けられる。
専門材料供給の問題が半導体の回復を削ぐ可能性も
半導体供給の課題は2つの面で悪化している。1つは、ネオンガス供給の混乱拡大である。半導体産業向け高純度ネオン供給のほぼ半分をウクライナのサプライヤーがコントロールしているが、半導体産業はマイクロチップにパターンをエッチングするレーザーにこの元素を使用している。当社の初期調査によると、半導体メーカーはネオンガス在庫を十分保有していることから当面のリスクは低いと見られるが、この問題は目に見えにくいことに留意したい。2つ目の課題は、半導体のメッキと仕上げに使用されるパラジウムの供給である。さらに加わったネガティブな展開は、中国の新型コロナウイルス感染症例数が2年ぶりの高水準に到達し、ShenzhenとChangchunを含む北東部の製造拠点での検疫と工場閉鎖をもたらしたことである。こうした問題はすべて、マイクロチップの「立ち往生」によるロス・リスクを高める。つまり、「右ハンドル」車用の半導体が他の制約のせいで製造できないのである。
ウクライナ製ワイヤーハーネスは代替が困難
当社の調査によると、ウクライナ製ワイヤーハーネスは、侵攻前には約50万台から100万台の自動車用に利用されていた可能性が高い。これらのハーネスは手作業による複雑なケーブルのアセンブリを構成する。デュアルソーシングの手配もいくつか存在するものの、欧州とその周辺ではすでにハーネス能力が制限されており、切り替えは困難だ。状況がすぐに解決されない場合、マシンの待ち時間と数ヵ月を要する人員のトレーニングのため、生産移転には3〜10ヵ月かかると推定される。通常、ウクライナ製ワイヤーハーネスのほぼ半分(45%)がドイツとポーランドに輸出されているため、ドイツ系自動車メーカーに対する影響が大きい。ただしこれはいったん立ち上がれば、失われた生産は2022年後半以降に急速に回復する可能性があることが挙げられる。
パラジウム:次の潜在的課題
いまのところ確率は低いが、パラジウムが業界最大の供給制約要因になる可能性もある。米国地質調査所によると、世界で採掘されるパラジウムの40%がロシア産である。パラジウムの約3分の2は自動車用途で、排気ガス後処理用の触媒コンバータの活性元素として使用されている。ロシアのパラジウム供給が(西側のボイコットまたはロシア側の供給停止によって)突然中断された場合、これらの供給材料を使用するすべての自動車(ハイブリッドを含む)の生産が停止する可能性がある。プラチナは代替要素だが、同じく高価であり、主にロシアを調達源としている。設計変更には規制の再承認が必要となるが、これには数ヵ月を要しコストもかかることから、あらゆる種類の代替品が規制面で潜在的な危険をはらんでいる。ただし、現時点の予測ではパラジウム供給の大きな混乱は考慮していない。
西欧の複数の自動車メーカー、特にウクライナのLeoniの工場からワイヤーハーネスを調達しているドイツ系自動車メーカーが影響を受けている。Volkswagen(VW)Passenger Carsブランドは、Zwickau、Dresden、Emden、Hannoverの各工場の操業停止をすでに発表している。Porsche、Audi、BMW、Mercedes-Benzもそれぞれ、ワイヤーハーネスの問題によって製品に混乱が生じることを発表している。
天然ガスのコストは紛争の結果として必然的に上昇している。欧州は供給をロシアに依存していることから、このコスト上昇の影響をまともに受けることになり、価格面で家計に直接打撃を与えるだろう。天然ガス費用のさらなる上昇は、同地域の業界、特に自動車セクターのようなエネルギーに敏感な材料に依存している業界にも打撃を与えることにもなりそうだ。この追加コストは価格引き上げという形で顧客に転嫁され、自動車需要が弱まる可能性もある。鉄鋼、アルミニウム、ニッケルなどの他の投入コストも急上昇に向かおうとしている。
ロシアの自動車市場自体も、顕著な混乱期を迎えている。米国、EU、英国、カナダによって課せられた経済制裁は、これまでに課された中で最も厳しく、複数のグローバル自動車メーカーがロシアへの自動車輸出を完全に停止し、生産も停止した。VW、日産、トヨタがこのカテゴリーに分類される。Fordにも、現地メーカーであるSollarsとの小型商用車の合弁事業(JV)の停止という影響が直ちに見られた。ロシアで販売台数第2位の自動車グループであるHyundaiはロシア国内工場でのHyundaiとKiaの生産を停止したが、再開予定日は発表されていない。販売面で最大の自動車ブランドは国内チャンピオンであるLadaで、親会社のAvtoVAZが生産停止を発表したが、それまでの停止要因である半導体不足をその理由に挙げているが、制裁措置の影響を受ける可能性もある。Volvo、Jaguar Land Rover、Bentley、Ferrari、Lamborghini、Porsche、Aston Martinなど、その他の多くの高級自動車メーカーも輸出停止を発表した。
ウクライナの自動車市場は紛争によって大きなダメージを受けるだろう。Renault GroupはAvtoVAZの株式を過半数所有しており、ロシア市場へのコミットメントでも大きな結び付きがある。3月14日、ロシアのウクライナ侵攻を受けて同業他社が講じた措置に反して、同社はロシア事業の放棄を躊躇していると報じられた。資産が国有化されるかもしれないという脅威によって、同グループの現地事業からの撤退には高コストがともなう懸念がある。フランス政府が支持しているとの主張をよそに、この立場が維持できるかどうか、現在の状況ではまだ不明である。
ウクライナ紛争が中型&大型商用車に与える影響
Andrej Divis, Executive Director, Global Truck Research
Ewa Root, Associate Director, Global Truck Research
Christiane Stein, Associate Director, Global Truck Research
Miki Sasaki, Associate Director, Global Truck Research
戦闘が急激に拡大してから2週間が経過したが、ウクライナでの戦争が世界のトラック市場に与える影響はいまだ明らかな状況とはほど遠い。とはいえ、重要かつ潜在的な影響伝搬のメカニズムはおおよそ明らかになりつつあり、これは短期的にある程度予測可能な形で市場に影響を与えると見られるものや、より不確実かつ潜在的に長期的影響を及ぼすものもある。外国系自動車メーカーはロシア展開を見直しており、ロシア系トラックメーカーを含む欧州の自動車メーカーは、計画していた部品とシステム納入の中断に直面している。
全般的に、ロシアとウクライナの経済と、世界のその他地域との間の貿易と金融のつながりは、制裁にともなってダメージを受けることが予想される。次に、貿易の混乱が世界の大部分の地域で経済生産と貨物輸送の短期的減少につながる可能性がある。信頼感に対する影響は不明だが、この動きを悪化させる可能性もあるだろう。危機の深刻度と期間についてはさらなる疑問がある。こうした要因がトラック市場の見通しが単なる調整なのか、市場の方向性の完全な逆転なのかを決定する。貨物への影響はさまざまな方向から発生し、多少異なる時間軸にしたがって到来する。
ロシアの事業体に対する制裁が打撃を与え、戦争によって国境での物資の流れが混乱することから、ロシアとウクライナが関わる輸出入はただちに急落するだろう。これは何よりもまず欧州に影響を与える。並行して、天然ガスと原油の輸出国としてのロシアの重要性によって、ロシアの通貨安と世界のエネルギーコスト上昇が世界のインフレ水準を上昇させ、個人消費のブレーキとして機能し、家計収入を圧迫し、商品と商品配送に対する裁量支出の削減につながる。金利への影響はどちらの方向にも進む可能性が主張されるだろうが、現段階では、金利に対する反射的なリアクションは予想されていない。最後に、エネルギー部門以外の特定産業のグローバルサプライチェーンにおけるロシアとウクライナの独自ポジションが、両国の経済規模に単純に比例しない供給混乱をもたらす可能性がある。S&P Global(旧IHS Markit)は、触媒コンバータ用パラジウムの供給源としてのロシアの重要性をすでに指摘している。そのほか、肥料、穀物、特定の産業ガスなど、例を挙げればきりがない。
トラック需要への直接的影響は、何よりもまず欧州で顕在化するだろう。ウクライナ-ロシア戦争は両国だけでなく、同地域内の大型商用車市場に影響を与えると予想されている。ロシアから東欧以外に輸出される新車トラックの台数規模は現地生産の約5%と少なく、一方のウクライナは大型商用車を生産していない。しかしながら危機の結果として深刻化が予想されるサプライチェーンの混乱は、必然的に新車トラックの納入に影響を与えるだろう。ウクライナは多くの部品サプライヤーにとって欧州の主要ハブであり、現在の危機はワイヤーハーネスを含む多くの重要部品の供給を著しく混乱させ、欧州系自動車メーカーにとって大きな圧力となるだろう。エネルギーと原材料の価格高騰はトラック価格の上昇につながる。
物流企業は、インフレ上昇と燃料価格高騰、そしておそらくロシアかウクライナ出身のドライバー人員の不足に起因するオペレーションコスト高騰に見舞われるだろう。両国との関係から、欧州市場が最も大きな影響を受けると考えられる。独立国家共同体(CIS)の貨物会社はロシアの成長に大きく依存しているため、経済減速の打撃を受けるだろう。またロシアブランドのトラック生産の平均約20〜25%を輸入していることから、新車トラックの納入も中断することになる。西側諸国がロシアとベラルーシに対して発動した経済制裁は、両国の物流企業の国際的活動を困難にし、凍結させるだろう。こうした状況が欧州の他地域にも新たな課題をもたらし、紛争コストは同地域の多くの貨物会社にとって負担になる。ロシアの侵攻行為により、世界中の多くの企業が同国との関係を断ち切り、事業を他の場所に移転した。
これがロシアの物流企業に莫大なコスト負担をもたらすとともに、国内では店舗や工場が閉鎖され、配送サービス需要は枯渇し始める。世界中の企業がロシアとの関係を放棄することから、輸出機会も影響を受ける。さらにルーブルの下落、貸付へのアクセス制限、高金利といった問題が、国内貨物会社が抱えているトラブルに上乗せされる。ロシアには多くの西欧およびアジアのトラックメーカーが存在し、現地需要の平均15〜20%を供給している。輸入車はトラック販売の約30%を占め、50〜55%がロシアブランドだ。
欧米系自動車メーカーの大多数がロシアでのトラック販売を凍結したことから、この割合はロシアとベラルーシのブランドに有利にシフトしようとしている。しかしKamAZ、GAZ、Ural、MAZが現在の制裁の波を乗り切って新規注文に対応できるかどうかは疑問で、同国に壊滅的な経済的影響が及ぶことを考えれば、いずれにせよほとんどなくなるかもしれない。
戦争が他地域に与える間接的影響の見通しを語るのは時期尚早である。主要経済国の3月の景況感データ発表が最初のヒントになるかもしれない。
生産に関しては、世界第8位のトラック生産国(2021年世界トラック生産の2.4%)として貢献しているロシアには、程度の差はあれ影響がすぐに現れた。西欧系メーカーはロシアへのトラックとスペアパーツの配送を停止した。同じことがこの地域のサプライヤーにも当てはまる。
Daimler TruckはMercedes-Benzと三菱ふそうのトラックの現地生産とKamAZへの供給を停止した。Mercedes-Benz GroupもKamAZの株式15%の売却を検討している。2021年に5,000台以上のトラックを生産したVolvoTrucksも、Kalugaでの生産を停止した。こうした自動車メーカーのトラック生産台数は週200台で推移している。残りの外国系自動車メーカー(欧米、トルコ、日本、韓国)も生産を停止すれば、失われた生産台数は週360台に増えるだろう。MANとScaniaの両ブランドを擁するTraton GroupはSt Petersburgでの製造業務を規則に従って停止した。
KamAZは声明の中で、西側からの供給は中断しているがトラック生産は継続すると述べている。同社はロシアの2021年トラック生産の55%を占めている。状況の変化にともない、KamAZでは、Daimler Truckとともに開発した新たなK5プラットフォーム用のコンポーネントの現地生産拡大に取り組む一方、旧式のK3プラットフォームでの車両生産を増やすよう生産計画を調整する。これはKamAZのトラック生産台数が、以前の1日あたり200〜210台から、1日あたり180台に調整されることも示唆している。K4プラットフォームは年末までに停止される。他の現地メーカーも、モデルラインナップに含まれる外国製比率に基づいて生産台数を調整し、機能水準を下げた製品にシフトしていく。
ウクライナでのトラック生産はすでに停止しており、国内需要向けのバス生産も低水準(週に約9台)だったがこれも停止したものと推測される。
中期的には、特定商品の国際取引の混乱がさらなる材料価格の上昇またはリードタイムの長期化をもたらし始め、それにともなっておそらく欧州だけでなく他地域でも生産がさらに制限されることから、より微妙な影響が前面に出てくる可能性もある。
最後に、パワートレインにも影響があある。ロシアのエンジン生産は世界全体の2%を占める。ロシア製エンジンの89%は国内生産車用で、8%はベラルーシへの輸出車用である。エンジンメーカーとしては、KamAZ、GAZ Group Yaroslavl、ZAO Cummins Kamaの上位3社で全体の96%を占めている。Cumminsは2月28日、KamAZとの関係に関する協議を拒否したが、ロシア事業にある程度の影響が出ると予想している。Daimler TruckはKamAZとのすべての協力を停止し、KamAZとDaimler Truckの関係はエンジンにまで及ぶが、Daimler TruckエンジンはKamAZ車で使用することはできない。KamAZはエンジン戦略の再考を迫られるだろう。エンジン生産への主な影響は、物流の問題と海外メーカーとの関係見直しによるものである。現在の物流の問題から、欧州のエンジン生産への影響も車両同様に懸念されている。
さらに今後、欧州のエネルギー供給問題とそれにともなう価格上昇が、特にディーゼル燃料に現れ、フリートの燃料タイプ選択に影響を与える可能性があると考えられる。当社では現在、この問題の側面を調査している。
中国の感染拡大によりトヨタ、Volkswagen、Foxconnのオペレーションが混乱
2022年3月15日

Source: Getty Images
2022年3月15日のReutersのレポートによると、トヨタ、Volkswagen、Appleの主要サプライヤーであるFoxconnが中国における感染拡大によって操業を停止しいてるという。国家衛生健康委員会(NHC)の3月14日の発表によると、中国本土で合計1,437件の新規感染者が報告されており、うち1,337件が症状をともなう市中感染者だという。Changchun市が封鎖されているため、トヨタはFAW Groupの合弁会社であるChangchun工場の生産を停止した。同様に、VolkswagenとFAW Groupの合弁会社もChangchun工場の生産を停止した。
新規感染者数の急増を受けてShenzhen当局は公共交通機関を一時停止し、全市民を対象に検査を実施、市民には在宅勤務を強く要請している。3月14日にはFoxconnとUnimicron TechnologyがShenzhenでの操業を停止した。Foxconnは通知があるまで操業を停止し、生産への影響を最小限に抑えるためバックアップ工場を配備する、と述べている。
重要ポイント:自動車メーカーや電子企業が半導体不足に直面しているさなかに、新たな感染拡大の波によって世界のサプライチェーンに脅威が加わった。ShenzhenとChangchunの生産拠点に課せられた封鎖は、世界のサプライチェーンに大きな影響を及ぼしている。ShenzhenとChangchunを含む中国の複数の都市や省が、ウイルス発生を抑制するという国のゼロコロナ政策にしたがって規制を強化している。
ライトビークル生産と半導体供給問題の最新動向
自動車メーカーは依然として半導体サプライチェーンの問題に直面している。
世界自動車生産ロス: 最終日が3月11日の週現在の推定
2021年第1四半期:1,438,239台(変更なし)
2021年第2四半期:2,597,811台(変更なし)
2021年第3四半期:3,484,978台(変更なし)
2021 年第4四半期:2,059,883台(変更なし)
2022年第1四半期: 896,001台(+66,674台)
2022年第2四半期: 41,941台(+19,870台)
[完全な詳細データは当社予測サービスのクライアント様限定で提供しています。
AsiaPacificAutomotive@ihsmarkit.comまでメールでお問い合わせください]
2022年第1四半期の最新報告では、半導体の混乱によって失われた自動車生産台数が66,674台増加した。
欧州では16,500台の生産削減となり、BMW、Renault、Stellantisの施設に影響が及んでいる。この数ヵ月間、状況が見えづらかった中国本土ではGeelyとGreat Wallの工場を対象に40,000台の削減が見られた。北米では1,984台が削減され、FordとStellantisの工場に影響が出ている。日本はホンダで今週3,880台削減の可能性がある。ブラジルではトヨタで2,330台のロスとなっている。南アジアではタイのいすゞとマレーシアのPerodua とProtonで1,930台が削減されている。
2022年第1四半期の生産スケジュールに引き続き調整が入っていることに加え、第2四半期でも混乱が報告されている。今週の情報更新では、第2四半期に累積41,941台の生産ロスという影響が示唆されており、前回更新と比較して19,870台増加した。今週の変更はほぼすべて、VolkswagenのWolfsburg工場でのシフト削減を反映したもので、4月と5月のオペレーションに影響が出ると予測されている。
半導体不足をより正しく織り込むように生産スケジュールの調整が進んでいることが指摘されており、自動車メーカー各社からはそれほど劇的な発表は出てこないものと考えられる。変更があまり顕著なものでなくなってくるにしたがい、こうした出来事の報告はあまり目立たなくなっていき、生産スケジュール調整は2021年の大半に報告されたような大きな発表ではなく、どちらかと言うと「少し進んでは止まって」という形で釣り合いを取っていくことになりそうだ。
トヨタが12月にマレーシアを襲った洪水を理由として2月と3月の生産スケジュールの大幅削減を発表したが、こうした発表を踏まえても上記の分析はおおむね合致していると言える。遅れて現れてきたこの波及効果は顕著なもので、サプライチェーンが外部からの衝撃にどれほど敏感かということを改めて示した。新型コロナウイルスのオミクロン株はすでに自動車工場に目に見える混乱をもたらしており、半導体を含むサプライチェーンにも混乱をもたらすと予測される。当社では今週、中国本土の第1四半期の自動車生産がさらに37,000台失われたことを確認したが、これはBYD、FAW、そしてFAWとトヨタおよびVolkswagenとの共同オペレーションに影響を及ぼしたシャットダウンが背景にある。さらにトヨタの主要サプライヤーである企業でシステムが停止したことから、トヨタでは3月1日に同社の国内自動車工場全体で15,700台が失われたことが推定されている。
こうしたリスクは別として、当社では危機と回復の特徴を下記のように捉える見方を維持している。
- 2022年上半期:半導体のリードタイムは安定するが、引き続き26週間以上。注文確定に時間がかかれば、サプライチェーンが数量またはスケジュールへの対応を保証できなくなる。
- 2022年下半期:リードタイムは改善されるが、それでも通常より長く、供給は引き続き需要に遅れをとる。
- 2023年上半期:改善が継続、追加のウエハー製造能力が稼働しリードタイムがさらに改善される。サプライチェーンが現行需要に対応できるようになる。
- 2023年下半期:改善が継続、失われたバックログに対処し、顧客の数量とスケジュールの要求に一貫して対応できるよう、サプライチェーンが前進する。
ウクライナの危機によって、半導体サプライチェーンにさらなるリスクが生じている。半導体ウエハーにエッチング処理を施すレーザーに使用される高純度ネオンガスはウクライナとロシアの調達源に依存していることから、これが懸念材料になる。一方でサプライチェーンに関わる多くの企業が、ガスの在庫量と費用はかかるものの、他の調達源も実行可能であることを考慮し、前向きなコメントを出している。時間がかかり価格も上昇するが、現在の当社の評価では、2021年第1四半期にルネサス那珂第3工場が稼働不能に陥ったときよりも混乱の水準は低いと見ている。
これとは別に、ウクライナの危機がもたらした生産への直接的影響を把握するための追跡タブを週次更新ファイルに設けている。ダウンタイムの長さはまだ判断がつかない状況だが、危機前の工場オペレーションの最良推定値をベースに、混乱が予測される1日あたりの生産台数レベルを提示している。事態はいまだ流動的なことから、絶対的効果を捉えようとするよりもそのほうが有益だと考えられる。
サプライチェーンの混乱:2022年も続く理由
ワシントンDC(2022年1月20日)― 過去30年間、進化し続けてきたグローバル・サプライチェーンシステムは、今やかつてない緊張状態にあり、混乱の解決は「短距離走」ではなく、2022年も続く「マラソン」の様相を呈している。
The Great Supply Chain Disruption:Why it Continues in 2022(サプライチェーンの混乱:2022年も続く理由)というこのレポートは、世界経済の幅広い分野の第一線で活動するIHS Markitエキスパート陣による考察と展望を提供している。(レポート完全版はへ)
「グローバル・サプライチェーンで起きていることは、破壊的であるだけでなく歴史的でもある」とIHS Markitバイスチェアマンであり、本レポートの編集者であるDaniel Yerginは述べている。「インフレも新たな焦点として加わり、2022年以降のサプライチェーンを理解する必要性がますます高まっている」。
混乱と不透明さをもたらしている新型コロナウイルス感染症以外にも、実質能力、物流、労働力といった課題が存在する。
「各業界はサプライチェーンの混乱の根底にある業界固有の課題と環境に取り組んでいる」とIHS Markit海運および貿易担当バイスプレジデントで、本レポートの共同編集者であるPeter Tirschwellは述べている。「統合的な視点のみが、問題を把握し、解決に時間がかかる理由を明らかにする」。
本レポートに収録されたIHS Markitエキスパート陣によるインサイトの一部は以下。
製造- Chris Williamson (IHS Markit チーフビジネスエコノミスト)
2021年には納期の大幅な遅れが見られ、2022年1月には多くの企業が大幅な生産制限を経験した。投入コストをみても、パンデミック以前の10年のどの時点よりも数値が急上昇している。
「30年の実績があるIHS Markit購買担当者指標によると、2021年ほどサプライヤーによる納期が長期化したことはない」とWilliamsonは述べている。「2022年に入って供給不足によって生産が制約されていると報告する企業の数は、長期平均の3.5倍となった」
「こうした圧力の結果として、IHS Markitでは世界経済成長予測を引き下げ、インフレ予測を引き上げた。パンデミックがサプライチェーンに影響を及ぼす期間が長くなればなるほど、成長見通しは弱くなる。2021年中盤には2022年の世界GDP成長率を4.5%と予測していたが、最新の予測は4.2%に引き下げた。これはインフレが想定以上に拡がっていることが主因だ」
「一方、12,000社を対象とした2022年事業展望調査によると、利益期待値はパンデミック期間中で最も弱い水準となっている。価格高騰、供給不足、高価格に対する顧客の抵抗、そして価格上昇後もコストを顧客に転嫁できず利益率が損なわれることへの懸念が広まっている」
コンテナ輸送- Peter Tirschwell(IHS Markit海運および貿易バイスプレジデント)
港湾の混雑によって、船舶、コンテナ、シャーシなどの輸送資産の循環移動は大幅な遅延が続いており、キャパシティ(積載量)は削減され、移動に要する時間は長期化し、輸送料金は高騰を余儀なくされている。
「2022年が始まっても状況は改善されていない。行き詰まり解消の糸口が見えていると言いたいが、率直に言って、そうではない」とTirschwellは述べている。「パンデミック以来繰り返し発生しているこの課題は、次のショックが発生するまでにシステムが回復する時間がないということだ」
「2020年のロックダウン中に、米国の個人消費が旅行、レジャー、エンターテインメントといったサービスから住居リフォームへ、そして実店舗からeコマースへと大きく変動したとき、コンテナ・サプライチェーンは前例のない緊張状態に置かれた。eコマースには配送センターが必要であり、配送センターの能力は準備万端にはほど遠い状態だった。現在も準備は整っていない。5年~7年分のeコマースの成長が1年に圧縮された。さらに、景気刺激策が消費力を高めた結果、たとえば2021年の米国の輸入コンテナ量は、2019年と比べて20%近く増加している。これはパンデミック以前の10年間よりもはるかに高い成長率だ」
「コンテナ・サプライチェーン危機を悪化させているのがキャパシティだ。海運会社と貨物輸送業者は、需要増にも対応できる十分な船舶とコンテナがあると報告しているが、問題はそのキャパシティの多くが遊休状態になっているか循環が遅くなっていることにある。混雑のせいで利用できなくなっているキャパシティは10〜15%と推定されている」
自動車- Matteo Fini(IHS Markit オートモーティブ・サプライチェーンおよびテクノロジー バイスプレジデント)
半導体と電磁鋼の世界的な不足は2022年も継続となり、自動車メーカーは生産制限と、リーン(無駄のない)在庫やジャスト・イン・タイム製造など長年前提としてきた慣行からの脱却を余儀なくされている。
「自動車サプライチェーンの問題は過去に例を見ないものだ。そしてこれがすぐに修正されるかどうかと問われれば、答えはノーだろう」とFiniは述べている。
「これはリーン供給を前提とし在庫をできるだけ少なくする、有名な「トヨタウェイ」に反することを意味する。自動車メーカーは特定部品の在庫のありかたを検討している。OEMにとって1週間あたり5,000万ドル以上のコスト負担となり得るライン停止と比べれば、その在庫保有コストは相対的に見て取るに足らないものだといえる」
エネルギー- Jim Burkhard(IHS Markit 石油市場、エネルギーおよびモビリティ バイスプレジデント)
1年前と比較すると、原油、石炭、天然ガスの価格は大幅に上昇しており、これは景気回復に伴う力強い需要によるものである。一方でこうした価格上昇はインフレと地政学的リスクにつながり、さらなる混乱を引き起こす可能性があるため、その懸念が市場に漂っている。
「欧州とアジアでガスのスポット価格が上昇している理由は単純明快で、需要が強く押し上げられているからだ」とBurkhardは述べている。「2021年第3四半期には需要が世界全体で約9%増加した。これが生産能力を削ぎ落としたことで、短期的には供給が比較的柔軟ではない状況だ。石炭が限界に達してガス需要が押し上げられた。この供給を割り当てる唯一の道筋は、最近見られたように、ガス価格がまったくアンカー(固定)されない状況になることだ」
「石油は液化天然ガスほどではないものの、大幅に上昇している。これは他の多くのセクターで見られたように、2021年に需要が大幅に回復したことがその理由の1つだ。液化天然ガスや石炭は余剰能力にヒットしたものの、石油はそうではなかった。原油生産の余剰能力は1年前と比べて少なく、1日あたり約300万バレル。2022年にOPECプラス協定以外の、米国やその他からの供給に大幅な伸びがない場合、余剰能力はさらに縮小する可能性があり、その場合は石油市場がさらに危機的な傾向を示すだろう」
農業- Tom P. Scott(IHS Markit アグリビジネス・コンサルティング バイスプレジデント)
パンデミックがもたらした食肉包装など労働集約的プロセスにおける労働力不足、およびコンテナ輸送の混乱による農業生産への大規模な影響がコストを押し上げ、農業分野においてもリーン在庫が見直され、自動化が一層重視されている。
「労働供給が逼迫しているということは、交渉力が雇用者側から従業員側へとさらにシフトしていることを意味する」とScottは述べている。「以前から人件費と労働供給の解決策として自動化を検討していなかった場合、パンデミックが自動化を検討するきっかけになっている」 「もう1つ、結果として浮かび上がったのは、ビジネスリーダー世代はこれまで「ジャスト・イン・タイム」型サプライチェーンの構築に注力し、在庫を最小限に抑えてきたということだ。これが100%逆転することはないものの、将来の混乱に対する防御として在庫レベル、より広い意味ではサプライチェーン、および緩衝在庫や回復力の観点から必要なことについて再考が必要とされている」
労働および原材料- John Anton(IHS Markit 価格および購入サービス ディレクター)
2022年、企業が労働力、特に最低賃金水準に属し、感染の危険性が高く、仕事に戻ることを躊躇するサービス労働者に対して、より多くの賃金の支払いを余儀なくされるだろう、とAntonは述べている。
「要するに、2022年には労働にもっと金を払うことになるという、きわめて単純な話だ」とAntonは指摘している。「商品需要が高止まりしているために、労働供給の問題が発生している。米国では2021年第4四半期の商品に対する個人消費は2019年第4四半期と比較して17%増加し、耐久消費財への支出は23%増加した。通常の状態でも、雇用者は需要を満たすためにより多くの労働者を雇わなければならず、労働市場が逼迫した状況下では、雇用者は多くの賃金を支払う必要があることを認識している」
「2022年に考慮すべきもう1つの点はインフレだ。インフレ率の上昇はもはや一時的なものではなく、米国に限られているわけでもない。南北米と欧州のインフレ率上昇は、賃金圧力を増大させるだろう。インフレ予想に基づいて賃金引き上げを要求すれば、インフレを悪化させることになる」
地政学- Nathalie Wlodarczyk(IHS Markit リスク・インテリジェンス・ソリューション バイスプレジデント)
各国政府が戦略的資源をコントロールし、競争上の優位性を確保しようと努めることから、2022年のサプライチェーンでは政治的決定がきわめて重要な役割を果たす。
「サプライチェーンの回復力に認められる長期的課題には、2つの重要な構成要素があり、いずれも最終的にはより体系的なシフトにアンカーされる」とWlodarczykは述べている。「地政学的リスクとして、今後のサプライチェーンに政治的決定がはるかに重要な役割を果たすものと考えられるが、それは特に各国政府が戦略的資源と競争上の優位性確保の方法について決定を下すという点においてだ。エネルギー転換に不可欠な戦略的鉱物およびコンポーネントが重要な焦点となる可能性はあるが、国内の回復力を支えるため、全般的に有利な貿易関係を確保したいという大局的な動きもある」
「気候ストレスと社会およびガバナンスの不安定さによるサプライチェーンへの直接的混乱と、持続可能性の信用向上と企業の評判保護に対する規制、株主、消費者の圧力という、2つの側面も忘れてはならない」
2022年上半期の半導体供給に関するリスク速報
オミクロン株によってフィリピンからの半導体供給が停止?
- フィリピンで新型コロナウィルスの感染数が垂直的に増加していることから政府によるロックダウンの脅威が浮上しており、同国の重要なOSAT(半導体の組み立てとテストを請け負う製造業者)施設が、すでに脆弱な状態にある世界のサプライチェーンから一時的に分断される可能性がでてきた。
- 2021年第3四半期にマレーシアで起こった半導体供給の「バックエンド」のボトルネックが今度はフィリピンで再現され、世界の自動車生産に大きな影響を与える可能性がある。
- 想定される影響はマレーシアよりも小さいと見られるが、製造施設の完全なロックダウンが実施された場合、今後6ヵ月以内に失われる自動車生産は最大140万台になると推定される。
- フィリピン政府は感染数増加を抑制するため複数の規制を制定して厳格なロックダウン実施という事態を回避しようとしている。しかし、広範囲にわたるSinovac製ワクチン接種の有効性が不確かという可能性も示唆されており、オミクロン株による症状は比較的軽いと報告されているものの、入院急増のリスクが高まることもあり得る。
背景
自動車業界の2022年は、楽観的な見通しで始まった。半導体不足に起因すると認められた生産ロスは昨年夏と初秋に比べて大幅に減少し、メーカー各社は2022年初頭に生産スケジュールの強化を示唆し始めていた。しかしながらトヨタが2022年2月生産計画の大幅削減を発表し、現在の半導体サプライチェーンの脆弱性が再び浮き彫りとなっている。この事象は、12月下旬になってマレーシアの半導体最終組み立てユニットに混乱が遅れて生じたことが主な要因であろう。夏季に実施された厳格なロックダウン後の回復は順調だったが、12月後半の大規模な洪水によって物流が中断され、半導体施設を含む製造工場が停止に追い込まれた。今年第1四半期の自動車生産に対し、この影響を受けるOEMがトヨタだけである可能性は低い。
マレーシアにある半導体のテスト、パッケージング、組み立ての施設への外注依存度が非常に高くなっていることが、この6ヵ月で改めて浮き彫りになった。車載用途の半導体供給が非常にタイトであることを考えると、OSAT拠点にまた別の混乱が発生する可能性がもたらすリスクは高くなる。
IHS Markitでは今後数週間でフィリピンにある同様のOSAT施設からの供給が混乱する「可能性」を特に懸念しており、注意深く観察すべきリスク監視項目とすることを提案している。
フィリピンのロックダウン・リスク
フィリピンではここ2週間で新型コロナウィルス感染数が大幅に増加した。1月中旬にオミクロン株の感染事例が保健省から報告され、人口100万人あたりの感染平均は、年初のほんの数例から、300例以上に増加している。これは欧米諸国から見ればまだ低いものの、現在アジアで最も高く、マレーシアが昨年夏に完全なロックダウンの実施を決定した際の基準値をすでに超えている。
2022年1月にNature誌に掲載されたレポートによると、不活化ワクチンは効果が低いという。フィリピンで広く使用されているSinovac社製とSinopharm社製のワクチンはこうした不活化ワクチンである。オミクロン株を前にフィリピンでは欧米と同じ選択肢がとれない可能性を示唆している。

マニラの現地病院での研究では、入院患者の45%がすでにワクチン接種済みという結果が示されている。オミクロン株に対するより強力な防御と広く考えられているブースター接種を受けた人の割合は、本稿執筆時点で人口のわずか5%にとどまっている。
政府は最近、ワクチン未接種者に対する公共交通機関へのアクセス禁止で物議を醸すなど、ワクチン未接種者に対して強力な制約を課すことを余儀なくされている。これらは移動手段に影響を及ぼし、労働力不足をもたらすことも考えられるが、これまでのところ状況は国・地域のロックダウンの手前で止まっており、封じ込め対策が現場の操業を妨げるには至っていない。政府は、本格的なロックダウンを回避すべく努めていると述べている。
現状の最大のリスクは、感染増加が(前述の制約措置にもかかわらず)制御不能の状態が続き、ブースター接種率やワクチン効果によって入院数が急増し始めることである。この場合、政府は完全なロックダウンの実施を余儀なくされるかもしれず、国内の主要な半導体施設を含む製造工場が閉鎖される可能性がある。
半導体への危機的な影響
SEMI WW OSAT製造データベースの2019年10月データによると、フィリピンにはOSATまたは半導体の組み立てとテストの外部委託製造工場が12施設ある。フィリピンは半導体事業を展開している20ヵ国中7位の地位にあり、これはマレーシアには後れを取っているもののシンガポールやタイよりもはるかに進んでいる。特に、AMKOR Technology社はフィリピンの首都圏またはそのすぐ近郊に4設備があり、これは同社が世界に配置している施設数の4分の1を占める。AMKORは世界最大手のOSATサプライヤーの1つであり、テキサス州に本社を置いている。
各施設の具体的な規模や自動車最終市場構成に関する詳細なデータは入手できておらず、そのため、フィリピンの半導体が同国のロックダウンによって稼働停止となった場合に想定される世界の自動車生産ロス概算値の提示となる。昨年のマレーシアでの厳格なロックダウンに起因する自動車生産ロスは約200万台だったと推定されており、これを踏まえると、フィリピンで同程度の期間のロックダウンが実施された場合、約140万台の自動車生産がリスクに曝されることになる。繰り返しになるが、以前のマレーシアの経験を青写真として使用すると、組み立てラインは4〜5週間後退することになり、2022年3月初旬まで組み立てスケジュールに影響が及び、正常化には数ヵ月を要することになる。
幸いなことに、必ずしもチップ製造そのものが中断されるわけではない(バックエンド業務のみ)ことから、ロスの一部は下半期に補われる可能性もあるが、これはその時点の組み立て能力の拡張や労働条件次第である。
ボトムライン
フィリピンにおける新型コロナウィルス感染数の著しい急増はワクチン接種の進行速度を上回っており、政府がジレンマを抱える可能性がある。状況を考えると、現在の封じ込め措置が不十分であるリスクがあり、オミクロン株を前にしてより強力な行動が求められる。完全な製造ロックダウンが実施されなくても、今後数週間は物流と労働が課題に直面することを考えれば、半導体生産が緩やかに減少する可能性は依然として存在する。
現時点において、このロックダウンリスクを半導体供給のベースケース予測には含めていない。ただし東南アジアの主要半導体供給国が抱える潜在的な問題として数ヵ月間監視しており、2021年10月下旬から毎月発表(1月更新版は1月24日の週に発表予定)の悲観的コンティンジェンシー計画予測の1要素としてフィリピンの供給ショックリスクを含めている。
さらに詳しい情報とリソースは、AsiaPacificAutomotive@ihsmarkit.comまでメールでお問い合わせください
免責事項
本レポートのいかなる部分も、顧客とIHS Markitとの間のライセンス契約で規定されている顧客組織内での配布を除き、事前の書面による同意なしに複製、再利用、またはその他の形式で配布することは禁止されています。IHS Markitの許可を得て複製または再配布されたコンテンツには、IHSの法的通知と著作権の帰属を表示する必要があります。ここに含まれる情報は信頼できると考えられる情報源を参照しているものの、その正確性と完全性は保証されておらず、それに基づく意見や分析も正確性と完全性は保証されたものではありません。また、法律で許可されている範囲で、IHSは誤りや脱落、またはここに含まれる情報または言及への依存によって発生したいかなる損失損害または費用に対しても、責任を負わないものとします。
アナログチップ-自動車メーカーを待ち受ける次の大きな脅威?
Jeremie Bouchaud(ディレクター、自動運転・E/E&半導体)
Phil Amsrud(IHS シニアプリンシパルアナリスト)
アナログチップの生産能力は増強が予測されているが、増大する車載チップ需要を満たすには十分ではない。そのため、供給は2023年末頃に再び逼迫の可能性がある。
車載半導体の供給逼迫は2022年から2023年前半に緩和が見込まれるが、2023年末または2024年初頭に圧力ポイントが再び上昇するリスクがある。アナログチップ供給への新たな懸念だ。2021年に問題となったマイクロコントローラ(MCU)に続いて、アナログチップが今後3年間の自動車生産の大きな制約要因となりそうだ。
不足の影響が最も大きい2つの主要チップカテゴリは、MCUとアナログチップである。2021年初頭はMCUに注目が集まった。MCUには独自性があり、少なくともソフトウェアとピン配置が異なることから、1つの電子制御ユニット(ECU)に対して複数ソースからMCUを調達するのは事実上不可能である。MCUは通常、40ナノメートル(nm)より微細なプロセスノードで製造され、なかには現在28nmでのプロセスが始まったものもある。メモリとシステム・オン・チップ(SoC)が半導体市場でシェアを拡大するにつれて、これらの分野の成長をサポートするべく高度なノードに投資が集中し、成熟したプロセスノードにはあまり集まらなくなっている。
E/E(電気電子)アーキテクチャの集中化が現在のトレンドだが、その結果、車1台あたりのMCU数は少なくなる。ただし、新たなアーキテクチャやプロセスノードの微細化は、すべてのタイプのチップに好都合なわけではない。たとえば、アナログチップは多くの車両システムの重要部分であることから、その需要は新たなE/Eアーキテクチャとは関係なく今後も増大し続ける。車1台あたりに必要なアナログチップは数百におよぶ。各ECUおよびSoCの電力管理、センサーの信号調整、各ECUのバストランシーバー、各電気モーターのドライバー(高級車では最大100)、LEDランプ、ディスプレイ、レーダートランシーバー、ハイエンドオーディオシステム、RF(無線周波数)フロントエンド、これらのいずれもアナログチップを必要とする。
MCU供給が好転したことで、今度はアナログチップの供給が問題として浮上する。アナログチップは通常、90 nm〜300nmなどの成熟したチッププロセスを使用する。最先端のプロセスノードではなく成熟したプロセスノードでの生産が続いているのは、技術的理由と商業的理由による。間の悪いことに、アナログチップ需要は携帯電話用でも増大している。たとえば、RFフロントエンド、センサー処理、ハイエンドオーディオ、非接触型決済などである。車両セグメントと動力源の組み合わせの増加を考慮すると、2023年には車1台あたりのアナログチップの平均数が2021年と比べて26%増加すると予測される。この成長は主として現在進行中の電動化トレンドによるものと言える。
![]()
投資の大半がより高度なノードに向けられていることから、成熟したプロセスノードはフロントエンド能力不足となっている。当社の分析によると、2021年から2022年にかけて発表された設備投資全体の86%が車1台にわずか数個のチップしか必要ではない高度な技術に向けられており、車1台に使用されるチップ数の90%以上を占める成熟したプロセスへの投資はわずか12%となっている。E/ Eアーキテクチャの変更にかかわらず、アナログチップ需要の増大にともない、設備投資発表に見られるこの不均衡が今後、アナログチップやその他の旧型ノードにボトルネックをもたらす可能性がある。
ライトビークル生産の短期展望
予測されるアナログチップの供給不足はライトビークル生産に悪影響をおよぼす。ただし、楽観シナリオでは、他業界からのアナログチップ需要の減少によって自動車業界向けのファウンドリ能力割り当てが改善すると見込まれている。このシナリオでは、アナログチップ工場の生産量は2022年第1四半期から2022年第3四半期まで一定ペースで増加し続け、その後減速すると想定されている。このシナリオでは、四半期ごとに追加されるアナログチップ生産能力が2023年第4四半期までにピークに達する。

他業界からのアナログチップ需要が安定している場合、自動車業界向けの能力割り当てが一定に保たれる可能性もある。この想定が保守シナリオである。このシナリオでは、アナログチップ工場の生産量が2022年初頭から通常のペースで増加すると予測している。四半期ごとに追加されるアナログチップ生産能力は2023年第2四半期までに横ばいになる。中間シナリオでは、アナログチップの推定生産量は2022年に前年比18%増、2023年に同13%増となる。
自動車生産への影響を分析するため、この能力を2022年と2023年に製造可能な自動車の最大台数に変換する。これにより、2022年第3四半期以降、自動車生産は四半期あたり最大約2,400万台に制限され、2023年末から2024年初頭にかけて自動車生産台数は減少する可能性がある。これは主として、車1台あたりのチップ数が今後数年間で増加するとの予測による。2023年には、車1台あたりのアナログチップの平均数が2021年と比較して非常に多くなるだろう。生産能力は追加されるものの、電動化やインフォテインメントおよびADAS(先進運転支援システム)機能の増加といった現在進行形のトレンドがもたらす自動車用アナログチップの急増に対応するには不十分だ。
半導体チップの生産能力は増強されるが、自動車用アナログチップの需要増に対応するには十分ではない。2021年に問題となったMCUの後は、アナログチップが今後3年間の自動車生産の大きな制約要因となりそうだ。車1台あたりのアナログチップの数は、動力源タイプや販売セグメント、E/Eアーキテクチャにかかわらず、MCUよりもハイペースで増加する。アナログチップには、スマートフォンや家電など他の多くの業界からも高い需要がある。
現在の設備投資と生産能力の軌跡は、2022年と2023年初頭に自動車産業にとっての状況が改善する可能性があることを示唆している。供給は2023年末または2024年初頭に逼迫するかもしれない。これは、成熟したノードの能力増強、自動車業界向けアナログチップ工場生産能力割り当て、他業界からのアナログチップ需要など、いくつかのパラメータに左右される。自動車エコシステムのさまざまなプレーヤーによる取り組みを考慮すると、自動車生産の潜在的な上限を引き上げるためのアナログチップ生産能力増強に向けた投資が今後数年間で増える可能性もある。自動車メーカー各社は、ファウンドリとより直接的な関係を構築することで半導体サプライチェーンの見通しを改善すべく取り組んでいる。これにより、自動車産業向けの生産能力割り当てが改善され、2023年以降の自動車生産能力も改善の可能性がある。
「Apple Car」を想像する
秘密と噂に包まれた、巨大ハイテク企業の自動車分野における可能性を秘めたコンポーネントとテクノロジーをIHS Markitが分析する
ライトビークル・シャーシのメガトレンド
- ブレーキシステムのトレンド
- サスペンションシステムのトレンド
- ステアリングシステムのトレンド